サプライチェーン

外部動向

サプライチェーン全体での活動・報告への要請がますます高まる

温室効果ガス(GHG)排出について、企業が直接排出する「スコープ1(直接排出量:自社の工場・オフィスなど)」、「スコープ2(エネルギー起源間接排出量:電力など自社で消費したエネルギー)」の把握・削減が、従来、企業の責任として問われていました。それらが定着した後「スコープ3(その他の間接排出量)」の算定基準の発行とともに、調達・輸送・使用など事業活動の上流から下流まで含めて算定範囲とする動きが広まり、サプライチェーン全体でのGHG排出削減が求められています。現在、企業に対するESG評価や政府・公共機関の調達要件においても、サプライチェーン全体のGHG排出量を把握し、開示することを問われる機会が増えています。

また、TCFD提言(注1)では気候変動に関して異常気象の激甚化によってもたらされる大雨・洪水などのリスクに対する対応を求めており、自社のみならず、上流のサプライチェーンにおけるリスクについても対応および開示の必要性が高まっています。

  • (注1)
    気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD :Task Force on Climate-related Financial Disclosures)が2017年6月に発行した提言書。気候変動に係る金融市場の不安定化リスクを低減するため、G20の要請で金融安定理事会がTCFDを設立。気候変動がもたらすリスクおよび機会についての情報を企業・団体等が自主的に把握、開示することを推奨する内容を盛り込んでいる。

当社の状況

サプライチェーン上流・下流のマネジメントが重要

富士通グループのGHG排出量は、事業活動のライフサイクルで考えるとScope3の比率が全体の約9割を占めます。Scope3の中でも「購入した製品・サービス」、「販売した製品の使用」のカテゴリにおける排出量が約9割を占め、当社の大きな排出源となっています。そこで、中長期目標であるSBTでは、この2つのカテゴリに注目した削減目標を掲げました。サプライチェーンの上流への対応についてはCO2排出削減だけではなく、BCPの観点からお取引先の水リスク評価の実施状況も重視しています。素材や部品を製造するお取引先が洪水や水不足に見舞われた場合、代替品の準備によるコスト増加や販売機会の損失などの影響が生じる可能性もあります。

また、サプライチェーンの下流については、総務省が毎年発行する『情報通信白書 令和元年版』によると、世界のデータトラフィックは、年々増大し、2018年に比較して2021年には約2倍に増加すると予測されています。データ通信の需要増加に対して、製品のさらなる省エネ化が重要だと考えています。

第9期環境行動計画のアプローチ

サプライチェーンのCO2排出量削減と水資源保全を推進

第9期環境行動計画のサプライチェーン上流においては、CO2排出量削減と水資源保全の取り組みを強化します。CO2排出量削減については、かねてから富士通グループの1次お取引先だけでなく、1次取引先を通じ2次お取引先へも削減活動の働きかけを拡大してきました。さらに、自社の削減取り組みノウハウをもとにお取引先への省エネアドバイスや直接支援を通じて、お取引先の削減活動を支援していきたいと考えています。また、水問題に関しては、まずはお取引先での水リスクの状況に応じた対応が必要だと考え、水リスク評価・分析をお取引先に働きかけていきます。また、当社独自の取り組みに加え、国際的に標準化された手法であるCDPサプライチェーンプログラム(注2)によるお取引先のCO2および水リスクや水使用量削減に関する情報収集や働きかけを2018年度より開始しています。一方、サプライチェーン下流では、最先端の省エネ技術を追求し、これまで以上に製品使用時の消費電力削減に取り組んでいきます。

  • (注2)
    CDPサプライチェーンプログラム: CDPが提供するサービスの一環で、企業や政府が指定した調達先にCDPが気候変動対策・水資源保護・森林保全の3分野で環境負荷に関する調査への回答を依頼し、回答結果をフィードバックするスキーム。

CDP「サプライヤー・エンゲージメント評価」において「A」を獲得

CDPサプライヤー・エンゲージメント評価Aのロゴ

富士通グループは、国際的に環境情報の調査・開示を行うNGOのCDPから「サプライヤー・エンゲージメント評価(SER)」において最高評価「A」を獲得し、「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー・ボード」に認定されました。この評価は、CDP気候変動質問書に回答した世界5,640以上の企業・機関を対象に「サプライチェーンエンゲージメント」、「スコープ3 排出量算定」、「ガバナンス」等の観点で実施され、2020年は当社を含む396社(上位7%の企業)のみが「A」評価を獲得しています。


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