品質への取り組み

 

方針

富士通グループは、様々な製品・サービスを提供することを通して、社会の発展のみならず、多様なお客様の事業や生活を支えるという重要な責任を担っています。私たちは「信頼ある社会づくり」に貢献するため、テクノロジーを活用し、富士通グループ一丸となって、お客様システムの安定稼働と品質向上に取り組んでいます。

富士通グローバル品質指針と品質規格体系富士通グローバル品質指針と品質規格体系

富士通グループでは、Fujitsu Wayの大切にする価値観である「信頼」を実践するため、「富士通グローバル品質指針」を定めています。この指針は、「品質」を私たちの根幹として捉え、グローバルに安全・安心な製品・サービスを提供し続けるための取り組み方を示しています。
Fujitsu Wayおよび品質指針に則り、グループ共通で守るべきルールとしてのFujitsu Group Global PolicyにQuality Policy(Standard Policy for Quality Management)とGlobal Quality Rulesを定めています。また、Fujitsu Group Global Policyの下、国や製品・サービスの特性、お客様の要求事項、法令・規制などに応じた規程・標準類を整備しています。

例えば、国内では、「富士通グループ品質憲章」および品質保証関連5規程(出荷・登録・リリース規程、安全推進規程など)を定めています。企画・計画、設計から検証、生産、販売、サポートまでのすべての過程で、これら憲章・規程に基づいた活動を展開し、お客様およびお客様を取り巻く事業環境の変化を先取りした製品・サービスを提供し続けています。

製品・サービスの安全に関する実践方針

富士通グループは、安全・安心な社会を構築するという社会的責任を認識し、事業活動のあらゆる面において製品・サービスの安全性を常に考慮し、次の方針の下で実践しています。

  1. 法令等の遵守
    製品・サービスの安全に関する法令を遵守します。
  2. 安全確保のための取り組み
    製品・サービスの安全を確保するため、さまざまな利用態様を踏まえて製品・サービスの安全化を図り、必要に応じた対策を行います。さらに法令で定められた安全基準に加え自主安全基準を整備、遵守し、継続的な製品・サービスの安全性向上に努めます。
  3. 誤使用等による事故防止
    お客様に製品・サービスを安全に利用いただくため、取扱説明書、製品本体等に誤使用や不注意による事故防止に役立つ注意喚起や警告表示を適切に実施します。
  4. 事故情報等の収集
    製品・サービスの事故情報および事故につながり得る情報等の安全性に関する情報をお客様等から積極的に収集します。
  5. 事故への対応
    製品・サービスに関して事故が発生した場合、直ちに事実確認と原因究明を行い適切に対応します。製品・サービスの安全性に問題がある場合、お客様等に情報提供を行うとともに、製品回収、サービスの修復、その他の危害の発生・拡大の防止等の適切な措置を講じます。富士通グループは、重大製品事故が発生したときは、法令に基づき、迅速に所轄官庁に報告を行います。

品質マネジメント体制

品質マネジメント体制品質マネジメント体制

富士通グループでは、2023年6月に専任のCQO(Chief Quality Officer:最高品質責任者)を任命し、グループ全体で製品・サービスの品質強化を図っています。
各BG(ビジネスグループ)・リージョンにQMR(Quality Management Representative:品質管理責任者)を設置し、CQOのもとグループ全体の品質管理を統制しています。CQOの意思決定に従い、ヘッドクォーターとしてグローバル品質マネジメント本部がグループ共通の活動方針や標準化・品質向上施策を策定し、それらを各組織のQMRと共有、密に連携することで、より現場に即した展開・適用、品質管理を行い、お客様に一貫性のある最適な品質の製品・サービスを提供するよう努めています。

品質を支えるフレームワーク

品質を支えるフレームワーク品質を支えるフレームワーク

お客様のニーズや期待に応えられる製品・サービスの品質を一貫して提供するためには、企画・計画から開発、製造、試験、販売、運用・保守に至るまで、事業部門、共通部門、ビジネスパートナーなど社内外の様々な組織との連携が必要であり、これら組織が一体となる体制や仕組みが基盤として必要不可欠です。
そのため富士通は、製品・サービスに応じ、これら関連部門と連携しながら品質マネジメントシステム(QMS:Quality Management System)を構築し、運用しています。QMSの運用にあたっては、ISOなどの国際的な認証規格にも照らして進捗を定期的に検証し、より良い品質の実現を目指してプロセスの改善を図っています。

全社品質向上サイクル

全社品質向上サイクル全社品質向上サイクル

富士通グループの品質活動には、全社品質部門による品質方針を起点とした品質活動(図[全社品質向上サイクル]の“全社品質部門による品質活動”部分)と、各組織にて品質マネジメントシステムの整備・実践を行う活動(図[全社品質向上サイクル]の“各組織の品質活動”部分)があります。それぞれがサイクルを回し、連携することで、グループ全体で戦略的に品質向上に取り組んでいます。

A.品質方針立案
品質目標の設定・見直しを行い、その実現のための品質戦略・方針を立案し、富士通グループ全体に展開しています。また、品質方針に沿った活動が行われるよう、監視・コントロールを行います。

B.品質プロセス規定・標準化・統制
品質方針を踏まえ、強化すべきポイントに対して、具体的なプロセスや手法などの標準化を進め、現場への展開・統制を行っています。また、品質方針に沿って、組織横断での品質向上活動を推進しています。
さらに、品質に関する標準化の周知・展開に加えて、プロジェクトの良い実践事例から他のプロジェクトでも広く活用できるように汎用化・形式知化したベストプラクティスを提供したり、プロジェクトの失敗事例から教訓を整理し誰でも活用できるかたちで提供するなど、ナレッジの共有をすすめ、プロジェクトの標準化を推進しています。

C.モニタリング・第三者監査
各組織のプロジェクトを監視し、品質リスクの予兆を捉え、エスカレーションするとともに対策を行います。品質懸念がある場合は、第三者が現物確認や監査・点検を行い、是正・改善します。

<お客様に提供している製品・サービスに重大な品質問題が発生した場合>
リスクマネジメント規程に従い、現場から直ちに本社リスク・コンプライアンス委員会へ報告が行われ、当委員会からの指示の下で、関連部門が共同で品質問題に対応、再発防止策を検討します。立案した再発防止策はQMRを通じて他部門へも横展開し、富士通グループ全社で品質問題の再発防止に努めています。

D.評価・改善
定期的に品質状況を整理・分析し、必要に応じて追加施策を検討し、各組織のビジネス特性を踏まえてQMRへ改善を指示します。経営層にも定期的に報告のうえ、経営層の判断・指示に従い、対応を実施します。
また、Qfinity(注1)の活動を通して、優れた成果を出した活動を表彰するとともに、富士通グループ全体に横展開し、グループ全体の品質向上につなげています。

  • (注1)
    Qfinity
    「Qfinity」とは、Quality(質)とInfinity(無限)を合体させた造語(インナーブランド)で、「一人ひとりが無限にクオリティを追求する」という富士通グループのDNAを表しています。
    Qfinityは、2001年度から富士通グループ全体で開始した「社員一人ひとりが主役となり、製品やサービスの品質を向上し続ける改善・革新活動」です。Qfinityを通して、各職場での品質向上活動を推進し、製品・サービスの品質向上に取り組んでいます。

品質ガバナンス

CQOの下、富士通グループ全体の品質ガバナンスを強化し、重大インシデントの再発防止と製品・サービスの品質強化に取り組んでいます。
品質ガバナンスの強化にあたっては、品質リスクを評価するための共通基盤やサービスデリバリーを支える品質保証プロセスを富士通グループ内に展開することで、リスクを正しく評価し、対策を徹底します。
初めての事業への挑戦が増え、情報システムが複雑化する中で、これらの仕組みをベースに、素早く適切な判断を行い、さまざまなリスクに備えています。

品質統制・リスクモニタリングを支える設計・運用基盤の強化

現場の判断を客観的に評価する仕組み現場の判断を客観的に評価する仕組み

開発プロジェクトの進捗やテスト密度・不具合検出率など、開発現場で得られる品質に関わる情報を共通プラットフォームであるFujitsu Developers Platformに集約し、EVM(Earned Value Management)や品質指標と組み合わせてタイムリーに解析することにより、開発現場の品質や出荷の判定を、より客観的に評価する仕組みを構築しています。

サービスデリバリーを支える品質保証プロセス

富士通グループでは、お客様へのこれまで以上の高い価値提供とシステムの安定稼働を目指し、新たなサービスデリバリーの型として、組織に依存しないプロジェクト体制「One Delivery」への変革を進めています。One Deliveryでは、共通の「One Delivery品質保証プロセス」に則ってプロジェクト運営を行い、一元的にリスクマネジメントを行えるようにしています。

One Delivery品質保証プロセスOne Delivery品質保証プロセス

「One Delivery品質保証プロセス」には、これまでの品質問題の傾向を踏まえた4つのポイントがあります。まずは「リソース統制」で、スキルアンマッチなどの問題を抑止します。次に「決裁の合議制」に基づき、商談・プロジェクトの推進を客観的・多角的な視点で判断します。そして、「テクノロジー統制」で採用する技術の適正化と実現可能性の向上を目指します。最後に、「商談・品質統制」により、問題予兆プロジェクトを早期に検出します。
富士通グループ全体でより高品質で安定したサービスを提供できるよう、この「One Delivery品質保証プロセス」の適用をすすめるとともにプロセスの改善を図っています。

2023年度実績

製品の安全性に関する法令違反

  • 製品の安全性に関する法令違反:1件(電気用品安全法:安全設計要求の不適合(改修済み))

製品安全に関する情報の開示

  • 情報開示件数:0件の重大製品事故
  • 製品安全に関する重要なお知らせ
    https://www.fujitsu.com/jp/support/safety/
  • ノートパソコンのバッテリ発火の未然防止策
    当社は、バッテリパック製造過程におけるバッテリ内部への異物混入に起因した発火事故の拡大防止のため、これまで3回にわたり、バッテリパックの交換・回収のお願いをしています。しかしながら、すでに交換・回収を実施しているバッテリパック以外にも、発生率は非常に低いものの発火事故が発生しています。
    これらの発火事故に対する未然防止策として、バッテリの内圧が上昇する現象を抑制することが効果的であると判明しており、当社では、2017年2月9日より、2010年から2016年に販売開始したノートパソコンを対象にバッテリ充電制御機能のアップデートを当社webサイトにて提供させていただいています。
    さらに、アップデート対象のパソコンをご使用いただいているすべてのお客様に適用していただくため、「バッテリ充電制御機能アップデート」を、Microsoft社のWindows Updateにより対象の皆様のノートパソコンに配信させていただく施策を2018年11月より実施しています。

製品の安全性に関する法令以外の違反

  • 製品の情報とラベリングの違反:0件
  • 外国為替及び外国貿易法の違反:1件(該否判定時の書類記載誤り(修正済み))

ISO9001/ISO20000認証取得状況

富士通は、QMSの下で継続的なプロセス改善に取り組んでいます(以下、2023年9月時点)。

  • ISO 9001:21本部 認証
  • ISO 20000:5本部 認証
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