うきは市 様
IPKNOWLEDGE 庶務事務システム

会計年度任用職員を含めた全職員の勤怠管理をシステム化。時間外勤務状況のリアルタイム把握、申請のオンライン化などで業務負担を20%軽減

うきは市役所庁舎外観

うきは市では、2021(令和3)年、IPKNOWLEDGE庶務事務システムを導入し、会計年度任用職員を含めた職員の勤怠管理、時間外勤務などの各種申請を電子化しました。従来の紙で行われていた運用を、勤務体系の不規則な会計年度任用職員も含めてシステム化することで、勤務時間がリアルタイムに把握できるようになり、時間外勤務の抑制や適正化など労働安全管理が可能になりました。また、時間外勤務や休暇などの各種申請をオンライン化することで、業務の効率化が実現できペーパーレス化も進んでいます。人口減が続く状況下で、少ない職員で自治体運営を継続的に行うため、デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として勤怠管理のシステム化に取り組んだ、うきは市総務課のご担当者にお話しをうかがいました。

課題
効果
課題 勤怠管理がシステム化されておらず、職員の勤務時間が月遅れでしか把握できないため、適切な労働管理ができなかった
効果 職員の勤務時間が当月内に可視化され、時間外勤務の抑制や適切な人員配置の検討が可能になり、市全体としての働き方改革へのアプローチが進展した。出退勤の記録はPCによる打刻になり、IPKNOWLEDGEの使い慣れたユーザーインターフェイスでスムーズに移行できた
課題 時間外勤務や休暇の申請などは紙で行われていたため、総務課における労働時間の集計作業や人事給与システムへの入力、申請書の確認や管理に手間と労力、時間がかかっていた
効果 発生源での入力とオンラインによる申請によって集計の必要がなくなり、ルーティンの作業が約20%削減された。また、各種申請がペーパーレスとなり決裁行為の電子化が進んだ
課題 少ない職員数で運営する自治体にとってデジタル化をどのように進めるかが課題だった
効果 庶務事務で申請や決裁を電子化できたことで職員全体のDXへの意識が向上した

背景

うきは市様ではデジタル化にどのように取り組まれていますか

2019(令和元)年度に「うきは市スマート自治体推進本部」を立ち上げました。組織内部の業務効率化を目的として、関連する所管部署、例えば総務課の情報システム係や人事秘書係、会計課の会計係などで構成され、業務プロセスの標準化や人工知能(AI)、RPAの活用といった検討を進めました。実際にクラウド型サービスを活用した組織内外での申請業務のオンライン化、市の広報のLINEでの運用、採用試験でのWeb面接などの取り組みを進めました。現在は、ボトムアップの取り組みとして若手職員の有志による“デジタルトランスフォーメーション(DX)推進プロジェクトチーム” を構成して、現場レベルの課題を洗い出しながらデジタル化に取り組んでいます。

庶務事務のシステム導入を進めた背景をおうかがいします

うきは市では、これまで勤怠管理のシステムが導入されていませんでした。うきは市には、正規職員と会計年度任用職員を合わせて500名おりますが、紙での運用と管理を行っていました。また、時間外勤務の管理についても紙で行っており、その集計には大きなマンパワーが必要で時間もかかっていました。各課から集められた時間外勤務簿を、人事秘書係が手計算で集計し、それを人事給与システムに入力するという作業が必要で2、3日かかっていました。また、紙管理を行うことで書類の保管の課題もありました。自治体におけるDXを推進する流れの中で、総務課としての課題解決の取り組みとして導入を進めたところです。

IPKNOWLEDGE庶務事務システムを選定された理由を教えてください

IPKNOWLEDGEについては、2012(平成24)年から財務会計と文書管理が導入されており、長く使用してきました。職員がユーザーインターフェイスを含めてシステムに慣れ親しんでいることが第一であり、その上でシステムのレスポンスや運用面などを評価し、他のシステムを導入する場合のコスト面なども総合的に検討した結果、IPKNOWLEDGEの庶務事務システムの選定に至りました。

導入時の工夫

導入時に苦労されたのはどんなところですか

IPKNOWLEDGE庶務事務は全国の多くの自治体に導入されていますが、会計年度任用職員を含めた管理を行っている自治体が少なく、また、管理の対象となる会計年度任用職員の規模が異なっていて参考となる事例が少なかったのが苦労した点です。会計年度任用職員は勤務形態がさまざまで、それを庶務事務のシステムでどうやって管理するかは頭を悩ませました。この部分については、導入時にICTコンストラクションのシステムエンジニア(SE)の方にしっかりとサポートしていただき、われわれの気がつかなかった点を指摘いただいたり、他の自治体でのやり方をご提案いただいたりしてクリアすることができました。

実際の導入はスムーズに進みましたか

約5か月の短期間の導入でしたが、総務課人事秘書係を中心に各課の関連部署と合同で意見交換をしながら進めました。職員にとってはシステムも運用自体もまったく新しくなりますので、不安や戸惑いを解消するために情報開示と丁寧な説明を行うことを心がけました。実際の運用がスタートすると新たな疑問が出て質問も多くなりましたが、できる限り対応してスムーズな運用ができるように進めました。

導入効果

勤怠管理のシステム化の効果はいかがですか

出退勤については、PCでの打刻になり運用のフロー自体が大きく変わりましたが、使い慣れたユーザーインターフェイスでしたのでスムーズに移行できました。また、従来は時間外の勤務状況は、1か月単位で翌月にしかわかりませんでした。庶務事務の導入後は、時間外の勤務時間は、総務課で月内にリアルタイムで把握できるようになりました。例えば、当月の勤務時間が一定時間を超えそうな職員がわかりますので、時間外勤務の抑制を促したり、業務の見直しを検討したりするなど、働き方改革の一環として労働安全衛生に寄与することができるようになりました。
業務を主管する総務課の時間外勤務時間も削減されています。従来は紙で行っていた業務の電子化により、申請が発生源で入力・データ化され、オンラインでの決裁とデータの集約・集計が可能になったことで、手で計算や集計を行う手間がなくなり、紙で行われていたルーティンの作業が減少し大きな業務効率化につながっています。以前より20%程度は削減できていると感じています。

そのほかの効果はいかがですか

従来は、職務規程には記載されているとはいえ、職員は休暇の種類や自分があと何日取得できるのかといった情報を把握できていないことが多かったのですが、庶務事務ではメニューに休暇の種類が表示され、取得可能な日数についても見られるようになりました。これによって、男性の育児休暇制度があることが周知されて取得の相談を受けるというようなことが増えました。総務課としては、休暇に関する問い合わせなどを受けて説明していた時間が省略され、結果として業務削減につながっている面もあります。
一方で、紙の運用時には時間外などの勤務実績の把握にタイムラグがあったことから、管理職があとから職員の勤務状態に気がつくというケースがありました。庶務事務導入後は、申請がリアルタイムに届くため、この時間外勤務が本当に必要なのか、日を改めたり、やり方を変えたりすることで業務の負担を軽減できるのではないかといった、職場内でのコミュニケーションの活性化にもなっています。それが、業務の日常的な改善や効率化のためのディスカッションにもつながり、働き方改革に向けた意識づけになったのは大きな進歩だと感じています。

ペーパーレスや電子決裁についてはいかがですか

庶務事務の申請部分はペーパーレスになりました。時間外勤務申請、休暇申請といった職務にかかわる部分は電子化されましたし、そのほかも汎用申請機能を利用して電子化を図りました。汎用申請機能を使った電子化は、現在、公用車の使用登録、インフルエンザの予防接種の費用補助申請、旧姓使用の申請届、廃止届の4項目を運用しています。ペーパーレス化や電子申請については、やはり庶務事務導入によってオンライン申請が可能になったことが職員の意識を変えた部分があると感じています。日常業務の電子化により便利さを実感したことで、他の業務での電子化、ペーパーレス化への意識が加速した部分があると思います。
ここからは課題になりますが、残念ながら現在、電子決裁を含めた電子化は庶務事務にとどまっており、今後、市を挙げたデジタル化を進めていくためには、全庁一体でこの部分をクリアしていくことが不可欠ではないかと感じています。

サポートについてはいかがですか

2022(令和4)年1月1日から「出生サポート休暇」が新設されましたが、こういった法改正にも適切に対応いただきました。法律等の改正に伴う変更は猶予がありませんので、迅速な対応で助かっています。また、サポートについてもICTコンストラクションさんには問い合わせに迅速に対応いただいています。コロナ禍でもあり対面での対応は難しいところもありますが、逆にテレワークの環境の中でつながりやすくなっている面もあり、大きなトラブルもなく運用できていると感じています。

今後の展開/富士通Japanへの期待

今後のDXへの取り組みについておうかがいします

うきは市は、少ない職員数で自治体運営を行っています。人口自体も2005年の合併時の3万3000人から、2021年の国勢調査では2万8000人弱まで減少しています。当然、職員数についても大きな増員は望めない状況で、今後、業務の効率化は必須の課題です。自治体のデジタル化は国全体の方針として進められているところですが、まずは庶務事務のようなシステム導入をきっかけとして、その先のさまざまな業務効率化に向けてアンテナを張りめぐらして情報収集しながら進められたらと考えています。富士通Japan株式会社は、いろいろな業種で多くの知見を持っていると思いますので、今後のDXの展開についても情報提供やご提案をいただければと期待しています。

うきは市の皆様の集合写真左からうきは市総務課人事秘書係係長 河原 氏、総務課課長 吉松 氏、総務課情報システム係 平 氏

うきは市様 概要

所在地福岡県うきは市吉井町新治316
代表者うきは市長 髙木 典雄
人口28,359人(2022年4月1日現在)
職員数235人(2021年4月1日現在)
ホームページhttps://www.city.ukiha.fukuoka.jp/
うきは市のご紹介うきは市は、2005年に旧浮羽町と旧吉井町が合併して福岡県内26番目の市として誕生しました。福岡県南部で大分県との県境に位置し、耳納連山と筑後川の間で豊かな自然に囲まれたまちです。 その豊かな自然と、気候や地勢を生かして柿、ぶどう、すもも、いちじくなど年間を通してさまざまなフルーツが楽しめ、農業産出額に占める果実の割合が34%(全国平均9%前後)を占める「フルーツ王国」でもあります。
また、白壁土蔵造りの街並みや“日本の棚田百選”にも選ばれた「つづら棚田」、91基の鳥居が立ち並ぶ「浮羽稲荷神社」などの観光スポットも点在し、自然豊かな観光地めぐりも楽しめます。
市章市章
白壁土蔵造りの街並み白壁土蔵造りの街並み

桃

[2022年7月14日 掲載]

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