
コミュニティ
ありたい姿
地球社会への帰属意識を有する社員が、社会課題への共感性を高めて活動を共創することで、社会のみならず経済・ビジネスによいインパクトをもたらしている。
創出したインパクトを評価・分析、発信し、さらなる価値を社会に提供している。
2022年度目標
企業文化および社員のマインドセット変革への貢献
- KPI:
- 社会課題に関連した社会貢献活動に参加した従業員数の増加率
ニューノーマル下において、2019年度比 +10%
- 社会課題に関連した社会貢献活動に参加した従業員数の増加率
コミュニティ活動の考え方
富士通グループは、我々にとって重要なステークホルダーの1つである地域社会と協力しながら、特色ある活動を国内外の各地で展開してきました。これからは、2020年に新たに定めたパーパスの実現のため、富士通グループの国内外の活動をより一体的に推進し、これまでに地域で築いてきた信頼をグローバルなものに高めていきます。そして、社会が抱える課題の解決のために、我々のビジネスの強みを最大限に発揮できる分野を中心に、より大きな価値創造を進めていきます。さらに、国内外での活動が創出したインパクトを定量的に把握する体制を整備・拡充し、活動を見直し改善するサイクルを実現することで、大きな価値を創出し続けます。
重点注力分野






2021年度実績
社会貢献活動に関わる支出
富士通が2021年度に社会貢献活動に関わる費用として支出した金額は、以下のとおりです。
社員のボランティア活動支援
富士通グループは、社会に対する社員一人ひとりの積極的な貢献活動を支援するため、ボランティア活動支援制度を整備しています。また、各事業所が所属する地域コミュニティの発展に貢献するため、地域の特性に沿った各種活動プログラムを展開しています。
富士通は青年海外協力隊/シニア海外協力隊参加のための休職制度(最高3年間)や、年5日・最高20日まで積立可能なボランティアのために活用できる休暇制度を設けています。2021年度には、156名が積立休暇を取得し(延べ750日)、ボランティア活動を行いました。(富士通および国内グループ各社実績)
富士通グループの取り組み(活動事例)

「SDG 3 すべての人に健康と福祉を」に貢献する富士通の取り組み
ーあらゆる人の可能性を拡張し続けられる世界をつくるー
富士通は身体や精神、五感、人との関係を拡張し、制約をはずして誰もがイキイキと活躍でき、人々の可能性を最大化し続けることができる世界を実現します。
がんの診断は、関係するすべての人にとって大きな痛手であり、特に幼い子どもたちにとって困難なものです。オーストラリアで最も認知され、敬意を集めている慈善団体の一つである「キャンプ・クオリティ」は、子どもたちへの支援や情報提供を行うサービスやプログラムを提供しています。
新型コロナウィルスの流行により、対面のサービスやプログラムが実施できなくなった際に、キャンプ・クオリティは長年のパートナーである富士通オーストラリアと協力し、富士通デジタル・トランスフォーメーション・センター(DTC)で人間中心設計のワークショップを開催しました。ワークショップでは、がんと向き合う子どもたちの関心を高め、力を与えるために、教育アプリにインタラクティブな要素と拡張現実を加えるというアイデアの実現性を模索しました。このアプリは、後に富士通イノベーション・インキュベーター・プログラムの一環として共同設計され、ポーランドにあるグローバル・デリバリー・センター・オブ・エクセレンスのジェンダーバランスのとれたチームによって開発されました。
キャンプ・クオリティにより2万人の子どもたちに必要な情報を提供できるようになりました。
インタラクティブな教育アプリ「Kids' Guide to Cancer」は、すべてのユーザーが無料で利用することができます。子どもたちががんに関してよく抱く質問に答え、他にも病院や薬、治療、がん患者支援者など、がんに関する様々な情報を提供しています。音声やテキスト情報だけでなく、アニメーションのストーリーと拡張現実のキャラクターが、アプリに命を吹き込みます。さらにこのアプリは、キャンプ・クオリティの他のサポートサービスである電話カウンセリングや小学校のがん教育プログラムなどを大人向けにも提供しています。
Co-creation ワークショップ

「SDG 4 質の高い教育をみんなに」に貢献する富士通の取り組み
ー教育を通じて未来をつくるー
富士通の強みであるICTの分野にフォーカスし、未来を担う子供たちがつながり学ぶ場を作りだします。
聴覚障がい者が音を振動や光で感じることができる「Ontenna(オンテナ)」の開発、導入に取り組んでいます。Ontennaは髪の毛や耳たぶ、襟元や袖口などにつけて振動と光によって音の特徴をからだで感じるユーザーインターフェースです。(音を振動や光で知覚する身体装着装置に関する意匠が、公益社団法人発明協会主催「令和4年度全国発明表彰」において「恩賜発明賞」を受賞)
現在、約8割のろう学校に無償で提供し、発話練習やリズム練習、STEAM教育などに活用されています。さらに全国のろう学校や教育機関で活用できるよう、自身でプログラミングが可能なアプリケーションを開発し、反応させたい音の大きさに応じてOntennaの振動の強さや光の色を簡単にカスタマイズできるようにしています。これにより、従来のICT教育だけでは実現できなかった質の高い教育コンテンツが作成でき、また聴覚障がい者の皆様に新しい音の世界を感じていただくことができました。Ontennaを使ったプログラミング教育に興味のある学校・教育機関を対象とした無償貸出やプログラムのレンタルによって、より多くの人が触れられるようにすることで社会のダイバーシティの理解促進にも貢献しています。
Ontenna装着イメージ
振動の強さや光をカスタマイズ可能
ろう学校での実践活用
テクノロジー業界における人材の多様性と社会的流動性を支援するためには、学生に無料で利用しやすい職場体験を提供することが不可欠です。職場体験により、貴重かつ実践的なスキルを身につけ、業界を経験し、学生が卒業後に有利なスタートをきることができるようになります。富士通は、イギリス全土で事業を展開する大手テクノロジー企業として、学生の成長を支援し、STEM(注1)分野でのキャリアを促進する上で重要な役割を果たします。 職場体験を通じて、地理的な場所に関係なく、全国の学生に公正で平等な職場体験プログラムを提供し、次世代の多様な技術者の育成に貢献をすることを目指します。
このプログラムを実現するために、当社は学生向けにオンライン職場体験プラットフォームを提供するSpringpodとパートナーシップを結びました。 Springpodは、当社に代わって採用プロセスを管理し、安全保護とGDPR(注2)の要件が満たされていることを保証するための支援を行います。当社の各分野の専門家により、学生がIT業界に魅力を感じ、テクノロジーが社会に与える影響について実践的な理解を深められるようにしました。
今後、年間を通じて3つのグループの学生を受け入れ、各グループには最大800名の学生の参加を想定しています。この活動が、イギリスの次世代の学生に刺激を与え、将来のデジタル人材を育成するための絶好の機会となることを目指していきます。
- (注1)STEM:Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)
- (注2)GDPR:General Data Protection Regulation(EU一般データ保護規則)は、個人データの保護やその取扱いについて詳細に定められたEU域内の各国に適用される法令のこと
Society 5.0時代を牽引する高度情報化した女性リーダーを産学一体で育成していく取り組みを行う「女子大学生ICT駆動ソーシャルイノベーションコンソーシアム」は、「全ての女性が、ソーシャルイノベーションを起こせる社会へ」をビジョンに、ICT技術に対して前向きな学生と企業の交流を創出して、女性の社会進出に関する様々な課題の解決に挑戦しています。
2021年度は、協賛企業のサービスを利用した勉強会や学生交流イベント・学生企画イベントを約60回開催し、のべ330名の女子大学生が参加しました。富士通グループはアプリ開発におけるクラウドサービスの提供やプログラミング授業実施の他、アイデアソンや地方自治体へのアプリ開発提案、就職活動に関するイベントなどを実施することで、これからも、高度情報社会におけるイノベーションを支援するための取り組みを進めていきます。
オンラインイベントの風景
次代を担う子供たちの未来社会を創造する力の育成を支援する目的で、富士通が商品開発や社会課題解決に活用しているデザイン思考を学校現場で求められる「社会とのつながる学び」に活かしたオンライン授業を実施しています。2021年度は、全国の中学校より207名の生徒が参加しました。この授業は、富士通社員と生徒がオンラインミーティング形式にて、富士通のソリューション事例を踏まえた教材を活用し、中学生にデザイン思考を伝えることによってSDGsの目標である社会課題の解決方法やその考え方に触れる学びを体験できる流れとなっています。授業当日は、社員と各学校が3つの社会課題に分かれ、代表生徒が事前授業を通して考えた解決方法を発表し、それに対して社員がコメントするなど、富士通の解決事例の紹介を通し中学生とコミュニケーションを図りながら授業を進めました。
この授業を通し、デザイン思考を使って考えることで、自分たちの立場をはっきりさせ、その人の「だったらいいな」を整理する中から、新しいアイデアがたくさん生まれました。さらに、いくつものソリューションが世の中で使われていることを知ったことで、子供たちの中にも自分たちのアイデアが実現できるのではないかという意識が広がりました。

「SDG 13 気候変動に具体的な対策を」に貢献する富士通の取り組み
ーサステナブルな世界を作るー
富士通は「多様な価値を信頼でつなぎ、変化に適応するしなやかさをもたらすことで、誰もが夢に向かって前進できるサステナブルな世界をつくる」という決意を込めて新事業ブランド「Fujitsu Uvance(フジツウユーバンス)」を策定し、「Fujitsu Uvance」の下、サステナブルな世界の実現に向けて取り組んでいます。
「Fujitsu We Care #2017-2021」 は、Fujitsu Thailand、タイPTT植林研究所(PTT Reforestation and Ecology Institute)、パヤウナイサブディストリクト行政機構(Pa Yup Nai Subdistrict Administrative Organization)の3団体の協力によって実現した5年間の植林プログラムです。
この5年間のプログラムでは、ラヨーン県プラセー川流域の学校に隣接する4000平方メートルのエリアに、多年生植物、森林樹、季節植物、果樹(アカシア、マンゴー、アカシア・ペンナータ、コーワ、エラオカーパス、パイナップル、タピオカ)など、多岐にわたる植物の木が約500本植えられました。
プログラムの最後の年にその効果を測定した結果、森林は過去1年間で7.2トンの二酸化炭素を吸収し、5.8トンの酸素を放出できることが分かりました。この活動は、ラヨーン県の生態系と環境の持続可能性に大きく貢献し、長期的には地域社会にも恩恵をもたらします。