長野県市町村自治振興組合様/須坂市様/箕輪町様
- IPKNOWLEDGE 文書管理・電子決裁システム

共同調達・共同利用で文書管理・電子決裁を導入
調達事務及び構築・運用保守の負担を軽減し、
県内自治体のデジタル化・ペーパーレス化を促進

外観

近年、自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)が求められている一方で、規模の小さい自治体では予算やマンパワーなどが課題となり実現のハードルが高いのが実情です。長野県では、先端技術活用推進協議会(県、全市町村など89団体で構成)が中心となり、各種事務システムにおける共同調達・共同利用を進めています。調達における契約や仕様づくりなどの業務を共通化することで、コストや負担を削減する効果があり、2022年(令和4年)は、文書管理・電子決裁システムの共同利用化として、先行で須坂市様、箕輪町様の2団体による新規導入を実現しました。クラウドシステムの採用、オンライン会議やチャットツールを活用した打ち合わせや、庁内業務の運用ルールを見直し、原則ノンカスタマイズで導入した共同利用の取り組みについて、事務を取りまとめた長野県市町村自治振興組合様、共同調達で導入された須坂市様、箕輪町様の担当者にお話をうかがいました。

背景

人口10万人以下の自治体が9割を占める長野県では、長野県市町村自治振興組合様を中心に自治体のDX化を図るためシステムの共同化を進めてきました。2022年(令和4年)には、須坂市様、箕輪町様の2団体による共同調達・共同利用でIPKNOWLEDGE 文書管理・電子決裁システム(以下、文書管理システム)の導入が決定しました 。共同利用を前提とした仕様でノンカスタマイズでの導入でしたが、システム構築時の富士通Japanの「電子決裁加速化アドバイス」や、システム稼働後の効果測定など運用をサポートする充実したサービスが評価されています。参加団体は稼働後ほぼ100%の電子決裁率を達成しており、デジタル化への期待が高まる中、追加参画も可能な共同利用モデルが整備されたことで、県内市町村全体のデジタル化への拡大が期待されます。

課題

①予算や人手が限られる中小規模の自治体のデジタル・トランスフォーメーションの推進が課題となっていた

②新規導入のため、公文書事務のデジタル化に向け庁内の運用の見直しなどに不安があった

③ 日々増え続ける紙文書の保管場所や紙の購入量を抑制することが望まれていた

効果

① 県下の全77市町村の参加で構成された長野県市町村自治振興組合を中心に内部事務システムの共同調達・共同利用を進めることで、導入の促進を図った。文書管理・電子決裁システムは複数の自治体が参加したワーキンググループを立ち上げ、各社システムの調査や検討を行って知識を深めた。調達や導入の事務手続きを長野県市町村自治振興組合に一本化し、共同調達を前提に仕様を決定してカスタマイズをなくすことで、機能検討時間と導入コストを削減した

② 距離の離れた団体の共同利用だったが、打ち合わせはオンライン会議やチャットツールを活用して非常にスムーズに進められた。併せて、富士通Japanの導入コンサルティングサービス「電子決裁加速化アドバイス」も活用し、須坂市では電子化する文書の選択や分類などデジタル環境での運用を決定できた。箕輪町では、システムに庁内の運用やルールを合わせることでスムーズな導入ができた

③ 両団体ともほぼ100%の電子決裁率を実現している。文書管理システムに合わせて従来の紙をベースとした事務運用を見直し、ペーパーレス環境を見据えた執務環境の整備にも取り組んでいる

インタビューにご対応いただいた皆様の集合写真

左から富士通Japan 丸山、
長野県市町村自治振興組合電子自治体推進部門 電子自治体企画・推進担当 係長 水出 実様、
富士通Japan 西部

インタビューにご対応いただいた皆様の集合写真

左から富士通Japan 田口、
須坂市総務課 塚本 大貴様、若林 久人様、富士通Japan 副島

インタビューにご対応いただいた皆様の集合写真

左から箕輪町 小田切 正憲様、有賀 明菜様、笠原 ゆみ子様、小口 陽平様、富士通Japan 儘田

庁舎外観

長野県市町村自治振興組合様のご紹介

1995年(平成7年)に長野県自治会館の設置および管理運営に関する事務を行うことを目的に設立。2001年(平成13年)に市町村・県・関係団体をVPN方式のインターネットで結んだ「市町村行政情報ネットワーク」の管理運用に関する事務、2009年(平成21年)から県内の市町村が行う事務の電子化推進のための事務を担っています。

庁舎外観

須坂市様のご紹介

長野県北部に位置する須坂市は、江戸時代は須坂藩の館町で、明治から昭和初期には製糸業で栄え、土蔵や大壁造りの商家が残る蔵の町としても知られています。果物の栽培に適した地域で「フルーツハリウッド」と称し、シャインマスカット、ナガノパープルなどが有名です。

庁舎外観

箕輪町様のご紹介

箕輪町は長野県のほぼ中央に位置し、町の中央を天竜川が流れ東西を山に囲まれた田園都市です。主要産業は製造業で農畜産業も盛んです。9月下旬から10月初旬に高嶺ルビーという赤そばの花が咲き誇る「赤そばの里」や、1万本を超えるもみじが植えられ10月下旬から11月上旬に一斉に色づく「もみじ湖」などには多くの観光客が訪れます。

  • 業種: 自治体
  • 場所: 長野県上伊那郡箕輪町大字  中箕輪10298番地
  • 職員数: 211人
    (2023年4月1日現在)
  • https://www.town.minowa.lg.jp

顧客概要と取組について

長野県市町村自治振興組合の概要についてお聞かせください

振興組合◎長野県市町村自治振興組合(以下、振興組合)は、長野県の全市町村が参加して構成された一部事務組合で、市町村が共同で行う電子自治体の推進に関する事務を担当する組織です。長野県DX推進課と連携して、情報化に関する企画・立案、システムの共同調達・運用、人材育成事業などを実施しています。現在、通信ネットワークやセキュリティクラウドなどインフラ構築、内部事務システムの調達、学校徴収金管理システムなど18の共同化事業を行っています。長野県には77の市町村がありますが規模の小さい自治体が多く、単独では負担が難しいシステム構築について、仕様書づくりや契約、運用などを共同化することで導入を促進することがねらいです。


内部事務システムの共同調達の経緯をおうかがいします

振興組合◎長野県は2020年(令和2年)に「長野県DX戦略」を策定し、その方針に基づいて県および全市町村等が参加して「長野県先端技術活用推進協議会」が立ち上がりました。この中に、課題ごとにシステムの調査・研究や検討を行う自治体DX推進ワーキンググループ(WG)が組織されました。文書管理・電子決裁システムWGは、2020年から十数団体が参加して活動を開始し、先行団体として、須坂市様、箕輪町様の2団体による共同調達・共同利用での導入となりました。

共同利用での導入を進めた経緯をお聞かせください

須坂市◎須坂市では、2021年(令和3年)4月に「須坂市デジタルファースト宣言」を発表し、市長を先頭に「ICT技術を積極的に活用した効率的な行政運営」に取り組んできました。内部事務のデジタル化もその一環ですが、マイナンバーを用いた電子申請など住民側のDXが進む中で、庁内業務がアナログのままでよいのかという職員の危機感が導入へとつながりました。共同利用については、須坂市がWGのリーダーを務めていたこともあり、音頭を取る形で参画することになったというのが経緯です。
箕輪町◎内部事務のデジタル化は、日々たまり続ける公用文書ファイルや増大する一方の紙購入量を抑制したいという思いが根本にありました。そこに、コロナ禍で「押印の廃止」や「PDFの原本認証」などが進み思いがけず行政事務の「紙至上主義」が破られたことから、これをチャンスととらえて導入・実施に取り組むことになりました。われわれのような小規模自治体にとってシステムの調達業務は経験も少なく負担の大きいところで、また、自力で一定水準以上のシステム選定や導入ができるか不安もあり、これらを振興組合をはじめとする経験豊富な方々の知識や知恵を借りて進められることはメリットが大きいだろうと考え、参加を決定しました。

導入時の工夫

共同調達による導入はどのように進められましたか

振興組合◎WGでは、各社の文書管理システムの比較検討や共同調達を前提とした仕様書づくりを行い、2022年(令和4年)にプロポーザルを行いました。プロポーザルでは、両団体の責任者に選定委員となっていただき、結果、全国に多数の導入実績があり、コンサルティングサービスの提案があった富士通JapanのIPKNOWLEDGEの導入を決めました。共同調達・共同利用を前提に標準モデルとなる仕様を固めて、電子化成功団体の設定値を参考にカスタマイズをせずに導入することで参加団体のシステム導入のコストを抑えると同時に、振興組合が契約など導入の事務の一部を肩代わりし、導入の打ち合わせなども団体共同で行うことで、導入や運用にかかる参加団体の作業時間・作業負担を大きく削減できる効果を見込みました。

導入時の苦労や解決のために工夫されたことをお聞かせください

須坂市◎これまで当然のように行われていた紙文書での運用を、どのようにデジタル化するのかが不安要素でした。これについては富士通Japanの「電子決裁加速化アドバイス」でさまざまな提案や助言をいただいたことが助かりました。電子化すべき文書と紙を併用する部分の切り分けや文書の分類などについて、他の自治体の事例も含めたアドバイスをいただき、運用を見直す上で指標となりました。また、文書管理システムの導入に合わせて文書管理規程を40年ぶりに全面改正しました。不要な合議や専決権者の見直し、電子文書を公文書の原本として扱えることなどを含め、文書受付から廃棄まで文書管理システムの運用に合わせてすべて作り直しました。同時に、規程の改正だけでは周知はできないので、運用の指針をつくったり、管理のフローを1枚で把握できる図説「電子化マップ」を作成するなどして規程の浸透を図りました。
箕輪町◎当町でのシステム導入のポイントの一つは金額(予算)でした。妥当な金額の見当もつかない状態でしたが、これについてはWGで各社の文書管理システムを比較検討でき、機能と導入費用の規模感を知ることができました。最終的に、導入に当たっては運用面も重視し、機能はカスタマイズするのではなく、実績があり信頼できるシステムに、「自分たちのルールを変えて、システム側にやり方を合わせること」を導入の大前提としました。機能やパラメータ等の検討は、電子化成功団体の推奨値や事例をSEからうかがい、須坂市様にも倣って進めることができたので、大変スムーズに進みました。

導入ではオンライン会議やチャットツールを活用したとうかがいました

須坂市◎導入に関する打ち合わせの9割以上をオンラインで行いました。オンラインを活用し、合同で打合せをすることで、仕様調整も相談しながら進められ、回答のレスポンスも早くいただけたことでスムーズに進められました。
箕輪町◎オンラインに加え、振興組合の共同化で導入されていたチャットツール(自治体専用ビジネスチャットツール「Logoチャット」)も非常に役立ちました。振興組合様、須坂市様、富士通Japan様が入ったグループなどで気兼ねなく運用面の相談や機能の疑問点を聞けたことは非常に助かりました。
振興組合◎オンライン会議システムもチャットツールも、市町村のデジタル化のインフラとして、コロナ禍前から準備していたものです。コロナ禍でオンライン会議が定着し、今回の導入でも距離の離れた複数の自治体様の導入に威力を発揮しました。打合せの都度、遠方から1か所に集まる移動の負担がなかったのは、予想以上の効果でした。

導入効果

導入後の効果についておうかがいします

須坂市◎当市では2023年(令和5年)4月から稼働しましたが、約半年で紙の使用量は前年比で3.7%(75箱)減少しています。また、受け付ける文書もデジタル化することで執務室の紙文書のスペースも減っており、総務課庶務係では事務室に保管する現年度文書が、前年度に比べて1/3になっています。業務の効率化の面では、まだ運用に不慣れな部分があるものの、電⼦化による検索性の向上、電⼦決裁による効率化、件名簿や公印管理簿の簡略化、セキュリティの向上など⽂書管理の運⽤全体として効果が出ています。市長も含めた全庁で電子決裁運用を行っており、電子決裁率は95%以上です。
箕輪町◎文書の作成や運用にかかわる手間がなくなり、その分の時間が生まれました。紙の文書の印刷から決裁板による決裁、最後に文書をファイルに綴じるところまで、すべてに人がかかわっていましたが、文書管理システムではすべてシステム上で処理されます。また、既存の文書を参照して起票できる「参照起票」機能が便利で、紙よりも格段に起案のスピードが向上しました。電子決裁については端末上で決裁の進捗が確認できるので決裁を追いかけることがなくなり、決裁板がなくなったので机の上がすっきりしました。また、文書管理、電子決裁では検索機能を使ってさまざまな単語から検索が可能で、過去の書類を探す時間や手間がなくなりました。電子化決裁率はほぼ100%です。

今後の展開

今後の展開についてお聞かせください

須坂市◎紙文書であふれていた書庫を、文書管理システムの書庫機能を生かして管理できるように、書棚の再整備をしました。システムでの運用が進めば執務室内の紙文書も減っていくと思いますので、より快適な執務空間となるようにレイアウトの変更も検討しています。今回のシステムを基盤として、その他の内部事務業務についてもICTを活用したデジタル化を進めていきたいと思います。
箕輪町◎財務会計関係はまだ紙による決裁が残っています。こういった書類を電子決裁化することで、より一層ペーパーレスやテレワークなどが進み、働き方改革にもつながると思いますので引き続きシステム化の検討を進めていきたいと考えています。
振興組合◎今回の取り組みにより、長野県共同利用の文書管理システムモデルが完成しました。現在システム導入を検討されている県内市町村にも参加していただき、活用の幅を広げていければよいと考えています。
その他システムの共同化については、ほかの団体からも問い合わせがあり、勤怠管理など行政事務システムの導入を拡張していければと考えています。すでに既存システムが稼働している団体もあり、共同利用をどのような方向で充実させていくのがベストかを引き続き検討していきたいと考えていきます。

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