GKN Aerospace様
AIが人を支えるエンジニアリング
GKN Aerospaceの検査工程は、各航空機部品が飛行可能な状態である事を保証するために行われます。しかし、1個1個の部品の検査には時間がかかり、高いスキルを持つ検査員も必要です。GKN Aerospaceはこの工程に自動化を取り入れたいと考え、富士通のAI技術に注目しました。AIを活用した欠陥検出ソリューション(ADR)によって、数時間の検査を数分に短縮し、よりスマートな意思決定をもたらす重要データへの幅広いアクセスが可能となりました。
富士通が開発しているAI活用ADRソリューションは、今後、私たちが航空機部品を作る方法を変えていくでしょう。
GKN Aerospace
プロジェクトマネージャー
アーロン・ギルブレイス 氏
背景
多大な工数を要する重要な検査
航空宇宙部品の製造には、最高レベルの品質管理が必要です。安全基準を保証するため、製造される全ての部品の欠陥を検出し、取り除かなければなりません。従来の品質チェックでは、検査員が生産ライン上の各部品を30分から数時間かけて検査します。
また検査員として承認されるには1,400時間のOJTが必要で、これが検査に従事する新入社員の確保を難しくしています。そのためGKN Aerospaceは、品質保証工程を全体的に見直したいと考えました。既に他の生産ライン上で自動化が進んでおり、品証工程を自動化すれば全体の工程がスピードアップするのではと考えたのです。
「検査員の確保が難しいうえ、検査対象である炭素複合材などの材料もさらに複雑になって、時間がかかるという最悪の事態です。」とGKN Aerospaceのプロジェクトマネージャー、アーロン・ギルブレイス氏は説明します。「市場に何か使えるものがないかと探し始めたところ、富士通が行ったタービンブレードのAI検査の事例を見つけたのです。それは、私たちが探し求めるスキルと技術を富士通が持っていることの証明でした。」
経緯
AIが支えるエンジニアリング
富士通はGKN Aerospaceと共同で、非破壊検査員を支えるAI技術評価のために2種類の検証を行いました。第1フェーズでは超音波のパルス反射のデータをインプットとし、第2フェ-ズでは透過データに着目しました。この2つの検査技術を組み合わせて、さまざまな複合材部品の検査に適用しました。そして富士通は、多様なデータソースに高度なアルゴリズムを活用して、超音波の生データから直接個別の欠陥やロット欠陥の位置と特徴を特定するAIモデルを開発しました。
これで、学習したAIプラットフォームが欠陥を素早く正確に認識できることが確認されました。次のステップは、この技術を、実際に製造現場で使用可能なソリューションにして展開することです。スクラム、共創、協働を通して、このプロジェクトの次のステージが形作られていきます。
「富士通のおかげで、私たちはこの技術に自信を持つことができました。そして富士通は、AIを使った欠陥検出ソリューション(ADR)のベースとなるロジックの構築でも当社の検査員を支援してくれました。」とギルブレイス氏は言います。「この新たなアプローチは、確実に当社の品質保証工程を変革する可能性を秘めています。」
効果と今後の展望
検査の迅速化とデータ品質の向上
GKN Aerospaceは、この新しいAIプラットフォームで検査工程を最大50%短縮し、同じ時間でより多くの部品を生産できるようになると期待しています。同時に、検査員がもっと多くの検査をこなせるようになるため、人手不足も補えます。
さらに、ADRによって、検査部門以外の社員などが検査データを幅広く共有できる仕組みを実現できます。そうすれば、繰り返される欠陥パターンなどを簡単に見つけ、その原因を探し当てられるようになります。
「検査部門の外へデータを持ち出すことができれば、素早く欠陥を特定して原因を究明することができるようになります。更に、検査結果の内容も、もっと詳細なものになります。」とギルブレイス氏はしめくくります。「デジタルの品質保証工程と生産工程をリンクさせることができれば、コストをさらに削減するとともに、生産・品証プロセスをより良くコントロールすることができます。富士通が提供しているAI対応ADRソリューションは、今後、私たちが航空機部品を作る方法を変えていくでしょう。」
GKN Aerospace
業種 | 航空宇宙産業 |
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所在地 | グローバル |
従業員 | 17,000名以上 |
Webサイト | https://www.gknaerospace.com/ |
[2021年掲載]
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