「これからのストレージ」に求められる4つの視点とは? あるべき姿を再考
「サステナビリティの追求」や「データドリブン経営」といった現代の企業の課題解決においては、ストレージが重要な役割を担う。ストレージ構築で考慮すべきことは容量の設計だけではない。“理想のストレージ”を実現する方法とは。
転載元:TechTargetジャパン
TechTargetジャパン 2023年12月7日掲載記事より転載
本記事はTechTargetジャパンより許諾を得て掲載しています。
記事URL:https://members.techtarget.itmedia.co.jp/tt/members/2312/05/news01.html
企業としてのサステナビリティを確立するために重要な4ポイント
企業がサステナビリティを具体的に検討する場合、重要な視点になるのは「持続可能性」に加え「確実な事業継続」を実現することだ。山口氏は事業継続に適したシステムを構築するための重要な要件として、「レジリエントな基盤」「セキュアな基盤」「高いパフォーマンス」「環境への配慮」の4点を挙げる。
「データが消失してしまったら復元のしようがなく、業務に支障を来します。ストレージは、データを保持するための“最後のとりで”です」。ETERNUSの商品化に携わる富士通の秋山仁美氏(インフラストラクチャシステム事業本部・データシステム事業部・第一データインフラ部)はそう強調する。ストレージシステムが4つの要件を満たすには、下記のようなポイントに気を付ける必要がある。

1.レジリエントな基盤(可用性)
業務継続のためには、ストレージの可用性確保が必須だ。特に大企業や官公庁、金融機関などの重要なシステムにおいては、止まらないことが重要な要件になる。そのためには、可用性が高いストレージを活用したインフラの冗長化が必要になる。
2.高いセキュリティ(データ保護)
事業継続を確実にするには、インフラのセキュリティを確保することが必要だ。企業のストレージにはサイバー攻擊に対する耐性が求められる。データを勝手に暗号化して金銭を要求するランサムウェア(身代金要求型マルウェア)対策にはストレージのバックアップやリストア(復元)が有効であり、ストレージは重要な役割を担う。データを誤って消してしまうことがないようにする仕組みも搭載した方がよい。
3.高いパフォーマンス(高性能)
データドリブン経営では大量のデータを利用することになる。従来のシステムよりも、高度で多様なデータ処理をすることになる場合があるため、ストレージシステムには一層処理速度が求められる。
4.地球環境への配慮(省電力化)
企業の社会的責任(CSR)や環境・社会・企業統治(ESG)を全うするには、地球環境のサステナビリティにも配慮する必要がある。例えばその企業の温室効果ガス(GHG)排出量を削減するには、消費電力がなるべく少ないストレージ機器を採用することが必要だ。
高可用性が強みのFujitsu Storage ETERNUS AX ASA
富士通は事業継続のための4つの要件を満たすストレージ製品として「Fujitsu Storage ETERNUS AX/HX series」(以下、ETERNUS AX/HX series)を販売している(図1)。
図1 SSDのみで構成されたETERNUS AX seriesとSSD+HDDのETERNUS HX series(出典:富士通資料)
ETERNUS AX/HX seriesには、2つの特徴がある。1つ目は、ファイルアクセス(NFS/CIFS)とブロックアクセスのどちらにも使えるユニファイドストレージとして作られていることだ。そのためファイルサーバ用としてはもちろん、データベース(DB)用の高速ストレージにも利用できる。
2つ目に、筐体(きょうたい)内のコントローラーにストレージ専用OS「ONTAP」を内蔵していることが挙げられる。ONTAPはストレージの動作制御だけでなく、データ保護やデータ管理、クラウド連携、クラスタリングなどの機能を搭載する。これらのさまざまな機能を利用することで、ストレージシステムのハイブリッドクラウド化や、セキュリティの向上を実現できる。
ストレージシステムの可用性とデータ処理速度をより向上させるために、富士通は「ETERNUS AX1200/AX2100/AX2200/AX4100」の各機種で、All SAN Array(ASA)モデルを用意している。ASAモデルはストレージ用ネットワークのSAN(Storage Area Network)専用で、NVMe over Fabricを含む各種プロトコルをサポートしている。SANならではの、一段上の可用性とパフォーマンスが得られる点に強みがある。
ETERNUS AX seriesのASAモデルは、より強固な冗長構成が可能だ(図2)。「ASAモデルは、1つのストレージシステムに2基のコントローラーがあるデュアルコントローラー構成になっていて、どちらもアクティブで動作しています」と、山口氏は説明する。仮に1台のコントーラーに障害が発生しても、もう1台のコントローラーが自動的に処理を引き継ぐ。フェイルオーバー(引き継ぎ)に要する時間は約2秒だ。IT管理者がパス(接続経路)を切り替える必要はない。
図2 ETERNUS AX ASAには1台当たり2基のコントローラーを搭載。高速なフェイルオーバーを実現する(出典:富士通資料)
ETERNUS AX/HX seriesに装備されているONTAPの機能を活用すると、データ保護を確実にできる。基本的な機能の一つが、特定時点のボリュームの内容を複製・復元する「Snapshot」だ。そのバリエーションとして、プライマリーストレージで変更があった最新データのみをセカンダリーストレージに転送する「SnapMirror」や、複数のバージョンのデータを保持する「SnapVault」、ボリュームの復元機能である「SnapRestore」などがある。誤操作による書き換えを防ぐにはWORM(1回だけ書き込めるストレージ)を実現する「SnapLock」が役に立つ。
SSDで高いパフォーマンスを実現
データ保護や省電力化にも優れる
SSDとHDDを混載したハイブリッドアレイのETERNUS HX seriesには、FlashCacheと呼ばれるキャッシュ用SSD(容量2TBまたは4TB)を標準で内蔵する。秋山氏は「HDDへのアクセスに対してもSSDを2次キャッシュメモリとして利用することで、SSD並みのスピードを実現しています」と言う。
富士通はETERNUS AX/HX seriesの開発に当たり、地球環境の保護に力を入れている。ストレージ装置そのものの消費電力が抑えられているだけでなく、装置の発熱量を低減することによってサーバルームの冷却に要する電力も削減した。結果として、企業の温室効果ガス排出量を少なくすることができるのだ。

消費電力削減を可能にしている理由の一つは、HDDの代わりにSSDを採用したことにある。オールフラッシュストレージのETERNUS AX seriesでは全面的に、HDDとSSDを組み合わせたハイブリッドストレージのETERNUS HX seriesでは部分的にSSDを利用している。ETERNUSのSSDの消費電力はHDDよりも少なく、発熱量も小さい。
もう一つの理由は、ONTAPのデータ容量の圧縮と重複排除技術にある。利用できる圧縮方法は、データを8KBのCompression Groups単位に分割して圧縮するアダプティブ圧縮と、32KBのCompression Groups単位に分割して圧縮するセカンダリー圧縮の2種類だ。さらに、4KB未満のデータを4KBのブロックに集約するインラインデータコンパクション機能も用意されている。重複排除は、4KBのブロック単位で実行する。
これらの重複排除技術や圧縮技術を利用することでデータの容量が小さくなれば、必要な装置台数が減って消費電力が減り、ひいてはサーバルームの面積も減らせる可能性がある。
SSDには1秒当たりの入出力回数(IOPS)がHDDより多い傾向にあり、さらに1ドライブ当たりの容量は技術進化の結果増大しつつある。そのためHDDよりも少ないドライブ数でより多くの入出力実現できるという利点もある。1ドライブ当たりの消費電力が従前とそれほど変わらないことを前提とすれば、ドライブ数を減らすことがストレージシステムの消費電力削減に役立つ可能性がある。
導入前検証や安定稼働支援など
富士通ならではのサービスを提供
ユーザー企業のETERNUS AX/HX seriesの導入や運用を支援するために、富士通はさまざまなサービスを提供している。
例えば導入前の事前検証(PoC)用には実機での検証サービス「Platform Solution Lab」を提供中だ。富士通ソリューションスクエア(東京・蒲田)で試すだけでなく、回線経由のリモート検証も可能なので、首都圏以外からの利用にも向いている。自社内での検証を望むユーザー企業には、装置貸し出しサービスも提供する。「シミュレーターではなく実機をお貸ししますので、“実物を触って”性能を試していただけます」と秋山氏は言う。
富士通と保守契約を結んでいるユーザー企業は追加費用無しで「安定稼働支援」サービスを利用可能だ(図3)。「このサービスはNetAppの『Active IQ Digital Advisor』を利用し、お客さまのデータセンターに設置されている装置の稼働状況を分析できます。重大なトラブルにつながる可能性のあるリスクが検出された場合には、そのリスクをご説明し、対処方法をお客さまにお知らせする仕組みになっています」と、山口氏は説明する。保守契約を結んでいれば、SSDの書き込み寿命が近づいている場合、トラブルが発生する前に該当部品の交換にも応じるという。
図3 安定稼働サービスのサポート体制(出典:富士通資料)
富士通はETERNUS HX seriesのハイブリッドアレイであるETERNUS HX2100/HX2200を、2024年3月29日まで標準価格から30%オフするキャンペーンを実施中だ。その他にもETERNUS AB/HB series、ETERNUS AX/HX seriesとデータ保護ソフトウェア「Veeam Data Platform」の「Advanced」または「Foundation」エディションを同時購入した場合、Veeam Data Platformの価格を20%割り引くセールを2024年3月14日まで実施している。「当社は今回ご紹介したETERNUSだけでなく、『インテル Xeon スケーラブル・プロセッサー・ファミリー』搭載のPCサーバ『PRIMERGY』など、システム全体でお客さまのデジタルイノベーションを支える幅広いソリューションをご提案します(図4)」(秋山氏)
インテル Xeon スケーラブル・プロセッサー・ファミリー搭載の製品ラインアップ(出典:富士通資料)
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