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プライベートクラウド化による基盤最適化

散在しているサーバ群をなんとかしたい

ICTの導入は企業活動の効率化をもたらします。その一方でシステム毎に異なるアーキテクチャを採用すると監視やバックアップ方法が異なってしまい、複数の管理方法を取得する必要がでてきます。システムの数が多くなければそれでも問題ないでしょう。しかし、一般的に企業規模が大きくなるにつれてシステムの数も増えていき、アーキテクチャの違いに加えてOSバージョンの違いまで考慮するとその管理負荷も相当なものになってきます。

そこで検討することになるのが企業内で稼働しているシステムの全体最適化です。しかし全体最適化しようにも既存システムの数が多かったり、システムの規模が大きい・複雑といったことから見直しが一向に進まないということも想定されます。その結果として、扱いやすいシステムから見直しを進めてしまい、部分最適とはなっているが全体最適化されていないシステムが出来上がってしまいます。

また、サーバ仮想化することでコスト削減効果が見込めると思っていたのに、実際は思ったほど安くなっていなかったと感じている方もいらっしゃるでしょう。システム毎にその都度、仮想化していくのはやりやすいという側面はありますが、全体最適化されていなかったことで期待したほどのコスト削減ができていないといったことも考えられます。

では、どうすればいいのでしょうか。その答えはプライベートクラウド化による統合仮想化基盤の構築にあると考えます。

プライベートクラウド化する目的とは

先に述べた通り、重要なのは部分最適化ではなくシステム全体の最適化です。ある部分だけを最適化したとして、それが全体としてみたときに最適であるとは限りません。例として部門内の業務見直しをあげてみます。部門Aの業務を見直したことで作業時間が50時間削減されたとします。その一方で、部門Aの業務見直しの影響で部門Bの作業時間が10時間、部門Cの作業時間が20時間増えたとすると、全体でみた削減効果は20時間に留まります。一方で各部門の作業を見える化した上で全体として最適となるように作業見直しした結果、各部門で10時間削減できたとします。部門Aの削減効果は50時間から10時間と大幅に減りますが、全体でみると30時間の削減効果となり部分的に最適化するよりも効果が大きくなります。

これをプライベートクラウド化に置き換えてみます。システム毎に異なった仮想化基盤を採用したり、後継のハードウェアにリプレースすることで、システム単位でみた最適化は行えます。その一方で異なる手法の採用により効果的なICT投資、統一された運用管理という点からみると全体として最適化されているとは言えません。

一方で、全体の受け皿となる仮想化基盤をまずはじめに構築し、その上に仮想化するシステムを順次集めていくとするとどうでしょう。基盤部分の共通化により効率的かつ柔軟な運用を実現し、システムに依存する部分については仮想環境上で稼働する各システムで吸収するという考えです。共通の仮想化基盤を用意しておくことで、各システムの都合に沿って順次仮想環境上に移行することができるようにもなります。このように、プライベートクラウド化による基盤最適化はシステム全体の最適化につながります。

KVMとリソース管理ソフトウェアでプライベートクラウドを構築

ではプライベートクラウド化を進めるにあたって重要となってくるポイントとはなんでしょうか。まずはハードウェアプラットフォームの選定です。仮想化したいシステムの大半をLinuxやWindowsが占めるのであれば、コストパフォーマンスの観点からみても必然的にIAサーバを選択することになるでしょう。UNIXシステムのようにそのままではIAサーバに移行できない場合や高い信頼性が求められるため仮想化しにくいような業務については物理サーバでそのまま運用を継続し、将来的にプライベートクラウド上に移行するという選択もあります。

次のポイントは仮想ソフトウェアです。LinuxやWindowsを仮想化する選択肢としては複数考えられますが、ここではKVMについて紹介していきます。KVMをプライベートクラウドの基盤として採用する理由としてあげられるのは、仮想化基盤として求められる機能や信頼性は押さえつつ、ライセンスコストを抑えられる点でしょう。Red Hat Enterprise Linux(以下、RHEL)のカーネルにはオープンソースの仮想ソフトウェアであるKVMが組み込まれており、KVMを含むRHELのサポート契約を結ぶことで利用できるようになります。また、KVMは開発コミュニティを中心に継続的な信頼性、可用性、拡張性の強化が図られており、ある特定のベンダーに依存しないというのも魅力のひとつでしょう。

最後のポイントはリソース管理です。仮想化したあとの運用課題としてあげられるのが「運用の複雑化」と「システム管理者の作業負荷増加」です。運用の複雑化については、ハードウェアやOSに加えて仮想化レイヤーも管理対象になることによる作業の増加があげられます。また物理(ハードウェア)と論理(OS以上)の多数の組み合わせが発生することによる運用パターンの増加も懸念材料でしょう。一方のシステム管理者の作業負荷増加については、利用部門からの問い合わせ対応や利用申請処理、業務毎の設定を間違いなく行うための作業の増加などがあげられます。富士通ではRHEL-KVMをベースとしたクラウド化や管理を行うクラウドプラットフォーム製品 Red Hat OpenStack Platformを提供しています。

基盤最適化により管理負荷を軽減

企業内で複数のシステムが稼働しそのシステム毎に管理者が異なるといった場合、修正の適用ひとつとっても管理者によって適用する、しないといったことが起こりえます。企業全体のICTを管理する立場からみるとこれは問題です。セキュリティ上の観点から、はたまた予期せぬサーバ停止を未然に防ぐためにも修正の適用は可能な限り行うべきと言えるでしょう。その一方で、その修正を適用することによる影響の有無を検証したり、多くのサーバにタイムリーに修正適用していくのも大変な労力が伴います。

プライベートクラウド化することで、それらの問題を緩和することができるでしょう。検証した環境を標準のテンプレートとして用意し、要求に対してそのテンプレートを自動配備することで、その時点で最新の環境を利用することができます。また、OSやミドルウェアの修正適用状況を自動で収集して見える化し、必要な修正を一括適用することもできます。

これはあくまで一例ですが、これ以外にもゲストOSの状態監視や起動・停止、ゲストOSの移動といったことを一元的に管理できるため、システム管理者の負担軽減につながります。

インフラの構築時間を短縮

システムをプライベートクラウド上に集約することで得られる効果は管理負荷の軽減だけではありません。例えば処理能力不足によるシステムの増強や、急遽新たな業務を立ち上げる必要が出てきた場合に、物理サーバで構築するとなると物品の調達から環境構築、利用開始に至るまで時間がかかってしまい迅速性に欠けてしまいます。

OpenStackによるリソース管理の組み合わせにより、リソースプールからの仮想リソース払い出しとテンプレートからの環境配備で迅速なインフラ構築が可能となります。再起動などは利用者が操作するため管理者の負担が少なくなるというのも効果のひとつでしょう。

既存環境からの移行もスムーズ

既存環境をプライベートクラウド上に持ってくる場合にポイントとなるのが移行性です。もちろんゼロからインフラ環境を再構築して既存資産を乗せ替えることも可能ですが、できればいままでの環境をそのまま持ってきたいというのが本音でしょう。

KVMでは物理サーバのディスクを仮想マシンイメージに自動変換するツール「virt-p2v」と、他の仮想システムで作成された仮想マシンイメージのインポートが可能なツール「virt-v2v」が提供されています。これらツールを活用することで、より簡単に既存環境をプライベートクラウド上に移行することができます。

最後に
プライベートクラウド環境の構築は、システムの全体最適化を実現する有効な解となりえます。その際に重要となるのがいかにして仮想化環境の運用標準化と自動化を図ってシステム管理者の負荷を軽減するかです。プライベートクラウド化のキーとなるのはリソース管理ソフトウェアの導入であると言えるでしょう。

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