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仮想化とは

今回から3回にわたって「仮想化」について説明します。今回は仮想化の全体像と、サーバ仮想化について、以降2回はストレージに特化した仮想化を紹介します。

仮想化とは

集中から分散へ

現在、IT業界では仮想化や統合が大きなトレンドとなっています。仮想化とは、1つのリソースをあたかも複数あるかのように見せる技術であり、サーバ、ストレージ、ネットワークで利用されています。
1970年代から80年代は、ITシステムはメインフレームやオフコンが中心でした。1台の筐体の中でいくつものアプリケーションが動いており、ストレージも内蔵されていました。1台で完結していたのでネットワークもほとんど必要ありません。
これが90年代に入って、オープン化の時代に入ると、サーバは部門や業務ごとに分散して構築されるようになりました。併せてストレージもサーバごとに搭載されたり、外付けのタイプが接続されはじめます。また、パソコンやサーバを接続するネットワークも発達してきました。

分散から統合へ

2000年代に入って、サーバやストレージの台数が急速に増えて、やがて運用負荷が大きな課題となります。そこで考えられたのが統合を実現する仮想化です。
サーバでは1台に複数のOSを搭載させ、その上でアプリケーションを稼働させます。複数のサーバを1台に統合するわけですから、運用が楽になります。
ストレージにおいては、サーバとストレージが1対1でシステム化されていたものを、n:1に(複数のサーバに対してストレージが1、あるいは1に近い数)に統合します。その1台を複数のストレージに仮想的に分割して、複数のサーバからのアクセスに対応できるようにするわけです。運用が楽になりますし、未使用分のストレージ容量を抑えることができ、コスト削減になります。
ネットワークでは、VLAN(バーチャルLAN)で企業内ネットワークを分割して、セキュリティの向上などを実現しました。

サーバ仮想化の仕組み

ご紹介したように、仮想化はサーバ、ストレージ、ネットワークで利用されていますが、今注目され、多くの企業で導入されているのは「サーバ仮想化」です。このサーバ仮想化に今回は注目してみます。

仮想化されていないサーバ構成

ご存知のようにパソコンにはWindows®(またはMacintosh®)というOSがハードウェア上に乗って、その上でアプリケーションが働いています。一般的なサーバも、これと同じで、ハードウェアとOSが1対1の関係にあります。アプリケーション(業務システム)が複数稼働する場合もありますが、通常の環境ではOSが複数同時に稼働することは考えられません(図1左側)

仮想化されたサーバ環境

これが仮想化の環境になると、1台の物理サーバ上に仮想レイヤーを挟んで、複数のOSを同時に搭載し稼働できます。さらにそのOS上で、アプリケーション(業務システム)が稼働するのです。アプリケーションは仮想化レイヤー上で動作し、ハードウェアから独立しています。

図1

サーバ仮想化のメリット

どのような目的で多くの企業が仮想化を導入しようとしているのでしょうか。そのメリットを整理してみます。

コスト削減

企業が感じる最大の魅力はコスト削減と思われます。IT化やシステム化の要求は毎年のように増加しますが、予算が追いつきません。そこで、コスト削減を実現する方法の1つとして仮想化の導入があげられます。仮想化導入の初期投資を1年で回収できたという企業も数多くあります。 以下の理由で、仮想化はコスト削減が可能となります。

初期投資の削減
新たにシステムを構築する際、通常はサーバやストレージなどを新規に用意する必要があります。しかし、仮想化で統合された既存サーバやストレージを利用することで、ハードウェアに対する初期投資が削減されます。
運用コスト
複数あったサーバを集約することで、運用負荷を大幅に軽減できます。運用にかける時間や担当者も削減でき、これが運用コスト削減につながります。
省スペース
これも仮想化による大きなメリットです。とりわけ、データセンターにサーバを置いている場合は、借りる面積が減りますのでコストを削減できます。

セキュリティ確保

サーバの数が多ければそれだけセキュリティパッチを当てなくてはなりません。頻繁に行われるセキュリティ・ホールの対応は、運用負荷となっていました。数が多いとパッチ漏れの危険性が多くなりますし、ほかのセキュリティ上の対策もサーバの数だけ実行するのは大きな手間となります。仮想化で統合するとこれら手間が減り、それだけ情報漏洩などの危険性を削減できます。

旧システムの延命

Windows® NTやWindows® 2000など古いOSで稼働していたアプリケーションは、ハードウェアが老朽化し、可用性やパフォーマンスが心配になっています。しかし、新しいハードウェアに買い替えると、ハードウェアが古いOSに対応しておらず、最新のOSが必要になります。最新のOSにアプリケーションが対応していればいいのですが、そうでない場合はアプリケーションのバージョンアップあるいは新規構築にならざるを得ません。例えアプリケーションをバージョンアップできても、ミドルウェアなどの更新も必要で、手間もコストもかかります。 しかし、仮想化であれば最新のハードウェアで古いOSが稼働します。その上で従来のアプリケーションを快適に動かすことができます。

リソースの有効活用

CPUは年ごとに進化していますが、そのCPU処理能力を使い切っていない場合が多くあります。リソースが過剰になっているのです。しかし、仮想化によって複数のシステムを1台のサーバで稼働させることで、使い切っていなかったCPU能力を有効活用できるようになります。

グリーンIT(省電力化)

近年多くの企業がグリーン化、とりわけCO2削減に注力するようになりました。サーバの使用する電力も無視できません。サーバは例えアイドル状態でも、通常稼働しているサーバの70~80% の電力を使用しています。さらに、旧型のサーバほど消費電力は大きく、それだけ CO2 を大量に排出します。しかし、古いサーバを1台の最新サーバに統合することで、大幅な CO2削減が可能となります。
また、電力消費に伴って、サーバは大きな熱量を発生します。サーバの数が多ければそれだけの発熱量になり、マシンルームやデータセンターの冷却設備も必要となります。仮想化は、この冷却設備の負荷も軽減、すなわち使用電力量を削減できます。これら省電力化はコスト削減にも直結します。

サーバ仮想化を実現するソフトウェア

仮想化はUNIX®サーバでは標準装備されている機能です。それが今これだけ叫ばれているのは、IAマシンが台頭しはじめ、それに対応するX86系仮想化ソフトが普及してきたためです。その代表的な製品がヴイエムウェアの「VMware® ESX™ Server」とマイクロソフトの「Microsoft® Hyper-V™」です。また、オープンソース「Xen®」の利用企業とサポートベンダーも増えています。

実績のVMware、低コストのHyper-V

VMware®とHyper-V™、提供する機能から見ると、さほど変わりません。どちらも新旧のWindows®とLinux®に対応しますし、各種ツールで可用性や信頼性を確保しています。
VMware®は現在の仮想化ブームを牽引してきたソフトウェアといっていいでしょう。その実績が最大の強みといっていいでしょう。ノウハウを蓄積しているベンダー企業も多く、基幹系システムも含めた大規模な仮想化システムにも利用されています。

これに対し、Hyper-V™は低コストが魅力。Microsoft® Windows Server® 2008の機能であり、OS附属の機能のため無料ということもできます。これを武器に市場を拡大しつつあり、構築事例も増えてきました。
大規模で信頼性が要求されるシステムであれば安心なVMware®、低価格で仮想化を導入したいのであればHyper-V™というすみ分けになっています。

展望

仮想化は多彩なメリットを提供する反面、多くのシステムを統合するものであり、導入がかならずしもよい方向に向かうとは限りません。いろいろな方式の仮想化技術があり技術選択が難しい上に、アプリケーションやシステムによっては、仮想化に対応できない場合もあります。
導入に向けた課題や不安を解決するには、検証環境の準備や構築ベンダーのコンサルティング能力が重要になってきます。

掲載日:2009年9月9日

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