直方市様
IPKNOWLEDGE 財務電子決裁システム

市を挙げたデジタルトランスフォーメーション (DX) ビジョンの下、全面的な決裁ルールの見直しや押印廃止を実行し、99%以上の電子決裁化を実現

直方市では、大塚進弘市長の方針の下、市を挙げたデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みを進めています。2021(令和3)年には、市長を本部長とする「DX推進本部」が発足。内部事務の手続き見直しと電子化、各種申請手続きのオンライン化、地域の情報化などを推進しています。内部事務の電子化に当たっては、2022(令和4)年4月より、IPKNOWLEDGE 財務情報システム・電子決裁システムによる運用を開始し、現在では100%に近い電子決裁率を達成しています。明確なビジョンとそれを実行する組織づくりによってDXを推進する直方市の取り組みを、DX推進係のご担当者に伺いました。

直方市でのデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みについてお伺いします

多くの地方自治体と同様に、直方市においても、少子高齢化、人口減少という問題に直面しています。そのような中で、これからの地域創生、活性化のための取り組みとして大塚進弘市長が掲げたのが、市を挙げたDXの推進です。

直方市では、2021年1月に、市長、副市長、教育長、部長級の職員および外部人材(CIO補佐官)で構成される、「直方市デジタルトランスフォーメーション(DX)推進本部」を起ち上げ、部署横断的なDX推進の取り組みを開始しました。推進に当たっては、DXのビジョンとして、「内部事務の変革」「外部向け行政サービスの変革」「地域の情報化」の3つを掲げ、このビジョンのもと、DX推進本部の下に、「電子決裁・事務手続き見直し部会」「オンライン申請推進部会」「地域情報化推進部会」の3つの専門部会を起ち上げて、取り組みを進めました。

内部事務では、「意識改革と質の高い仕事へのシフトによるBbyCの向上」を掲げて、「デジタル化による生産性の向上」に取り組むこととしています。外部向け行政サービスでは、「市役所に足を運ばなくても受けることのできる行政サービスの提供の実現」を掲げて、「市民・企業の不経済発生の防止」に取り組むこととしています。

「地域の情報化」では、『「社会システム産業」興しによる「稼ぐまち」の形成』を掲げて、「市民所得の向上」に取り組むこととしています。この「内部事務、外部向け行政サービス、地域の情報化」の3つのビジョンにより、「市役所も含めた地域全体の情報化」を一体のものとしてとらえている部分が、従来のいわゆる「IT化」や「システム化」とは考え方がまったく異なる部分であり、直方市DXの特徴になります。

直方市総合政策部企画経営課
DX推進係 係長 貞光 康 氏

従来の内部事務では、どのような課題があったのでしょうか

市の生産性を向上させ、質の高い仕事へとシフトしていくためには、これまでの“書面主義”や“押印原則”を見直し、デジタル化を推進していくことが不可欠です。直方市では、このデジタル化の推進に当たり、早期の電子決裁システムの導入が最重要事項の一つであると位置付け、2022年度からの「原則100%電子決裁の導入」を目指して取り組みを進めました。

電子決裁の導入に当たっては、単に「現在の事務手続きを電子化(デジタル化)する」のではなく、併せて「やり方そのものを見直す」ということに対して、市の方針として明確に定めた上で、取り組みを進めました。なぜなら、これまでの直方市のやり方は、財務会計の執行伺~支払いまでの一連の流れにおいて、市独自の運用(いわゆる内部ルール)がきわめて多いという課題がありました。

また、明確なマニュアルも存在していなかったため、支払い事務を実施するに当たって、1つの決裁に対して、「何の資料の添付が必要であるか」などが不明確で、それを確認するために職員が時間を浪費しているという問題がありました。このような課題や問題を、今回の電子決裁導入に併せて見直さなければ、電子決裁後に、逆に事務が煩雑になるおそれがありました。

既存のやり方の見直しはどのように進められましたか

これまでのやり方(ルール)は、直方市が何年も、場合によっては何十年もかけて形づくってきたものであり、それをいきなり変えるとなると、職員の間で混乱が生じることは想像に難くありません。

そのため、見直しに当たっては、事前に他自治体の規程等を調査・集約し、これまでの本市の規程が他自治体と比べて厳しいものとなっていることをエビデンスとして示したうえで、見直し案を提示することにより、職員の不安の軽減に努めました。また、変更に当たっては、職員への繰り返しの周知や意見聴取を実施し、電子決裁導入に向けた取り組みや事務の見直しに当たり、「推進部署のみが動いて何か決めようとしている」ということではなく、「市役所全体でこの取り組みを進めている」という意識を職員一人ひとりが持つことができるように努めました。

結果として、多くの職員の協力のもと、取り組みを進めていくことができ、大幅な見直しであっても、庁内の合意形成を図ることができたと考えています。

押印の義務付け廃止とペーパーレス化の取り組みについてお伺いします

押印の義務付けについては、2020(令和2)年度末時点で、すでに多くは廃止されておりましたが、契約書等に基づく経理関係書類については、引き続き継続検討として残っている状況でした。この課題を解消すべく、2021年度の初めに、「2022年度から、契約書、請書を除いて、経理関係書類の押印義務付けは廃止する」という方針を定めました。

これは、国の押印廃止ガイドラインの内容をDX推進本部にてご説明したうえで、このガイドラインに沿う形で、2022年度より本市の見積書・請求書および一連の契約関係書類(着手届、完了届、納品書等)について、押印の義務付けを廃止して、電子での提出を可とする取扱いを定めたものです。

また、ペーパーレス化に当たっては、DX推進本部で「ペーパーレス化行動方針」を策定し、2024(令和6)年度までに、市全体で用紙を50%削減するというKPIを設定しました(対2021年度比)。加えて、紙の使用頻度は課ごとに異なるため、市全体だけでなく、部署ごとにもKPIを設定しました。事前に部署ごとの紙の使用量の調査を行い、その結果をもとに部署ごとのKPIを設定・集約すると、市全体として50%減の目標が達成できないことがわかり、そこからさらに細かく使用状況の分析を行って、最終的に市全体で50%減が達成できるKPIとなるよう、各部署と調整を行いました。

これにより、各部署がKPIをクリアしないと目標が達成できないため、全員が“自分ごと”としてペーパーレスに取り組めるようになったと考えています。

IPKNOWLEDGEの運用についてお伺いします

直方市総合政策部企画経営課
DX推進係 品川 将志 氏

IPKNOWLEDGEの電子決裁導入に関しては、すでに財務情報システムが稼働していたため、電子決裁システムを追加するだけでスムーズな導入ができました。

電子決裁導入に当たり、ルールの変更などこれまでのやり方が大きく変わりますので、システムに関しては使い慣れたIPKNOWLEDGEをベースに進めることで、職員が大きなストレスを感じることなく運用変更ができてよかったと思います。

財務情報システムの電子決裁導入に関しては、導入前の職員向け説明会など、ICTコンストラクションさんにサポートいただき円滑な導入を後押ししていていただきました。われわれ自身はシステム操作に精通しているわけではありませんので、的確かつ迅速にアドバイスやサポートをいただけることは助かっています。

内部事務のDXの成果についてはいかがですか

電子決裁については、2022年4月から11月までの全2万1854件の財務決裁事務のうち、2万1678件(約99.2%)が電子決裁で処理されています。主な内訳は、執行伺が99.0%、支出負担行為が99.6%、支出命令(支出負担行為兼命令を含む)が99.8%などです。また、電子決裁により本庁から物理的に距離が離れている部署などは、決裁のたびに移動する時間や手間がなくなりました。ほかにも、起案する側の職員が、自席から決裁の進捗状況が確認できるようになったこともメリットの一つです。 ただ、電子決裁化はそれ自体がゴールではなく、プロセスの見直しや今後の自動化の取り組みを含めて、業務の効率化を実現し、生産性を向上させることができて初めて職員もやって良かったと成果を実感できると思います。今後は、それによって生まれる時間や余力を、 EBPM(Evidence-Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)から事業の実施までの行政サービスの質の向上や、地域全体の情報化につなげていきたいと考えています。

DXを成功させるためのアドバイスをお願いします

DXを進めるためには、トップダウンとボトムアップの両輪で進めることが重要だと思います。トップダウンを機能させるためには、部署横断的な組織体制が必要で、各部署のトップが参加する中で大きな方針を決めることが重要と考えています。 また、直方市のDX推進本部には、CIOである市長を補佐するアドバイザー(CIO補佐官)を迎え、適宜アドバイスや助言をいただける体制をつくっています。客観的かつ的確なアドバイスをいただける専門家がいることで、方針決定の場面で皆が納得して進めることができていると思います。ボトムアップの部分では、明確なビジョンを設定して、職員へ繰り返しの周知と意見聴取の場を設けて、市全体で取り組みを共有しながら進めることが大切と考えています。 現場の職員が“自分ごと”として取り組みを進めていけるよう、しっかりとビジョンや意図を提示し、説明していくことが重要だと思います。

左から直方市総合政策部企画経営課DX推進係係長 貞光 康 氏、同 品川 将志 氏

直方市様

所在地福岡県直方市殿町7-1
代表者直方市長 大塚進弘
人口55,640 人(2022年10月末現在)
職員数450名(2022年4月1日現在)
ホームページhttps://www.city.nogata.fukuoka.jp
概要直方市は、福岡県の北部、筑豊地方の北端部に位置し、福岡都市圏と北九州都市圏の双方に1時間以内で通勤でき、両都市圏のベッドタウンとなっています。市の中心部は筑豊平野のほぼ中央にあり、九州の主要一級河川で2番目の長さを有する遠賀川が流れています。また、市東部には平均600m級の山々が連なる北九州国定公園がある自然豊かな地域です。 昭和30年代まで石炭産業で栄え、炭鉱閉山以降は、輸送機器やポンプなどの製造業が中心産業となり、“ものづくりのまち”として知られています。

市内中心を流れる遠賀川

15万本のチューリップが咲くのおがたチューリップフェア(春開催)

直方市石炭記念館

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