気候変動対策に向けたイニシアチブとの協働
考え方
富士通グループは、パリ協定で採択された「世界の気温上昇を、産業革命前と比べ2℃以下に抑え、さらに1.5℃に抑える努力をする」という目標を支持しています。2017年に環境ビジョン「Fujitsu Climate Energy Vision」を策定し、2050年度までに富士通グループが排出するCO2をカーボンニュートラルにする目標を掲げScience Based Target Initiative(SBTi)から認定を受けました。その後、2021年に目標を強化し、SBTiより、「1.5℃水準」の目標として認定されました。さらに2023年には対象範囲をバリューチェーン全体に拡げ、温室効果ガス排出量を2040年度にネットゼロとする目標を定め、「ネットゼロ」認定も取得しました。
しかし、パリ協定の目標を達成するためには、当社グループやバリューチェーンだけでなく、業界団体やイニシアチブなどの外部団体と協働し、より広い範囲に活動を拡大することが重要です。それらを通じて、ロビー活動や政策提言を行い、国・地域に働きかけていくことも重要と認識しています。 以下では、気候変動対策に向けたイニシアチブとの協働に関して、そのマネジメント体制や適用範囲について説明します。
適用範囲
富士通グループの気候関連政策や気候戦略は、連結子会社を対象とし、その事業領域および管轄区域に適用されます。
マネジメント体制
富士通グループでは、CEOを委員長とする「サステナビリティ経営委員会」を設置し、サステナビリティの重要課題の解決に向けて、グローバルレスポンシブルビジネスという名の下、6つの枠組みに分けて取り組んでいます。その一つに「環境」が含まれ、気候変動対策に関する方針や目標の設定、その進捗、気候政策への対応、イニシアチブ、業界団体への参画の是非など、あらゆる内容が議論されます。さらに、その結果は経営会議と取締役会に報告されます。
参加や加入が決定したイニシアチブにおいては、気候変動対策やその政策が、当社の気候変動対策と整合性を持つかを定期的に確認します。また、所属する団体の対策が不十分と判断された場合には、加盟企業と協力して対策を強化し、さらに対策の不十分さが著しい場合には、当該団体での活動継続の是非を検討します。
参加している外部団体
富士通は以下の外部団体に参加し、気候変動対策に向けた取り組みや政策提言などを行っています。
持続可能な開発のための世界経済人会議
(World Business Council for Sustainable Development : 以下WBCSD)
WBCSDは、世界200社以上の企業が加盟する団体で、同団体が作成したVision 2050「90億人以上がプラネタリーバウンダリーの範囲内で真に豊かに生きられる世界」を実現すべく、ビジネスを通じた変革の加速に向けて活動しています。富士通は2013年よりWBCSDへ参画しており、現在、CEOの時田が理事を務めています。 「Vision2050」はWBCSDの活動の中核となる長期ビジョンを示したもので、持続可能な開発目標(SDGs)とパリ協定の目標に沿って作成したものであり、富士通もその作成に貢献しました。WBCSDではVision2050の実現に向けて複数のプロジェクトを通じ、ガイダンス作成や社会実装に向けた取り組み、政策提言などを行っています。そのプロジェクトにおいて富士通ではClimate ActionやTransport & Mobilityに関するプロジェクトなどに参加し、主体的に活動を行っています。
Climate Actionに関するプロジェクトではPartnership for Carbon Transparency(PACT:炭素の透明性のためのパートナーシップ)のメンバーとして、製品カーボンフットプリント(以下、PCF)情報の企業間データ連携の実現に向けた世界初の社会実装プログラム「PACT Implementation Program」に参画し、リアルなサプライチェーン全体のCO2排出量の見える化に成功し、9月に開催されたNew York Climate Weekで成果を発表しました。
また、Transport & Mobilityに関するプロジェクトでは、自動車セクターのGHG排出量削減を支援するプロジェクトに参画し、参加メンバーと実証を行い、その結果をホワイトペーパーとしてまとめ公表しています。
これらプロジェクトを通じて、WBCSDを含めた業界団体や関連するステークホルダーとともに、実証を通じた標準化やガイダンスの作成などを積極的に行っています。そして、政策にも働きかけながら、Vision2050の実現を目指すとともに、SDGsやパリ協定の目標実現にも貢献していきます。
関連リンク
日本気候リーダーズ・パートナーシップ
(JAPAN CLIMATE LEADERS’ PARTNERSHIP : 以下 JCLP)
JCLPは、産業界が積極的な行動を開始すべきとの認識の下、2009年に発足した持続可能なカーボンニュートラル社会実現を目指す企業グループです。JCLPでは、気候危機への対応に向け、パリ協定に整合する1.5℃目標を確実に達成すべく、速やかにカーボンニュートラル社会へ移行することを目的としています。会員企業には、パリ協定への賛同や脱炭素型ビジネスへの移行(逆行する事業については脱却に努める)や、政策への関与、ネットゼロ宣言、RE100等への積極的な参加、バリューチェーン全体のカーボンニュートラル化への働きかけ等が求められています。また、活動方針の中には、「政策への関与」、「適切な世論の形成」、「ステークホルダーとの協働」など、様々なアドボカシー活動が含まれています。2023年には、「GXによる脱炭素化の加速にむけた提言」を公表し、1.5℃目標加速化に向けた実用化された省エネ、創エネ技術の普及拡大先の強化などを盛り込んだ提言書を関係大臣に手交し、提言しています。
富士通は、JCLPが定める活動に賛同しており、発足当時より正会員としてこの活動に参加しています。また、政策への関与や自社および社会の再生可能エネルギーの利用拡大を目指し、ワーキンググループに参加するなど、積極的に関与しています。
気候変動イニシアチブ
(Japan Climate Initiative : 以下 JCI)
JCIは、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、NGOなどが情報発信や意見交換を強化するため、2018年7月に設立されたネットワークです。JCIはパリ協定を実現するため、日本の温室効果ガス削減目標(NDC:Nationally Determined Contribution)を2030年度に46%削減(2013 年度比)、さらに、50%削減の高みに向けて挑戦を続けるよう日本政府に求めています。また、再生可能エネルギーの導入に関しても、2030 年に電力構成比で40~50%まで拡大することを政府に求めています。
富士通はこれらのJCIのメッセージに賛同しており、発足当時から脱炭素社会の実現に向けた取り組みを共に進めています。これらメッセージは日本を代表する企業、自治体、NGOなど、幅広い団体からも賛同を得ており、参加団体と連携しながら、パリ協定の実現に向けて積極的に活動しています。
その他の参加団体の活動や、団体を通じた当社の取り組みは、以下のリンクを参照してください。