未来へのシナリオ

Fujitsu Technology and Service Vision 2021

「Fujitsu Technology and Service Vision 2021」では、大きな時代の変曲点の後の新しい世界を形づくる5つの重要なトレンドを紹介するとともに、より持続可能な世界の構築に向けた富士通のレスポンシブルビジネスへの取り組み、富士通が今後重点を置く領域での未来シナリオ、そしてその実現に貢献するテクノロジーイノベーションのビジョンを紹介します。

今後ビジネスや社会の在り方はどう変化していくでしょうか。富士通はお客様のデジタルトランスフォーメーションのパートナーとして、より良い未来に向けて今後重点を置く5つの領域における未来シナリオを提言します。

ビジネスや社会におけるデジタルトランスフォーメーションの未来シナリオ

より良い未来に向けて

富士通は、お客様のデジタルトランスフォーメーションのパートナーとして、ビジネスや社会が直面する課題 (イシュー)を起点に、インテグレーション力と強いテクノロジーを組み合わせてお客様の成功を支え、より持続可能な世界の実現に貢献していきます。

今後の5年から10年のスパンでビジネスや社会の在り方がどのように変化していくでしょうか?その未来の姿からバックキャストして考えた時に、次の2年から3年にどのような戦略が必要になるでしょうか?そして、富士通はどのように皆様のお役に立っていけるでしょうか?

これから、ものづくり、顧客体験、健康な生活、都市と社会の未来、ならびにすべての基盤となるビジネスマネジメントの変革のそれぞれの領域におけるトランスフォーメーションのシナリオを紹介します。

Sustainable Manufacturing:ものづくりの未来

持続可能なものづくり

持続可能なものづくり:ものづくりの未来

製造業は、世界全体でGDPの15%を担う重要な産業セグメントです*1。同時に、CO2排出の20%を占め*2、需給のミスマッチによる大量廃棄が社会問題化する中、産業が与える環境負荷が大きな課題となっています。

一方、パンデミックや自然災害などの予期できないリスクに対して、グローバル・サプライチェーンの脆弱性が露呈されました。

環境負荷を最小化していくために、どのような変革が必要なのでしょうか?また、不確実な事業環境において変化に迅速に対応できる強靭さを身に付けるにはどうすればよいのでしょうか?そのためには、データとデジタル技術を使ってエコシステム全体を再構築し、レジリエントな循環型のものづくりを実現することが重要となります。

*1 *2 世界銀行

1. デジタルによる人の能力拡張

デジタル技術が人を支援し、人とデジタルワークフォース*3が補完的に協働する新しいものづくりが、生産性とウェルビーイングの向上を実現していきます。

トラステッドなAI技術が人の能力を拡張し、ものづくりの様々な現場で人がより創造的・生産的に働くことを支援します。また、パンデミックの事態においても、安全にリモートから共同作業や制御を効率的に行うことを可能にし、ボーダレスな働き方を実現していきます。

5Gネットワークとデジタルツイン

富士通は、製造業のデジタルトランスフォーメーションを実現するサービス基盤としてCOLMINAを提供し、人の活動をデジタル技術が支援する新しいプロセスの構築に取り組んでいます。

*3 AI等のデジタル技術で駆動されるソフトウェア・ロボット

デジタル空間でのエンジニアリング

3Dのデジタルモックアップを使い、リモートからの参加でフロントローディングなデザインレビューを行い、生産工程を含めた最適化を実現できます。高速低遅延の5G技術が、ものづくりプロセス全体での画像等のデータ活用を実現します。

生産ラインの革新

人とロボットの配置、作業員の動線をデジタル空間で検討、現場で評価し、継続的に改善することができます。また、デジタル空間での訓練で習熟を補完することにより、高齢化にともなう熟練技術者の減少にも対応できます。

AI活用

AI技術が製造設備の異常の予兆を早期に発見し故障を予防します。品質検査へのAI活用も進んでおり、GKN Aerospaceは航空機部品の非破壊検査の大幅な効率化を実現しました。

2. レジリエントなサプライチェーン

不確実な環境において、ものづくりのバリューチェーン全体をデジタル技術で駆動し、変化に対して迅速にしなやかに対応する仕組みづくりが重要です。

市場の需要変動やサプライチェーン・物流ルートでの災害発生をリアルタイムに把握し、モジュラー化された調達・製造・物流プロセスをデータとデジタル技術で動的に最適制御することにより、高いリスク耐性を備えたものづくりに変革することができます。

ものづくりのバリューチェーン全体をデジタル技術で駆動

富士通は、ものづくりのバリューチェーン全体を可視化し、モジュラー化して最適制御することを支援し、ビジネスのレジリエンス強化に貢献します。

リスクの可視化

地震や水害など予期せぬ自然災害の発生に対して、サプライチェーン全体への影響範囲をリアルタイムで分析、代替調達等の迅速な対応を可能にします。

需要変動への対応

需要変動をリアルタイムで把握し、材料調達やモジュラー化された生産ラインを動的に調整することにより迅速に対応できるよう支援します。

製造・物流最適化

富士通の量子コンピューティング技術デジタルアニーラやAI技術を活用し、変化する状況に応じた製造計画や倉庫作業、さらに複雑な配送ルートの最適化を支援します。

3. 循環型のものづくり

生産から消費、さらに再利用・廃棄・再生までのエンドツーエンドのエコシステムをつなぎ、地球環境を強く意識したものづくりに変革していきます。

単に製品を供給するのではなく、その材料がどこでどのようにつくられたのかまで、透明なトレーサビリティの提供が重要です。食品ロスや産業廃棄物、CO2排出の抑制のためには、信頼あるデータをもとに、生産者から消費者までのすべてのエコシステム参加者が協力することが不可欠です。

エンドツーエンドでエコシステムをつなぐ循環型のものづくり

富士通は、自社のグリーン調達や環境管理を実践すると共に、環境志向の設計を推進、さらにブロックチェーンなどのデジタル技術を活用して信頼あるデータをつなぎ、循環型のものづくりの実現に貢献します。

グリーン調達

グローバルなResponsible Business Allianceに加盟し、パートナーとともにCSR調達を推進。含有化学物質の管理等のグリーン調達を支援するソリューションを提供しています。

環境志向の設計

設計段階から地球環境を強く意識し、材料選定やリサイクルまでのプロセスを織り込んだ製品開発を推進します。

トレーサビリティ

ブロックチェーンを活用したエンドツーエンドのトレーサビリティ構築を支援します。例えば、世界最大のビールメーカーであるアンハイザー・ブッシュ・インベブ (AB InBev) は、大麦農家から醸造所までをつないだブロックチェーンの構築に取り組んでいます。サプライチェーン全体を可視化することで、消費者に産地の情報を届けると共に、生産性、水やエネルギーの使用効率や土壌の健康状態を改善し、先進的な農業の発展につなげる目的です。

Consumer Experience : 顧客体験の未来

人に寄り添う顧客体験

顧客体験の未来

パンデミックは、人々の購買行動をデジタルに大きくシフトさせました。富士通の調査では、72%の企業が顧客がオンラインでのアクセスを望んでいると回答し、83%はモバイルやウェブを通じたサービス提供を増強しました。

これから顧客体験はどのように変化していくのでしょうか?富士通の調査において、78%のビジネスリーダーが「オフラインとオンラインの顧客体験はシームレスに融合していく」と回答しています。一方でリアルの体験が持つ価値をもう一度見直す必要があります。ネット専業企業の64%は「リアルな対面での体験にはネットで提供できないプレミアムな価値がある」と考え、79%が「店舗等のリアルなビジネスに進出する」意向を持っています。

これまで分けられていたリアルとデジタルの壁は無くなり、一人ひとりに寄り添った顧客体験をどのように提供できるのかが鍵になります。

1. リアルとデジタルの融合

常時デジタルにつながる一人ひとりの顧客に対して、リアルとデジタルの境い目の無いヒューマンセントリックな体験を提供することが不可欠となります。

オンラインで注文して店舗で品物を受け取ったり、店舗の中でスマートフォンを使って買い物をするように、これまで別々に分けられていたリアルとデジタルの体験が融合 (Online Merges with Offline) していきます。

リアルとデジタルが融合するショッピング体験

デジタルがデフォルトになる反面、リアルな人と人のコミュニケーションの重要性も見直されています。富士通はデジタル技術を使ってリアルとデジタルの様々な顧客接点を融合し、顧客体験と従業員体験の両方をバランス良く向上させるデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。

従業員体験の向上

IoTやAI、ロボティクスによる業務の自動化を進め、従業員が顧客への対応に集中できるように、店舗オペレーションの変革を支援します。

顧客体験の革新

センサーやAIを利用した無人店舗ソリューションやスマートフォンを活用したウォークスルーチェックアウトの提供を通してリアルとデジタルが融合した顧客体験を提供します。
韓国のBe Good Friendsは富士通のPalmSecure生体認証技術やAI技術を活用し、無人コンビニエンス・ストアをオープンしました。

2. 潜在的な願いをかなえる

顧客と常時つながることを通じて、顧客が必要とするものを予測、先回りして潜在的なニーズをかなえます。

顧客が何が欲しいと言うのを待つのではなく、顧客行動データを常時分析することを通じて、その場・その時に顧客が何を必要とするかを予測してサービスを提供し、顧客サクセスを実現します。

顧客と常時つながることを通じてショッピング体験を向上

デジタルビジネスの本質のひとつは、常に顧客とつながり、データを活用した顧客体験の向上を迅速・継続的に行うことです。富士通は、データ分析や映像解析のソリューションを提供し、顧客が何をしたいのかの予測を支援します。

需要予測・自動発注

AIがリアルタイムデータにもとづく在庫状況把握と需要予測を行い、自動発注。サプライチェーンの高度化を促し、廃棄ロス削減などの社会課題解決に貢献します。

顧客行動分析

独自開発のAI技術を使い、カメラ映像から人の行動や属性などを可視化し、プライバシーに配慮しつつ顧客行動の分析ができます。例えば、イオンリテールは、AI映像解析を使って、店内混雑状況を検知するほか、接客を必要とするお客様を把握し従業員に通知、安心・安全な店舗運営や接客品質向上に向けた取り組みを進めています。さらに行動データを活用した店舗変革も目指しています。

3. ライフサイクル・エコシステム

様々なサービスが顧客のライフサイクルに溶け込み、別のサービスの中に埋め込まれて目に見えない形で提供されていきます。

従来の業種の壁は崩れ、一人ひとりのニーズに焦点を合わせて様々なサービスがつながり、ワンストップで提供されるようになります。これを実現するために、異業種のサービスをつなぎ、データを共有する仕組みの構築が加速していきます。自己主権の考え方に立った個人データの保護が重要になっていきます。

エコシステムを通して様々なサービスがつながり、日々の生活を支援

富士通は、小売、流通、金融、製造、公共・ヘルスケアなど様々な業界にテクノロジーを提供してきた実績と、知見を持っています。異業種をデジタル技術と信頼できるデータで結び、生活者のライフサイクルをサポートするエコシステムの構築を支援します。

IDYX(IDentitY eXchange)

ブロックチェーン技術を活用した、自己主権型の分散ID技術を開発・提供しています。
JCB、みずほ銀行と共同でIDYXを使ったデジタルIDを流通させる実証実験を実施。生活者が信頼できる個人データ活用の実現を目指しています。

APIエコノミー

クラウド型のBanking as a Service(BaaS)プラットフォームを開発・提供し、豊富なAPI群により様々な業種での金融機能活用を支援します。

マルチ生体認証

世界中で実績のある静脈認証PalmSecureと顔認証などを組み合わせた、非接触の迅速なマルチ生体認証により安心安全なデジタル社会に貢献します。

Healthy Living:健康な生活の未来

健康寿命の延伸

健康な生活の未来:健康寿命の延伸

パンデミックは、人々に健康の重要性を再認識させました。また高齢者や低所得者層がより大きな影響を受けたことも忘れてはなりません。誰もが健康で充実した生活を送ることができるようにするためには、何をしなければならないのでしょうか?

2050年までに、世界人口の6人に1人が65歳以上の高齢者になると予測されています。高齢化が進む日本の場合、現在の3.5人に1人から2050年には2.5人に1人が高齢者となる見通しです。人がいくつになっても健康で高い生活の質を維持することが大きな課題です。

誰も取り残さない健康長寿の社会を実現するために、医療・健康データとデジタル技術の活用が重要な役割を果たしていきます。

1. パーソナルヘルス

病気の治療だけでなく、一人ひとりの健康を増進するウェルビーイングサービスへとヘルスケアは発展していきます。

ウェアラブルで常時モニタリングされる一人ひとりの健康データや食事などの生活習慣データと、医療機関が持つ電子カルテのデータやゲノム情報を組み合わせることによって、生活習慣の改善による病気の予防や、パーソナライズされた治療が可能になります。

様々な医療データを組み合わせることによって、病気の予防を実現

富士通は、誰もが健康に暮らすことができる社会を実現するために、一人ひとりに寄り添い、分断された様々なデータをつないで活用することにより、パーソナライズされた医療や健康増進サービスの実現を支援し、健康寿命の延伸に貢献します。

ウェルビーイング

電子カルテ等の医療データと、生活者向けサービスを提供する企業が持つデータをつなぐことにより、一人ひとりに最適化された治療や薬の提供を支援します。

オンライン診療

パンデミックの事態においても安心して診療を受けることができるように、オンライン診療ソリューションを提供。スマホ・アプリを使って簡単に診察予約、オンライン診療、会計を受けられます。電子カルテシステムと連動することにより、病院の業務も効率化します。

2. ライフサイエンス・イノベーション

ライフサイエンスとコンピュータ・サイエンスが融合することによって、創薬や病気の治療にイノベーションをもたらします。

量子コンピューティング技術やスーパーコンピュータ (HPC) を活用してデジタル空間で処理を行うことにより、非常に長い期間を要する創薬のプロセスを加速することができます。さらに、医療ビッグデータやゲノムデータをAIで解析することによって、がんなどの難病に対する新しい有効な治療方法を見出すことが期待されます。

健康な生活:ライフサイエンス・イノベーション

富士通は、世界最先端のスーパーコンピュータや、組合せ最適化問題を高速に解くことができる量子コンピューティング技術 デジタルアニーラ、さらに説明可能なAI技術などをライフサイエンス領域に応用し、研究機関・企業のパートナーと共に創薬プロセスや遺伝子医療の革新を進めています。

AI活用

富士通の説明可能なAI技術により、がんのゲノム医療に貢献。また、東京品川病院と共に新型コロナウイルス感染症の診断を支援するCT画像診断AI技術を開発しました。

創薬

HPCや量子コンピューティング技術を活用し、創薬プロセスの革新を支援します。創薬ベンチャーであるペプチドリーム社と共に、デジタルアニーラやHPC等の技術を活用した創薬プロセスの革新に取り組んでいます。さらに、ペプチドリーム、富士通、みずほキャピタル、竹中工務店、キシダ化学の5社で合弁会社を設立、新型コロナウイルス感染症治療薬の開発に取り組んでいます。

3. スマートヘルス・エコシステム

医療データや健康データを様々な分野の組織や企業が安心・安全に利用できる仕組みを構築し、イノベーションの実現を支えていきます。

イノベーションを実現していくためには、大学・研究機関や製薬企業、さらにスタートアップなどが活用できる医療・健康データベースの整備が不可欠です。高度なセキュリティで守られた信頼あるデータプラットフォームの上で多様な組織・企業がウェルビーイングサービスを共創することが期待されます。

デジタル・ウェルビーイング・プラットフォーム:医療サービスのための信頼できるデータの共有

これまで富士通は、製薬会社の研究開発システムを提供する他、病院の電子カルテシステムや地域医療連携ネットワークの構築に貢献してきました。今後さらに、製薬会社、医療機関から生活者をサポートする様々な企業まで、エンドツーエンドで情報を連携させるウェルビーイング・プラットフォームの構築に貢献していきます。

製薬

薬の研究開発を支える包括的なITソリューションを提供しています。

地域医療連携

日本において、7,000の中核病院、クリニック、介護施設、薬局をつなぐネットワークの構築を支えています。

ウェルビーイングサービスの共創

電子カルテシステムの診療情報などのリアルワールドデータを製薬企業における医薬品開発や治験、予防医療などに活用するため、国立がん研究センターと共同研究を実施。がんの個別化医療や予防医療などに寄与する様々なサービスを創出します。

Trusted Society:都市と社会の未来

人間中心の持続可能な社会

信頼できる社会:都市と社会の未来

不確実性が高まり、環境問題や高齢化などの困難な課題に直面する中で、誰も取り残さないインクルーシブな公共サービスを実現するためにはどうすればよいでしょうか?パンデミックや頻発する自然災害がもたらす脅威に対して、安心して暮らせる都市をつくるためには何が必要でしょうか?

都市は、多様な人々が暮らし、政府・公共機関や幅広い産業が価値を生み出すエコシステムです。社会を持続的に維持・成長させていくためには、明確な目的やゴールを共有し、生活者の視点に立った価値を生み出すことが重要です。

デジタル技術はそのための不可欠なツールです。富士通のグローバル調査において、91%のビジネスリーダーがデジタルが社会に価値を適用するために役に立ったと答え、安心安全やウェルビーイングの向上を成果として挙げています。社会のデジタルトランスフォーメーションを進めるためには、生み出される多様なデータをつないで安心して活用できるようにすることが必要です。

1. 生活者視点の公共サービス

誰一人取り残さない社会の実現に向けて、生活者一人ひとりのニーズに寄り添ったパーソナライズされた公共サービスの提供が重要です。

生活者一人ひとりに関わる様々なデータがプライバシーを適切に保護され、分散型ネットワークで縦割りの領域を超えて連携。共通の目的に向かって民間企業や生活者も参加する形で、インクルーシブな公共サービスを共創していくことが期待されます。

個人に関係するデータがつながるヒューマンセントリックなサービス

富士通は数多くの国々の政府・自治体・公共機関のITシステムを構築し、公共サービスを支えてきました。生活者視点の公共サービス実現のために、データとデジタル技術を活用し、公共サービスのトランスフォーメーションを支援していきます。

人に寄り添う公共サービス

デジタルがデフォルト化する中で、リアルとデジタルを融合した直観的でわかりやすく、誰も取り残さないサービスの実現を支援します。生活者のニーズを予測し、スマホなどのデジタルタッチポイントを通じて必要とされる情報をプッシュ型で提供し、デジタル上でサービスが容易に受けられるように変革することが重要です。

サービスの共創

デザイン思考を活用し、未来ビジョンの構想や、民間企業・生活者参加型のサービス共創を支援します。

データ連携

生活者のデータを組織を超えてつなぎ、デジタルトラスト技術でデータの真正性やプライバシーを保護し、活用を促進します。

2. レジリエントな社会

リアルタイム・データを使って何が起こりうるかを予測することを通じて、自然災害やパンデミックの影響を軽減すると共に、環境負荷の低減に役立てていきます。

様々なセンサーからのリアルタイム・データを超高速・大容量のコンピューティング・インフラで処理し、社会全体の動態をデジタルツインとして可視化し、リスクを予測することを通じて、社会生活の安心・安全を高めることができます。

信頼できるレジリエントな社会

富士通は、コンピューティングやAI、デジタルツイン等の最先端のテクノロジーを活用したソリューションを提供し、変化へのより強い対応力を持つしなやかな社会づくりに貢献します。

スーパーコンピュータの社会実装

理化学研究所と富士通が共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」の企業や研究機関向けの共用が2021年3月から始まりました。津波シミュレーションや新型コロナウイルス対策の研究など、様々な分野で大きな成果を出し始めています。

防災

過去の雨量や水位データと数時間先の降雨予測から、AIを活用して6時間先の河川水位を予測するシステム等を提供。水害時の自治体の防災や減災に向けた取り組みを支援します。

都市モビリティ

デジタルツインや量子コンピューティング技術を活用し、物流の最適化や環境負荷の低減に貢献。カナダのモントリオール市は富士通のAI技術を活用し、信号機の動的制御による交通最適化に取り組んでいます。また、米国オハイオ州ダブリン市は5G技術や映像認識AI技術を使ったスマートパーキングの実証実験を行い成果を挙げました。

3. スマートシティのエコシステム

信頼できるスマート社会を実現するためには、様々な領域のデータを連携するための制度と基盤となるテクノロジー・アーキテクチャが不可欠です。

政府・公共機関や企業、生活者が安心して利用できる分散型のデータ活用基盤の上で、行政やモビリティ、エネルギー、健康など各領域のデータをつなぐことにより、エコシステム型の持続可能なまちづくりが可能になります。

人とデータとサービスをつないでエコシステムを形成

富士通は、生活者視点の公共サービスに不可欠な信頼あるデータ流通の仕組みづくりや都市OSの整備に貢献すると共に、日本のスーパーシティ構想を含め、データとデジタル技術とを活用した未来のまちづくりにパートナーと共に取り組みます。

デジタルトラスト

データの真正性を保証する技術 Trust as a Service (TaaS)を開発し、社会実装を推進しています。

環境

Proventiaは富士通のIoT技術を使った車両の排気ガスのリアルタイムデータの収集・分析ソリューションを提供。すでに英国ロンドンの公共バスで活用されています。

エネルギー

再生可能エネルギー拡大と脱炭素社会実現への貢献のため、分散型の仮想発電所 (VPP) 普及に取り組んでいます。

まちづくり

広島県大崎上島町は、富士通と共に離島の新たな交通・物流手段の確立を目指す実証実験を進めています。オンデマンド交通技術と自動運転車両を活用して、高齢化に伴い運転が困難な住民を支援する目的です。

Business Transformation:ビジネスマネジメントの変革

B2E (Business to Everyone)

ビジネスの変革:B2E (Business to Everyone)

グレート・リセットとも呼ばれる変曲点を経てビジネスは大きく変革していきます。新しい世界において、すべてのステークホルダーに対して価値を生み出し、不確実な環境下で変化に俊敏に対応する、しなやかな経営が求められています。

富士通のグローバル調査によると、83%の企業がデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいて、39%はすでにビジネス上の成果を挙げています。
デジタルトランスフォーメーションは、デジタル技術を導入することではなく、ビジネスの変革に真の力点があります。従業員のウェルビーイングを始め、ステークホルダーへの価値を高めるにはどうすればよいでしょうか?危機においても事業を継続し、変化に対応するにはどうすればよいでしょうか?さらに今後のボーダレス社会において、社内・社外のエコシステムをつなぎ、セキュリティを守るにはどうすればよいでしょうか?

1. Digital Shifts – デジタルビジネスへの変革

想像を超えて変化する世界で、人が能力を最大化できる環境を整え、データを活用してステークホルダーへの価値を継続的に向上する経営への変革が求められます。

自由に創造性を発揮させるためには、従業員のウェルビーイングを向上させる取り組みが不可欠です。ステークホルダーからの声(VOICE)と、ビジネスプロセスから生み出されるデータをリアルタイムに分析して洞察を得ることが重要です。

声やデータを価値に変えることによるリアルタイムの洞察を活用し、デジタルビジネスモデルへ変革

富士通は、顧客や従業員の声 (VOICE) にもとづく継続的な改善を実施し、柔軟な働き方への改革 (Work Life Shift) と共に、社内外の多様なデータの統合・分析から洞察を生み出して迅速な意思決定を導く、データ・ドリブン経営への変革を進めています。自らの変革の経験をもとに、お客様のビジネス変革を支援します。

Work Life Shift

在宅勤務を強く支持する従業員の声に耳を傾け、仕事と生活の両面でウェルビーイングを向上させる新しい働き方Work Life Shiftをグローバルに導入。フレキシブルな働き方、自由に働く場所を選択できる勤務形態、社内カルチャーの変革を推進。ソリューションとして提供しています。

VOICE

顧客や従業員の数多くの声を継続的に収集し、課題を分析、改善施策を実施してステークホルダーのサクセスを追求。全従業員参加型の経営を目指しています。

高度なデータ活用

大規模データプラットフォームの技術を組み合わせ、企業の内外の多様なデータを一元的に分析・活用するサービスを提供します。経営情報や保守部品の最適配備等の社内実践の経験をベースに、企業のデータ・ドリブン経営を支援します。

2. Business Applications - 効率性と柔軟性を実現

不確実な環境において、ビジネスの効率性を維持しつつ柔軟に変化に対応し、危機においても事業を継続できるレジリエンスを高めることが重要です。

オンプレミス・システムやクラウドから提供される様々なアプリケーションをユーザの視点に立って開発・運用することが求められます。ビジネスプロセスの自動化や新しいデジタル技術の適用、アジャイル開発を通じて、ビジネスの効率性と柔軟性を実現するテクノロジー・パートナーが必要です。

ビジネス・アプリケーション:効率性と柔軟性を実現

富士通の世界各地域に展開する40,000人以上のグローバルサービス組織が一体となって協働し、デジタルイノベーションに不可欠なアジャイル開発を加速すると共に、効率性を追求した標準化を進め、お客様の信頼できるパートナーとしてビジネスを支えていきます。

グローバルサービス

各地域のデリバリー組織、 Japan Global Gateway等のニアショア組織、世界8カ国に展開するグローバルデリバリーセンターの従業員40,000人が一体となって協働し、サービスの高度化・標準化を進め、地域を横断して提供していきます。

戦略パートナー

Microsoft、 SAP、ServiceNow、 Salesforceなどとグローバルな戦略協業を行い、サービスを提供しています。

クラウドインテグレーション

フロントシステムから大規模・複雑な基幹システムの構築まで全ての領域のアジャイル開発を最新のテクノロジーで支援します。今後、自社のデリバリー向けに構築したフレームワークや開発環境をシェアードサービスとして提供し、企業の開発を支援していきます。

3. Hybrid IT – ボーダレス環境を支えるテクノロジー

ボーダレスライフの社会のセキュリティを守り、人とデータ、サービスをつないで新しい価値を創造する、しなやかなデジタルインフラの構築が必要です。

多様なデータを複数のクラウド上あるいはオンサイト、データセンター上で高信頼に分散処理するハイブリッド型のインフラ整備と共に、新しい世界のボーダレスな働き方を支えるセキュリティ強化が不可欠です。

ボーダレスライフを支えるデジタルインフラとハイブリッドIT

富士通は、インフラからデジタルアプリケーション開発基盤までを統合的に提供するHybrid ITと共に、マルチクラウドを守りボーダレスな働き方を実現するセキュリティサービスを提供し、お客様のデジタルトランスフォーメーションの実現を支えます。さらに、AI等を活用した予兆監視や自動化を推進し、ビジネス・社会を支えるインフラとして、信頼できるレジリエントなサービスを提供していきます。

Hybrid IT

マルチクラウドを支えるデジタルインフラ・プラットフォームに加えて、アジャイルなデジタルアプリケーション開発を実現するプラットフォームや、アセスメントから運用までを包含するマネージドサービスを強化していきます。さらに高速・低遅延の5Gネットワークなどを活用し、エッジとクラウドの連携を実現していきます。

セキュリティ

セキュリティ・バイ・デザインのソリューションやマネージドサービスを提供し、マルチクラウド環境のセキュリティを守り、ゼロトラストの考え方に立ったソリューションでボーダレスな働き方を支えます。


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  1. より良い未来に向けて
  2. Sustainable Manufacturing : ものづくりの未来
  3. Consumer Experience : 顧客体験の未来
  4. Healthy Living : 健康な生活の未来
  5. Trusted Society : 都市と社会の未来
  6. Business Transformation : ビジネスマネジメントの変革
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