富士通グループ環境行動計画

 

事業環境と成長戦略

ビジネスモデル変革に伴って環境活動も変化

通信機器メーカーとして誕生した富士通は、ITを活用したサービス・ソリューションを提供する「テクノロジーソリューション」、PC・携帯電話などの開発・製造を行う「ユビキタスソリューション」、半導体事業を展開する「デバイスソリューション」の3分野にわたる垂直統合型の事業を展開しながら、ICTグローバル企業へと成長を遂げてきました。2015年度以降は事業構造改革を進め、テクノロジーソリューションをコア事業として経営資源を集中させています。さらに2019年度からは「デジタルトランスフォーメーション(DX)企業」を標榜し、デジタル技術を駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの創出を追求しています。

こうしたビジネスモデルのシフトとともに、富士通グループの環境負荷のありようも変わってきました。たとえばエネルギー消費量は、以前はその大半が半導体や電子部品、PCなどの製造に伴うものでしたが、現在それらは大幅に減少しています。一方、クラウドコンピューティングやIoTが進展する中、データセンターにおける消費電力量は増加傾向にあり、今後も増え続けていく見込みです。そこで現在は、データセンターの省電力化や高効率化、再生可能エネルギー利用に注力しています。このように富士通グループは、社会の要請に応えながら、成長戦略とリンクした環境活動を推進しています。

責任あるグローバル企業として

国連における持続可能な開発目標(SDGs)の採択やCOP21のパリ協定発効など、ここ数年の間に地球規模の持続可能な社会への取り組みがより一層強く求められるようになりました。富士通グループも、持続可能な発展への貢献に向けた活動の実効性を高めていくため、グループ横断でマテリアリティ分析を実施し、環境をはじめ、人権・多様性、ウェルビーイング、サプライチェーンなど、7つの重要課題からなる「グローバルレスポンシブルビジネス(GRB)」を設定しました。GRBの活動を通じて非財務分野の取り組みを強化し、責任あるグローバル企業としての「サステナビリティ経営」を目指します。

環境行動計画のあゆみ

自社の環境配慮からお客様・社会の環境貢献へ

富士通グループは、1993年から環境行動計画を策定し、環境活動を継続的に拡大してきました。第1期から第5期(1993~2009年度)では、工場やオフィスにおける環境配慮を徹底し、CO2排出量や化学物質排出量、廃棄物発生量など、富士通グループ自らの事業活動に伴う環境負荷を大きく低減しました。第6期(2010~2012年度)は、自らの環境負荷低減の強化に加えて、お客様・社会全体への貢献、生物多様性保全という3本柱に取り組みました。そして第7期および第8期(2013~2018年度)では、ICTの利活用によって、お客様や社会の環境課題解決に貢献する姿勢を鮮明に打ち出しました。自らの環境負荷低減としては、お取引先などを含めたサプライチェーン全体へと対象を広げています。第9期(2019年度~2020年度)ではデータセンターにおける人工知能(AI)制御による外気導入を用いた空調設備の効率運転の拡大や、地域性および経済合理性を踏まえたグリーン電力・再エネ証書の購入、オンサイトによる自社事業所の再生可能エネルギー導入を拡大しました。また、ブロックチェーン技術など富士通グループならではの先端ICT技術を活用し、再生可能エネルギーの普及・拡大にも努めました。

これからも富士通グループは時代の変化をとらえ、持続可能で豊かな社会の実現を目指して環境活動を深化・発展させていきます。

第10期環境行動計画

グローバル社会課題への対応を強化

グローバルリスク報告書2021(注1)において、環境に関連する「気候変動」、「資源循環」、「生物多様性の喪失」の項目が発生確率や影響が大きいリスクとして位置づけられています。特に、気候変動については、IPCC 1.5℃特別報告書(注2)において、脱炭素化社会へより早く移行すべきことを提言されており、国際イニシアチブSBTiでは、GHG排出削減について1.5℃目標レベルを設定し、企業に野心的な目標の設定を求めています。

資源循環については、廃プラスチック問題がグローバルな課題として内外でプラスチック利用の在り方が問われています。生物多様性についてはポスト2020生物多様性目標の検討の中でサプライチェーンを通じた生物多様性への影響の低減を目指すことが議論されています。

このような状況下、富士通グループでは、働き方改革や事業構造の変化を踏まえつつ、グローバルな社会課題である「気候変動」、「資源循環」、「自然共生(生物多様性の保全)」の3つの軸ごとに目標をそれぞれ設定し、2021年度から2022年度までの2年間で、サプライチェーンを通じた環境負荷低減に努めていきます。

  • (注1)
    世界経済フォーラム(WEF)が毎年発行する報告書。発生可能性および影響度の大きいものを指摘
  • (注2)
    気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発行した報告書。2018年10月IPCC第48回総会において報告書本編が受諾された。

テーマ

気候変動、資源循環、自然共生の社会課題に合わせた目標を策定

気候変動、資源循環、自然共生の社会課題に合わせた目標を設定。

  • 気候変動:1.5℃目標への引き上げ(強化)
  • 資源循環:製品の省資源設計(プラスチックの使用に重みづけ)、サプライチェーンを通じた水リスク評価の継続・改善
  • 自然共生:グローバル動向を踏まえ生物多様性への影響可視化に関する目標を設定(新設)

目標期間

2021年度から2022年度までの2年間。

第10期環境行動計画のイメージ第10期環境行動計画のイメージ

気候変動

目標項目(2022年度までの目標)2021年度実績
① 事業拠点のGHG排出量を毎年基準年の4.2%以上削減する(基準年:2013年度)11.7%削減(基準年比37.2%削減)
② データセンターのPUE(電力使用効率)を3%改善する(2017年度比)年度目標1.57以下に対し、1.56を達成
③ 電力における再生可能エネルギー利用比率を16%に拡大する年度目標13%に対し、20%を達成
④ 製品の使用時消費電力によるCO2排出量を17%以上削減する(2013年度比)年度目標16%削減に対し、37%削減
⑤ サプライチェーン上流におけるCO2排出量削減の取り組みを推進する主要取引先への取組依頼100%完了

資源循環

目標項目(2022年度までの目標)2021年度実績
⑥ 製品の省資源化・資源循環性向上を推進し、新製品の資源効率を10%以上向上する(2019年度比)年度目標5%向上に対し、10.1%向上
⑦ 水資源施策を積み上げ、水使用量を3万m3以上削減する年度目標19,000m3以上削減に対し、56,671m3削減
⑧ サプライチェーン上流における水資源保全意識の強化をする主要取引先への取組依頼100%完了

自然共生

目標項目(2022年度までの目標)2021年度実績
⑨ 企業活動による生態系・生物多様性への影響を見える化し低減する国際議論を踏まえ、評価指標として「エコロジカル・フットプリント」を選定し、評価方法の確立に向けた活動を開始
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