「働き方改革」を成功に導くRPAによる業務自動化とテレワーク導入のポイント

労働力人口の減少、「2025年問題」など人手不足が深刻化する中、「より生産性の高い働き方」が求められています。富士通グループでも、RPA/AI(人工知能)を活用した業務の自動化や、テレワークの導入などを積極的に進めています。富士通グループの社内実践から働き方改革のポイントを紹介します。
【マイナビニュースフォーラム2019 Summer for 働き方改革 セッションレポート】

「介護をしながら働く」が当たり前の時代 働き方をどう変えるか

「近年、高度なIT知識を必要としないロボット開発環境の登場などで、企業の導入意欲が急速に拡大しています」

株式会社富士通マーケティング商品戦略推進本部
ソリューションビジネス推進統括部
ソリューション推進部 部長 田中良和

少子高齢化やそれに伴う人材不足は、すでに社会問題化して久しいです。中小企業基盤整備機構のアンケート調査によると、7割以上の中小企業が「人手不足」を感じており、その半数以上が「深刻」であると回答しています。

また、単に労働人口が減少するだけでなく、団塊の世代が後期高齢者になることで、その子どもである団塊ジュニアの世代が介護離職の危機に直面する「2025年問題」も避けて通れません。近い将来、介護をしながら働くのが当たり前の時代になるでしょう。これらの問題に対して企業が取れる対策の方向性は2つあります。一つは「RPAやAIを活用した業務の自動化」です。もう一つは「柔軟な働き方を支援するテレワークの導入」です。これらに関連するビジネスも活性化しています。

RPAの導入で ルーティンワークを自動化する

RPAとは、「Robotic Process Automation」の略で、従来、人の手で行われていたシステム操作などの作業や業務をソフトウェアロボットに覚えさせて、自動化することを指します。近年では、高度なIT知識を必要としないロボット開発環境の登場により、企業の導入意欲が高まっています。

調査会社のガートナー がまとめた国内企業の導入状況を見ると、2017年5月の時点で「導入済み」が14.1%で、「導入中」「導入検討中」「導入予定」を合わせると7割を超えます。RPA市場の年平均成長率も59.3%と、高い成長率を維持しています。

それでは、RPAツールを活用して、どのように業務を自動化するのか、その手順を説明します。まずは、オフィスでの業務の担当者が、普段、どのようにパソコンのマウスやキーボードを操作しているのか、その操作内容を「シナリオ」として記録する「記録フェーズ」があります。次に、同じ作業を繰り返す「繰り返し」や、「ある条件の場合には、こういった業務をする」という「分岐条件」の追加設定など、シナリオを編集する「編集フェーズ」があります。そして、編集したシナリオを再生することで業務を自動化する「再生フェーズ」と続きます。

RPAは様々な業務に適用することが可能ですが、特に処理ルールが明確化されている業務や、扱うデータ量が多くて同じ操作を繰り返すような業務、長時間のパソコン操作を必要とする業務、複数アプリケーションを参照しながら転記や修正を行う業務などに向いています。

RPA化に向く業務特性

具体的には、決算書や資金繰り表の作成、与信管理、社員情報登録、勤務実績のデータ入力、顧客情報入力、名寄せ処理、受注情報・売上情報の集計やレポーティングなど、経理業務や人事業務、営業事務に幅広く適用できます。

中でも、見積書、請求書など紙帳票のデータ化などを自動化するケースが多く見られます。例えば、紙帳票を起票して分類し、誤りがないかチェック・修正して、企業内ポータルサイト(EIP:Enterprise Information Portal)に入力する業務の自動化を考えてみます。こうした業務では、紙帳票の起票後にOCRでデータ化して担当者がデータをチェックし、RPAがEIPに自動入力する流れになります。つまり、起票とチェック以外は、「全部ロボットに任せる」ことができるようになるのです。

その他にも、例えばお客様に何らかのアンケートを実施した場合、名刺情報とアンケートの回答情報を電話番号で紐付け、名刺をいただいたお客様がどんな回答をしているのかを確認する作業も自動化できます。

この場合では、まずロボットがOCRを起動して名刺を読み込んでMicrosoft Excelに出力します。次にアンケート情報をOCRで読み込んで名刺情報と突合し、突合した情報を集計用のポータルサイトに登録するという流れです。このほか、何千通と届くメールへの自動返信や、複数のデータから適切な需要予測を行う、外部サイトから情報収集して分析するといった業務にも向いています。

RPAによる社内実践で年間4300時間を削減

富士通マーケティングでは、RPAによる業務自動化の社内実践を進めています。2018年は社内8部門で30案件に適用。年間で4300時間の削減効果が出ています。今後さらに進める予定ですが、その際に気をつけるべきことが、様々な部門・部署で独自にRPAを導入してしまう「野良ロボット」が発生してしまうリスクです。

そこで当社では、RPAの適用プロセスを策定しています。まずRPAの導入申請書を作成してもらい、内部統制上問題がないか内部統制室が審査。審査したものをもとにシナリオを作成します。テスト段階では、異常が起きた動作への対応を手順化し、不要なアプリを削除するなどして動作の安定化を図ります。

RPAは定型業務の自動化で実用化が進んでいますが、今後は人の判断や意思決定が必要な非定型業務の分野でも導入が進むでしょう。意思決定の部分を担うのがAIです。AIを活用した高度な自動化への進化が、来るべきRPAの未来です。

場所に捉われない働き方を可能にする「テレワーク」の実践

働き方改革を進める上で、もう一つの重要なキーワードが「テレワーク」です。テレワークは、場所に捉われない働き方を可能とする勤務形態のことを指します。出張先や移動中、ホテルなどで仕事をするモバイルワーク、勤務先以外のオフィスで仕事をするサテライトオフィス、出勤せず自宅で仕事をする在宅勤務などが含まれます。

富士通マーケティングでは2014年からテレワークに取り組んでいます。2014年は営業社員向けのタブレット端末(営業タブレット)を100台導入し、あわせて、PCの持ち出しルールをより厳格に制定しました。2015年は営業タブレットを300台導入し、在宅勤務のルールを制定してトライアルを進め、さらに2016年にはサテライトオフィスを開設しました。2017年にはシンクライアント端末によるデスクトップ仮想化(VDI)の環境を整備。2018年からは全社員を対象にテレワーク勤務制度を導入し、同時にオフィスのフリーアドレス化もスタートしました。これが当社におけるテレワーク制度構築の流れです。

富士通マーケティングの「テレワーク」実践の歩み(2014~2018)

テレワーク環境を構築する「3つのポイント」

これからテレワークを導入したいと考えている企業の皆さんに、成功に向けて最低限押さえていただきたいと考えるポイントは3つあります。「働き方のルール化と適切な労務管理」「コミュニケーション効率化のためのインフラ整備」「セキュリティ対策の見直し」です。これらについて、富士通マーケティングの社内実践を例に説明します。

働き方のルール化と適切な労務管理について、富士通マーケティングでは、様々なルールを定めています。まず、シンクライアント端末を社員に支給し、端末を社外に持ち出しても重要なデータが端末の中に残らない運用を徹底しています。そのほか、在宅勤務は週2回まで、残業は禁止、紙媒体の持ち出し禁止などのルールを制定しています。

また全社的なルールではありませんが、始業と終業のメール報告を義務化している部署もあります。業務開始時には当日の計画をメールで送信し、終了時には実績をメールで報告。それを部署内で共有することで、スケジュール管理の精度向上に効果が出ています。さらに業務の成果物はスケジューラで管理。スケジューラは共有サーバと連動して、部内の全員が成果を共有できるようにしています。

2つ目のポイントである「コミュニケーション効率化のためのインフラ整備」について、コミュニケーションの充実に向けた「Office 365」の活用例を紹介します。Office 365は、WordやExcel、PowerPointなどのOfficeアプリケーションに、マイクロソフトのグループウェア製品を組み合わせたクラウドサービスです。

提供されるグループウェアには、メールや予定表を提供する「Exchange Online」、共有ワークスペースの「SharePoint Online」などがありますが、ここで特にお勧めしたいのが、リアルタイムコミュニケーションを実現する「Teams 」です。富士通グループでも、Teamsを積極的に活用しています。Teamsを使うことで、在宅勤務者同士でも活発なコミュニケーションをとっています。

さらに、富士通マーケティングでは、Office 365に独自機能を追加したクラウドサービスを提供しています。その導入事例として、はごろもフーズ様をご紹介します。はごろもフーズ様では、全社共通のコミュニケーション基盤をOffice 365で構築したことで、時間や場所に捉われないリアルタイムなコミュニケーションが可能になりました。

また、新商品の開発において、アイデアをスピーディーに部門・部署間で共有できるようになり、フィードバックまでに時間がかかり業務が停滞してしまうといったことがなくなりました。また、新規プロジェクトや企画を動かすためのTeamsが次々と立ち上がり、意見交換が活発になるなど、社内のコミュニケーションも活性化しています。

一方で、個人利用のアプリやサービスを業務利用する「シャドーIT」のリスクも解消しました。若い人はメールを使わず、利便性から個人のLINEやInstagramなどで業務上のやり取りをするケースがあり、情報漏えいなどの懸念がありました。しかし全社的なコミュニケーション基盤を整備したことで、情報に対するガバナンスを強化できました。Office 365はクラウドサービスなので、常に最新のバージョンが利用可能で、基本ソフトがWindowsでない端末でも利用できるのも特長となっています。

テレワーク成功の3つ目のポイントは「セキュリティ対策」

「LIFEBOOK U939は、社外に持ち歩くことを前提とした、今の時代に求められるモバイルPCです」

富士通株式会社
システムプラットフォームビジネス本部プロダクト企画統括部
プロモーション推進部 部長 丸子正道

働き方改革に向けたテレワーク導入を始めているお客様からのニーズは、大きく分けて2つあります。「最新のサイバー攻撃に対して強い環境を作りたい」というニーズと、「PCを安心して持ち出せる環境を構築したい」というニーズです。

それに対して富士通では、3つの対策を提案しています。1つ目が「最新のマルウェア対策」です。既知のマルウェアや脆弱性攻撃に対しては、アンチウイルスソフトやセキュリティパッチの適用で対応できますが、未知のマルウェアや新しい脆弱性攻撃を防ぐことはできません。そこで、既存のセキュリティ対策と併せて、パターンファイルに依存しない振る舞い検知を提供する標的型攻撃対策製品を利用することで、セキュリティレベルを飛躍的に向上させることができます。

2つ目は「アカウント漏えい対策」です。近年、不正アクセスなどによるウェブサービスのパスワード漏えいが頻発していますが、企業も無関心ではいられません。というのも、社員の4人に1人が、社内システムのパスワードと個人利用の外部サイトのパスワードを、意識して使い分けていないという調査結果があるからです。個人利用サイトのパスワードが漏えいした場合、それを使って外部の攻撃者が社内システムに侵入する可能性もあります。

富士通では、生体認証である手のひら静脈認証「SMARTACCESS」を提案しています。パスワードを入力する代わりに手のひらをかざすことでPCにログインできる仕組みです。パスワードのように紛失や漏えい、忘却のリスクがありません。また、手のひらの静脈は血管が太く本数が多いので、認証の精度が高いという特長があります。

3つ目は「データ持ち出しによる情報漏えい対策」です。人感センサー対応のWebカメラで、背後からの覗き見を検知する機能と、データを分割して持ち運ぶことができる秘密分散ソフト「Portshutter Premium Attachecase」で情報漏洩を防ぎます。

秘密分散ソフトで分割したデータは、それだけでは意味をなさないので、万が一漏えいしてもデータ本体は守られます。社内ではネットワーク経由でファイルを復元し、復元したファイルを利用した後、ネットワークを切ると再びファイルは無意味な断片に戻ります。社外では、スマートフォンやUSBメモリに保存した分散片と、PCに保存した分散片をBluetooth経由で復元することで利用できます。

機密情報を持ち出す場合の情報漏えい対策 「秘密分散ソフトPortshutter Premium Attachecase」

こうしたセキュリティ機能を実装したモバイルPCが「LIFEBOOK U939」です。持ち運ぶことを前提として、いかに軽く持ち運びやすいか、壊れないかを重要視し、重さ779gという超軽量を実現しています。女性でも楽に持ち運ぶことができます。さらに、タブレットの便利さを加えた2in1モデル「LIFEBOOK U939X」もラインナップに追加。ペン内蔵コンパーチブルとして、世界最軽量の877gを実現しています。

今の時代に求められるPC

残業を管理して業務を見える化する「TIME CREATOR」。効率的な働き方を意識するきっかけにも

引き続き丸子により残業を管理し業務を見える化する「TIME CREATOR」の説明を行いました。

テレワークを支援するツールの中で、残業時間の管理・削減を実現するのが「TIME CREATOR」です。勤務時間が終了すると、利用者のPC画面全体に警告マークが表示され、操作ができない状態になります。表示を消すには残業申請が必要で、申請理由や時間を申請して管理者が承認すると残業が可能になります。

利用者自身が、残業時間に対する意識を高められるほか、残業申請することで上司とのコミュニケーション活性化にもつながります。また、PCのアプリケーションログを元に業務内容を可視化するオプションも提供。具体的に何時から何時まで何の業務を行ったかを確認することで、どのような作業に時間がかかっているか把握できます。自分の残業時間について見直すきっかけにもなるでしょう。

TIME CREATORを導入した北野建設様では、社員の過重労働の解消や、複数の建設現場で勤務している社員の勤務状況の把握といった課題がありました。しかし導入によって、3割以上の社員が昨年比10%以上の残業時間を短縮。警告画面が出ることで、社員の時間意識が向上して効率的な働き方を意識するようになるといった効果も出ました。

「TIME CREATOR」による働き方改革関連法案施行に間に合う残業管理・見える化機能

丸子の説明の後には、再び田中が登壇し、ワイヤレス会議システム「Intel UNITE」の説明をしました。

離れた場所にいる社員をつないでリモートで会議ができるシステムが、ワイヤレス会議システムの「Intel UNITE」です。ワイヤレスで画面共有できるので、会議の事前準備の工数が削減でき、すぐに会議を始められます。大型モニターに、最大4台のクライアント画面が同時に表示可能です。導入しているコクヨ様では、会議の効率化に効果が出ています。また飛鳥建設様も、事前準備が不要なので会議がスピーディーになったと実感しています。

ここまで、業務の自動化とテレワークについて、各種ツールや富士通の取り組みを紹介してきました。こうした取り組みは、新たな価値を創出します。

例えば、効率化による生産性の向上や隙間時間の活用、重要業務へのシフトなどです。さらに、育児や介護との両立によって、多様な人材が活躍できる職場環境の構築も実現可能でしょう。もう一つ重要な視点は、災害時への対応です。災害によって交通機関が麻痺し、出社が困難な場合でも、テレワーク環境があれば通常と変わらない業務が可能です。

RPAやテレワーク環境の構築で「働き方改革」と「デジタル変革」を実現

人手不足という経営課題解決のためには、RPAによるオフィスワークでの定型業務の効率化・自動化と、テレワーク導入による柔軟な働き方がポイントとなります。

富士通グループでは、さまざまなICTツールを上手に活用することで、業務の効率化・自動化やテレワーク環境の構築によって社内変革を実現しています。また、富士通グループが提供するソリューションは、今回ご紹介した企業様を含めてすでに多くの企業の働き方改革を支援しています。

ぜひ、富士通が提案する働き方改革を参考にして、自社の「働き方改革」と「デジタル変革」を実現してみてはいかがでしょうか。

2019年8月16日

「働き方改革(社内実践)」に関するお問い合わせ・ご相談

Webでのお問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

ページの先頭へ