手のひら静脈認証システムで
非対面・非接触による
貸出サービスを実現
~いつでも、手ぶらで
利用できる図書館へ~                               

北海道恵庭市教育委員会 様

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「本と出会い、人と出会い、つながりひろがる読書のまち、恵庭市」を基本理念とする北海道の恵庭市立図書館様(以下、同館)。図書館システムを刷新して、分館に手のひら静脈認証による本のIC自動貸出システムを導入。図書館カードを持参しなくても、市民が気軽に図書館に立ち寄り、本を借りられる仕組みを実現しました。その取り組みを紹介します。

導入事例概要

オファリングテーマ 手のひら静脈認証
ソリューション FUJITSU 生体認証 PalmSecure 手のひら静脈認証

FUJITSU 文教ソリューション WebiLisiLiscomp V3

課題と効果

課題
効果
課題多様化する利用者ニーズに応えるため開館時間を延長したかったが、新規に職員を雇用し対応するのは財政的に困難だった
効果手のひらをかざすだけで、夜間に無人でも貸出ができるようになり、人件費を増やすことなく開館時間の延長が可能になった
課題買い物のついでや通りがかりなど、もっと気軽に簡単に図書館を利用できるようにする工夫が求められていた
効果手のひらの静脈で本人を認証できるので、図書館カードを持っていなくても「手ぶら」で利用できるようになった
課題新型コロナウイルス感染症の拡大から、非対面・非接触により本を貸出せる仕組みが求められていた
効果本の貸出に窓口での対応が不要となったので、非対面・非接触を実現できた

導入の背景

開館時間の延長を考えるも人件費や人材不足が課題に

 北海道恵庭市は、札幌市と新千歳空港のほぼ中間に位置する人口約7万人の町です。札幌市から電車で約25分という恵まれた交通アクセスと穏やかな気候風土が特徴で、「花のまちづくり」を進めており、「緑化推進運動功労者」として内閣総理大臣表彰を受けるなど、景観の美しい街並みが魅力です。
 同館は「恵庭市読書活動推進計画」に基づき、恵み野本館と島松分館、そして、JR恵庭駅前の複合施設「えにあす」内に開設された恵庭分館を合わせた3館体制で運営されています。蔵書数は約28万9,000冊で、毎年人口の倍近いのべ13万人以上が利用。本の貸出だけでなく、ボランティアによる読み聞かせや、赤ちゃん健診の際に絵本をプレゼントする「ブックスタート」など、市民が本に触れる機会を増やす活動に積極的に取り組んでいます。
 同館では、より多くの市民に図書館を利用してもらえるように開館時間の延長を考えていましたが、延長にともなう人件費増や人材不足が課題でした。図書館業務に関わる職員の人数も運営予算も限られているため、対応は容易ではありません。また、指定管理料も高くなる傾向がありました。恵庭市教育委員会読書推進課課長の黒氏 優子氏は、「人材不足や外部委託費の増加といった課題を解決し、開館時間を延長して、より多くの市民に本に親しんでもらう機会を提供する、そのためにはICTの活用が不可欠と考えました」と説明します。


 また、複合施設「えにあす」にある恵庭分館では、駅前立地で勤め帰りの市民の利用など来館者数は多いものの、中学生や高校生など読書離れが懸念される若い世代の利用が伸び悩むという課題がありました。黒氏氏は、「市民や学生に『こんなところに図書館があったんだ』と気づいてもらうことは多くあっても、そのときに図書館カードを持っていないと利用してもらえません。そこで、仕事や学校、買い物の帰りなどに図書館カードがなくても『ふらっと寄って借りられる』、そんな『寄り道効果』を期待できる図書館にしたいと考えました」と振り返ります。
 さらに、新型コロナウイルス感染症への対応も課題でした。同館は、読み聞かせなど、人と人との交流を大切にした読書活動の推進に取り組んできました。コロナ禍によって人と人との接触が制限されるようになり、非対面・非接触による貸出ができる仕組みが求められていたのです。
恵庭市立図書館 恵庭分館

導入の経緯

カードを持たず手ぶらでいつでも利用できる図書館をイメージ

 こうした課題がある中、同館が目指したのは、「市民がいつでも『手ぶらで本を借りられる』図書館」でした。開館時間を延長しいつでも利用できるようにするには、夜間の無人化が必須です。これまで、同館では図書館カードを忘れた人にはカウンターで職員が本の貸出などに対応していましたが、無人化すると図書館カードを持っていない人は借りることができません。
 そこで、カードレスで利用できる生体認証システムの導入を考えました。黒氏氏は、「生体認証について調べたところ、指紋認証だとリーダー部分に指紋が残るので、職員が拭き取る作業が必要になります。顔認証はマスクをしている場合の精度が懸念されました。いろいろと調べていく中で『手のひら静脈認証』だと、かざすだけの非接触で利用でき、認証精度も高いなどのメリットが多く、現実的に運用できると思いました」と説明します。
 そして、2021年3月から、「えにあす」の恵庭分館で手のひら静脈認証システムの運用を開始。「他県ですでに導入実績があり、さらに機能が向上していること、コスト的に導入が可能だったこと」(黒氏氏)も導入の決め手になりました。
 黒氏氏は、手のひら静脈認証を導入したことで、「図書館に行く予定がなくても、ふと思い立ったら気軽に立ち寄り、手ぶらで本を借りられるという利用シーンがイメージできました」と話します。同館が目指す「24時間、市民がいつでも『手ぶらで本を借りられる』図書館」に一歩、近づいたかたちです。
 ただし、黒氏氏は「すべての時間を無人化することまでは考えてはいません」と説明します。「手のひら静脈認証とIC自動貸出システムをいれたことによって、それまで窓口で貸出返却を行っていた職員たちが、より市民と本について語り合える時間が持てるようになる、そんな図書館を目指しています」(黒氏氏)。

導入の効果

手のひら静脈認証導入で利用者が1.2倍に増加

 恵庭分館に手のひら静脈認証システムを導入したことで、同館では、さまざまな効果を感じていらっしゃいます。まず、利用者の利便性向上です。手のひら静脈認証システムでは、最初に自分の静脈を登録しておくと、次回からはリーダーに手をかざすだけで本人であることを認証し、借りたい本を台の上に載せて貸出ボタンを押すだけで借りられます。同館が導入後に実施したアンケートによると、恵庭分館利用者の6割近くが手のひら静脈認証を利用しています。黒氏氏は「想定より早く浸透しています。特に、お子さんが楽しんで使っている姿が印象的でした」と話します。
 このアンケートからは、導入前には想定できなかった声も多く、新たな気づきがあったそうです。「あるお母さんからは、『子どもを抱いたまま片手で本を借りられるのがいい』という声がありました。お子さんを抱えたままカードを取り出して、またカードをしまって、というのは確かに面倒です。それが改善されたことで、少しでも市民の図書館利用が増えることを期待します」(黒氏氏)。
 また、同館が手のひら静脈認証を導入した3カ月後、新型コロナウイルス感染症の拡大により同館は休館となりました。しかし、「それまでの3カ月の間で、利用者数は1.2倍に増えました。全体の貸出数も減っていません。貸出冊数制限期間にもかかわらず利用者数も貸出数も減少しなかったのは、市民のみなさんに、利用しやすい、借りやすいと思っていただけたからではないかと感じています」(黒氏氏)。

今後の展望

ICTに苦手意識を持つシニア層も簡単さと楽しさを伝えていきたい

 黒氏氏は今後、ICTに苦手意識を持っている一部の高齢者に対して、「ICTは簡単で楽しいものということを伝えていきたい」と語ります。図書館がICTに触れる入り口となることで、「図書館のみならず、ICTを活用した各種行政サービスを高齢者も苦手意識を持たず、進んで利用できるような環境づくりを目指していきたいです。市民全員がICTに精通できるような初めの一歩を踏み出すお手伝いができれば、今後の可能性も広がっていくでしょう」(黒氏氏)。
 図書館の取り組みを通じて、ICTが市民にとってますます身近なものになる、そんな姿が見えてくるようです。

手のひら静脈認証を採用したIC自動貸出機

図書館情報

名称 恵庭市立図書館 恵庭分館
URL https://eniwa-library.jp/
所在地 北海道恵庭市緑町2丁目1-1
資料点数 約40,000冊/全館 約289,000冊
年間来館者数 約60,000人/全館 約130,000人

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