マテリアリティ
富士通グループのマテリアリティ
2023年、富士通グループでは、マテリアリティの改定を行いました。2018年に「CSR基本方針」の下、マテリアリティを特定していましたが、ビジネスを通じたお客様・社会への価値提供という観点をさらに取り入れた「経営におけるマテリアリティ」に更新しました。
中長期的な視点で2030年を見据え、「自社」および「ステークホルダー」の観点から評価を行い、持続的な成長に向けて解決すべき重要課題として、「必要不可欠な貢献分野」、「持続的な発展を可能にする土台」の2つのカテゴリーを特定しました。必要不可欠な貢献分野について、Fujitsu Uvanceを中心とした事業展開により、「地球環境問題の解決」、「デジタル社会の発展」、「人々のウェルビーイングの向上」に貢献する価値をお客様・社会に提供します。また、持続的な発展を可能にする土台について、富士通グループの価値創造の源泉として、「テクノロジー」、「経営基盤」、「人材」を強化し、新たなビジネスモデルやイノベーションの創出を支えます。
また、2023年に策定したマテリアリティの結果は、全社のリスクマネジメントにも活用しています。マテリアリティ分析から抽出された気候変動や人権、セキュリティなどの課題を、富士通グループ全社で行われる潜在リスクアセスメントにおいて重要リスク項目として連動させ、その一部は「事業等のリスク」として公表しています。
加えて、FUJITSU Level VP以上のエグゼクティブを対象にした評価制度「Executive Performance Management」において、マテリアリティ関連の取り組みを目標設定の推奨項目としています。マテリアリティを軸とした非財務指標については、役員報酬の評価指標(業務執行取締役の賞与)との連動も推進していきます。
今後、全社レベルでマテリアリティへの取り組みを推進し、経営における重要なリスクの低減・回避と事業機会の拡大を図り、富士通グループの企業価値向上と、地球環境問題、デジタル社会、人々のウェルビーイングにおいてネットポジティブの実現に貢献していきます。
マテリアリティ
マテリアリティ
必要不可欠な貢献分野(11項目)
地球環境問題の解決 Planet人と自然が共存・共栄し、
地球の未来を共に創る |
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気候変動(カーボンニュートラル) |
資源循環(サーキュラーエコノミー) |
自然共生(生物多様性の保全) |
デジタル社会の発展 Prosperity世界の繁栄と安定が両立する、
信頼性のあるデジタル社会を共に創る |
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情報セキュリティ確保 |
デジタル格差の解消 |
情報・AI倫理の推進 |
働きやすい環境の推進と労働力不足解消 |
責任あるサプライチェーンの推進 |
人々のウェルビーイングの向上 Peopleあらゆる人々のウェルビーイングに向けた、
ヒューマンセントリックな生活基盤を構築する |
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QoL(生活の質)向上に向けた
医療ヘルスケアの推進 |
生涯教育・リスキリングの推進 |
顧客・生活者体験の向上 |
持続的な発展を可能にする土台(7項目)
テクノロジー Technology最先端デジタル技術を創出し、持続可能な
社会システムに変革していく機会を共創する |
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最先端技術の開発および
イノベーションの創出 |
経営基盤 Management foundationビジネス環境に柔軟に対応し、高効率・迅速な意思決定を図るデータドリブン経営を行う |
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ガバナンス・コンプライアンス |
リスクマネジメント |
経済安全保障対応 |
デジタルトランスフォーメーション(DX) |
人材 Human capital社内外の多才な人材が俊敏に集い、
社会の至るところでイノベーションを創出する |
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DE&I |
ウェルビーイング・人材育成 |
マテリアリティの特定プロセス
富士通グループでは、ダブル・マテリアリティの原則に基づき、企業と環境・社会の相互影響(環境・社会課題が当社に与える財務的な影響、当社活動による環境・社会に与える影響)を考慮しマテリアリティを特定しました。また、年1回の定期レビューを行い、必要に応じた見直しを実施していきます。
- Step1
- 社会課題の整理・抽出
- 下記を参考し、2030年の未来を見据えたメガトレンドを踏まえ、様々な社会課題を整理したロングリストを作成(163課題)
- SDGs
- ESG株価指数の評価項目(FTSE、MSCI、DJSI)
- ESG情報開示枠組み(GRIスタンダード、SASBスタンダード)
- 世界経済フォーラム(WEF)「グローバルリスク報告書」
- レスポンシブル・ビジネス・アライアンス(RBA)行動規範
- 持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)、Global Enabling Sustainability Initiative (GeSI)等の文献
- ロングリストから、類似項目の統合や、事業と関連性の少ない項目を削除し、最終的に40個の社会課題を抽出
- 下記を参考し、2030年の未来を見据えたメガトレンドを踏まえ、様々な社会課題を整理したロングリストを作成(163課題)
- Step2
- 優先順位付け
- 抽出された社会課題をもとに、幅広く社内外のステークホルダーに対するアンケートやインタビュー、およびデスクトップ調査を実施。2030年の未来を見据え、各課題をリスク・機会両方の側面で、「当社にとっての重要度(環境・社会課題が当社に与える財務的な影響)」および「ステークホルダーにとっての重要度(当社活動による環境・社会に与える影響)」の視点から包括的に評価・採点を行い、社会課題の優先順位を示すマテリアリティ・マトリックス案(40課題から25課題に絞り込み)を作成
- 個別インタビュー、サステナビリティ経営委員会等を通じて、マテリアリティ・マトリックス案について富士通の独自性(富士通らしさ)といった観点から妥当性に関する評価・討議を実施し(業務執行取締役、業務執行役員に加え、非執行取締役、監査役によるレビューを含む)、マテリアリティ・マトリックスを最終化(25課題から18課題に集約)
- マテリアリティのコンセプト整理を行い、18課題を2つのカテゴリー、6つのテーマに分類・構造化
当社・ステークホルダー評価
評価方法 詳細 当社 アンケート、インタビュー 役員 - サステナビリティ経営委員会委員をはじめとした業務執行取締役、執行役員、エグゼクティブ計43名に対しアンケート、インタビューを実施
Fujitsu Way推進責任者 - Fujitsu Way推進責任者計94名に対しアンケートを実施
デスクトップ調査 - 社内外のデータを活用し、売上・コスト・評判・コンプライアンス・事業戦略との整合性の観点で、社会課題が持つ当社への影響の大きさを定性・定量的に評価
ステークホルダー アンケート、インタビュー 従業員 - 全社(グローバル)部門毎に従業員をランダム抽出し、計1,160名の従業員に対しアンケートを実施
市場(お客様・お取引先)(注1) - グローバルにおける当社のお客様・お取引先業界に属する企業の経営層、中間管理職に対しアンケート、インタビューを実施(9か国、14業界)
投資家 - 当社の資本市場関係者に対し、アンケート、インタビューを実施
デスクトップ調査 - 代表的なESG評価機関の調査票、各種外部文献・レポートを踏まえ、各ステークホルダーから見た重要性を定性・定量的に評価
- (注1)2022年8月 富士通がForrester Consultingに委託して実施した調査
マテリアリティ・マトリックス
- Step3
- マテリアリティの決定
- サステナビリティ経営委員会を経て、特定したマテリアリティおよび全社的な取り組み推進の方向性について審議、承認
- マテリアリティを含む中期経営計画を取締役会にて審議、承認
- Step4
- レビュー、見直し
- 年1回のレビューを実施
- 中期経営計画検討のタイミングで討議を実施予定
マテリアリティへのアプローチ
マテリアリティに対するリスク・機会の認識を踏まえ、2025年度に向けたアプローチを検討・整理しました。リスクについては富士通自身の社内取り組みを中心に施策を実施し、機会についてはFujitsu Uvanceをはじめとしたビジネスを拡大することによって社会課題を解決し、お客様・社会に価値を提供していきます。マテリアリティへのアプローチの推進により、当社事業、社会に対するネガティブなインパクトの縮小、ポジティブなインパクトの拡大を促進し、ネットポジティブの実現に貢献します。
必要不可欠な貢献分野
必要不可欠な貢献分野における共通指標 | 2025年度目標
|
必要不可欠な貢献分野における共通施策:
グローバル・地域社会への貢献 |
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地球環境問題の解決 Planet:人と自然が共存・共栄し、地球の未来を共に創る
2025年度目標
- GHG排出量Scope1,2:50%削減(2020年度比)
- GHG排出量Scope3(Category11):12.5%削減(2020年度比)
2030年度目標
- 世界のGHG排出量削減への貢献:0.3%
(サービスソリューションによる世界CO2削減インパクト)
その他環境の目標一覧(第11期[2023~2025年度]環境行動計画)はこちら
マテリアリティ | リスク・機会の認識(注2) | 2025年度に向けたアプローチ(主な取り組み) |
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気候変動
(カーボンニュートラル) | <リスク>
| <社内取り組み>
|
<機会>
| <お客様・社会への事業展開>
| |
資源循環
(サーキュラーエコノミー) | <リスク>
| <社内取り組み>
|
<機会>
| <お客様・社会への事業展開>
| |
自然共生
(生物多様性の保全) | <リスク>
| <社内取り組み>
|
<機会>
| <お客様・社会への事業展開>
|
事業インパクト
- サプライチェーンを含む事業活動領域における環境への負荷最小化の活動(GHG排出量の削減、省資源・資源循環、生物多様性の保全)推進により、法規制厳格化や評判低下等のリスク軽減・回避につながる
- 環境配慮型社会への移行に伴い、各産業のバリューチェーン全体で環境への負荷最小化に関する需要が増大。環境課題の解決や環境に対する価値の創出を目的とした事業の展開により、財務的なリターンの拡大につながる
気候変動に関する事業インパクトの分析詳細はTCFD情報開示にてご参照ください。
社会インパクト
- デジタル技術を活用した環境フットプリントの可視化、トレーサビリティの向上などソリューションの展開により、サプライチェーン・お客様の環境負荷低減に加え、社会のカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、生物多様性の回復に貢献
デジタル社会の発展 Prosperity:世界の繁栄と安定が両立する、信頼性のあるデジタル社会を共に創る
2030年度目標
- デジタルアクセシビリティ:1.5億人
富士通のサービス提供、各種活動の展開による社会におけるデジタルアクセシビリティの向上に貢献
(Fujitsu Uvanceのソリューション、投資先のサービス/ソリューション、およびコミュニティ活動の数を基に影響人数の実績値を把握し、モニタリング・管理を推進。)
マテリアリティ | リスク・機会の認識(注2) | 2025年度に向けたアプローチ(主な取り組み) |
---|---|---|
情報セキュリティ確保 | <リスク>
| <社内取り組み>
|
<機会>
| <お客様・社会への事業展開>
| |
デジタル格差の解消 | <機会>
| <お客様・社会への事業展開>
|
情報・AI倫理の推進 | <リスク>
| <社内取り組み>
|
<機会>
| <お客様・社会への事業展開>
| |
働きやすい環境の推進と労働力不足解消 | <機会>
| <お客様・社会への事業展開>
|
責任あるサプライチェーンの推進 | <リスク>
| <社内取り組み(サプライチェーンへの働きかけ)>
|
<機会>
| <お客様・社会への事業展開>
|
事業インパクト
- 情報セキュリティ対策の不足、富士通が提供したAIにまつわる倫理トラブル、サプライチェーンにおける人権侵害等により、対応コストの増大、お客様・社会からの信頼失墜等の発生可能性があるが、強固なガバナンス体制の整備や効果的な施策の導入により、リスクの最小化につながる
- お客様・社会においてもこれらに加え、デジタル格差の加速、労働力不足の深刻化の課題があり、デジタル社会への移行に伴う課題解決を目的とした事業の展開により、財務的なリターンの拡大につながる
社会インパクト
- セキュアな情報基盤、説明可能なAI等の展開により、信頼されるデジタルテクノロジーを社会に実装し、より多くの人がデジタルテクノロジーの恩恵を享受することができ、レジリエンスが向上した社会づくりに貢献
人々のウェルビーイングの向上 People:あらゆる人々のウェルビーイングに向けた、ヒューマンセントリックな生活基盤を構築する
2030年度目標
- ICTスキル、教育提供数:1,200万人以上
富士通のサービス提供、各種活動の展開による社会におけるICTスキル向上・教育拡大に貢献
(Fujitsu Uvanceのソリューション、投資先のサービス/ソリューション、コミュニティおよびイベント・研究会などの活動の数を基に影響人数の実績値を把握し、モニタリング・管理を推進。)
マテリアリティ | リスク・機会の認識(注2) | 2025年度に向けたアプローチ(主な取り組み) |
---|---|---|
QoL(生活の質)向上に向けた医療ヘルスケアの推進 | <機会>
| <お客様・社会への事業展開>
|
生涯教育・リスキリングの推進 | <機会>
| <お客様・社会への事業展開>
|
顧客・生活者体験の向上 | <機会>
| <お客様・社会への事業展開>
|
事業インパクト
- 物質的な豊かさから精神的な豊かさへの価値観の転換に伴い、医療・ヘルスケア、教育、お客様・生活者体験の高度化が求められるようになり、人々の安心・安全・高品質な暮らしを支えるヒューマンセントリックな事業の展開により、財務的なリターンの拡大につながる
社会インパクト
- 一人ひとりのヘルスケア、キャリアプランに資するスキルアップや消費行動に対応したサービスの提供により、健康寿命を延ばすとともに、全ての人々が自身の可能性を最大化し、充実で幸せに生きる社会の実現に貢献
持続的な発展を可能にする土台
持続的な発展を可能にする土台における 共通指標 | 2025年度目標
|
テクノロジー Technology:最先端デジタル技術を創出し、持続可能な社会システムに変革していく機会を共創する
マテリアリティ | リスク・機会の認識(注2) | 2025年度に向けたアプローチ(主な取り組み) |
---|---|---|
最先端技術の開発およびイノベーションの創出 | <リスク>
| <社内取り組み>
|
事業インパクト
- Computing、AI、Data & Security、Converging Technologies、Networkの5つの技術領域における研究開発、およびデジタルイノベーションの創出によって、持続可能なビジネス変革の実現に貢献
社会インパクト
- 技術を組み合わせた包括的な価値提供により、お客様・社会の課題解決、サステナビリティトランスフォーメーション(SX)を支え続けていく
経営基盤 Management Foundation:ビジネス環境に柔軟に対応し、高効率・迅速な意思決定を図るデータドリブン経営を行う
マテリアリティ | リスク・機会の認識(注2) | 2025年度に向けたアプローチ(主な取り組み) |
---|---|---|
ガバナンス・コンプライアンス | <リスク>
| <社内取り組み>
|
リスクマネジメント | <リスク>
| <社内取り組み>
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経済安全保障対応 | <リスク>
| <社内取り組み>
|
デジタルトランスフォーメーション(DX) | <リスク>
| <社内取り組み>
|
事業インパクト
- 健全な経営基盤、経営効率の向上を維持できない場合、生産性低下、社会的信用の低下等重大リスクにつながる
強固なガバナンス体制の整備や効果的な施策の導入により、これらのリスクの最小化につながる
社会インパクト
- 健全な経営基盤、経営効率の向上を維持できない場合は、事業領域におけるお客様・お取引先にも損失を与える可能性があり、強固なガバナンス体制の整備や効果的な施策の導入により、上記リスクの最小化につながる
人材 Human Capital:社内外の多才な人材が俊敏に集い、社会の至るところでイノベーションを創出する
2025年度目標
- 従業員エンゲージメント:75
- ダイバーシティリーダシップ(女性幹部社員比率):20%
マテリアリティ | リスク・機会の認識(注2) | 2025年度に向けたアプローチ(主な取り組み) |
---|---|---|
DE&I | <リスク>
| <社内取り組み>
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ウェルビーイング・人材育成 | <リスク>
| <社内取り組み>
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事業インパクト
- 人材基盤、人材ポートフォリオの強化など人的資本投資の拡大により、人材の価値を最大限に引き出し、持続的な価値創造・企業価値向上に貢献
社会インパクト
- サプライチェーンにおける人権尊重、多様性の確保などの活動推進により、DE&I関連サプライチェーンリスクの軽減・回避につながる
- (注2)リスク・機会の認識は、マテリアリティ特定プロセスのStep1(社会課題の整理・抽出)における各種公開情報をもとに考察したもの。