コミュニティ
ありたい姿
社員一人ひとりが幅広いステークホルダーとの共働・共創を通して社会課題への共感性を高めて活動に取り組み、社会にスケールあるインパクトをもたらすことで、富士通の成長機会を創出し、パーパス実現に貢献している。
2025年度目標
コミュニティ活動*に対する社員のマインドセット変革・組織風土醸成、および社会へのインパクト創出
- コミュニティ活動に参加した社員 富士通グループ従業員数の20%
(グローバルで実績データを取り始めた2021年の活動に参加した社員数の2倍)- *コミュニティ活動とは:重要なステークホルダーの1つである地域社会とグローバルで協力し、社会が抱える課題解決に取り組み、価値創造をめざす活動
コミュニティ活動の考え方
富士通グループは、重要なステークホルダーの1つである地域社会(コミュニティ)に対し、寄付や社会課題に取り組む団体への投資、社員スキルを活かしたボランティア活動等をグローバルで展開し、「地球環境問題の解決」「デジタル社会の発展」「人々のウェルビーイング向上」の実現と、持続可能な社会づくりに貢献します。さらに、これらのコミュニティ活動を通して財務・非財務の両面でアウトプット、アウトカムを生み出し、それを企業活動に投じるサイクルを継続することで、社会課題解決につなげ、地域社会への価値を創出していきます。
重点注力分野
コミュニティ活動においては、マテリアリティの必要不可欠な貢献分野である「地球環境問題の解決」「デジタル社会の発展」「人々のウェルビーイングの向上」につながる活動を重点注力分野とし、GHG排出量の削減やデジタルアクセシビリティの改善、ICTスキル教育の活動等を通して、ポジティブなインパクト拡大に貢献します。
推進体制
サステナビリティ経営委員会の下に、コミュニティ推進室とGlobal Sustainability Engagement team(以下、GSEチーム)を各リージョンの窓口として設置しています。各リージョンに、コミュニティ活動推進責任者を配置し、各国の活動はそれぞれの地域の実情に合わせて企画・推進しています。それぞれ、Japanおよびその他海外リージョンと双方に連携する体制をとり、またグローバルレベルの施策についてはコミュニティ推進室がGSEチームと連携を取りながら企画を行い、各リージョンで推進する体制を取っています。コミュニティ推進室は、主要評価指標(KPI)に向けて、リージョン単位での活動結果を四半期ごとに取りまとめ、定期的にGSEチームおよび各リージョン間で連携し、現場の状況を踏まえて双方で活動の改善のためのディスカッションを実施しています。また、これらの活動が創出したインパクトを定量的に把握していくとともに、年に2回、サステナビリティ経営委員会にて定期報告を行い、活動を改善するため検討を行っています。
社員のコミュニティ活動支援制度
富士通グループは、社会に対する社員一人ひとりの積極的な貢献活動を支援するため、コミュニティ活動支援制度を整備しています。
-休暇制度‐
富士通は青年海外協力隊/シニア海外協力隊参加のための休職制度(最長3年間)や、年5日・最高20日まで積立可能なボランティアのために活用できる休暇制度を設けています。
-社員寄付‐
社員の社会課題に対する意識向上、寄付を通じたボランタリーマインドの醸成を目指し、社員専用の寄付サイトを設置しています。さらに、災害・人道支援に関する寄付で特定の条件を満たした場合は、会社が一定の割合で寄付金額を上乗せする「マッチング寄付」も実施しています。
-データ収集基盤の導入‐
コミュニティ活動の効果や成果の見える化を目的として、データ収集基盤を導入し、マネジメントの最適化を図っています。また、社員がコミュニティ活動を行うことによるエンゲージメントへの相関等、非財務指標に与える影響の測定に取り組んでいきます。
富士通グループの取り組み
富士通グループでは、以下のようにグローバルでコミュニティ活動を推進しています。
- 社員主導の活動
社内SNSを活用してコミュニケーションし、アイデアを出し合いながら、選択したSDGsに対して社員自ら活動を企画し、計画を立てて実施するプログラムや、社会課題解決を目指す企業・NPO・諸団体への支援活動(プロボノ)、様々な企業やNGO・NPOの方々による講演や社員とのパネルディスカッション、ワークショップなど、社員が主体となってコミュニティ活動を行っています。
また、社員が講師となり、富士通が事業を推進するうえで実践しているデザイン思考や、テクノロジーをテーマとした問題解決型学習など、様々な教育支援プログラムを提供しています。 - NGO・NPOへの助成
富士通のパーパス実現に向けて、社員が応援したいNGO・NPOの具体的な取り組みに金銭的助成を行うプログラムを実施しています。社員とNGO・NPOが社会課題解決に向けて共創することで、持続可能な社会の実現に貢献しています。2023年度は社内公募を行い、5カ国から選ばれた7団体に対して助成を行いました。 - 活動のインパクト測定および開示
2023年よりBusiness for Societal Impact (B4SI)*のメンバーシップに加入しており、自社の活動実績とインパクトの正確な測定・開示に取り組んでいきます。- *企業による社会貢献のインパクトを測定する国際基準
- スポーツを通じた社会貢献活動
富士通グループでは長年、スポーツを通じた「挑戦の支援」「地域との共生」を目的にした社会貢献活動を展開しています。弊社運動部の選手を交えたイベントや、バリアフリーマップの作成・配布、障がいのある方やウクライナ避難民へのスポーツ観戦体験の提供などを行っています。
活動事例
マテリアリティの各貢献分野における、2023年度の主な活動事例をご紹介します。
地球環境問題の解決 Planet:人と自然が共存・共栄し、地球の未来を共に創る
環境アプリ「Green Carb0n Club」を活用した環境配慮型ライフスタイルへの行動変容(日本)
富士通は、2021年に川崎市と連携を強化した包括協定のもと、市民や事業者の炭素排出量削減を目的に、環境行動変容アプリケーション「Green Carb0n Club(グリーンカーボンクラブ)」を開発。環境配慮型のライフスタイルへの行動変容を推進しています。
2023年度は、川崎市にゆかりのある団体のファンコミュニティを活用した同調効果とゲーム化(実際の環境アクション*と連動する箱庭ゲーム「Green Carb0n Farm(グリーンカーボンファーム)」)による環境アクションの増加と継続性への影響を検証するとともに、環境アクションの分析ダッシュボードを提供し、事業者向けの価値検証を実施しました。
- *環境アクション:エシカルな製品・サービスの積極的な購入・利用など、市民や事業者の環境に配慮した自発的な行動
今後、収集した環境アクションに関連するデータを安心安全なデータ流通技術で分析することで、事業者による環境貢献の効果検証や環境施策の立案を支援します。これらの活動を通じて、都市の様々な情報をデジタル上で再現するソーシャルデジタルツイン*の社会実装を進め、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
- *ソーシャルデジタルツイン:人や物、経済、社会の相互作用をデジタルに再現し、社会の実態を把握することで、多様で複雑化する課題の解決に向けた施策立案などを支援する技術群
- 参画企業数:10
- 地域イベントへの参加数:8
- 活動に参加した人数:4,021(2024/3/31時点のアプリ全ユーザー数)
- 総環境アクション数:3,774
- CO2削減:約半年で106.4t(自家用車1台が地球を約20周した際の排出量に相当*)
- *国土交通省のデータと地球一周の距離=約4万kmをもとに算出
プレスリリース
デジタル社会の発展 Prosperity:世界の繁栄と安定が両立する、信頼性のあるデジタル社会を共に創る
高齢者のデジタル安全意識向上と詐欺の予防(中国)
中国で「敬老の日」としても知られ、2,000年以上の歴史がある「重陽節」に合わせ、社員が西安市の老人ホームを訪問し、「ハッピーエイジング」と題したワークショップを行いました。高齢者の方々のソーシャルメディアでのデジタル安全意識を高め、詐欺などの被害を防止するため、社員が作成した教育コンテンツの提供や、寸劇、歌の披露などを行いました。また、ギフトや日用品の寄付も行いました。
参加者のみなさんの笑顔あふれる大盛況のイベントとなり、老人ホームの代表からは、ますます多くの高齢者がスマートフォンやソーシャルメディアを利用している中で、デジタルの安全性は高齢者にとっても重要であり、このデジタル安全ワークショップによって参加者は大きな恩恵を受けているとコメントをいただきました。今後もこうした活動を通じて、誰でも主体的かつ自由にデジタル技術を活用できる「デジタルの民主化」と、デジタルアクセシビリティの向上に貢献します。
- 活動に参加した社員数:1,718(寄付による参加者含む)
- 受益者数:119
人々のウェルビーイングの向上 People:あらゆる人々のウェルビーイングに向けた、ヒューマンセントリックな生活基盤を構築する
バーチャル職場体験サイト「WorkX」の提供によるキャリア教育の推進(イギリス)
WorkXの学習サイト
学生が経歴や地理的位置に関係なく、ITサービスやデジタル分野に興味を持ち、テクノロジー業界でのキャリアを志向できるよう、無料でバーチャル職場体験ができる「WorkXプログラム」を作成しました。
eラーニングサイトの主要なサプライヤーであるSpringpodのサイト上で、富士通の各分野の専門家が作成・収録した事前課題とウェビナーを提供し、量子コンピューティングや自動化などのテクノロジーが社会にどのようにインパクトを与えるかを実践的に理解できるようにしています。また、富士通での多様なキャリアを体験できるコンテンツ(業務上のスキルや経験など)を社員自ら提供しています。
2024年にはすべての年齢層向けのデジタルスキルの学習コンテンツも追加し、デジタルスキルの価値や、責任あるデジタル市民になる方法について紹介しています。学生のみならず、失業中や転職を考えている人々、デジタルスキルを向上したいと考えている人々に学習機会を提供します。これらの取り組みを通じて、世界中の人々に刺激を与え、IT人材の多様性促進に貢献していきます。
- 活動に参加した社員数:15
- 受益者数(23年度単体):プログラム登録者数6,190、受講者数2,762、修了(進捗71%以上)者数1,126
- 受益者数(累計):プログラム登録者数11,281、受講者数6,510、修了者数2,694
2023年度実績
富士通グループが2023年度にコミュニティ活動に関わる費用として支出した金額は、以下のとおりです。
コミュニティ活動支出
コミュニティ活動に参加した従業員比率
2023年度…従業員数の19.8%(2025年度目標:20%)
災害・人道支援
富士通グループは、災害や紛争により緊急援助を必要とする方々へ寄付を通じた支援を行っています。
2023年度は「令和6年能登半島地震」による被災地の復興支援として、関連自治体へ1,600万円の義捐金を拠出しました。(「令和6年能登半島地震」による被害への支援について)
また、社員からの寄付も募り、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォームへ同額をマッチング寄付しました。