ケーススタディで知る「働き方改革」
生産性向上を目指す富士通のアプローチとは

働き方改革が、国にとっても企業にとっても、喫緊の課題になっている。安倍首相は2016年2月に「働き方改革は次の3年間の最大のチャレンジ」と語り、2016年9月から「働き方改革実現会議」を継続的に開催。2017年3月には「働き方改革実行計画」を発表した。一方、企業経営者のなかにも、最も重要な経営課題は「人材の強化」であるという認識が広がっている。富士通の取り組みから人材を強化し生産性を向上させる「働き方改革」の実践方法をみてみよう。

現在の日本企業の働き方は「過去のビジネス環境」のなかで形成されてきたものであり、現在の日本が置かれた状況に合わなくなっている。具体的には「長時間・残業ありき」で「一律的」な働き方であり、「長時間労働=頑張っているという価値観」に基づいている。そしてこのような働き方が、海外企業に比べて時間あたりの生産性を低くしてしまう要因になっている。

今後さらにグローバル化が進む市場で戦うには、生産性の向上が欠かせない。そのために必要になるのが「働き方改革」なのである。

これに対して大規模な取り組みを進めているのが、今回紹介する富士通である。同社はグループ全体で約15.5万人が、世界各国で活動しているグローバル企業。このうち富士通本体の社員約3万5000人を対象にした「テレワーク勤務制度」が、2017年4月に正式導入された。

「富士通は営業利益10%の達成を目指しています。そのためにはグローバルな水準よりも低い生産性を高めていく必要があります」と語るのは、富士通 人事本部 人事企画部 シニアマネージャー 佐竹秀彦。そしてその本質は、最も重要な経営資源である人材、特にホワイトカラーの生産性を高めることであり、長時間労働を前提としない、多様で柔軟な働き方を実現しなければならないと指摘する。

富士通ではこのような問題意識の下、2015年から働き方改革のトライアルに着手。その後段階的に取り組みを拡大し、テレワークの正式導入に至ったのである。

それでは富士通では、具体的にどのような取り組みを進めてきたのか。これから働き方改革を進めたいと考える多くの企業にとって、富士通のアプローチは示唆に富むものといえる。

創立80周年を機に改めて働き方改革への取り組みを開始

2015年から始まる富士通の取り組みを説明する前に、それ以前の状況を簡単に振り返っておきたい。同社はすでに1989年度からフレックスタイム制を導入しており、1999年度には再雇用制度も導入。さらに2010年度には在宅勤務制度も導入、これと並行してコミュニケーション基盤も整備・拡大してきた。

しかし、在宅勤務制度は、個人単位で利用する制度だったため、利用が広がらなかったと佐竹は振り返る。「制度の申込みには、上司や同僚の理解も不可欠です。またこの制度を利用することで、人事評価にどのような影響があるのかを心配する声もありました。特定の事情を持った人のための制度であったため、上司を含めた周りの理解が中々進みませんでした。」

このような反省から、富士通は全社員を対象にした働き方改革の検討を、2014年12月にスタート。その具体的な制度として取り上げられたのが、テレワーク勤務制度だった。「折しも2015年は富士通創立80周年の年であり、『新しいことに積極的にチャレンジできるイノベーティブな組織になれる施策を考えよう』という機運が高まっていました。そのためのテーマの1つが働き方改革だったのです」(佐竹)。

2015年2月には、テレワーク制度の実現に向けたワーキンググループを設置。さらに2015年4月には、約400名を対象にしたトライアルも開始した。ここで注目すべきなのが、デザイン部門が参画したことである。

その理由について「デザイン部門では、2011年から富士通のグループ会社やお客様と共に、未来に向けた働き方のビジョンを創るコンサルティングを手がけていたからです」と説明するのは、現在は富士通 マーケティング戦略本部 ブランド・デザイン戦略統括部 エクスペリエンスデザイン部 マネージャー 宇多村 志伸。この実績を知った人事部門から、その手法をぜひ社内の働き改革にも適用して欲しいと依頼されたのだという。

写真:ワーキンググループを開催。人事部門だけではなく、デザイン部門も参画し、そのノウハウを活用しているワーキンググループを開催。人事部門だけではなく、デザイン部門も参画し、そのノウハウを活用している

続きは、こちらからお読みいただけます

ケーススタディで知る「働き方改革」
生産性向上を目指す富士通のアプローチとは

概要

  • 創立80周年を機に改めて働き方改革への取り組みを開始
  • ビジョン策定で活用された「デザインアプローチ」
  • 生産性向上だけではなく社員の意識変革という効果も

ページの先頭へ