厚生労働省 様 導入事例

新型インフルエンザ サーベイランス業務が 国民の命と健康を守る礎となる。

厚生労働省様では、新型インフルエンザ対策の一環として行っているサーベイランス業務にCRMate/お客様接点力を活用した「新型インフルエンザ罹患情報管理サービス」を利用されています。
このシステムを活用することで、全国の保健所から報告される罹患情報を効率的かつ迅速に収集・集計し、一元的な管理が可能となりました。

製品: SaaS型アプリケーションサービス CRMate/お客様接点力(新型インフルエンザ罹患情報管理モデル)
適用業務: 緊急時の情報収集

厚生労働省では新型インフルエンザ対策の一環として、集団感染や入院状況を把握するためのサーベイランス業務を広く行っています。その中心的な役割を果たしているのが、同省に設置されている新型インフルエンザ対策推進本部事務局です。
ここでは、新型インフルエンザの発生状況や感染拡大の推移などの情報を全国の自治体から収集し、感染情報を管理するとともに、医療機関、保健所、自治体、さらに国民に対し、新型インフルエンザに関する適切な情報を提供しています。
業務を遂行する過程で発生する大量の情報を迅速に処理し、効果的に利用するために、SaaS型アプリケーションサービスCRMate/お客様接点力を活用した「新型インフルエンザ羅患情報管理サービス」を利用し、時々刻々と変化する感染情報への対応を図っています ... 続きはPDFにてご覧いただけます。

新型インフルエンザの発生で2つのサーベイランスを追加

健康局 結核感染症課 情報管理係 係長 村上 正明様 健康局 結核感染症課 新型インフルエンザ 対策推進室 専門官 山口 喜志子様

厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務局(以下、対策本部)が取り組んでいる感染症サーベイランスとは、国や自治体などにおいて、感染症の発生状況を一定かつ継続的に集計、分析し、その情報をもとに感染症の予防対策をはかる一連の仕組みのことをいう。
今回、新型インフルエンザの発生に伴い、集団感染の発生動向を把握する「クラスターサーベイランス」と患者の入院状況や臨床情報を把握する「インフルエンザ入院サーベイランス」を業務に新たに加えた。地域における感染拡大の早期探知や感染症による重症者の発生動向、病原性の変化について把握する材料とするのが目的だ。

2009年に流行した新型インフルエンザに対しては、ウイルスの抗原性や病原性、感染動向などは、これまでの季節性インフルエンザと異なるため、対策に必要な情報が圧倒的に不足していた。だからこそ、致死率や集団感染数など多くの情報を収集・分析し、未知な部分を解明することが不可欠だった。「重症者や死亡者の推移など、入院患者の臨床情報については、変化を細かく見る必要があります。時間的な経過とともに、感染がどのように拡大していくのかを監視することは、私たちが果たす使命でもあります」と新型インフルエンザ対策推進室 専門官の山口喜志子氏は、調査の意義を述べる。

緊急時だからこそ現場との合意形成が不可欠

新型インフルエンザの集団感染や入院患者の状況に関わる情報収集は、全国約500カ所の保健所が情報発生源である医療機関、学校、社会福祉施設などから収集し、都道府県、政令市/特別区などの自治体を経由して厚生労働省へ報告している。

サービス採用前 サービス採用後 イメージ

「私たちは、保健所や自治体の負荷を十分考慮し、現場の対応可能な範囲をきちんと話し合った上で、情報の収集を依頼しなければいけないと思っています。サーベイランスに携わる担当者の負担とデータ精度のバランスを考慮に入れなければならないからです」と山口氏は、現場の声に耳を傾ける重要さを指摘する。なぜなら、最前線の現場の協力なしでは、刻々と変化する感染情報が収集できず、また、調査に負荷がかかりすぎても、状況に応じたきめ細かい対応ができない。

たとえば、2009年10月頃には、基礎疾患保有者が感染した場合、重症化することが予測されたため、その判断の根拠データを収集するためにも、未知の感染症への対策としてあらゆる情報の収集が求められた。

「しかし、知りたいと思う全ての情報を収集して欲しいとは、とても現場にはお願いできません。現場業務の運用と負荷、それにリアルタイム性のバランスを考え、臨機応変に対応しました」と山口氏は緊急時にこそ柔軟な姿勢が必要であると説く。「現場の方々の負荷が相当高い中、意義を理解してご協力いただくためには、現場との合意形成で手を抜いてはいけない」と述べる。

感染状況に応じてリアルタイムに変更できるシステムが必要だった

通常、サーベイランスにおいてどのような情報を収集するかは、ある程度猶予のある中で感染の動向を把握し、検討しながら対応する。「しかし、新型インフルエンザの発生という突発的な事態に、どのようなデータをどこまで収集すべきなのかを吟味している時間は全くありませんでした。自治体ごとに人口や医療機関数が異なるので、各地で収集された情報はバラバラとなりますが、それに合わせて調整することはできません」と山口氏は話す。

一方、システム上の運用でも課題があった。当初は数千件だったデータが、2009年11月末には1万件を超え、急激なデータ量の増加に、管理するサーバの増強を余儀なくされた。

「これだけのデータ量になると全国の保健所を含めたシステム化を緊急で整備する必要がありました。また、蓄積した情報の検索機能の拡充をしないと対応できなくなってきました」と対策本部に配属された情報管理係長の村上正明氏は話す。問題はそれだけではなかった。

新しいシステムで求められる条件について村上氏は、「次々と変化する新型インフルエンザの症例や新たな情報を、リアルタイムに収集情報項目として反映させることが必要でした」と語る。しかし、通常、システム変更をするとなるとシステム要件定義から始めて手配する必要がある。しかし、今回のケースではそれでは新型インフルエンザの感染動向調査をするには間に合わず、手配した頃には感染状況が変化しており、要求仕様が陳腐化してしまう。業務の円滑な遂行のためには、一刻も早くシステムの機能を拡張したいというニーズがあったのだ。

SaaS型のシステムを利用することで短期間に課題が解決した

そこで同省は、SaaS型アプリケーションサービスCRMate/お客様接点力を活用した「新型インフルエンザ羅患情報管理サービス」を採用した。このシステムはSaaS(Software as a Service)(注1)の形態で提供されているため、ハードウェアやソフトウェアといった設備の手配が不要である。利用者は、インターネット環境とパソコンがあれば利用できる。

従来型のシステム開発工程は不要だ。セルフカスタマイズという機能で、設定レベルで画面の修正ができるため、今回のサーベイランス業務との適合性を現場と確認して短期間に反映させることができた。

そのため、システム検討から全国約500カ所の保健所と136カ所の自治体への展開まで、約1カ月という短期間にもかかわらず、ノントラブル展開ができた。

工夫した点は、現場の混乱を避けるため試行期間を設け、現場で実際にシステムを操作して出てくる要望を短期間に反映させたことである。現場の声をすぐに反映できるのは、SaaSならではのメリットだ。

何より、現場の状況に合わせて柔軟に運用し、刻々と変化する感染情報項目を反映させ、情報の整理・管理を行うことで、情報の標準化も実現できた。

また、システムに装備されている問合せ機能を通すことにより、従来は自治体を通して質問をしていた保健所が、本省と直接コミュニケーションを取れるようになり、現場との合意形成に貢献した。

  • (注1)
    SaaS : ソフトウェア・アズ・ア・サービス(Software as a Service)。インターネットを通じてソフトウェア機能を提供するサービス。

100年後でも活用できる情報収集精度、
地道な活動が支えるサーベイランス業務

「現場の協力の上で得られたデータは、今後、別の新型インフルエンザが発生した際の対策にも貴重なデータとなります。100年後に分析しても活用ができます。だからこそ、情報収集の質を落とさないように努めたい」と山口氏は話す。データは「今」だけでなく、将来、「あの頃はどうだったのか」という分析にも使える貴重なもの。だからこそ、なるべく均一な情報を集めることが大切なのだという。

「自治体も保健所もサーベイランスの意義をしっかりと感じておられる方が多く、感謝しています。もちろん、新型インフルエンザ対策として、こうした取り組みがいかに大切なものなのかということを現場に周知する努力は怠らないようにします」と村上氏は強調する。地道な活動が私たちの命と健康、そして生活を守っている。

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所在地 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
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[2010年4月掲載]

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