富士通コミュニケーションサービス株式会社 様

「シェアードセンター」のシステム基盤にSalesforceを導入。
柔軟なセンター運用と高品質サービスの提供に貢献

複数の委託元でコールセンターを共有する「シェアードセンター」のサービス提供を支えるシステム基盤としてSalesforceを導入・活用した事例をご紹介します。
汎用性が高く、使い勝手に優れるSalesforce CRMによって高品質のサービス提供を実現しています。

課題
効果
課題システム基盤としてグループウェアを利用していたが、事業の拡大に伴い新たなシステム基盤の導入が必要に
効果さまざまなCRMツールの中から、汎用性の高さやカスタマイズの容易性・柔軟性の高さなどを考慮して、Salesforceを選定し導入
課題顧客情報のセキュアな管理とともに、問い合わせ内容などの蓄積、活用が必要に
効果顧客情報は原則としてSalesforce上には保存しないよう運用する一方で、問い合わせ内容などは蓄積してFAQ化し、ナレッジ活用によるオペレーターの効率を向上
課題委託元のBCP(事業継続計画)の支援
効果Salesforceはクラウドサービスであり、各拠点(横浜市、福岡県北九州市小倉、同黒崎、および福岡県豊前市)から場所を問わず情報を参照できるため、災害時などにもコールセンター業務の拠点間バックアップを実現

背景

コールセンターで多くの実績を持つ
富士通コミュニケーションサービス様

通販の注文受付、パソコンや家電製品などのテクニカルサポート、ネットバンキングなどの操作の問い合わせ、各種サービスの照会や住所変更などの手続きなど、さまざまな役割を担っているのがコールセンター(コンタクトセンター)です。近年では企業だけではなく地方自治体などが住民向けの各種手続きの窓口としてコールセンターを開設する事例も増えてきました。

コールセンターは企業や事業者が自前で抱える場合もありますが、オペレーターの求人や研修、センターの運営、情報の管理、コールの対応などにはノウハウが必要でコストも掛かるため、最近はコールセンター事業者にアウトソーシングするのが一般的となっています。調査会社による市場調査データによれば、2017年度の国内コールセンター事業の市場規模はおよそ8,000億円から8,500億円とされており、数年のうちには1兆円を超える見通しです。

コールセンターをサービスとして提供している一社が富士通コミュニケーションサービス様です。注文や問い合わせ受付、テクニカルサポート、アウトバウンド(テレマーケティング)、リサーチなどで20年のノウハウと延べ400社を超える受託実績を誇っています。

コール量の少ない顧客応対窓口として
シェアードセンターを提供

同社が1996年から提供しているのが「シェアードセンター」です(図1、図2)。「コールセンターの開設を希望されるお客様(委託元)から、オペレーター1席分にも満たない程度のコール量にも対応して欲しい、といったニーズに応えるために提供を始めました」と、以前はシェアードセンターを運用する部署の部長を務め、現在は富士通コミュニケーションサービスが提供する各コールセンターサービスを社内的に支援する部署の部長を務める同社の佐々木 英理香氏は説明します。

「シェアードセンター」は、「シェアード(shared)」の名称のとおり、コールセンターの設備やシステムとオペレーター(エージェント)を複数の委託元で共有する仕組みで、見込まれるコール量が少ない場合に適するだけではなく、キャンペーンの実施や時間帯などによりコール量が変動する場合に臨機応変に対応できるため、繁閑の差を吸収しやすいといったメリットがあります。すなわち、お客様自身がピークのコール量に備えて多くのオペレーターを確保しておけばコスト増となり、かといって閑散期だけを考えてオペレーターの数を抑えてしまえばコールが増えたときに電話がつながらない、といった不満をユーザーや消費者に与えてしまいますが、シェアードセンターであれば柔軟な運営によって、必要最低限のコストで適切なサービス提供が可能です。

こうした特徴やメリットが評価され、2019年2月時点で同社のシェアードセンターサービスの委託元はおよそ50社に増え、拠点も、横浜市、福岡県北九州市小倉、同黒崎、および福岡県豊前市の4箇所を構えるまでに成長を遂げています。受託業務としてはテクニカルサポート系が多く、一人のオペレーターが数社を担当し、なかには10社以上を担当するベテランもいるそうです。

佐々木 英理香 氏
富士通コミュニケーションサービス株式会社
ソリューション本部
エンゲージメントサービス事業部
セールスマーケティングサービス部
担当部長
林 与志孝 氏
富士通コミュニケーションサービス株式会社
ソリューション本部
エンゲージメントサービス事業部
シェアードサービス部
担当課長
六代 諭 氏
富士通コミュニケーションサービス株式会社
ソリューション本部
エンゲージメントサービス事業部
シェアードサービス部
マネージャー

ポイント

システム基盤をSalesforceに刷新
汎用性や使い勝手が採用の決め手に

シェアードセンターを含むコールセンターの運営に不可欠なのがCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)システムです。エンドユーザーや購入者の個人情報管理、受注情報管理、テクニカルサポートにおいては問い合わせインシデントの履歴管理、メール応対、さまざまなレポート出力、内部での情報共有、委託元システムとのデータ連携、などのお客様接点での重要な連携役を担います。

同社がシェアードセンターに当初導入したのがクライアントサーバー型のグループウェアでした。一般にはCRMではなくグループウェアに分類されるソフトウェアです。
「グループウェアとして多くの企業に導入実績があり、使いやすいことや、シェアードセンターを立ち上げた当初は規模が小さかったため本格的なCRMではなくても問題ないと判断し、導入し活用していました」(佐々木氏)。

その後2008年頃になりCRM基盤の見直しを検討し始めました。前述のようにシェアードセンターサービスを利用する企業も増えて、サービスの品質向上にはよりスケーラブルな基盤が必要になってきたことが大きな理由です。

「汎用性が高いこと、複数のお客様(委託元)の顧客管理ができること、管理画面やデータフィールドなどのカスタマイズが容易なこと、システム基盤として安定していること、使い勝手に優れていること、などを要件にいくつかのCRMソリューションを検討した結果、総合的に評価が高かったSalesforceを採用することに決定しました」と、選定当時にシェアードセンターを管掌していた佐々木氏は説明します。

判断に際しては、シェアード型ではないコールセンターサービスにSalesforceを導入していた同社の他部署にも意見を聞いて、実際の運用にも問題ないことなどを確認し確信にいたりました。

インテグレーションは、Salesforceで多くの導入実績を持ち安心感があり、かつ、同社の親会社でもある富士通が担当しました。

活用

個人情報を持たないユニークな運用
問い合わせ内容などは
FAQ化して蓄積・ナレッジ化

コールセンターの運営では、顧客の個人情報などの適切かつ厳格な管理が求められます。万が一情報の漏洩などの事態が起これば、対象となる顧客や委託元企業に迷惑が及び甚大な損害を与えることとなり、コールセンター事業者の信頼も失われてしまうでしょう。

同社の取り組みはユニークです。まず、JIS Q 15001:2006に適合した個人情報保護マネジメントシステムに基づく個人情報保護ポリシーを全社で徹底遵守。さらにシェアードセンターの運営では、「Salesforce上には個人情報をできるだけ残さないように運用しています。長い場合でもおよそ3カ月をメドに自動的に消去し、情報を持ちすぎないよう配慮を行っています」と六代 諭氏は説明します。

たとえば通販の受注の場合、購入者の個人情報はセキュアな手段を通じて委託元に速やかに渡し、Salesforce上での保管はごく短期間にとどめています。また購入前の問い合わせは、個人情報は残さずに、問い合わせがあったという情報だけを保存しています。

パソコンなどのテクニカルサポートでは、過去のインシデント履歴を参照したほうがエンドユーザーとのやりとりも円滑になりますが、同社では履歴情報をSalesforce上で保管するのではなく委託元のサポートシステムを参照してインシデントを管理する一方で、技術的な内容はSalesforce上に蓄積し、ナレッジとしてオペレーターが参照できるように工夫しています(図3)。
「委託元にエスカレーションする際も、Salesforceのアカウントを通じて情報を共有するなどして、スムーズな連携が図れるように努めています」(六代氏)。

Salesforceは本来、顧客情報を管理するCRMツールですが、同社のように情報を持たない運用ルールはユニークで、個人情報を扱う他の業種でも参考になりそうです。
「富士通コミュニケーションサービスでは他のコールセンター部門でもSalesforceを導入していますが、シェアードセンターでの使い方は社内でもユニークで、かつ、上手に活用しているなと、あらためて感じています」と、現在は同社全体を見る立場にいる佐々木氏は述べています。

Salesforceの活用で別拠点を
利用したBCP的運用も提供

シェアードセンターは前述のように国内に4拠点(横浜市、福岡県北九州市小倉、同黒崎、および福岡県豊前市)ありますが、Salesforceを利用していることで、結果的にバックアップ的な運用も実現できると、林与志孝氏は説明します。いわゆるBCP(事業継続計画)の実現です。「過去に1センター拠点で局所的な豪雨や大雪などでオペレーターの出勤が難しくなったときに、他の拠点が代わりにコールをカバーして難局を乗り越えたことがありました。扱っている商品や技術が違うため100パーセントの代替にはなりませんが、一次受けなら十分に対応可能であり、お客様(委託元)の窓口業務を止めずに済んだのもどこからでも利用できるクラウドベースのSalesforceであるからこそと考えています。また、拠点の地域さえ合えば、オペレーターが家庭の都合などで転勤しても違和感なく働けるメリットも生まれています」。

そのほか、運用面ではいくつかのカスタマイズを行っています。「データフィールド、管理画面の作りこみ、メールサポートでのインシデント起票、ヘルプのポップアップなどのカスタマイズを行っています。
CRMツールがお客様(委託元)から支給される場合、修正や変更はお客様にお願いしなければなりませんが、Salesforceなら現場で対応できるため、常に使いやすい状態が保たれており、オペレーターのストレスもありません」(六代氏)。

Salesforceのアップデートに関しては、富士通側で影響範囲を精査したうえで、富士通コミュニケーションサービス様側に情報を提供するなど、富士通が誇るSalesforceの豊富な提供実績やサポート力を背景に、システム基盤としてスムーズな運用ができるようきめ細かな支援を行っています。なおSalesforceはきわめて安定しており、トラブルも皆無で、林氏は「ごく普通に、いつでも使える、というイメージしかありません」と述べています。

効果と今後の展望

チャットやAI活用なども視野に
サービスの向上に取り組み

富士通コミュニケーションサービス様ではシェアードセンターのさらなるサービス向上に取り組んでいます。近年、商品の問い合わせやテクニカルサポートではチャットを使ったやりとりが広がりつつあり、電話をかけるよりも手軽なこともあって、エンドユーザーや消費者に受け入れられています。「商品の種類やユーザー層にもよりますが、簡単な確認問合せなどであればチャットが有効な場合もあり、シェアードセンターでも対応を進めていきたいと考えています」(林氏)。

また、Salesforce Einstein(アインシュタイン)などのAI技術を活用してオペレーターを支援することで、ユーザーや消費者へのサポートを強化するような取り組みについても今後活用検討を始めようとしており、「運用や提供サービスの進化にも柔軟に対応できるSalesforceを、シェアードセンターにとどまらず、当社のさまざまなサービス事業で、Salesforceの活用を考えています」と佐々木氏は展望します。

コールセンターは委託元企業の顔となってエンドユーザーや消費者と接するお客様接点において非常に重要な役割を担います。富士通コミュニケーションサービス様が提供するシェアードセンターは、Salesforceという汎用性と柔軟性が高い基盤を使いながら、個人情報をなるべく持たない運用などの工夫により、中小規模の企業にとっても手軽に利用できるメリットがあります。見込まれるコール量が少ない場合、繁閑差が大きい場合、急なコール量に対応しなければならない場合などに最適なサービスといえるでしょう。富士通ではこれからもSalesforceのサポートや活用提案を通じて、同社のサービスをバックアップしていきます。

「シェアードセンター」のシステム基盤にSalesforceを導入。
柔軟なセンター運用と高品質サービスの提供に貢献

富士通コミュニケーションサービス株式会社 様

所在地 神奈川県横浜市西区みなとみらい4-4-5 横浜アイマークプレイス
ホームページ http://www.fujitsu.com/jp/group/csl/新しいウィンドウで表示
概要 企業向けヘルプデスクサービスを提供するサービスプロバイダーとして1994年12月に創業。現在は「コンタクトセンター」および「ICTサポート」を主な事業としてアウトソーシングサービスを提供。ドローンのサポート、LINE連携など、新しいサービスも手がけ始めている。

[2019年3月掲載]

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