図書館様の取り組みによる
先進事例から学ぶ
デジタルアーカイブ活用を
さらに促進させるヒント                          

大阪市立図書館様・鳥取県立図書館様 導入事例

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現在、多くの図書館・博物館・公文書館などは、所蔵する各種資料を正確にデジタル化して保存し、利活用できるようにするデジタルアーカイブの取り組みを進めています。歴史的に価値ある地域資源を保存・管理するだけではなく、「より多くの人たちが利活用しやすいように」するにはどうすればよいのでしょう。デジタルアーカイブの可能性をさらに広げた大阪市立図書館様と鳥取県立図書館様の取り組みを紹介します。

【導入事例概要】

業種 図書館
ソリューション FUJITSU 文教ソリューション Musetheque V4

【課題と効果】

1 図書館所蔵の各種資料のデジタルアーカイブを多くの人に知ってもらい、活用してもらう効果的な施策が必要だった 各種資料の利用価値を高められる「Webギャラリー」や「高精細画像表示」などのシステム的な対応をはじめ、動画やSNS、イベントや展示会の開催などでオープンデータを有効に活用する方法を訴求し、デジタルアーカイブの利活用を促進
2 デジタルアーカイブの利用が増えるにつれ、図書館職員が二次利用申請への対応に追われ、業務負荷が増大した デジタルアーカイブをオープンデータで提供、二次利用申請が半減し、利用件数が2倍に増大
3 新規にデジタルアーカイブを構築するにあたり、博物館や公文書館など図書館以外の施設、そして、より多くの県民に活用してもらう工夫が必要だった 県内複数施設の共同利用化や充実した公開機能を実現し、県および利用者双方に多くのメリットを提供

【大阪市立図書館様:導入の背景と経緯】

全国の図書館に先駆けて1996年からデジタル画像の公開に取り組む

 大阪市立図書館様は、大阪市の24の行政区に1館ずつある図書館の総称です。西区の大阪市立中央図書館と各区の地域図書館をネットワーク化して一体的に運営。中央図書館は蔵書冊数220万冊以上を誇り、2台の自動車文庫「まちかど号」で大阪市内105か所を巡回するなど、市民が本に親しめる環境づくりに力を入れています。
 大阪市立図書館様では、中央図書館がリニューアルした1996年から「大阪市立図書館イメージ情報データベース」として、古文書や明治から昭和初期の写真、絵はがき、古い地図といった貴重資料のデジタル画像の提供を開始。市民が閲覧できるサービスにいち早く取り組んできました。2001年には図書館ホームページ上でも公開。2014年には弊社のデジタルアーカイブシステムMusetheque V3を導入して「大阪市立図書館デジタルアーカイブ」と名称も新たに本格的にサービスを開始し、2020年1月にはモバイル対応、多言語対応、高精細画像表示などの機能を追加。2021年からは「国立国会図書館サーチ」、「ジャパンサーチ」とも連携しています。

【大阪市立図書館様:導入後の課題・解決策および効果】

デジタルアーカイブが充実すればするほど二次利用申請も増え、職員の業務負荷が増大

 デジタルアーカイブの取り組みで、大阪市立図書館様が注力しているのが、インターネット上でのバーチャル展示「Webギャラリー」です。大阪市立中央図書館(閲覧室3階)担当係長の外丸 須美乃氏は、「職員が、あるストーリーをもとに各種資料に詳細な説明を添えることで、資料の理解度と利用価値を高める工夫をしているのが魅力です」と説明します。システムの活用により、職員が容易に新たな展示を作成・公開できるのも特徴です。高精細画像で表示でき、現物の詳細な部分まで確認できることから資料本来の価値を高められ多くの二次利用に繋がっています。ギャラリーは過去に作成したものも閲覧可能です。
 こうした取り組みが功を奏しまた、リニューアルに伴い操作性も向上したこともあり、デジタルアーカイブの利用は大幅に増加しましたが、その一方で「二次利用の申請も増加し、職員がその対応に追われてしまうという課題が発生しました」(外丸氏)。こうした課題の解決のため、大阪市立図書館様では、デジタルアーカイブのオープンデータ化に踏み切りました。オープンデータが増えれば、市民はそれらのコンテンツを二次利用の申請をすることなく、自由度高く利活用できます。職員の業務負荷軽減とデジタルアーカイブの利活用のさらなる促進を実現できると考えたのです。

オープンデータ化でデジタルアーカイブの利活用をさらに促進

 まず着手したのは、オープン化の候補となる画像におけるメタデータの再点検と著作権消滅確認作業です。そして、2017年3月から、作者名を表記すればデータのオープン化が可能というクリエイティブ・コモンズ・ライセンス「CC-BY」で提供を開始し、2019年11月に利用条件を「CC0」に変更しました。デジタルアーカイブシステムでもこれらの利用条件の表示に対応しています。
 また、オープンデータをより多くの市民に利活用してもらうためには、まずは「オープンデータについて知ってもらう」ことが大切です。そこで、職員が図書館のオープンデータを活用した名刺や販促物を作成したり、SNSを活用して情報を継続的に発信したりするなど、オープンデータの広報・啓発に努めました。こうした取り組みもあって、二次利用の申請件数は半分以下に減少し職員の業務負荷が軽減された一方、デジタルアーカイブへのアクセス件数は約2倍に増加。オープンデータ化によりデジタルアーカイブの利活用が促進されました。

【鳥取県立図書館様:導入の背景と経緯】

図書館、公文書館や博物館などの共同利用で複数施設の資料一括管理と公開を実現

 鳥取県鳥取市の鳥取県立図書館様は、「県民に役立ち、地域に貢献する図書館」をミッションとして、ビジネス支援サービスや市町村立図書館・学校図書館との連携などに積極的に取り組んでいます。2021年3月から鳥取県立図書館様が主管となり、統合デジタルアーカイブシステム「とっとりデジタルコレクション」を公開。多くの人が図書館だけでなく、鳥取県立公文書館、鳥取県立博物館、鳥取県埋蔵文化財センターが所蔵するデジタルデータを検索・閲覧できるようにしました。「ジャパンサーチ」や「国立国会図書館サーチ」とも連携し、2025年には新館オープンを予定している鳥取県立美術館のデジタルコンテンツも閲覧できるようになる計画です。
 鳥取県立図書館支援協力課係長の岩崎 武史氏は、「とっとりデジタルコレクション」について、「県内複数施設のシステム共同利用による文化財情報の集約化を目指しました」と説明します。その言葉の通り、図書館の郷土調査資料や和古書、地図、写真、絵はがき、郷土人物情報、美術資料、新聞記事見出しや、博物館の自然、人文、美術の各種資料、公文書館の歴史公文書や県史関連資料、埋蔵文化財センターの土器や遺物データの資料など合計約58万点を集め、簡単に検索・閲覧できるのが魅力です。
 また、複数の施設のデジタルデータを横断的に検索できるようにしたことで、例えば「鳥取城」で検索すると公文書館の写真、図書館の絵画、博物館の絵図などを一覧表示。利用者はどこの館にあるかを意識することなく資料を閲覧できます。
 さらに、資料の理解度を高め活用に繋げられるよう、「Webギャラリー」をはじめ、デジタルアーカイブの国際標準プロトコルである「IIIF」に準拠し県立図書館OPAC、ジャパンサーチ、国立公文書館デジタルアーカイブ横断検索と連携、二次利用におけるクリエイティブコモンズ対応など、統合デジタルアーカイブシステムとして多くの機能を備えています。共同利用としたことで、各施設が個別にデジタルアーカイブシステムを導入するのと比べてコスト、情報管理や保守のしやすさなどでも県へのメリットが多くありました。

【鳥取県立図書館様:導入後の課題と今後の展望】

メタデータの整備、二次利用の共通認識の確立でデジタルアーカイブの利活用をさらに促進

 「とっとりデジタルコレクション」は公開されて間もないサービスですが、デジタルアーカイブの利用者が増えていく中で、新たな課題も浮き彫りになってきました。その一つが、メタデータ・コンテンツの整備です。それぞれのデジタルコンテンツは、例えば、地域情報や年代、資料種別、分野などのメタデータで管理されますが、デジタルコンテンツによってはそれらの情報が十分に整備されていないものもあります。「メタデータが不足していると、利用者が検索してもヒットしないことも考えられます。デジタルアーカイブの利活用の促進のためには、今後、さらにメタデータを整備していくことが必要です」(岩崎氏)。また、複数施設で共同運営しているため、各施設で二次利用に対する考え方に違いがあることも課題です。
 今後、鳥取県立図書館様では、これらの課題を解決し、「とっとりデジタルコレクション」をさらに多くの人たちに使ってもらえるプラットフォームとすることを目指しています。県民への訴求活動を継続的に実施し、県内の学校や教育現場、観光振興などでの利活用の提案も積極的に実践していく考えです。また、データをより拡充していくため、市町村や個人が所有する有効性の高いデータを積極的にデジタル化する取り組みも進めていきます。

【デジタルアーカイブ情報】

名称 大阪市立図書館デジタルアーカイブ
(大阪市立図書館)
とっとりデジタルコレクション
(鳥取県立図書館、公文書館、博物館、埋蔵文化財センター)
アーカイブURL http://image.oml.city.osaka.lg.jp/archive/ https://digital-collection.pref.tottori.lg.jp/
所在地 大阪市西区北堀江4-3-2(中央図書館) 鳥取県鳥取市尚徳町101番地(鳥取県立図書館)
公開データ 約3万点 約58万点

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