データセンターのPUE(電力使用効率)改善
富士通グループのアプローチ
データセンターのエネルギー消費量は、クラウドコンピューティングの普及拡大などで増加傾向にあり、データセンターの環境パフォーマンスに対する社会の関心が高まってきています。
富士通グループの事業別CO2排出量(2022年度)に占めるデータセンターの割合は約3割となっています。今後も、デジタル化の伸長に伴い、データセンターのCO2排出量は増加していくことが予想されるため、環境配慮型データセンターの推進は、富士通グループにとって社会的責任であるとともに、ビジネス基盤の強化の面でも長期視点で取り組むべき重要テーマとなってきています。
2022年度実績
第10期環境行動計画 目標項目 | 2022年度実績 |
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データセンターのPUE(注1)を2017年度比で3%以上改善する。 | PUE 1.57, 改善率1.2% |
- (注1)PUE(Power Usage Effectiveness):
データセンターの電力使用効率を示す指標。データセンター全体の消費電力を、サーバなどのICT機器の消費電力で割った数値。
1.0に近いほど効率的とされる。
目標達成に向けた活動の推進
富士通環境行動計画に基づき、国内外のデータセンターでPUEの改善活動を進めています。2021年に引き続き、空調設備の更新やIT機器の発熱量と冷却能力の適切なバランス調整など、運用面による施策の拡大を実施しました。2021年までは順調に改善が進み、目標を達成できましたが、2022年度の夏季は、グローバル全体で2021年度より外気温度が高かった影響もあり(ヨーロッパの一部地域では4℃上昇)目標の改善率に至りませんでした。しかしながら、基準年度からは1%以上向上しており、継続的な改善は図られています。さらに省エネ活動に加えて、カーボン二ュートラルの実現に向け、国内データセンターのFJcloudサービス100%再エネ化や、富士通オーストラリアにおけるグループ内最大規模の再エネ電力購入契約(PPA)締結など、再生可能エネルギーの利用拡大にも取り組んでいます。
PUE値とPUE算出方法
PUE値 | PUE算出方法、その他 |
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レンジ:1.31~2.11
対象DC数:23 | The Green Gridを適用
DCMMを活用した改善活動の実施 DCMM:Data Center Maturity Model(DC成熟度モデル) |
2022年度の取り組み事例
空調電力の削減
IT電力量(発熱量)に合わせた空調チューニングを全体的に実施しており、ファンの回転数や空調温度の調整、冷水温度の緩和、冷却設備の稼働台数調整など、対象フロアーを拡大して実施しました。さらに外気冷房やフリークーリングを有する拠点では、中間期における運転時間を拡大させて、空調電力の削減に努めました。また一部の拠点では空調機の更新や冷水ポンプのインバータ化も実施するなど、投資を伴う設備改善による省エネ効果も出ています。
海外データセンターとの情報連係強化による改善の促進
PUE改善活動のさらなる強化を図るため、海外のデータセンターとPUE改善活動を連携し、定期的なリモート会議における改善の進捗状況や各拠点で得た改善施策のノウハウなどの情報共有を通じてコミュニケーションの充実を図っています。今後は社内ポータルサイトによる関連情報の共有や進捗状況の可視化を進め、より円滑な改善活動を目指していきます。