社員の働き方の意識を変えるサテライトオフィス

働き方改革に注力している富士通では、2017年4月よりテレワーク勤務制度を導入、さらに東京・汐留本社をはじめとする主要な事業所に社内サテライトオフィス「F3rd(エフサード)」の設置をしています。また社外のサテライトオフィスの活用も推進しており、これを「F3rd+(エフサードプラス)」と呼んでいます。従業員の意見を取り入れつつ、働きやすさの向上を目指して設計されたサテライトオフィスの利用者数は、右肩上がりで増加しています。F3rdの設置・運用とF3rd+の活用推進を手掛けた総務部の高柳 望(たかやなぎ のぞみ)が、富士通のサテライトオフィスのコンセプト、活用の効果について語ります。

社内外のサテライトオフィスを活用

富士通は今、「限られた時間の中で社員一人ひとりが価値を創出できること」を目指した働き方改革に取り組んでいます。その実現に向け、仮想デスクトップやグローバルコミュニケーション基盤などのICTを活用した「テレワーク勤務制度」を2017年4月より導入しました。この制度は、約35,000人の全社員を対象に、自宅や出張先、移動中にも、オフィスと同じように仕事ができる環境を提供することで、場所に捉われないフレキシブルな働き方を可能にするものです。

また、こうした多様な働き方を実現するため、制度やICTのみならずファシリティの観点からも様々な社員のニーズにあわせて「働く場所の選択肢を増やす」ことを目的として、2タイプのサテライトオフィスを整備しました。一つは、本社および各地にある事業所の中に設置した社内サテライトオフィス「F3rd」。もう一つは社外のコワーキングスペースなどを利用する社外サテライトオフィス「F3rd+」です。

これらのサテライトオフィスを、私たちは第三のワークスペースと考えています。第一のワークスペースは、従来型のオフィス。第二のワークスペースは介護や子育て中の従業員などを想定した自宅、つまり在宅勤務の場です。そして、サテライトオフィスが第三のワークスペースです。働く場所の選択肢をさらに増やすために設置しました。

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サテライトオフィスを設置した背景には、テレワーク勤務制度がスタートしてから、本格的にテレワークをする人が増えてきたことがあります。例えば自宅でもテレワークでオフィスと同じように仕事ができるようになると、出張で別の事業所に行く従業員からも「出張先でも仕事ができる場所がほしい」という要望が上がってくるようになりました。そこで2016年6月、汐留の本社内に、別の事業所からの出張者向けのサテライトオフィスを設置しました。これが非常に好評で、導入から約1年で毎月ののべ利用人数が約2.3倍(3,100名→7,200名)、1日の平均利用者数も同様に右肩上がりとなり、今では80%以上がリピーターとなっています。利用者のアンケート結果からも「他の事業所にも作ってほしい」という声が次々に寄せられました。そこで本格的に導入することを決め、現在、徐々にサテライトオフィスを増やしています。

一般的には、サテライトオフィスというと、本社や事業所とは離れた場所に設置する小規模なオフィスというイメージが強いと思います。しかし、富士通は事業所の数が多く、従業員の事業所間の出張が少なくありません。お客様のオフィスに訪問する際にも、その近くに事業所があれば立ち寄ることもあります。そこで、事業所内にサテライトオフィスを設置すれば、お客様への訪問や事業所間の移動などの時間を効率よく使うことにつながると考え、事業所内にサテライトオフィスを設置しました。

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従業員の要望をもとに設置された2タイプのサテライトオフィス

社内にあるサテライトオフィスのF3rdは、2018年1月現在、10事業所に設置されています。私たちはこのF3rdを、通常のオフィスとは異なる雰囲気にしようと考えました。一般的なオフィスは、いくつかのデスクを集めて島を作り、机と机が向かいあう、いわゆる「対向島型」です。

対して、F3rdはリラックスできる場にしたいという考えから、テーブルや椅子、パーティションなどは、通常のオフィスと比べて、ちょっと変わったデザインのものを導入しています。休憩スペースを設けたり、お菓子やコーヒーマシンを置いたり、バランスボールや懸垂マシンなどの健康器具を設置しているところもあります。川崎の事業所に設置したF3rdは2017年のグッドデザイン賞を受賞しました。

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また、さまざまな用途で使われることも想定して、サテライトオフィス内にはいろいろなタイプのスペースを設けています。個人が集中して仕事ができるようパーティションに囲まれたソロブースに加え、複数人で打ち合わせや議論ができるようなスペースも用意しています。

また、利用者数がもっとも多いのはソロブースで、「集中して作業ができる」と好評です。
打ち合わせスペースは、カジュアルなミーティングに加え、上司との相談の場としても利用されています。開放的なサテライトオフィスでは、普段は話しにくいようなことも気軽に相談できるようです。

2017年9月から12月にかけては、社外のコワーキングスペースやシェアオフィスのトライアル利用を実施しました。利用者からは、社外の施設を活用することで時間を有効活用できると好評でしたので、2018年2月から本格的にスタートさせました。

従業員に対して働き方に関するアンケートを実施したところ、「サテライトオフィスを増やしてほしい」という要望が非常に多く、今後もさまざまな拠点へのF3rdの設置やF3rd+の活用を推進していきたいと考えています。

サテライトオフィスの利用を促し、生産性を向上させるためのICTツール

サテライトオフィスは富士通グループ全員が利用できます。一部の席にはシンクライアント端末が用意され、誰でも自分のアカウントでログインすれば、普段使っている自分のPCと同じ環境で仕事ができます。

また一部のサテライトオフィスには、ICTを活用した在席表示システムを導入しています。センサーで自動的に人を感知する仕組みにより、各スペースブースの使用状況が、サテライトオフィスの入り口に設置したモニター上に表示されるので、入室する前に空いている席が分かります。この情報はスマートフォンでも確認できるので、出先からサテライトオフィスの混雑具合を調べることもできます。

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サテライトオフィスの利用を含めたテレワークが増加すると、従業員が本来のオフィスにいない時間帯が増え、コミュニケーションに支障が出る可能性も想定されますが、富士通では以前から全社的にグローバルで統一されたコミュニケーション基盤を整備していますので、メールやWeb会議でのコミュニケーション、在席管理などのシステムを構築することで、支障が生じないようにしています。

点在するワークスペースの活用で生産性向上につなげる

サテライトオフィスの本来の目的は、働く場所の選択肢を増やすことで、さまざまな利点を生み出すことです。例えば、営業部門のなかには、お客様の会社まで2時間以上かけて訪問するケースもあります。また遅刻しないように余裕を持って動けば、隙間時間が生じます。

このような時間の無駄は、生産性の向上を妨げる大きな弊害といえます。しかし、お客様の会社の近くにサテライトオフィスがあり、事前事後の打ち合わせや資料作成などができれば、時間の有効利用が可能となります。

出張の帰りにも、自宅へのルート上にサテライトオフィスがあれば、自分のオフィスではなく、サテライトオフィスに立ち寄り、テレワークで報告書作成などの作業をすることで時間を短縮することができます。

どこで働いてもいいという意識の浸透から、働き方を変えていく

働き方を変えるとは「意識を変える」ことでもあります。まずは「どこで働いてもいい」という意識を従業員に持ってもらうために、働く場所の選択肢を提供することが今回の取り組みにおける重要な点です。サテライトオフィスを有効に活用し、生産性を向上させている従業員もいますので、その人たちから徐々に生産性の高い働き方が浸透していってほしいと思っています。ワークスペースを用意すれば終わりというわけにはいきません。

例えばペーパーレスへの意識。いつでもどこでも働けるようになるには、普段から紙を使わず、必要な情報はデータ化しておく必要があります。そうしなければ、働く場所にたくさんの紙の資料をもっていかなくてはいけないからです。サテライトオフィスをうまく活用する人は、自然にペーパーレスな仕事の進め方になっています。サテライトオフィスは、新しい形でのワークスペースを提供することで働き方そのものを見直すきっかけにもなっていると思います。

現在、サテライトオフィスの利用状況をモニターしていますが、将来的にはそのデータをビッグデータとして扱い、いろいろな情報と組み合わせて、人の動きや、サテライトオフィスの利用に適したユーザーの特性などを分析していく予定です。

さらに蓄積したデータを活用し、AIを含めた新たなICT技術を取り入れることで、よりユーザーのニーズや利用状況にあったワークスペースを提供し、従業員の生産性向上に貢献していきたいと考えています。

富士通では今後も、従業員の意見を取り入れつつ、より利便性に優れたワークスペースを提供していきます。またワークスペースを整備するだけでなく、業務プロセスの効率化など、総務部門として様々な観点から働き方改革に貢献していきたいと思います。

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