富士通の現場が取り組む働き方改革事例 第2回

フリーアドレス、ペーパーレス、電子押印システム、
働き方改革の社内実践の先には「お客様満足度」向上がある

今、あらゆる企業・組織で取り組んでいる「働き方改革」。しかし、働き方が変わったと実感できているケースは少ないとも言われており、どうやって取り組めばよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで、このコラムでは、富士通内の営業部門・事業部門など様々な部門での働き方改革の実例を紹介します。
今回は、流通業の顧客を担当している営業部門である流通ビジネス本部です。「従業員満足度(ES)の向上を顧客満足度(CS)につなげていくにはどうすればいいか」から始まった働き方改革への取り組みを紹介していきましょう。

13統括営業部、600人規模の部署で
働き方改革を実践

流通ビジネス本部は、13の統括営業部、約600人の営業担当者で構成されています。同本部では、食品メーカーや商社・運輸業者など業種別に担当部門が分かれています。

流通ビジネス本部には、日本だけでなく海外展開をするお客様企業も多く、その担当者は昼夜問わずお客様企業とコンタクトを取ることも珍しくありません。また、今までは自分が担当する業種だけを対象とすることが中心でしたが、異業種連携による「クロスインダストリービジネス」への取り組みも求められるようになり、統括営業部を越えた担当者間でのやり取りも頻繁に行われるようになってきました。

そうした中、流通ビジネス本部で「従業員満足度(ES)の向上を顧客満足度(CS)につなげていくにはどうすればいいか」を検討した際、本部全体での情報共有を促進させる必要性を感じました。実際、流通ビジネス本部の中でも、「統括営業部が異なると、働いている人の顔と名前が一致しない」、「他の人が何をやっているのかがよくわからない」という声が多くありました。

一方、若手社員を中心に、多くの社員が「時短」や「業務の効率化」だけを求めているのではなく、むしろ、お客様へのサービスの品質を高めるために、「時間をかけても仕事をやり遂げたい」というモチベーションを持っていることがわかりました。ただ、実際には若手社員の多くが、お客様のためにできること、その具体的な取り組みなどについて、経験豊富なベテランからアドバイスをもらいたいと思っても、なかなか接する機会がないという状況だったのです。

さらに、上長の承認が必要となる契約書や見積書などの書類や決裁も依然として多く、上長不在時の対応によっては商談の機会損失というリスクを招きかねない「押印文化」の見直しも課題でした。こうした職場環境全体の課題を見据えて、ESをCSにつなげていくことを目的とした働き方改革の検討が始まりました。

約30名からなるチームを作り
課題ごとにタスクフォースで取り組み

働き方改革に取り組むにあたっては、まず、「現状、どういう課題を持っているか」というアンケートを本部全員に実施し、ワークスタイル全般に関すること、キャリアに関する悩みや人事制度・福利厚生などへの不満など、本部内の課題を明確にしました。

次に、13ある各統括部から、それぞれ管理職と働き方改革の担当者を1人ずつの計2名を集めて、総勢30名弱のチームを結成しました。担当者は、立候補が多いところから、多くの社員が問題意識を持っていたことがわかります。

チームからは、様々な意見やアイデアが生まれてきました。その中から、職場の改善や働き方改革全体を考えた上で解決すべきことを明らかにし、それらを例えば「業務の効率化」や「情報共有」といった切り口でカテゴリに分類、担当者を割り振ってタスクフォースを立ち上げてワーキンググループを推進しました。

実際の取り組みとしては、ワークスタイルの変革という観点から、まずは「フリーアドレス制」を導入しました。これにより、もっと多くの人と知り合う機会ができたり、会話をする機会を増やしたりでき、社員間の情報交換・交流が活発になりました。

また、海外のお客様企業とのコミュニケーションにおける時差や、その担当者自身のワークスタイルに合わせて活用できる「テレワーク制度」も採り入れました。

さらには、紙資源を削減する「ペーパーレス化」にも着手しました。それに伴い「押印文化」の課題を見直そうと「電子押印システム」も試験導入しました。業務プロセスの変革も同時に進めました。「紙文化の撤廃」はもちろん、フィールドセールスとインサイドセールスとの作業を整理・見直し、重複業務を洗い出し、役割分担を明確にしました。

一方、働き方改革に取り組む過程で、多くの社員がキャリアの形成についても、悩みを持っていることが明確になりました。そこで、ベテラン・先輩社員の「キャリアシート」を若手従業員に公開して、キャリアシートを見ながら勉強会を開いたり、経験を語るような場を設ける取り組みも実施しました。あわせて、若手社員のジョブローテーションを積極的に実施することで、より広い視野を持って仕事に取り組んでもらえる体制を整備しました。

組織が元気にイノベーティブな発想が生まれる土壌も醸成

様々な取り組みを実践してきた結果、その効果も感じ始めています。1つ目がコミュニケーションです。フリーアドレスを導入したことでコミュニケーションが活性化され、多くの会話が生まれていると感じています。人と会話をすることで、元気になることもあり、愚痴に対するフォローもできます。少し大げさかもしれませんが、組織が元気になるような効果もあると考えています。

そして、組織そのものが柔軟になり、今までの業務範囲を越えた連携が増えてきたと実感しています。色々と会話が増えたことで、自分だけでは考えつかなかったようなイノベーティブな発想が生まれる土壌づくりもできてきています。

2つ目がペーパーレスによる、紙運用にかかっていたコスト・時間の削減です。シンクラアントの導入・フリーアドレス化と共に、電子押印システムを採用したことで、紙の出力を大幅に削減、また、上長が出張していてもモバイルで処理できるのでかなりの効率化が図れています。

どうしても働き方改革というと「残業時間の削減」や「勤務時間の短縮」、「業務の効率化」という話が中心になりがちです。しかし、単に残業を減らせという話になると、逆にモチベーションが下がる従業員もいます。「休むため、早く帰らせるため」の働き方改革ではなく、「より高いモチベーションを持った働き方ができる」「従業員や会社が活性化する」という点にもっと着目して、仕事の質を高めていくための働きかた改革を実践すべきだと思います。

現状の課題に目を向けることが大事

理想とする働き方に対して、当初の課題を山に例えると、7合目あたりまではたどり着いたと感じています。
現在は、短期間でできること、中長期的に取り組む必要があることなどに優先順位をつけながら、プロジェクトを進めています。中長期的なところでは、若手従業員がもっと生き生きと働けるような環境にしていきたい、そのために評価や報酬の仕組みなども改善できればと考えています。結果として、それがES向上にとどまらず、CSにもつながっていくことが目的です。そういったスパイラルを描いていきたいと考えています。

働き方改革の先には、個人と会社の成長があります。「何をどうすればもっと生き生きと働ける会社になれるのか」ということを明確に定義することが重要だと思います。私たちの場合、そのための施策としてフリーアドレスや電子押印システムの導入を決めましたが、それらはあくまで手段であって、目的ではありません。

働き方改革に2年取り組んで感じたことは、まずは現状の課題を洗い出し、洗い出された課題に優先順位を付けて一つずつ解決していくこと。そうすれば必ず働きやすい環境になっていくと考えています。

2019年1月11日

富士通株式会社
産業・流通営業グループ
流通ビジネス本部
運輸統括営業部
第四営業部
部長
田中 雅宏

[写真]

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