サプライチェーン

 

ありたい姿

富士通グループは、人権・安全衛生、環境に配慮し、多様性を確保した責任あるサプライチェーンを実現する。

2025年度目標

サプライチェーンにおける、人権リスクの予防・軽減

  • 調達指針の遵守要請と並行して、取引先の可視化・課題の特定を推進し、問題を起こさない仕組みを構築する

サプライチェーンにおけるGHG 排出削減の推進

  • GHG 排出削減を取引先とともに推進するため、主要取引先に対して、国際基準に沿った数値の目標設定を要請する
    (主要取引先において、SBT WB2℃相当の排出削減目標が設定されることを目標とする)

サプライチェーン多様性の確保

  • 各リージョン・国での社会要請に基づき、多様性の指標を定め活動
  • 国内サプライチェーンにおける主な活動を「女性活躍」の支援と定め、取引先の取り組み状況を測定する仕組みを構築

方針

富士通グループは、「お取引先との共存共栄」「お取引先の公平・公正な評価・選定」「サステナビリティに配慮した調達活動の推進」を調達方針として掲げ、グローバルに調達活動を行っています。

サステナブル調達に関しては、2005年に「CSR調達指針」を制定し、国内外のお取引先に指針の遵守をお願いしてきました。2018年には、RBA(注1)の行動規範を「富士通グループCSR調達指針」として採用しました。2023年には同指針を改訂し、「富士通グループサステナブル調達指針」へ名称を変更し、主要お取引先から同指針への合意書取得を推進しています。

サステナブル調達活動・定期レビュー

サステナブル調達の推進と改善プロセスサステナブル調達の推進と改善プロセス

富士通グループでは、全社方針のもと、関連部門が連携してサステナビリティ活動を推進しています。調達分野においては、グローバルサプライチェーン本部が関連部門と連携し、お取引先へのサステナブル活動を推進しています。なお、調達金額上位や継続取引のあるお取引先を主要お取引先として、サステナブル調達の働きかけ対象としています。

まず、サステナブル調達指針により遵守項目を明確に示すとともに、お取引先にサステナビリティ活動を要請します。次に、お取引先におけるサステナビリティ活動の包括的な実施状況を確認するため、CSR調査票をはじめ、グリーン調達、情報セキュリティ、BCM等に関わる各種調査票への回答をお願いしています。

回答いただいた調査票は内容を診断のうえ結果をお取引先にフィードバックしており、基準に満たなかった場合は、改善に取り組んでいただきます。特に、実地確認が必要であると判断させていただいたお取引先には、CSR監査を実施しています。監査での指摘事項については改善計画の提出を要請し、改善に向けお取引先と一緒に取り組みます。最終的に、お取引先においてサステナビリティ活動が適切に実施され、根付くことを目的にサステナブル調達の推進と改善プロセスを継続して実施しています。

業界標準のイニシアチブへの参画/活動の推進(RBAへの加盟)

富士通グループは、グローバルなCSRアライアンス「Responsible Business Alliance(RBA)」に加盟しており、RBAの行動規範を尊重し、お取引先とともにサプライチェーンにおけるサステナブル調達に取り組んでいます。

なお、RBAは、行動規範の継続的発展および実施のためにステークホルダー(利害関係者)から定期的に意見を取り入れています。

現在、富士通グループのサプライチェーンに関わる多くの企業がRBAに加盟しており、加盟されたお取引先企業の労働者の意見が反映されたRBAの行動指針を「富士通グループサステナブル調達指針」に採用し、材料・部品・ハードウェア製品等のお取引があるお取引先に遵守いただきたい事項としています。

また、電子情報技術産業協会(JEITA)などの団体やイニシアチブに積極的に参加・協力し、業界におけるサステナブル調達の推進に努めています。

高リスク鉱物への対応

責任ある鉱物調達対応の体制責任ある鉱物調達対応の体制

富士通グループは、紛争を助長している、あるいは強制労働や人権侵害と関連しているリスクの高い鉱物を、富士通グループの製品や部品、およびサプライチェーンから排除していくことを方針としています(高リスク鉱物として、タンタル・錫・金・タングステンおよびコバルトを特定)。 また、調達活動におけるサプライチェーンの透明性確保と責任ある鉱物調達を推進するために「サステナビリティ経営委員会(委員長:代表取締役社長)」を主管とする社内関連部門による体制を構築しています。

高リスク鉱物調査

富士通グループは、経済協力開発機構(OECD)の「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイドライン」を参考に、デューデリジェンスとして高リスク鉱物の調査を実施しています。調査では、Responsible Materials Initiative(RMI)の「紛争鉱物報告テンプレート(CMRT)」、「拡張鉱物報告テンプレート(EMRT)」を使用しています。

調査において、回答期限を過ぎても未回答のお取引先には、回答の督促を行い、回答内容に不備がある場合には再提出を依頼しています。また、お客様より「リスクのある製錬所」に関する指摘を受けた場合には、その製錬所を使用しているお取引先に、取引実態の再調査を依頼しています。

現時点では、武装勢力と関わりのある情報は確認されていませんが、引き続き製錬業者特定やサプライチェーン透明化への取り組みを行っていきます。

グリーン調達の推進

富士通グループは、地球環境に配慮した部品・材料や製品の調達に関する基本的な考え方を「富士通グループ グリーン調達基準」にまとめ、お取引先とともにグリーン調達活動を推進しています。活動テーマの1つであるCO2排出量削減については、お取引先に対し、CO2削減目標を設定したうえで削減活動を推進いただくよう、呼びかけています。また、お取引先に対して自社と取引のあるサプライヤーへCO2排出量削減を呼び掛けていただくよう要請しています。水資源保全に関しては、活動の第一歩として、水リスク評価の実施をお願いしています。今後も環境負荷低減活動をサプライチェーン一体となって推進していきます。

サプライチェーンにおける温室効果ガス排出削減目標設定の推進

富士通グループは、カーボンニュートラルに向けた取り組みを加速するため、これまで2050年度に100%削減としていた目標を20年前倒し、2030年度に富士通グループが自ら排出するCO2をゼロエミッション達成とする目標を掲げ、SBTiよりネットゼロ認定を取得しました。さらに、サプライチェーンを含むバリューチェーン全体(スコープ3)では2040年度にネットゼロを実現するため、サプライチェーン全体を含めた推進に取り組んでいます。

サプライチェーンにおける温室効果ガス(GHG)排出削減をお取引先とともに推進するため、主要お取引先に説明会を開催し、国際基準に沿った削減目標の設定したうえで削減活動を推進いただくよう呼びかけています。

サプライチェーン多様性の推進

富士通グループは、多様な人材が平等に機会を持ち、異なる価値観や能力を活かしあえる環境がイノベーションの創出、ひいては持続可能性を備えた強固なサプライチェーンの構築・展開の実現に不可欠であると考え、サプライチェーン全体での多様性の確保に取り組んでいます。

社会課題は、国・拠点により異なることから、サプライヤーダイバーシティに関する取り組みは、それぞれの特性に基づく施策を立案し、遂行しています。例えば、日本においては、女性活躍が大きな社会課題となっていることを鑑みて、サプライチェーンにおける女性活躍の推進をテーマに活動を推進しています。具体的には、主要お取引先に対して、取組状況の可視化と意識醸成を促す第一歩として、厚生労働省が開設した「女性の活躍推進企業データベース」への各社の女性の活躍状況に関する情報の登録を依頼しています。

情報セキュリティ対策の推進

富士通グループは、2015年12月に経済産業省および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公表した「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」に基づき、お取引先とともに「情報セキュリティ事故撲滅」を掲げ、情報セキュリティ事故の予防、再発防止のための教育・啓発・監査・情報共有などの施策を継続的に実施しています。

近年では、クラウドなどの外部サービスやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の業務利用が拡大傾向にあり、スマートフォンやタブレットPCなどのスマートデバイスの使用機会も急増しています。情報漏えいリスクについても、メール誤送信、PCやスマートデバイスの盗難・紛失だけでなく、内部犯行、サイバーテロなどの新たなリスクも抑止する必要があります。こうした現状を踏まえ、お取引先に業務を委託する際には、海外のお取引先も含め、富士通グループと同レベルの情報セキュリティ管理、個人情報の取り扱いを規定し、教育・啓発を推進しています。さらに、お取引先の情報セキュリティに重大な問題が発覚した場合は、直ちに是正活動を実施し、改善が見られない場合には取引の見直しなどの対策を行います。

サプライチェーンBCMの強化

富士通グループでは、「大規模災害など不測の事態においても製品・サービスを安定的に供給するためには、サプライチェーン全体のBCM(事業継続マネジメント)強化が不可欠である」、という考えのもと、2007年度からお取引先のBCM能力向上を継続的に支援しています。

また、そのようなBCM取り組みに関する調査を、お取引先に対して毎年実施しています。回収した回答については分析を行い、お取引先へフィードバックしています。この調査には、JEITAの資材委員会が標準化したフォームを2014年度の調査から活用しています。

また、ソリューション関連の主要お取引先に対しても毎年調査を実施しており、分析のうえフィードバックしています。

お取引先とのコミュニケーション

お取引先評価制度(SPR)における評価結果のフィードバック

富士通グループでは、お取引先評価制度(SPR(注2))において、主要なお取引先を中心に、評価結果をダイレクトにフィードバックし、当社の基準に満たないお取引先には、改善を要請しています。また、ソリューション関連のお取引先に対しても評価を実施しており、中でも主要なお取引先については、その結果をフィードバックしています。

  • (注2)
    Suppliers’ Performance Review:調達品のパフォーマンスや企業の基本姿勢を「品質」「技術」「価格」「供給」「CSR」の5項目で評価する当社の独自制度

調達コンプライアンスの徹底

調達部門教育

富士通グループでは、調達部門がお取引先に対してサステナビリティに配慮した調達活動を実施するよう、サステナブル調達、グリーン調達のほか、下請法や派遣法などのコンプライアンスおよびリスク管理(BCM活動)の教育を実施し、調達担当者の意識向上を図っています。

下請法への取り組み

富士通グループでは、Fujitsu Wayの「行動規範」およびGBSの規程に則り、グループ全体として法令遵守を徹底しています。また、富士通グループ全体およびお取引先向けに下請代金支払遅延等防止法に関わる教育を実施しています。

2023年度においては、下請代金支払遅延等防止法に抵触する法令違反はありませんでした。

「パートナーシップ構築宣言」を公表

富士通は、お取引先や価値創造を図る事業者との連携・共存共栄を進めることで、新たなパートナーシップを構築するため、「パートナーシップ構築宣言」を策定・公表しました。

パートナーシップ構築宣言とは、経団連会長、日商会頭、連合会長および関係大臣(経済産業大臣、内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)、厚生労働大臣、農林水産大臣、国土交通大臣)をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、導入された仕組みです。

パートナーシップ構築宣言についての詳細および富士通の宣言内容は(公財)全国中小企業振興機関協会が運営するポータルサイトに掲載されています。

お取引先コンプライアンスライン

富士通グループは、お取引先コンプライアンスラインにより、富士通グループの調達活動におけるコンプライアンス違反やその疑念がある行為に関する通報を受け付けています。社内・社外のそれぞれに窓口を設けて、通報いただいた内容の事実関係を確認、調査のうえ、速やかに対応しています。

なお、通報いただいた方やそのお取引先に対して不利益な取り扱いをすることは、内部通報規定で禁止しています。

また、反社会的勢力による被害を防止する(活動の助長もしない)ために、お取引先との契約書に反社会的勢力などの排除条項を明記しています。富士通グループはお取引先を含め、反社会的勢力との関わりを一切持ちません。

2023年度実績

調達方針の合意の取得

  • 新調達指針「富士通グループサステナブル調達指針」の公開と220社から同意書の取得

CSR調査の実施

  • 国内外の主要取引先にCSR調査実施(グループ会社調査を含む):441社

高リスク鉱物調査実績

  • 調査対象の89.2%のお取引先より回答を受領
  • 542社の製錬業者を確認し、そのうち274社がRMI認定の「責任ある鉱物保証プロセス(評価プロトコル)Responsible Minerals Assurance Process (RMAP)」に準拠

サプライチェーンにおける温室効果ガス排出削減の推進

  • 2022年度の調達額ベースで40%を占める取引先での、排出削減目標の設定が完了

サプライチェーン多様性の確保

  • 日本国内に本店を有するお取引先を対象として、2022年の調達金額の68%を占めるお取引先に、女性活躍推進に関する説明会を開催し、厚生労働省「女性の活躍推進企業データベース」への登録を依頼(271社参加、262社登録済)
  • 海外子会社おいても、中小企業(SME)・女性経営・少数民族企業等、多様な属性を持つ企業からの調達KPIを達成

情報セキュリティ対策の推進

  • 情報セキュリティ対策状況の調査(2024年1月~2024年3月) 2,219社

サプライチェーンBCMの強化

<プロダクト関連>

  • アンケート調査の実施(2023年7月~10月) 約600社、約1,400拠点
  • フィードバックの実施(2023年12月) 約600社、約1,400拠点

<ソリューション関連>

  • 評価のフィードバックの実施 約270社

お取引先とのコミュニケーション

<プロダクト関連>

  • フィードバックの実施(2023年12月)約600社、約1400拠点

<ソリューション関連>

  • 4半期ごとにパートナーシップミーティングを開催し、ビジネス状況および課題を共有。年間で165社が参加
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