人権

 

ありたい姿

実社会/デジタル社会において、「人間の尊厳」への配慮がすべての企業活動に反映され、「人を中心とした価値創造」が恒常的に行われている

2022年度目標

「人権尊重」の社内浸透

KPI:
  • グローバルな人権に関する全社員向け教育の受講率:80%

方針

富士通グループ共通の価値観を示すFujitsu Wayでは、行動規範の1番目に「人権を尊重します」と掲げています。これは、「あらゆる企業活動の中で、『人権尊重』の精神を根底に据えて活動する」という企業の姿勢を明示したもので、全グループ社員が、この精神を実際の行動で示していくことを徹底するよう努めています。

こうしたFujitsu Wayの行動規範に沿った人権尊重の取り組みを推進するため、富士通グループは2014年12月に「富士通グループ人権に関するステートメント」を公表しました。これは日・英を含む21カ国語に翻訳され、グループ各社で浸透を図っています。また、雇用における人権尊重を徹底するため「富士通グループ 雇用における人権尊重に関する指針」も定めています。

富士通では、「世界人権宣言」や国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」など、人権や労働に関する普遍的原則に基づく国連グローバル・コンパクトの10原則(注1)への支持を公式に表明しており、今後も、人権重視の経営を推進していきます。

またCSR調達指針として、Responsible Business Alliance(RBA)の行動規範を「富士通グループCSR調達指針」として採用しており、お取引先とともにサプライチェーンにおける人権尊重の取り組みを推進しています。

  • (注1)
    国連グローバル・コンパクトの10原則:
    「人権」「労働基準」「環境」「腐敗防止」の4分野において、企業が遵守すべき10原則を示したもの。

推進体制・定期レビュー

富士通グループでは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に基づいた「人権デューデリジェンス」を推進しています。

その活動の中で幅広い社内部門へのヒアリングや国内外の専門家との意見交換を通じて、特に事業活動によってもたらされる影響が大きい3つの領域として「サプライチェーン」「社員」「顧客・エンドユーザー」を定め、これらに対する人権課題の解決に向けた活動を実施しています。

また人権デューデリジェンスを推進していくためにグローバル・レスポンシブル・ビジネスの人権・多様性ピラー内において、各リージョンの人権業務担当者による定期的な会議体制を構築しました。今後、目標とKPIの達成に向けた進捗状況の確認や人権デューデリジェンスに関する意見交換を実施していきます。

人権に関する啓発活動

富士通では、人事担当役員を委員長とする「人権啓発推進委員会」を設置し、さまざまな機会をとらえた研修・啓発活動を実施しています。

国内各エリアやグループ会社での活動状況や課題は、人権啓発推進委員会事務局に定期的に報告され、これらの実績に基づいて、人権啓発推進委員会で年単位の活動の総括・方針決定を行い、継続的かつ組織的な啓発活動を展開しています。また、任意団体「東京人権啓発企業連絡会」に参加し、人権尊重が企業文化として定着するよう、多くの参加企業と相互研鑽に努めるとともに、企業の立場から社会啓発につながる活動に取り組んでいます。

人権啓発活動推進体制
人権啓発推進委員会を中心とした取り組み

人権デューデリジェンスの推進

富士通グループでは、「富士通グループ人権に関するステートメント」に従い、グローバルなバリューチェーン全体を通じて、事業活動の人権への影響を特定し、負の影響を防止・緩和していく「人権デューデリジェンス」を推進しています。

2017年には国際NPOであるBusiness for Social Responsibility(BSR)に協力いただき、富士通の事業に対する人権影響評価を行い、社員の労働時間や健康・安全、サプライチェーンにおける強制労働や児童労働、また事業におけるデータプライバシーやデータセキュリティなどの課題を特定しています。

人権デューデリジェンスの一環として、富士通グループ内における人権についての取り組み状況を確認するため、継続的にISO26000に基づいた調査を行っています。2021年度は、グローバルにグループ会社87社および7拠点を調査し、「人権」「労働慣行」に関する各社の取り組み状況を把握し、課題の抽出や全社施策の展開に繋げています。また、海外のグループ会社21社については、労働時間、賃金、プライバシーならびに通報制度に関する調査を2020年度に実施しています。

グループ会社向け調査結果(人権・DE&I)
グループ会社向け調査結果(労働慣行)

富士通グループのサプライチェーンにおける人権デューデリジェンスの取り組みは、RBAの行動規範に基づき取り組んでいます。また富士通において新規に企業買収を行う際には、人権を含むサステナビリティの観点からもデューデリジェンスを行い、人権侵害リスクを軽減し、人権に関する富士通グループの取り組みが浸透するように取り組んでいます。

人権に関する教育

富士通グループでは、人権啓発推進委員会で決定した方針の下、全社共通の研修コンテンツに、それぞれの地区やグループ会社の具体的課題を加味しながら、研修啓発活動を行っています。入社・昇格時に対象者全員が受講する研修や、年間を通して行われる研修会では、同和問題や職場のハラスメント問題をはじめ、LGBTI+への理解促進、ビジネス遂行上の人権問題など、様々なテーマを取り上げています。また、人権尊重の企業風土を根付かせるには、経営トップ層の理解が欠かせないとの認識から、富士通および国内グループ会社は役員就任時に、国際人権基準に基づく企業活動の考え方を学ぶ研修を実施しています。また、社員一人ひとりの人権課題に対する意識向上を図るために、2021年度にグループ全社員を対象とした「ビジネスと人権」に関するeラーニングを実施し、全社員の92%が受講しました。

人権に関する相談・通報の窓口

富士通グループは、世界中の様々な国や地域において社会と密接に関わりながら事業活動を行っています。それらの社会と関わっていくなかで、様々な立場からの意見に耳を傾け、理解するべく、社内外から人権に関わる相談や意見を収集するための仕組みを用意しています。

富士通グループ全社員からの相談や意見を受け付ける仕組みをイントラネット内に設けており、富士通としては「人権に関する相談窓口」を日本国内の9箇所に設置し1つ1つの相談に対応しています。相談内容は、個人情報やプライバシーに十分に配慮したうえで、人権啓発推進委員会に報告しているほか、監査役に対して定期的に報告するなどして、窓口の活用状況の確認、再発防止の取り組みに活かしています。

「コンプライアンスライン/FUJITSU Alert」では、グローバルに、富士通グループ全社員およびお客様やお取引先等の第三者からの人権侵害を含むコンプライアンス違反行為に関する通報、相談を受け付けています。また、国内のお取引先向けには、「お取引先コンプライアンスライン」を設置しており、富士通の調達活動におけるコンプライアンス違反行為やその疑念がある行為に関する通報を受け付けています。

強制労働、児童労働の防止に向けた取り組み

富士通グループでは、強制労働・児童労働を行わないことを定めており、富士通グループにおける強制労働・児童労働の防止に向けた取り組みを確認するためにISO26000に基づいたCSR書面調査を実施しています。

また、お取引先に対しては、「富士通CSR調達指針」を公表し、その中で強制労働・児童労働の排除を要請しており、強制労働・児童労働の排除を含むCSRへの取り組み状況を確認する書面調査も実施しています。

AI倫理に関する取り組み

富士通グループは、かねてから「ヒューマンセントリック」、すなわち情報技術が人間中心に利用されるべきであることを訴えてきました。2019年3月には、近年のAI技術の急速な発展を踏まえて「富士通グループAIコミットメント」を策定、公表しました。これは、AIの研究・開発・提供・運用などのビジネスに携わる企業として、ユーザーや消費者を含む幅広い社会のステークホルダーとの対話を重視しながら、AIがもたらす豊かな価値を広く社会に普及させていくことを目指して、富士通グループが守るべき項目をお客様や社会に対する約束としてまとめたものです。

「富士通グループAIコミットメント」を踏まえ、2022年2月に新設された「AI倫理ガバナンス室」がAIをはじめとする最先端テクノロジーの倫理への取り組みを戦略的に主導し、また、AIのユーザー実装に携わる事業部門に加えて、「AI倫理研究センター」を擁する研究部門、政策対応を行う政策渉外室、立法対応を行う法務コンプライアンス部門と連携することで、社内ガバナンス体制を確立しています。また、同室では、富士通グループ組織全体に倫理を浸透させることに加え、後述する「富士通グループAI倫理外部委員会」や「『人間中心のAI』推進検討会」の運営、社外コミュニティとの連携拡大などを推進しています。

富士通グループでは、グループ内における倫理実践について客観的な評価を受けるために、社外専門委員からなる「富士通グループAI倫理外部委員会」を設置しています。委員会での議論は取締役会と共有する仕組みとなっており、AI倫理に関する取り組みをコーポレートガバナンスの一環として位置付け、継続的に見直し・改善を図ることとしています。

上記委員会には、AIのみならず、法学、生命医学、動物学、SDGs、消費者行政など多様性に配慮した様々な分野の専門家が参加しています。

また、技術、事業、人権、法律などの専門部署により構成される社内の倫理相談窓口「『人間中心のAI』推進検討会」では、ユーザー企業と消費者との間の課題も含めて、実際のAI研究・開発・実装・運用局面において懸念される人権、プライバシーや倫理などに関する影響を検討・評価し、問題を未然に防止する努力を重ねています。

さらに、AI倫理研究センターでは、文化やビジネス慣習によって異なる公平性を設計段階から考慮するAI開発手法「Fairness by Design」を開発し、公平なAIの開発を通じて公正で平等な社会の実現へ貢献することを目指しています。

加えて、富士通グループでは、グループ内だけでなく社会全体におけるAI倫理の浸透に向けた取り組みも行っています。2022年2月には、富士通が開発した、AIシステムの倫理的影響を評価する方式をインターネット上で無償公開するなど、社会全体でAI倫理を考えるために役立つコンテンツの発信に努めています。

AI倫理の活動に関する詳細は、以下のWebサイトもご参照ください。

エマージングリスク
-AIを活用することによる倫理面のリスク
リスクの内容富士通は、1980年代以前から人工知能(AI)の研究・開発・提供・運用をおこなってきた中で情報技術は人間中心に利用されるべきであることを訴えてきました。近年、プライバシー情報にAIを活用することで、与信や就職試験や保険料率の設定などにおいてAIの誤認識による負の判定から差別や不公平が生じるなどの倫理的な問題がもたらされる不都合な事例が報告され、AIに対するTrustが棄損しかねない事態も生じています。そのため富士通はAIを開発・提供・運用するものの責務として、便利さだけでなく安心・安全な利用を実現することが不可欠であると考えます。
事業への影響ヘルスケア、金融、製造分野をはじめAI適用の裾野が広がる一方で、富士通が提供したAIの動作によってユーザーや消費者に不都合な事態が生じた際、ユーザーや消費者から賠償請求などの訴えを起こされる恐れがあり、その結果当社のレピュテーションが損なわれるリスクがあります。また、欧州委員会が発表したAI規制案では、開発者や利用者などの関係者に対し、AIが人権に悪影響を与え得るリスクの大きさに基づいて厳格に対応することを求めています。違反すれば売上総額の最大6%の制裁金を含む罰則が課せられる可能性があり、AIの開発・運用において適切なリスク管理を実施することが不可欠となります。
軽減策富士通グループのAI倫理指針である「富士通グループAIコミットメント」へのフィードバックなど、安心・安全なAIの社会実装に向け、外部の識者を含めた社会のステークホルダーと対話を重ねていくことを目的として「富士通グループAI倫理外部委員会」を設置、会合を定期的に開催しています。
また、AI4People加盟等によるAI倫理の国際的議論への参加を通して日本をはじめ各国政府が提唱するAIの開発・利用に関する指針を調査、検討してまいりました。
これらのリスク軽減策により、富士通グループの経営陣と従業員がAI倫理のリスクを認識し、AIを研究開発実装運用する際の注意事項を理解し、ユーザーや消費者に不都合が生じる事態を最小限に軽減することで、AIに対するTrustを維持できると考えています。
AIの研究・開発・提供・運用をする企業として、ユーザーや消費者を含む幅広い社会のステークホルダーとの対話を重視しながら、AIがもたらす豊かな価値を広く社会に普及させていくことを目指しています。

2021年度実績

人権デューデリジェンスにおける3つの領域の人権課題に関する取り組み(富士通)

領域人権課題2021年度の主な活動内容
サプライチェーン労働環境、高リスク鉱物
  • お取引先のRBA行動規範適応を確認する「CSR調査」およびその結果フィードバックを実施(主要な物品購入先および製造派遣/請負元の119社)
  • 「部材取引先」「製造請負会社」および「製造派遣会社」に対するCSR調達指針の通知ならびに指針への同意書提出の要請
  • グループ内製造拠点のRBA行動規範対応状況を確認
社員差別・ハラスメント、労働時間
  • ISO26000に基づく書面調査を国内外グループ会社87社および7拠点に対して実施し、人権尊重への取り組み状況を確認
  • LGBTI+差別を含む、職場におけるハラスメント防止をテーマとした全社員対象eラーニングを実施
  • 様々な差別・ハラスメント防止をテーマに、入社時・昇格時研修および全国各地でも地区別人権研修を継続実施
  • 障がいの有無に関わらず活躍できる職場・社会を目指し、「心のバリアフリー」研修を全社で実施
  • 日常の中に潜む構造的な差別について振り返るとともに、ダイバーシティ&インクルージョンのさらなる推進を図るため、全社員対象の「無意識の偏見」eラーニングを実施、国内グループ会社にも展開
  • 長時間労働を前提としない多様で柔軟な働き方のために、社内制度の見直し、ICT活用、マネジメント改革を推進
顧客・エンドユーザープライバシー・データセキュリティ
  • 「富士通グループAIコミットメント」公表と合わせ、AIに関する人権影響評価を実施。AIビジネス推進に際して業種別に留意すべき点や、職種別業務として検討すべき点などを整理し、具体的施策の検討に結び付けていく
  • 文化やビジネス慣習によって異なる公平性を設計段階から考慮するAI開発手法「Fairness by Design」を開発
  • AI倫理ガイドラインに基づきAIシステムの倫理上の影響を評価する方式を開発、手順書や適用例とともに無償公開。今後、本方式の改善やさらなる普及に向けて官公庁や民間企業、アカデミアからパートナーを募集し、2022年度中にパートナーの皆様と正式版のリリースを目指す

人権課題に関する教育

    • 「ビジネスと人権」に関するeラーニング
    • 誰もが働きやすいインクルーシブな職場づくりのために~職場のハラスメント防止~
    • 同和問題、職場のハラスメント、性の多様性への理解促進、ビジネス遂行上の人権問題
    • 新入社員/キャリア入社者研修:受講者1,980名

      マネジメント研修:受講者 7,299名
      新任役員/グループ会社新任社長研修:受講者 34名

人権課題に関する啓発活動

  • 富士通および国内グループ会社社員・家族を対象とした人権啓発標語の募集・表彰:応募数 2,268件
  • 2021年12月3日の国際障がい者デー、12月10日の世界人権デーに合わせイベントを開催
    Diversity and Inclusion Session:参加者 1,040名
    国際障がい者デー オンラインセッション:参加者 189名
    世界人権デー ビジネスと人権:参加者 573名
  • 富士通および国内グループ会社の事業所に啓発ポスター掲示
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