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データ保全手法
~バックアップ、レプリケーション、アーカイブの相違点
インターネットの普及、クラウドやモバイルの拡大などにより企業活動で生じるデータは急激に増えています。データ量の増大に伴い、データを失ったときのビジネスに与える影響も拡大しており、いかに効率的かつ安全にデータ保全を図っていくかは重要な経営課題となっています。データ保全の代表的な手法にはバックアップ、レプリケーション、アーカイブがありますが、それぞれデータを守る目的が異なっており、企業におけるデータ保全対策では目的に応じて最適な手法を選択することが必要です。
データ保全手法ごとに異なる目的
バックアップは、操作ミスやウイルス感染、システム障害などの際、データを復旧することが目的です。間違って大切なファイルを削除してしまったときなど日常業務を行ううえでバックアップはなくてはならない機能といえます。
レプリケーションは、システム障害時の継続運用が目的となります。災害時に接続しているシステムが壊れてしまったとき、遠隔地にある複製データを利用し事業継続を実現するDR(ディザスタリカバリ)に有効です。
アーカイブは、長期間にわたり重要情報を保存・活用することが目的です。監査など情報開示を求められたときにすぐに取り出して利用するといったニーズに応えます。また情報開示だけでなく、ビッグデータ活用を目的とする長期保存も増えています。
バックアップ、レプリケーション、アーカイブはデータ保全の目的が異なるため、それぞれ特徴も違ってきます。
バックアップ | レプリケーション | アーカイブ | |
---|---|---|---|
目的 | データ復旧 | システム継続 遠隔地へのデータ複製 |
ファイルの保管・再利用 法対応、監査証跡 |
保存頻度 | 定期的 (注1)RPOによる |
リアルタイム (注1)RPOによる |
長期間 |
利用頻度 | 障害時のみ | 障害時のみ | 随時 |
アクセス性 | リストアが必要 | ![]() リストア不要 |
![]() リストア不要 |
データ更新 | 上書き可能 | 上書き可能 | 上書き不可 |
- (注1)RPO(Recovery Point Objective)どの時点までのデータを復旧させるか、SLA:Service Level Agreementなどの契約やシステム運用条件で異なる。
バックアップの特徴
バックアップは、データ全体または変更分をテープやディスクに定期的に保存する手法で、多くは半日や1日といった単位で行われます。システム障害時には予め取得しておいたバックアップファイルを利用してデータを復旧しますが、その際、通常のファイル形式に戻すリストア作業(バックアップされているデータを用いて復元)を伴います。
代表的なバックアップ方式にはディスクバックアップ(D2D方式)とテープバックアップ方式(D2T方式)があります。
ディスクバックアップはオンラインでバックアップを行うためバックアップ時間やリストアに要する時間の大幅な短縮が図れます。また無停止バックアップ、仮想化環境の一括バックアップ、重複排除技術による効率的なバックアップなどバックアップ運用のニーズに応える先進技術も次々と開発されています。
テープバックアップ方式は優れたコストパフォーマンスが魅力です。アクセス頻度の高いデータをディスクに記録し、アクセス頻度の低いデータをテープに記録して保管するディスクバックアップとテープバックアップを組み合わせて利用するD2D2T方式もあります。
レプリケーションの特徴
災害時の事業継続の観点から注目度が高まっているのがレプリケーションです。レプリケーションとはデータの複製を行うことです。遠隔地のストレージにネットワークを通じてデータを複製しておくことで災害時にデータが消失しても複製データを利用して事業の継続を可能にします。通常のバックアップとは異なり、リストア作業が必要ないため短時間で複製したデータを利用できるのが特徴です。
遠隔地へのレプリケーションが進められる背景には、重複排除技術、データ圧縮機能、差分でのレプリケーションなどを利用することで安価な通信回線の活用や転送先のディスク容量の抑制が図れ、コストパフォーマンスに優れたDRの実現が可能になってきたことがあります。
レプリケーションは、災害時の事業継続だけでなく、データマイニング、マイグレーション、テスト環境などの用途において稼働しているシステムに影響を及ぼさないように複製したデータを使うといったケースでも活用されています。
アーカイブの特徴
アーカイブは長期保存が必要なデータをテープやディスクに記録し保管しておき、必要なときに閲覧可能にするものです。公文書、帳票、契約書に加え、映像コンテンツ、医療画像、CADデータなどアーカイブの用途は広がっており、さらにビッグデータ分析のための長期保存のニーズも高まっています。
アーカイブのデータは頻繁にアクセスされることがないためデータを圧縮し蓄積することでコストの抑制が図れますが、その一方で安全性が求められます。アーカイブの効率的な管理では、期間の自動管理、データの改ざんや消去の防止、閲覧ログの管理などの機能を備えたストレージシステムや専用ソフトウェアの活用がポイントとなります。
データは急激に増え続けており、データの活用用途も拡大しています。こうした中、従来、アーカイブで広く利用されてきたテープシステムは、低価格、省電力、可搬可能などの利点に加え、大容量化、高速化を図っています。また優れた拡張性や運用性により大容量コンテンツの保管に適したオブジェクトストレージも注目を集めています。
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更新日:2019年12月26日
掲載日:2015年3月18日
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