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「ハイブリッド環境のデータ管理」をどう実現するか

“データドリブン”ができない真因とデータを有効活用するために「今すぐできる解決策」

多種多量のデータをどう管理、活用できるかが競争優位獲得の一大要件となっている。だが、オンプレミスとクラウドにデータが散在することが一般的となった現在、データをコスト効率良く蓄積、管理しながら、必要なデータをすぐに生かせる環境を整備するのは容易ではない。その“現実解”とは。

転載元:@IT
@IT 2023年7月27日掲載記事より転載
本記事は@ITより許諾を得て掲載しています。
記事URL:https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2307/27/news002.html

データドリブンの実践に必要な
「データ基盤の要件」とは?

ビジネスのデジタル化が進む中、データをどう活用するかが企業における最重要課題の一つになって久しい。実際、いかに迅速にデータから価値を引き出し、データドリブンな経営を実践できるか否かが競争優位獲得のカギとなっている。

具体的には、「顧客行動をデータで可視化する」「組織や業務を横断して全社的にデータを共有、活用する」といったことが求められる。このためには、データの正確性、完全性、回復性はもちろん、最新性の保証、アクセスのしやすさ、移植のしやすさなど、安全かつ効果的にビジネスに生かせるデータ管理の在り方が必須となる(参考:経済産業省「DXレポート2.2」/デジタル庁「データ品質管理ガイドブック(β版)2021年6月4日付」)。

とはいえ、多くの企業は、こうした標準的なガイドラインなどに沿ってデータ基盤を整備できているわけではない。富士通の正木氏(データシステム事業部 マネージャー)は、データ活用やデータ基盤構築の難しさについてこう話す。

「正確性、完全性、回復性などは、基本的に昔から求められる普遍的な要件と言えます。一方で、近年はデータ量が爆発的に増えているだけではなく、さまざまな種類のデータがさまざまな場所で、高頻度で生成され続けています。これを受けて、正確かつ完全なデータを、信頼性の高い仕組みで保存、保護するだけではデータ管理が不十分になってきています。データごとに活用目的、保有期間、閲覧頻度、必要なセキュリティレベルなどは異なりますから、データ活用の柔軟性、効率性、安全性の全ての面で、オンプレミスとクラウドで最適なデータの置き場所を考える必要があるのです」
富士通 データシステム事業部 マネージャー 正木氏

データの置き場所が分散し、管理もばらばらに

問題はデータの置き場所が分散し、データ管理の在り方もばらばらになるケースが多いことだ。かつデータ特性と置き場所にまつわる問題は、データ活用の現場にも影を落とす。富士通の伴氏(データシステム事業部)によると、顧客企業がよく直面する問題の一つが「要件ごとに適したデータ基盤を選択・配置したとしても、基盤ごとの運用・管理自体がサイロ化されデータ連携ができない、または非効率になってしまうこと」だという。

例えば、クラウドで生成されるデータはクラウドサービス提供者が管理する方が効率的という考え方があるが、オンプレミスとクラウドでデータの運用・管理者やポリシーが異なるとデータ活用の柔軟性が損なわれ、運用も非効率になってしまうケースがある。

「通常、クラウド上に蓄積したデータをオンプレミス側の基盤を利用してデータ分析する場合、基盤ごとに運用・管理が異なるとオンプレミス・クラウド間でデータをスピーディーに移動したり、カタログ化など一貫したポリシーに基づいたデータ管理・連携が難しくなります。よって、ハイブリッドクラウドに代表されるような適材配置・分散化したデータ基盤をシームレスに連携でき、効率的・一元的に運用・管理できる考え方と仕組みが必要なのです」(伴氏)
富士通 データシステム事業部 伴氏

さらに、保有しているデータの特性・利用価値が変化することも課題になりやすいと正木氏は指摘する。

「データは、保管することではなくビジネスに活用することが目的です。経営環境やデータ活用の在り方の変化に応じて、保有しているデータの価値・利用目的も変わっていきます。そのため、保有しているデータの鮮度や利用頻度の変化に応じて、アクセス性や配置を効率的かつ動的に変えられる柔軟性を持ったインフラ環境にする必要があります。企業を取り巻く環境が変化し続ける中、データを従来の形態のまま単に保有・蓄積するだけでは、“今役立つ形”でデータを活用することは難しいのです」(正木氏)

むろん、このためにはデータ基盤の核となる「ストレージの最適化」が求められる。伴氏はこう補足する。

「ストレージに格納するデータを見ても、ファイル、データベース、仮想マシンなど、データの種類が増えています。またストレージシステムとして、これまでオンプレミスで利用されてきたストレージOSがクラウドにも展開され、利用形態の選択肢も増えました。『データを運用する人は、どのような環境で、どのようなアプリケーションを使用して、どのようなデータを扱うのか』を考慮したストレージを整備することが重要だと考えます」

“データファブリック”を実現するストレージ
「Fujitsu Storage ETERNUS AX/HX series」

こうした“データのサイロ化”への対応やデータの特性に応じた管理、ストレージ環境の高度化を実践する上でカギとなる概念が「データファブリック」だという。これは「オンプレミスやクラウドなど異なる場所に分散するデータを一元的に管理し、物理的な位置を意識しない柔軟なデータ利用、およびデータ運用に求められる多様な要件を実現する統合アーキテクチャーまたは統合プラットフォーム」(伴氏)を意味する。

データファブリックを実現し、効率的、効果的にデータ活用を進めるためのストレージとして富士通が提供しているのが「Fujitsu Storage ETERNUS AX/HX series」だ。

ETERNUS AX/HX seriesは、「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」を搭載し、デュアルプロセッサーによって高い処理性能と信頼性を実現する。ETERNUS AX seriesはSSD搭載専用のオールフラッシュモデルで、ETERNUS HX seriesはHDDとSSDを混在可能なハイブリッドモデルとなる。両モデルともにNAS(Network Attached Storage)とSAN(Storage Area Network)どちらの環境にも適用できるユニファイドモデルとして汎用(はんよう)性の高いシリーズである。

インテル® Xeon® Silverプロセッサーを搭載するミッドレンジクラスのETERNUS AX4100/HX6100はデータファブリックを実現し、企業の効率的、効果的なデータ活用を支援する(提供:富士通)

ETERNUS AX/HX seriesの特徴は、多数のユーザーと豊富な実績、信頼性を誇るストレージ専用OSである「ONTAP」を採用していること。富士通は、ETERNUS AX/HX seriesとパブリッククラウド上で稼働するソフトウェアデファインド型のONTAP「Cloud Volumes ONTAP」(以下、CVO)を組み合わせることで、クラウドとオンプレミス環境における統合的なデータ管理を実現するハイブリッドクラウドソリューションとして提案している。

「CVOによって、ストレージOSとしてONTAPが提供する各種データ管理機能をAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureでも利用できるようになります。富士通からはクラウドサービスFUJITSU Hybrid IT Service for AWS、FUJITSU Hybrid IT Service for Microsoft Azureとして提供しています。CVOをオンプレミスのETERNUS AX/HX seriesと組み合わせることでオンプレミスでもクラウドでもONTAPという同じストレージOSが動作するため、ハードウェアに依存する機能を除き、多くの機能を同じように使用できるようになるのです。環境を問わず同じGUI/CLIで設定、実行できますし、クラウド上のCVOとオンプレミスのETERNUS AX/HX seriesのデータを連携させることも可能です。例えば、『SnapMirror』というデータ転送機能を利用して、オンプレミスのデータをクラウド上に移動できます」(伴氏)

ETERNUS AX/HX seriesとCloud Volumes ONTAP(CVO)を組み合わせたファイルサーバの導入例(提供:富士通)

オンプレミスとクラウドを組み合わせたシンプルバックアップ(YouTube:「Fujitsu ETERNUS」チャンネル)

上記の動画を見るとより理解いただけるが、ETERNUS AX/HX seriesとCVOの組み合わせは、クラウドを「バックアップ先」以外の用途で利用できる点もポイントだ。例えば、「一時的にオンプレミスのETERNUS AX/HX seriesの容量を増やす必要があるイベントが発生して容量が不足する場合、一部のデータを一時的にクラウドへ退避し、オンプレミスのETERNUS AX/HX seriesの領域を確保し、一時的な用途のSSD/HDD増設を避ける」といったことができる。

「また、CVOには階層化機能があり、アクセス頻度の低いコールドデータをオブジェクトストレージに移動させる、といったことも可能です」(伴氏)

「このように、大量のデータを格納するストレージにおいては『重複排除(De-duplication)』『圧縮(Compression)』『コンパクション(Compaction)』機能といった効率を上げる機能が重要であり、ETERNUS AX/HX series、CVOではこれらの機能を実装しています。これらの高度なデータ効率化の技術をもつストレージを採用し有効利用することで、データ基盤の核となるストレージインフラのサービスレベルを維持しながらコストを最小化し、投資対効果を最大化できます」(伴氏)

さらに正木氏はこう付け加える。

「重複排除・圧縮には処理オーバーヘッドが付きものだが、高速なSSDを使用することで性能面での影響を最小限に抑制しつつ、パフォーマンスとコストを両立できます」

インフラ全体をトータルで提案、要件定義から保守までワンストップでサポート

以上のように、ETERNUS AX/HX seriesとCVOの組み合わせによって、ハイブリッド環境におけるデータ管理の運用/コスト効率を高めながら、データ活用に集中できる環境を整備できることがお分かりいただけただろう。

エンタープライズストレージは、大規模環境では導入ハードルが高くなりやすいが、ETERNUS AX/HX seriesはミッドレンジからエントリークラスのモデルまで全て共通のOSであるONTAPを搭載する。このため、企業やシステムの規模を問わずハイブリッド環境で統合的なデータ管理を実現できる点もポイントだ。

「ETERNUS AX/HX series」は、豊富なラインアップでエンタープライズから中小規模の企業までのデータ活用に貢献する(提供:富士通)

「ミッドレンジクラスのETERNUS AX4100/HX6100はインテル® Xeon® Silverプロセッサーを搭載し、デュアルプロセッサーによる高い処理性能と信頼性を実現し、ハイパフォーマンスを発揮します。また、お客さまの求めるデータ基盤の規模や目的に応じてエントリーモデルからミッドレンジモデルにわたる豊富なラインアップをご選択可能です。全モデル共通のONTAP OSによる高度なデータ効率化技術やクラウド連携技術で、コスト効率が高く、かつ統合的なデータ管理を実現できます」(伴氏)

さらに「単に最新テクノロジーを持つ製品を提供するだけでなく、お客さまが実現したい目的や解決したい課題に応じたソリューションを提案しインテグレートできることに富士通の強みがあります」と、正木氏は強調する。

「今回はハイブリッド環境におけるデータ基盤としてETERNUS AX/HX seriesを紹介しましたが、利用効果の高いインフラを実現するために、サーバからストレージ、ネットワーク、ソフトウェア、クラウドサービスに至るまで、弊社はインフラ全体をトータルで提案、提供できます。今後もさまざまな課題、要件に応じて各製品を組み合わせたソリューションの種類も増やし続けています。やはり“お客さまの実現したい目的”を基に、要件定義から製品選定、設計、検証、導入、運用、保守まで、ワンストップでサポートできることが弊社の強みだと考えています」(正木氏)

ETERNUSストレージのラインアップには、クラウド環境への高い親和性を持つETERNUS AX/HX seriesだけでなく、基幹システムやHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に対応し、シンプルで高性能な「Fujitsu Storage ETERNUS AB/HB series」も用意されている。

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