ソリューション・サービスの環境影響評価手法
富士通グループでは、株式会社富士通研究所が開発した手法を用いて、ソリューション・サービスの導入によってお客様の環境負荷がどれだけ低減されるかを定量的に評価しています。
環境影響評価の基本的な考え方
ソリューション・サービスの導入効果を「環境のモノサシ」を用いて「環境」効果に変換します。
例えば、ペーパーレス(紙の削減)や生産性の向上、作業効率の向上などの導入効果を定量的に算出し、これをCO2排出量に換算します。
評価対象工程
ソリューション・サービスは、企画、開発、運用、廃棄(システムの更新など)の工程から成り立ち、ライフサイクルで捉えることができます。当手法ではICTソリューションがお客さま先で運用される工程を対象にしています。
影響評価要因(7つの要因)
次に示す7つの要因で、環境影響を定量評価します。
影響評価要因(7つの要因) | ||||
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環境影響要因 | 環境影響の算出に必要な基礎データ | |||
物の消費量 | 紙、CD、書籍など | |||
人の移動量 | 航空機、電車、バス、自家用車など | |||
物の移動量 | 小型トラック、営業用トラック、鉄道貨物、航空貨物など | |||
オフィススペース | 一人あたりのスペース、サーバ機器スペースなど | |||
倉庫スペース | 普通倉庫、冷蔵倉庫など | |||
ICT・ネットワーク機器電力使用量 | ICT・ネットワーク機器の消費電力 | |||
ネットワークデータ通信量 | ネットワークを流れるデータ量(LAN内のデータ量も含む) |
環境影響評価の方法
- CO2排出量を環境影響要因別に評価
- CO2削減要因とCO2増加要因をソリューション・サービスの導入前後で比較
環境貢献試算Webツール
環境貢献試算Webツール「EcoCALC-GX(エコカルク-ジーエックス)」は、ICTによる環境負荷低減効果を、導入前と導入後の比較において、CO2換算で定量的に評価するツールです。本ツールは、上記の環境影響評価の手法を搭載しており、ICTによって低減されるCO2の量を貢献量として算出するもので、社内ツールとして富士通グループにおいてグローバルで活用しています。本ツールを活用して、商談や新規ソリューションの環境貢献量の算出を積極的に推進しています。
また、EcoCALC-GXの元となる環境貢献試算Webツール「EcoCALC」が、2011年に、「グリーンITアワード2011」において審査員特別賞を受賞しました。これは、ICT活用によるCO2削減量「見える化」ツールの先進性や独創性ならびに、本ツールのお客様提案への積極的な活用が評価されたものです。
標準化の取り組み、動向
富士通グループは、国際標準化団体をはじめとする外部団体での積極的な活動により、ICTの普及を通じた地球規模の環境負荷低減への貢献を目指しています。例えば、ICT製品・ソリューション・サービスによる環境負荷低減効果の評価手法を統一する取り組みとして、以下の活動に協力しています。
- 「平成17年度 情報通信技術(ICT)の環境効率評価ガイドライン」
本ガイドラインは、ICT導入による環境負荷低減および環境効率を評価するための一般的な枠組み、原則、要求事項等を記載したものです。経済産業省が(社)産業環境管理協会に委託し、日本環境効率フォーラムに参加するICT企業8社と東京大学により作成されました。富士通は評価事例の提供やガイドラインの執筆などの協力を行いました。 - ITU-T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)勧告「ICT製品・ネットワーク・サービスの環境影響評価手法(L.1410)」(2013年)
本勧告は、「ICT製品・ネットワーク・サービスの環境負荷軽減効果を計算するための評価方法」の国際的に共通の枠組を決めたもので、日本の総務省が中心となって推進してきたものです。富士通は、ITU-Tの「ICTと気候変動グループ(SG5 WP3)」にアソシエートラポータとして参加しました。 - 富士通は、IEC/TC111 WG17国内委員会に参加し、国際規格IEC63372「Quantification and communication of GHG emissions and emission reductions/avoided emissions from electric and electronic products, services and systems – Principles, methodologies and guidance」の開発に協力しています。