AB InBev様

ブロックチェーン技術によるビール製造・流通の変革

2020年10月、AB InBevは、自社ビールブランドの一つであるLeffe(レフ)について、生産農場から消費者まで、大麦のサプライチェーンに完全な透明性とトレーサビリティを確立するためのパイロットプログラムをヨーロッパで開始しました。AB InBevは、自社の研究成果、技術、資金を活用して、2025年までにすべての生産農場にスキルやネットワークの提供、資金面の支援を行う計画を立てており、今回のプログラムはその第一歩となります。

我々がヨーロッパの生産者とこのプロジェクトを実施することで、ビールを飲む人たちにLeffeの大麦がどこから来たのかを示せることに、大きな期待を寄せています。

AB InBev
調達・サステナビリティ担当VP
Erik Novaes 氏

背景

私たちが飲むビールの歴史をたどる

ビールは生活、文化、伝統の多くの側面の中心にあります。ベルギーのレフビールは、ノートルダム寺院の巡礼者の渇きを潤す飲料として1240年につくられたのが始まりです。当時、疫病のような病気がこの地域に蔓延していましたが、レフビールの上面発酵プロセスで水を沸騰させることで殺菌することができたのです。

当時から今日も変わらず、消費者はビールに何が入っているのか興味を持っています。そこで、世界最大の醸造業者の1つであるAB InBevはその情報提供を行う取り組みを開始しました。

AB InBevは、原材料の品質を確保し、天然資源の効率的な利用を促進することを重視しています。同社は最近、フランス北東部の大麦農家、アントワープの麦芽製造所およびルーベンの醸造所を結ぶパイロットプロジェクトに着手しました。

このプロジェクトは、農家から消費者までの大麦のサプライチェーンを完全に透明化することを目的としており、パイロットではフランス内でビール100万パックにQRコードが付与されました。コードをスキャンすることで、消費者は大麦がどこで栽培、収穫され、麦芽にされたかを知ることができ、これまで以上により多くの情報を得ることができます。

世界最大の大麦バイヤーの1つであるAB InBevは、買い付け先の農家の60%と直接契約していますが、この最新のプロジェクトは、直接契約の無い残り40%の農家に焦点を当てて計画されました。

データは、醸造プロセスごとに収集され、そこには環境に関する情報も含まれます。このようにエンドツーエンドでサプライチェーン全体をつなぐことで、生産性、水やエネルギー使用効率、土壌の健全性を改善し、農業開発の促進に貢献することが可能となります。

アプローチ

プラットフォーム開発に必要な専門技術

このパイロットの成功は、データの信頼性とブロックチェーン技術が保証する取引の改ざん防止にかかっています。ブロックチェーンは取引の信頼性を保証する台帳です。

専門知識が必要なため、AB InBevは富士通のTrack and Trust Solution Center、またそのパートナーであるSettleMintと連携しました。両社とも、複雑なサプライチェーンにおける追跡技術を導入した経験が豊富です。

また、このプロジェクトでは、ブロックチェーンをAB InBevの既存のSAPやサプライチェーンマネジメントシステムと統合する必要があるため、富士通が持つ幅広い領域での経験も重要でした。

効果と今後の展望

持続可能な穀物生産に向けて

富士通はまず、アジャイルおよびDevOpsを適用して、要件を分析してブロックチェーンソリューションを設計するためのディープ・ダイブ・ワークショップを含む4週間の初期フェーズを実施しました。SettleMintのプラットフォームはブロックチェーンのコンポーネントを提供するように設定され、追跡ソリューションが本番環境に完全に展開されました。

AB InBevの欧州地域調達・サステナビリティ担当VPのErik Novaesは次のように説明しています。 「ビールは、大麦、水、ホップ、酵母といったシンプルで自然な原料で作られています。ですから、我々と消費者が、使用する原料が最高品質で持続可能な方法で栽培されたものであることを知っておくことが重要です。この新しい大麦ブロックチェーンのパイロットは、スマート農業に焦点を当てた最新の取り組みです。すなわち、天然資源利用、穀物の生産性、農家の生計を改善するために新技術、データ、洞察を駆使します。我々がヨーロッパの生産者とこのプロジェクトを実施することで、ビールを飲む人たちにLeffeの大麦がどこから来たのかを示せることに、大きな期待を寄せています。」

AB InBevの欧州CIOであるPieter Bruyland氏は、次のように付け加えています。 「このプロジェクトによって、欧州事業で初めて、非契約農家と消費者をつなぐ完全に透明性を確保したネットワークを構築することになります。農家、製粉協同組合、醸造所、倉庫、運送業者など、ビールのサプライチェーン全体の関係者を1つの安全で分散化されたプラットフォームに接続することで、トレーサビリティを向上させ、データを収集し、最高品質の大麦を生産することができます。さらに、このブロックチェーン技術は、ビールファンと農場の大麦畑をつなぐこともできます。」

AB InBevは、持続可能性に関する目標の中で述べているように、2025年までにすべての生産農場にスキルやネットワークの提供、資金面の支援を行う計画を立てています。今回の非契約農家向けのプログラムはその目標を現実のものとするための第一歩となります。

AB InBev

業種製造業
所在地ベルギー
人員175,000人
ホームページhttps://www.ab-inbev.com/ Open a new window

[2021年掲載]

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