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構造改革の一環としての口座維持手数料導入の可能性

介護サービスにおける「現場知」の創出

―情報共有データを活用した知識創造―

超高齢社会を迎えつつある中で、介護サービスの役割は益々大きくなっている。本研究では、介護サービスの質の向上を目的とし、知識創造モデルを適用することで、介護現場の「現場知」の創出を試みた。

上級研究員 中島 正人
発行:2018年12月

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要旨

わが国は超高齢社会を迎えつつある中で、介護サービスの役割は益々大きくなっている。介護サービスでは、それを支える介護人材の不足は深刻化しており、介護サービスの質を維持できるかという懸念が大きい。ケアやサービスの維持には、利用者の状態や状況に応じて適切なケアを行える職員が必要とされ、熟練職員が持つ日々の業務で活用できる経験や知識を、職員たちが身につけるための効率的かつ効果的な方法が期待されている。

本研究では、介護サービスの質の向上を目的として、介護現場の「現場知」に知識創造モデルを適用することを試行した。その際、現場の知識創造の素材として、介護現場の情報共有に用いられる申し送りに着目した。申し送り内容を質的に分析し、その結果をもとに、介護職員と「対話」することで、現場の知識(現場知)を創造するための方法を検討した。そして、その方法にICTを組み込むことで現場でも大きな負担なしに知識創造を実践する仕組みについて考察した。

内容の分析では、申し送りの内容は3階層でラベル付けできることがわかり、指示や注意、情報提供などの意図や目的をもって記述された内容から「現場知」が抽出、創出できる可能性を確認できた。対話では、現場職員に対して「現場知」候補に関するデプスインタビューを行い、暗黙化した知識を表出させた。さらに複数職員によるワークショップを行い、参加した職員の知識を連結化することで、ケアや業務改善のための「現場知」創出の事例を作り出せた。

最後に、本研究で提案する知識創造の手順を整理し、申し送りを活用した「現場知」創出におけるICTの利用可能性を考察した。介護現場の課題の解消に向けてはICTの役割とその期待は大きい。ICTを活用できない職員たちを含む包括的な業務システム(系)の構築が必要であることは言うに及ばず、今後は、ICTがひとの仕事をサポートするだけでなく、ひとと共に進化していくような仕組みづくりをしていくことが必要となる。

中島 正人

本記事の執筆者

経済研究所 上級研究員

中島 正人(なかじま まさと)

 

専門は認知科学、サービス科学。ICTを活用したサービス現場のスキル・知識の理解技術の開発などに従事。現在は医療・介護サービスのイノベーション創出に関する研究を進めている。博士(工学)

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