SDGsへの取り組み
SDGsへの取り組み
2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)は、世界全体が2030年までに達成すべき共通の目標です。富士通のパーパス「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」は、SDGs達成への貢献を社内外に約束するものです。富士通は、長年にわたりテクノロジーを通じて社会に価値を提供してきたグローバル企業として、社会の変革に主体的に貢献する責任があります。世界をより持続可能にするために、社会に対して、より良い、かつスケールあるインパクトを与え、自社も持続的に成長していくことを目指しています。富士通は、SDGsの達成に貢献するため、富士通自身の経営をサステナブルに変容させるグローバルレスポンシブルビジネス(GRB)の取り組みとともに、ビジネスを通じた社会課題解決を目指す新事業ブランド「Fujitsu Uvance」を2021年に発表し、取り組みを進めています。
富士通は、SDGsの本質を、2050年に90億人を超える人類が、地球の限界内で良い生活を営めるよう、2030年までに成し遂げるべきシステムトランスフォーメーションであると捉えています。SDGsに掲げられる課題は、環境・社会・経済の要素が複雑に連鎖して構成されており、その解決には、社会全体を捉えたデジタルトランスフォーメーション(DX)が鍵となります。富士通は、デジタルテクノロジーを駆使して、業種の壁を越えたエコシステムを形成し、自社やお客様の経営、社会の在り方を変革し、社会課題の解決に貢献していきます。
SDGsは、グローバルな社会ニーズを包括的に示したものであり、ステークホルダーとの共通言語です。富士通は、SDGs達成への取り組みを、国際機関や各国・地域政府、民間企業、NGO、NPOといった幅広いステークホルダーとの共創の機会とし、社会課題に多面的にアプローチすることで、より大きなインパクト創出とその最大化を図ります。
社内浸透へ向けた活動
富士通では、商品企画・商談の検討やプレスリリース発行時に、サービスやソリューションがSDGsの169ターゲットのうちどのターゲットと関連するか社員に考えてもらう仕組みを構築しました。
社会課題起点で、商品・商談やプレスリリースの内容とSDGsへの貢献を照らし合わせて考えることで、社員にSDGsをより身近に感じてもらい、SDGsへの意識喚起につなげていくことを目的としています。
デジタルテクノロジーとサービスを活用したSDGs貢献例
製造現場におけるコストおよびエネルギー消費削減への貢献
製造現場では、AI技術を活用した製造プロセスの効率化や品質保証レベルの向上などを進めています。しかし、AIモデルは設備の経年劣化や環境変化により、活用していく過程において精度が低下することがあるため、定期的な精度の確認や精度低下時のAIモデルの再学習などを繰り返し行う必要があり、運用・保守コストが増大するなどの問題が生じていました。
そこで、株式会社SUBARU と富士通は、品質保証のためのAIモデルを管理する「COLMINA 現場品質AI」の開発・実証を行い、量産工程に適用した稼働につなげました。点在する複数の設備に組み込まれたAIモデルの一元管理を可能にすることで、AIモデルのリアルタイムな稼働監視やメンテナンス時期の判断をできるようになりました。
これにより、株式会社SUBARU群馬製作所大泉工場におけるエンジン部品加工工程では、品質保証レベルを向上させながら資源消費を抑制することで、大幅なコストおよびエネルギー消費の削減が実現できました。
今後も富士通は、社会全体の技術向上およびイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性の達成に向けて取り組み、新しい価値創造に貢献していきます。
- 高精度AIモデルでエンジン部品研削加工工程の品質保証を実現 SUBARUの量産ラインで本格稼働開始
- 製造現場の品質維持とコスト削減の両立に向け、AI活用を支える「COLMINA 現場品質AI 運用管理パッケージ」を販売開始
本件に関連する主なSDGs




植物由来の飲料水取引プラットフォームで、世界の水不足問題の解決を支援
国連の水不足に関する報告(注1)では、世界人口の約3分の2が深刻な水不足の状態にあることが指摘されており、その対応が急務となっています。この課題を解決するために、英国のBotanical Water Technologies Ltd (BWT社)と富士通は、ウォーターオフセット(注2)の概念に基づき、植物由来の純水取引を可能にする世界初の水取引プラットフォーム(Botanical Water Exchange)を構築しました。
従来、食品工場では砂糖やトマトペースト、濃縮果汁などの製品を野菜や果物を圧縮して作る際に発生する水分を莫大な費用をかけ、環境にも負荷を与えて廃棄していました。BWT社は、この圧搾した際に生成される水を植物由来の純水(Botanical Water)として浄化・精製する革新的な技術により安全できれいな飲料水として販売や無償提供を行っています。この水は、工業用や原料用への再利用、水資源の少ない地域からの地下水汲み上げを避ける代替手段、水資源を節約する飲料水として販売することも可能です。
BWT社は水不足問題を世界規模で解決するためには他のイノベーターとのエコシステム形成が必要と考え、富士通をパートナーに選定し、ブロックチェーンソリューション「FUJITSU Track and Trust」を用いた植物由来水取引プラットフォームを構築しました。
これにより、Botanical Waterの精製から販売・配送までの高いトレーサビリティを確保し、慢性的な水不足に直面している地域へのウォータークレジット(注3)を通じた寄付などウォーターポジティブ(注4)な活動を目指すことが可能になります。
- (注1)国連の水不足に関する報告 : https://www.unwater.org/water-facts/scarcity/
- (注2)ウォーターオフセット : 企業が製品やサービスの製造や物流などの過程における水使用量を埋め合わせること。
- (注3)ウォータークレジット : カーボンクレジットと同様の概念で、企業が主にウォーターオフセットへ利用するために取引されるもののこと。ウォータークレジットを購入し、同量の水が寄付されることで、相殺(オフセット)され、企業としての水使用量が減少する。
- (注4)ウォーターポジティブ : 企業が水使用量よりも多くの水を地域へ戻すこと。
本件に関連する主なSDGs





AI技術を活用した⼼疾患の早期検出による健康長寿社会の実現 (共同研究)
世界の死因の中で最も多い「心疾患」の予防・早期発見は、医療分野において、最も重要な課題の1つとなっています。心臓の形や動きの異常を捉える検査の1つとして心エコー検査がありますが、専門の医師・臨床検査技師がいる限られた施設でしか行うことができません。そのため、早期発見がしにくく、発見したときにはすでに疾患が重症化しているケースもあります。
この課題を解決するため、東京大学医学部附属病院と富士通は、心エコー検査よりも容易で、多くの施設に普及している心電図検査に着目して、心電図のデータから心臓の動きの異常を推定する独自のAI技術を共同開発しました。このAIを用いることで、より多くの心疾患を早期に発見することができると期待されています。
今後も富士通は、様々な疾患を検出するAIの研究開発を推進し、医療現場の課題解決に貢献することで、生活者を取り巻く社会に安心をもたらし、人々のウェルビーイングな暮らしをサポートしていきます。
臨床研究のフロー
本件に関連する主なSDGs


AIで胸部CT画像を解析し、新型コロナウイルスと戦う医療現場を支援
新型コロナウイルス感染の疑いが強い患者の治療を行う際、PCRなどの遺伝子検査や血液検査と合わせて、胸部CT(コンピューター断層撮影)検査による画像診断が注目されています。しかし、胸部CT検査は、早期発見への貢献が期待される一方で、患者一人当たり数百枚におよぶ画像を目視で確認する必要があり、医師の大きな負担となっていました。また、画像診断には高度な専門知識が必要とされるため医療機関ごとの診断能力の差があることも課題でした。
そこで富士通は、CT画像診断の分野で高度な知見を持つ東京品川病院と共に、画像診断支援AIを開発しました。新型コロナウイルス肺炎が疑われる患者の胸部CT画像に対して、AIが肺の陰影の広がりなどを数値化および3次元で可視化し、さらに感染の可能性を提示することで、医師の画像診断を支援します。この取り組みによって、医療現場での画像診断分野における専門知識がより広く展開され、医療現場の負担が軽減されることが期待されています。
今後も富士通は、医療現場との共同研究を継続し、ウィズコロナ社会における安全・安心な暮らしの実現を目指します。
本件に関連する主なSDGs




交通流の最適化による物流の改善とCO2排出量削減(ハンブルク港での実証実験)
ドイツ・ハンブルク港周辺では、トラックの交通量の増加やラッシュアワーにより慢性的な交通渋滞が発生しており、サプライチェーンにおける物流への影響や温室効果ガス排出量の増加が深刻な問題となっています。
こうした課題を解決するため、富士通は、ハンブルク港湾局とグラーツ工科大学と共にプロジェクト「MOZART」(Mobility Optimization and Analysis in Real-Time)に着手しました。
本プロジェクトでは、当社の量子インスパイアード技術「デジタルアニーラ」を用いて、個々の車両の動きをシミュレーションし、全ての交差点の信号の位相をリアルタイムに同期させ、実証実験エリアにおける交通流全体を最適化しました。
これにより、既存のインフラを変えることなく、渋滞を緩和させ、物流の流れを促進し、CO2排出量を最大で9%削減できることが証明されました。さらに、交通渋滞が緩和されたことで、同エリアにおける移動時間が20%短縮され、より住みやすい街づくりにも貢献しています。
現在は、同ソリューションをハンブルク市全体に適用することを目指しています。今後も富士通は、パートナーとの信頼ある協力関係のもと、革新的なサービスやソリューションを開発することで、気候危機への取り組みと、より住みやすく安全な街づくりに寄与していきます。
量子インスパイア―ド技術「デジタルアニーラ」を利用し、交通流を最適化
- Fujitsu Quantum-Inspired Optimization Services Cut Traffic Jams and CO2 Emissions at Hamburg Port
- Traffic Management with Traffic Signal Control in the Port of Hamburg
- Fujitsu Forum 2019 Keynote - From mathematical to industrial optimization
本件に関連する主なSDGs




