川崎市様
MICJETスマート窓口

住民記録システムのオープン化に合わせ、Web事前入力を採用した「ネットdeスマート」をスタートし窓口業務の最適化を実現

行政手続のオンライン化による市民サービスの向上や業務効率化に向けて各自治体でさまざまな取り組みが始まっています。川崎市様では、住民記録システム(以下、住記システム)のオープン化を進める中でMICJET 住民記録を導入。それに合わせてMICJETスマート窓口を導入し、2022年1月からインターネット(以下、Web)での事前入力やタブレットを利用して申請や窓口案内などを行う「ネットdeスマート」が稼働しています。住記システムとの連携、QRコード受付やLGWANでの事前連携やOCRなどを用いた入力支援で、市民の庁内滞留時間の短縮や、職員の窓口業務の効率化を図っています。MICJETスマート窓口を活用した行政サービスの向上、業務効率化への取り組みについて、戸籍住民サービス課のご担当者に伺いました。

課題
>
効果
1. 住民記録システムのオープン化や最適化が求められていた
>
パッケージシステムによる脱ホストコンピュータを進め、2021年度に住記システムをMICJET 住民記録でオープン化。業務に合わせてカスタマイズされていた住記システムを、パッケージシステムと運用の見直しで最適化した。同時に窓口業務のICT化にも取り組み、MICJET スマート窓口を導入し住記システムと連携したシステム構築を進めた
2. 窓口サービスの改善や事務作業の効率化が求められていた
>
MICJET スマート窓口を導入して、Webによる事前入力やQRコード、LGWAN経由の事前連携や窓口でのタブレットの活用、住記システムとの相互連携による情報の正確な取得、入力の自動化を実施。これにより入力の手間や手続の煩雑さを改善し、スムーズな窓口手続を可能にして市民サービスの向上を実現した
3. 今後の基幹系情報システムの標準化への対応が必要となっている
>
MICJET スマート窓口が基幹系情報システムとの連携の入口として機能することで、今後のバックヤードのシステムの仕様変更や機能の拡張にも柔軟に対応することを期待している

川崎市の特徴とDXへの取り組みについて教えてください

川崎市は7つの行政区からなり、人口約154万人と政令指定都市では6番目に人口が多い自治体です。多摩川を挟んで隣接する東京都と横浜市に挟まれて東西に細長く、市域に東海道線、京浜東北線、京浜急行線、東急東横線、田園都市線など多くの路線が走っており、人や経済の流動性が高く移入や移出も多いのが特徴です。

川崎市では、1994(平成6)年度にホストコンピュータでの住民基本台帳のデジタル化〔カナ住民マスタ(紙の住民票)から漢字住民マスタ(住民票の完全電子化)に移行〕を実施しました。その後、2009(平成21)年度に「川崎市情報システム全体最適化計画」を、2019(平成31)年度には「川崎市情報システム全体最適化方針」を策定し、それぞれ10年のスパンでサーバの集約化や業務の効率化、費用対効果の最大化をテーマにデジタル化を進めてきました。

特に2019年度にスタートした全体最適化方針では、脱ホストコンピュータ、システムのオープン化を明確に定義して、その実現に取り組んでおり、2022(令和4)年度には脱ホストコンピュータを達成しました。

  • 川崎市市民文化局
    市民生活部戸籍住民サービス課
    課長 大貫 久 氏
  • 川崎市市民文化局
    市民生活部戸籍住民サービス課
    係長 土屋 宙司 氏

MICJET スマート窓口の導入の背景についてお伺いします

全体最適化方針の下、住記システムのオープン化が進められていましたが、単純なシステムの入れ替えだけでなく、業務そのものについてもICT化やペーパーレス化を進めないと市民サービスの向上や業務の効率化にはつながらないという判断もあり、窓口業務のデジタル化に取り組みました。

ターゲットとなった住民異動にかかわる業務は、紙を使った運用が基本で、転記や目視対応が必要なことに加えて、住記システム以外にも国民健康保険や国民年金など複数のシステムを確認しなければならず、手間と時間がかかっていました。また、3月、4月の異動シーズンには待ち時間が長くなるなど、繁忙期を意識した対策も必要でした。

MICJET スマート窓口の選定の理由について教えてください

窓口業務改善の要望としては、オンラインでの事前入力、ペーパーレスでの審査や確認、データの誤入力の排除などでした。各社の窓口ソリューションについて総合評価方式で検討を行い、コストを含めて機能を評価しMICJET スマート窓口を選定しました。

評価のポイントとなったのは、窓口業務のシステム化に当たり、本市の要望をベースにパッケージ化して対応されるという提案でした。今回、Webから手続の情報を事前入力できるようにしましたが、そういった機能を含めてMICJETスマート窓口のパッケージ機能として現在整備されています。

今後の制度変更や機能の追加の際にも、パッケージとしてレベルアップやオプションで対応できるため、カスタマイズを極力抑制しながら最新の機能を利用できる点も、経費の最適化につながると判断しました。

導入に当たっての不安や苦労した点はどんなことですか

構築では、まず住記システムをホストコンピュータからオープンシステムに切り替えるプロセスで苦労しました。 稼働から約30年にわたってカスタマイズしてきた住記システムは、ある意味で成熟しきったシステムであり、これをパッケージで置き換えるにはシステムの仕様や機能だけでなく、庁内の運用を含めた見直しが必要でした。

MICJETスマート窓口についても、これまでなかったシステムですので、職員に対して利用する市民にどんなメリットがあるのか、庁内の業務はどのように変わって、どのように効率化されるかといった点を理解してもらうところから始めました。

実際の導入はどのように進められましたか

開発に当たっては、各区の区民課から現場の業務に精通しシステム面にも関心の高い職員を推薦してもらってワーキンググループ(以下、WG)を構成しました。このWGで開発方針や検討状況を共有し、出てきた意見を開発側にフィードバックして進めました。

また、システムの研修や教育では、まず机上研修としてシステムのコンセプトやMICJETスマート窓口の特徴、導入の意義などの説明を行い、それに加えてデモ環境を用意して操作研修を行いました。1〜2か月かけて、窓口業務に関係する現場の職員全員が受講できるようにしました。

そのほか、マニュアルについても窓口システムだけでなく住記システムも含めた操作マニュアル、システムだけでなく窓口業務の運用に関するマニュアルなども用意して、限られた時間の中でしたがていねいに説明して進めることを心掛けました。

2022年1月からスタートした「ネットdeスマート」はどのようなサービスですか

ネットdeスマートでは、転入、転出、市内転居の届出、各種証明書の交付申請をWebで事前に入力できるようにしました。

Webブラウザに表示される質問に回答していくことで必要な情報が入力でき、入力が完了すると窓口受付用のQRコードが発行されます。窓口では、QRコードを読み取ることで事前に入力した情報をシステムに取り込むことができます。また、事前申請されない場合でも対応できるように記載台にタブレットを用意しています。

窓口にはタブレットの使い方や入力のサポートを行う支援員を置いているほか、ネットdeスマートに関する市民向けのコールセンター(ヘルプデスク)なども設置しています。

現在、事前入力の割合は、区によって異なりますがおおむね2割弱で推移しています。タブレットの利用を含めると、サービスの利用率は異動関係処理のおおむね7〜8割となっています。実際に手続の時間がどれくらい変化しているかは今後検証を行う予定ですが、確認観点が多い転入届に関しては特に改善されていると感じています。

窓口業務の効率化、最適化についてはいかがですか

事前に入力された情報は、LGWAN経由で連携され、窓口での受付時からデータでの処理が可能となっています。また、他自治体で発行された転出証明書はOCRで読み込み、申請者が記入した情報と突合することで誤入力を防止する機能を実装しています。 これらの機能とMICJETスマート窓口での入力情報を利用することで、業務効率の向上や誤入力の抑制につながっています。

運用面では、従来は1人の住民に対して1人の職員が受付から審査、窓口対応も含めて一気通貫で対応していましたが、それがMICJETスマート窓口導入後は各工程を分業化することとしました。

これにより、人事異動など職員の入れ替え時の教育負荷を軽減し、短い時間で戦力化できるようになったほか、処理に関する平均対応時間などの各種データを分析することで、ボトルネックの確認とそれによる人員配置の見直しなど、PDCAを証跡に基づいて行えるようになりました。

今後の展開と期待についてお聞かせください

現在は2割弱にとどまっているWebでの事前入力の割合を増やしていくことが重要と考えています。

事前入力では、家族構成などに関する各種アンケートに基づいて必要となる手続案内が受けられます。それに基づいて準備していただければ、来庁後に効率的な手続が可能です。事前入力のメリットを、より多くの市民の方々に知っていただけるように横浜駅や品川駅といった隣接自治体の交通拠点などをターゲットに広報を進めています。また、現在、国が主導して自治体の基幹系情報システムの標準化・共通化が進められていますが、今後、住記システムについても対応が必要になると考えられます。

MICJETスマート窓口は、住記システムと連携はしていますが“疎結合”を意識して開発を行っており、住記システムの標準化後も職員の操作性の低下なく継続利用することができると期待しています。

富士通Japanへのメッセージをお願いします

MICJET スマート窓口については大きなトラブルもなく、稼働当初から安定した運用が実現できています。また、システム稼働後も引き続き機能の向上を富士通Japanと協力して取り組んでおり、安心してシステムを利用することができています。

今後、システムの標準化を含めて諸々の対応が必要になることが想定されますが、住記システムは自治体の基幹系情報システムの中でも最上流に位置する大変重要なシステムになりますので、引き続き協力しながら対応を進めていきたいと考えています。

左から土屋 宙司氏、大貫 久氏

川崎市様

所在地神奈川県川崎市川崎区宮本町1番地
代表者川崎市長 福田紀彦
人口1,539,747 人(2023年2月1日現在)
職員数18,551名(2022年4月1日現在)
ホームページhttps://www.city.kawasaki.jp/
概要川崎市は神奈川県の北東部に位置し7区からなる政令指定都市です。東京都と横浜市に挟まれ、東西に細長く面積は142.96km²と小さい一方で、人口は約154万人と政令指定都市で6番目に多くなっています。古くから産業都市として栄えてきましたが、現在は殿町国際戦略拠点「キング スカイフロント」や「かわさき新産業創造センター」など新産業創出や研究開発支援にも力を入れています。また、音楽や美術、スポーツの振興にも力を入れており、音楽ホールや博物館・美術館などの文化施設が多数存在するほか、サッカーJリーグの川崎フロンターレなど多くのスポーツチームが川崎市をホームタウンとしています。

事例紹介

Contact

自治体ソリューションに関するお問合せ

Webでのお問い合わせ

  • 入力フォーム

    当社はセキュリティ保護の観点からSSL技術を使用しております。

お電話でのお問い合わせ

ページの先頭へ