2023年3月31日

カーボンニュートラルは、企業単独からサプライチェーン全体で取り組む時代へ。その実現の鍵とは?

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カーボンニュートラルへの取り組みは、いまやあらゆる企業にとって「待ったなし」の経営課題です。最近、その取り組みが新たなステージを迎えつつあります。企業単独での行動から、より幅広くグローバルなサプライチェーン全体で実現していこうという考え方です。なぜ、サプライチェーン全体を見据えなければならないのか?その課題解決に向けた鍵とは?サステナブルな社会づくりに貢献して企業価値を向上し、グローバルな競争力を高めていくためのヒントをまとめてみました。

なぜ、カーボンニュートラルは待ったなしの社会課題なのか?

SDGsへの関心の高さを例にあげるまでもなく、いまや「サステナビリティ」は時代を象徴する言葉といってよいでしょう。それは単なるトレンドではなく、社会における価値観の大きな転換であり、コロナ禍を経てその変化はさらに鮮明になっています。 このサステナビリティへの取り組みの中でも、もはや待ったなしの社会課題となっているのがカーボンニュートラルです。 2015年、パリ協定が採択され、現在、120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げて取り組みを進めています。わが国でも2020年、政府が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。 しかし、IPCC第6次評価報告書によると、今後も気温の上昇が見込まれ、CO2をはじめとするGHG(温室効果ガス)の排出を大幅に削減しないかぎり、パリ協定が掲げる長期的な目標(世界的な平均気温上昇を産業革命以前 に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力する)を今世紀中に達成することは困難ともいわれています。世界はもちろん、日本においても異常気象や自然災害の激甚化など気候変動によるリスクが年々高まっているのです。

カーボンニュートラルをめぐる世界の潮流は?

このような危機的状況のなか、世界の国・地域でカーボンニュートラルの実現に向けた施策が加速しています。 先行する欧州では、持続可能な循環型経済を目指した「新循環経済行動計画」を推進しており、その規制の対象を、欧州ばかりでなく、欧州と取引する他国の企業にまで拡大しています。また、環境規制の緩い国からの輸入品に事実上の関税をかける「炭素国境調整メカニズム(CBAM)」の導入を進めています。米国でも政府が同様の政策を掲げており、その動きは世界へと急速に広がりつつあります。 わが国においても2022年4月、「改正地球温暖化対策推進法」が改正され、企業におけるGHG排出量のデジタル化・オープンデータ化の推進など、カーボンニュートラルを実行していくための施策が次々と打ち出されています。

いまこそ、グローバルな競争力を高めるために

このように世界の価値観が大きく変化しようとしているいま、カーボンニュートラルへの取り組みが、企業の社会的価値を左右し、競争力を決定づけるきわめて重大な経営課題となっています。国内マーケットが縮小し、グローバル展開に力を注ぐ日本企業にとって、まさに「待ったなし」の課題といってよいのではないでしょうか。 それはまた、ビジネスチャンスの到来も意味しています。カーボンニュートラルへの取り組みとともに、経済の仕組みも従来のようなリニアエコノミー(線型経済)からサーキュラーエコノミー(循環型経済)へと転換しようとしています。このような社会や経済の変化とともに、使用済みの製品や企業活動による排出物から、貴金属や水、油などを回収して再利用するといった新しいビジネスが創出されようとしているのです。

企業単独から、サプライチェーン全体で取り組むステージへ

しかし、カーボンニュートラルへの取り組みは容易でないことも事実です。政府の施策にあわせてカーボンニュートラルを目指すことを宣言したものの、その実現に向けた道筋を明確に描けていないというのが、多くの日本企業に共通する現状ではないでしょうか。 さらに取り組みを難しくしているのがその範囲の広がりです。近年、カーボンニュートラルを考える場合、もはや企業単独での活動では限界があり、サプライチェーン全体で効率的に取り組んでいくことが世界的な潮流になっています。つまり、自社のGHG排出量だけでなく、調達、製造、物流、販売、廃棄など各プロセスでの排出もあわせてサプライチェーン全体で可視化していこうという考え方です。

企業単独から、サプライチェーン全体で取り組むステージへ出典:環境省『中長期排出削減目標等設定マニュアル』(p.18)

最近、カーボンニュートラルについて「Scope」という言葉をよく耳にします。これは国際的なGHGプロトコルによる基準であり、Scope1および2は自社による直接・間接的な排出量を指します。さらにScope3は、その上流にあたる原材料の調達や輸送、下流となる消費者による製品の使用や廃棄など、サプライチェーン全体での排出量を網羅しています。 そして近年では、このScope3までも含めた「サプライチェーン排出量」という基準でカーボンニュートラルを捉えることが世界的なスタンダードになっているのです。わが国でも、サプライチェーン排出量の削減に向けた情報開示が、プライム市場上場会社に実質的に義務づけられています。今後、このような動きはさらに広がっていくはずであり、企業において早急な対応が求められているのです。

ブロックチェーンによるトレーサビリティ基盤の構築

では、サプライチェーン全体に及ぶGHG排出量のトレーサビリティを実現するためにはいったいどのような技術が鍵を握るのでしょうか? ひと言にサプライチェーンといっても、その連鎖には国・地域や業界などの枠組みを超えて数多くのステークホルダーが関わっています。また、原料生産者から消費者までその立場もさまざまです。このような多様なステークホルダー間の取引の透明性を担保する信頼性の高い基盤を実現することは簡単ではないのです。 このトレーサビリティ基盤を構築するために注目を集めている技術があります。それがインターネット以来の革新技術ともいわれるブロックチェーンです。 このブロックチェーンとは、ネットワーク上にある端末同士を直接接続し、暗号技術を用いて取引記録を分散的に管理する技術です。ネットワーク内で発生した取引の記録を「ブロック」に格納し、それらをチェーン構造でつなぐアーキテクチャーにより、データの改ざんを事実上不可能にしています。このように分散的な管理という仕組みのためスモールスタートが可能で、法規定や商習慣が異なる業界や国・地域をも超えてシンプルにデータを共有できます。また、すべての工程が透明化されているため万が一の際のトレーサビリティも確保できるなど、ブロックチェーンはカーボンニュートラルの管理に適した特徴を備えているのです。 ブロックチェーンの形態には、仮想通貨のビットコインのようなパブリック型の他に、参加メンバーをある程度限定できるコンソーシアム型やプライベート型があります。近年、欧州の先進的な企業では、後者の形態によるブロックチェーンを利用して、サプライチェーン全体に及ぶ排出量のトレーサビリティ基盤を次々と実現しています。

深い知見と先進的な経験を活かした富士通のサポート

このような先進のブロックチェーン技術を利用してサプライチェーン全体に及ぶトレーサビリティ基盤を構築するサービスの一つが、富士通が提供する「Fujitsu Track and Trust」です。 富士通では、単一のプラットフォームソリューションではなく、コンサルティングから構築、運用までトータルなサポートを提供。ブロックチェーンの国際標準化団体INATBAの理事会に参画するなど、欧州や業界の動向に関する深い知見と豊富な経験を活かして、お客様それぞれに最適なトレーサビリティ基盤を実現しています。

カーボンニュートラルへの取り組みは、あらゆる企業にとって重大な命題であり、グローバルな競争力を高めるためにも欠かせない経営戦略です。 富士通は、ブロックチェーンという先進の技術を活用して、お客様のサステナビリティへの貢献とビジネスのさらなる成長を支援します。

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