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ブートストーム(Boot Storm)とは
ブートストームとは、VDI(Virtual Desktop Infrastructure;仮想デスクトップ基盤)環境において、多数のユーザーが仮想マシンを一斉に起動し、サーバ・ストレージのデータ読み取りが集中する状態をいう。VDI環境では、ブートストームのような高負荷に耐えられる性能が求められる。
VDIニーズの高まり
クライアント仮想化ソリューションの一つとして、VDIが注目されています。VDIは、各クライアントPCの実行環境(OS、アプリケーション、データ)をサーバ上の仮想化環境に集約したもので、ユーザーは、クライアントPCからサーバ上の仮想マシンへリモート接続することにより、アプリケーションやデータを利用します。
VDIに対しては、情報漏洩・セキュリティ対策や災害対策、事業継続計画(BCP)などの目的で、以前からニーズはありました。しかし最近では、外出先のタブレットや自宅のPCから会社のPCのアプリケーションを操作するといった、柔軟なワークスタイルによる生産性の向上を実現するソリューションとして注目が高まっています。
VDI環境におけるブートストーム問題
クライアントPCの実行環境をサーバで集中管理するVDI環境では、ストレージ性能がユーザーの使用感に直接影響します。例えば、朝の始業時間帯は多くのユーザーによって仮想マシンが一斉に起動される「ブートストーム」が発生し、サーバやストレージでリード処理が集中します。
ブートストームによってサーバやストレージに高い負荷がかかり、仮想マシンの起動に時間がかかる、といったことのないよう、VDI環境では大量のI/Oを高速に処理する性能が求められます。
ブートストーム問題に取り組むストレージ技術
ブートストーム問題は、VDI環境において広く知られている課題であり、様々な対策技術が仮想化ベンダーやストレージベンダーから提供されています。その一つが、SSD(Solid State Drive)の活用です。データのアクセス頻度に基づいてデータを自動再配置する「ストレージ自動階層制御」において、ブートストーム時のSSD活用を可能にしているほか、SSD自体のさらなる高速化・大容量化も進んでいます。
富士通のETERNUS DX S3 seriesでは、コントローラー内蔵型SSDキャッシュ「Extreme Cache」によってキャッシュヒット率を飛躍的に向上し、アクセスが集中するアプリケーションの高速化を実現しています。
また、VMware環境では、仮想化環境とストレージの連携を可能にするAPI「VAAI(vSphere APIs for Array Integration)」によって、排他制御機能を改善するソリューションも提供されています。ストレージ領域に対する排他制御を、論理ボリューム単位から小さいブロック単位に変えることで、アクセス制限されるストレージ領域を極小化。開放された他の領域へのアクセスを可能にしています。
まとめ
どこからでも自分のPCへセキュアにアクセスできるVDIは、スマートデバイスの普及に伴い、今後さらに導入が進むと見られています。VDI環境においては、アンチウイルスソフトの一斉更新など、ストレージのI/Oが高負荷になるシーンはブートストームだけではありません。平均的なI/Oのみならず、自社のVDI運用におけるI/Oピークを考慮したストレージ性能を確保する必要があります。
掲載日:2014年3月28日
関連情報
- アクセス高速化 Extreme Cache
ETERNUS DX500 S3/DX600 S3は、Extreme Cache(コントローラー内蔵型SSDキャッシュ)をサポートします。Extreme Cacheの搭載により、リードキャッシュ容量が大幅に向上し、サーバ間共用データへの高速アクセスが可能となります。 - アクセス頻度に応じたストレージ自動階層制御
ストレージ自動階層制御(Automated Tiering)とは、ストレージへのデータアクセスを監視し、異種ドライブ混在環境で、データのアクセス頻度を検出し、設定したポリシーに応じて、ドライブ間で自動的にデータ再配置を行なう機能です。
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