苫小牧市 様
IPKNOWLEDGE 財務情報システム
財務会計システムを導入し、支払業務の電子決裁率100%を達成。会計審査業務を大幅に効率化しペーパーレス化も加速
2020(令和2)年、苫小牧市におけるIPKNOWLEDGE財務情報システム導入の決め手になったのは、標準パッケージによる機能実現率が94.7%と一番高かったことと、業務連携性が高いことでした。システム更改を機に標準化、効率化を目指して運用を見直し、カスタマイズを極力減らしました。すでにIPKNOWLEDGE 人事給与、庶務事務システムを導入済みで職員が使い慣れており、電子決裁にスムーズに移行できるメリットもありました。現在では支払業務の電子決裁率は100%を達成しています。会計課では枚数確認など無駄な作業が大幅に減り、会計審査に専念できるようになっただけでなく、ペーパーレス化が加速し、リモートワークが可能な体制も整いました。苫小牧市会計課、管財課のご担当者にお話を伺いました。
- 課題 紙での決裁時には、決裁者が不在で滞ることもあり、対象書類のステイタス確認、案件完了までの運用に時間を要していた
- 効果 起票すれば自動的に進むフローのため、起票者、決裁者の負担が軽減した。会計課では紙の支払伝票がすべて電子化されスムーズに運用できるようになった。支払業務に関しては電子決裁率100%を達成しており、審査のリモートワークも可能になった
- 課題 会計課では、決裁済みの書類が持ち込まれ、問い合わせに応じて保管棚にある大量の書類の中から伝票を探すためにかなりの時間を取られていた。また会計検査の際は、関連伝票を抜き出して貸し出すための手続きにも手間がかかっていた
- 効果 電子化されたことで、伝票を探す時間が大幅に削減されただけでなく、今後は紙を保管する棚も削減できる予定。会計検査の際も、伝票の抜き出しは不要となり、大幅な省力化が期待できる
- 課題 公共施設のマネジメントは、これまで紙と表計算ソフトなどで行っており、データが分散し統合的な管理ができず非効率だった
- 効果 SaaS型の公共施設マネジメントシステムを同時に導入し、今後、財務情報のデータを活用して一元的に管理する環境が整った
背景
財務会計システム更新の経緯について教えてください
旧システムのサポート期限切れが迫った数年前から、各ベンダー製品の情報収集を始めました。「業務の簡素化、効率化、標準化を図るために最適なシステム」という観点で各システムを比較、調査して検討しました。選定にあたっては、会計課、財政課、契約課、管財課の主務4課から成るプロジェクトチームを構成し、各課の業務を洗い出して仕様をまとめました。選定前のデモの際は、庁内の利用頻度の高い課をピックアップし、各課から2~3名、合計数十人にユーザー目線で使い勝手を評価してもらいました。
IPKNOWLEDGE財務情報システム選定の決め手は何でしたか
標準パッケージによる機能実現率が94.7%と最高だったことが一番の決め手です。システム導入を機に事務を再構築し、カスタマイズを最小限に抑え、TCO削減を目指しました。
業務連携性が高いことも決め手の一つとなりました。それを審査業務に活用した電子審査の存在も大きいです。契約から支払まで紐づけて管理し、審査時に、その情報を遡って見ることができる機能は、非常に魅力的だと思いました。また請求書と支払伝票を同画面で見ることができるのも、会計審査が抱いていた電子決裁導入への不安を解消し、高評価でした。
すでにIPKNOWLEDGE 人事給与・庶務事務システムが導入済みでしたので、電子決裁基盤や職員情報の連携性により管理コスト削減が見込まれることもポイントでした。耐障害性を強化するシステムの冗長構成や豊富な導入実績、リモート保守なども考慮し、IPKNOWLEDGE 財務情報システムを採択しました。2020(令和2)年10月から予算系、2021(令和3)年4月から執行系が本稼働しています。
その他インタビューご参加者:
会計課 課長 大谷 真 氏、管財課 主査 畔越 信一 氏、主事 坂井 敬祐 氏
導入時の工夫
構築にあたりどのような工夫をされましたか
前述のプロジェクトチームで業務を洗い出し、庁内独自の不要なルールなどがないか改めて見直しをして、一部の運用を変更しました。その一つが、支払伝票への明細入力省略です。請求書の検算は各課の業務とし、財務システムへの入力は最小限にしたことで、入力の省力化だけでなく細かい確認や修正が不要になり、起案者、決裁者、審査者の負担が軽減しました。また、これまでは起票時に、工事の設計書や金額と関係のない契約書など何十枚もの資料が添付されているケースがありました。これも審査段階において最低限必要な書類のみをスキャンして添付するよう指導し、業務の効率性を高めました。
構築時に視察に行かれたそうですね
富士通から運用方法の提案は受けていましたが、実データで運用している様子を見て参考にしたいと考え、同じシステムを導入している近隣市へ視察に行きました。指定金融機関とのやり取りなどが確認でき、重要なステップだったと思います。
ただ、入念に調査しても、稼働後に認識違いから一部運用の変更が必要になったことがありました。その時点で、すでに初期設定をして運用を始めている状態にも関わらず、パラメーター設定を変えるだけで対応でき、柔軟性の高い、自由度の高いシステムだと再認識しました。
コロナによるスケジュールへの影響はありませんでしたか
構築期間はちょうどコロナ禍で、緊急事態宣言の発令もありました。富士通の担当SEが来庁できなくなった期間は、リモートで対応してもらい構築を進めました。電話だけでは伝わりにくい相談も画面を見ながら議論でき、感染拡大の状況でもプロジェクトは滞ることなく、スケジュール通りに稼働できました。
庁内の操作研修は、密を避けるため人数を制限し、回数を増やして実施しました。また操作研修の動画を富士通に作成してもらい、全庁ネットワークで公開しており、操作の確認や新任職員、異動者の研修に活用しています。
導入効果
稼働後の使い勝手はいかがですか
スムーズに移行し安定稼働しています。レスポンスも良く、検索の待ち時間がなくなり、ストレスなく操作できています。人事情報、組織改編等の情報がIPKNOWLEDGE人事給与システムから容易に取り込めるようになり、年度初めの業務も省力化されました。職員は、IPKNOWLEDGE 庶務事務システムの電子決裁などをすでに使っていますので定着するのが早く、支払業務に関しては電子決裁率100%を達成しています。起票者は、以前のように決裁をもらうために書類を持って回ったり、決裁後の伝票を会計課に持ち込んだりする必要がなくなりました。
会計課の業務はどのように変わりましたか
会計課内ではこれまで、伝票紛失を防ぐため伝票を引き継ぐ度に枚数確認が必要で、毎日百枚単位の伝票を数えていました。支払漏れ防止のために、データと紙伝票を突合するのも時間のかかる業務でした。電子化されていないため、紙の伝票を探したり、原課に電話して確認したりといった業務も発生しており、かなりの手間がかかっていました。
導入後は、このような作業が一掃され、会計審査に専念できるようになりました。伝票を支払日順、科目順に並べるファイリングや、明細の確認、突合作業も不要になりました。伝票の検索は端末で簡単にできます。返戻コメントの機能も、記録に残るので後で見返すことができ、所属ごとの傾向把握に活用しています。さらに、紙の伝票で支払業務を行うためには、ある程度の人員が必ず出勤する必要がありましたが、会計審査はリモートワークが可能になり、出納担当も最低2人出勤で対応できるようになり、コロナ禍においても支払業務が停滞しない環境ができました。ペーパーレス化が加速していくことで、今後、保管場所も削減できる見込みです。
ほかにどのような効果が期待されますか
会計検査の際、これまでは膨大なファイルの中から紙の伝票を抜き出す必要がありました。原本が電子化されたことによりこういった手間がなくなり、今後は大幅な負担軽減になると期待しています。
今回、財務情報システムと合わせて、SuperCALS 公共施設マネジメントSaaSを導入しました。本格的な運用はこれからですが、これまで表計算ソフトなどでばらばらに管理していた公共施設の基本情報、点検データ等を、一元管理していく予定です。財務情報システムのデータも活用して分析し、各種計画に反映することで、公共施設の更新や長寿命化に活かしていきます。
今後の展開/富士通への期待
今後の展望ならびに富士通へのご要望をお聞かせください
近々、インボイス対応等の法改正が計画されています。また、地方税共通納税システム対象税目拡大で、金融機関での納付書の取扱が大きく変わることが予測されます。パッケージならではのスムーズで、経済的な対応を期待しています。あわせて、現在、別々に構築されているIPKNOWLEDGE 人事給与、庶務事務システムとのサーバー統合、文書管理システム等についても検討していく予定です。政府のガバメントクラウドの動向にも注目しながら、より効率的なシステム管理を目指していきます。富士通には今後も継続的に情報提供、相談に乗っていただき、よりよい提案をお願いします。
苫小牧市様 概要
所在地 | 北海道苫小牧市旭町4丁目5番6号 |
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代表者 | 苫小牧市長 岩倉 博文 |
人口 | 169,756人(2021年9月30日現在) |
職員数 | 2,218人(2020年4月1日現在) |
ホームページ | https://www.city.tomakomai.hokkaido.jp/ |
苫小牧市のご紹介 | 苫小牧市は北海道中央部、太平洋に臨む場所に位置する道内4番目の都市です。国際拠点港湾である苫小牧港と、国内5番目の利用者数を誇る新千歳空港の「ダブルポート」を擁し、北海道経済発展の拠点として大きな役割を担う一方で、樽前山麓の広大な森林、ラムサール条約湿地に指定されるウトナイ湖など自然環境にも恵まれています。また、苫小牧市子ども会議で名づけられた公式キャラクター「とまチョップ」は、2021年8月で生誕から10周年を迎え、市民に愛され、市民とともにまちを盛り上げています。
近年は、世代や性別に関わらず、豊かで明るく誰もが住みやすい「とまこまい」を目指し、議会のペーパーレス化、行政サービスのICT化、ワークライフバランスの推進などにも力を入れており、経済産業省の健康経営優良法人2021(大規模法人部門)にも認定されました。 |
[2022年1月13日掲載]
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