Our progress

COOメッセージ

2020年3月期から推進してきた取り組みの成果を、目標達成と中期的な成長実現に着実につなげていきます。

代表取締役副社長
COO / CDPO
古田 英範

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中期計画は最終ラップに突入

中期計画の目標達成期限としている2023年3月期末まで、残すところ数か月となりました。中期目標設定の際にはまったく想定していなかったパンデミックとそこから派生したサプライチェーンの混乱の影響を踏まえ、財務目標のうち売上収益については見直さざるを得ませんでしたが、営業利益率目標については、難易度は高いものの達成可能であると私たちは考えています。その根拠は、「For Growth」「For Stability」を通じた価値創造に向けた4つの課題に対する業務レベルの取り組みの進捗にあります。

グローバルビジネス戦略の再構築

世界的な半導体不足の影響を受け部材調達が遅延した影響があったものの、すべてのリージョンにおいて2022年3月期に黒字化を達成し、2021年3月期までに進めてきた構造改革の成果をようやく形にしました。利益を安定的に生み出す体質への変化や成長の力強さという意味では緒についたばかりではありますが、成長の道筋はより明確になっています。

2022年4月には、旧グローバルソリューション部門をグローバルソリューションビジネスグループとグローバルカスタマーサクセスビジネスグループに再編し、従来リージョンが担っていた一部のソリューション開発業務をグローバルソリューションビジネスグループに統合しました。これにより、Japan、Europe、Americas、AsiaPacificの4リージョンがセールスとサービスデリバリーに経営資源を集中できる体制となりました。

4つの要素: オファリング、アカウント、デリバリー、アライアンス

グローバルビジネスの成長にとって不可欠な4つの要素である、グローバルオファリング、グローバルアカウント、グローバルデリバリー、グローバルアライアンスも、整備が進んでいます。

まず、商材がなければビジネスが成り立たないという意味で喫緊の課題であり過去2年間最も注力したグローバルオファリングの拡充は、2022年3月期中に急ピッチで進捗しました。その結果、SAP、Salesforce、ServiceNowといったパートナーとの連携に基づくオファリングを中心に、受注の積み上げという成果が表れています。

グローバルビジネスを展開する戦略顧客に対するアプローチを明確化するグローバルアカウントは、アカウントプランや営業施策の策定が完了し、グローバルカスタマーサクセスビジネスグループの下で実践する段階に至っています。

グローバルデリバリーについても、Japanを含む各リージョンにおいて開発拠点であるグローバルデリバリーセンター(GDC)の活用が定着しました。次のステップは、第1に20,000人規模となったGDCの規模の拡大を引き続き図りつつ、AIの活用や自動化を通じて、より一層の効率化と生産性強化を追求すること。そして第2にセンターオブエクセレンス(CoE)として当社グループのナレッジを集約する範囲を、従来のインフラサービスやヘルプデスクよりも難易度の高い分野へと広げ、対応力を強化することです。

最後のグローバルアライアンスに関しては、すでに触れたSAP、Salesforce、ServiceNowにMicrosoftを含めた4社とのパートナーシップに加え、他アライアンスパートナーとの連携も深め、当社グループならではの付加価値を追求しています。付加価値の源泉となるのが、豊富な社内実践から得た実体験に基づく洞察、そして、パートナーのサービスにデジタルアニーラ*のような独自の技術を組み合わせて提供できるという可能性です。今後もお客様のニーズを見極めながら、有力なパートナーと連携していく方針です。

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    量子現象に着想を得たデジタル回路で、現在の汎用コンピュータでは解くことが難しい「組合せ最適化問題」を高速で解く富士通独自の技術。

Fujitsu Uvance

グローバルビジネスの成長加速に向けて現在私たちが最も注力するのが、Fujitsu Uvanceです。2030年のあるべき社会の姿を見据えて立ち上げたFujitsu Uvanceは、サービスの提供を開始している2022年の時点で「確立されたサービス群」を擁しているわけではありません。なぜならFujitsu Uvanceは、2030年に向けて変化する市場に合わせて常に変化し続けるもの、育てていくものであるからです。

2023年3月期は、グローバルオファリングを土台に築いたHorizontal areasや、すでに素材がある程度そろっているSustainable Manufacturing などのVertical areasのサービス提供を開始しています。並行して、2024年3月期の本格展開に向け、当社グループが独自に開発するサービスに加え、グローバルアライアンスのパートナーとの協業を通じてサービスを拡充する計画です。特にVertical areasについては、お客様との共創を通じたサービス開発も積極化します。

日本国内での課題解決力を強化

国内営業職8,000名のリスキリングが成果を挙げていることが、顧客リレーションを統括するOneCRMにデータとして表れています。

2022年3月時点で、国内における全商談の約半数で、RFPと呼ばれるお客様の提案依頼書では要求されていない、CO2削減をはじめとするサステナビリティ経営強化に資する提案が行われました。そのうち約半数のお客様が、「富士通グループが今までにない提案をするようになった」「こんなことが可能なのか」とポジティブに反応してくださっています。ビジネスプロデューサーとして、お客様が実現したいこと、お客様の成功にとって必要なことを第一に考えるというマインドセットが浸透しつつある何よりの証左であると考えています。

お客様事業の一層の安定化に貢献

当社グループの収益基盤が国内ビジネスにあるという現状において、収益性の向上、ひいては、営業利益率目標の達成に向けた要がジャパン・グローバルゲートウェイ(JGG)です。JGGは、サービスの標準化とシェアードサービスの拡大を担う組織であり、国内ビジネスのGDC活用の拡大を通じた生産性向上のカギを握ります。

JGGによるGDCとの連携プロセスの仕組みづくりは概ね完了しました。お客様へサービスを提供する前線からの要望とJGG/GDCの人材をマッチングする、AIを活用したシステムによる効率化も進み、GDCの活用度は着実に広がっています。人員的にも、20,000人を擁すGDCのうち、日本向けの人材は2022年7月時点で8,400名と2021年4月時点の4,000名から飛躍的に増加、さらに2022年9月までに9,000名にまで増員する計画です。サービスの標準化に関しても、2022年3月期中に国内全プロジェクトの約40%ですでに適用されており、さらに2023年3月期中に50%まで引き上げる計画です。

また、セキュリティインシデントの発生を受け、ITガバナンス、組織、人材、事業プロセスなどあらゆる仕組みの総点検と抜本的な変革を進めています。このうち組織と人材に関しては、2021年10月に情報セキュリティ本部を設置するとともに、セキュリティ人員の増強を進めています。

お客様のDXベストパートナーへ

グローバルカスタマーサクセスビジネスグループでは、スキル・経験が高いビジネスプロデューサーを戦略的グローバルアカウントの専任としました。これが、Account General Manager(AGM)です。AGMの使命は、お客様の経営課題、お客様が向き合う社会課題が何かを徹底的に考えることです。当然、お客様のIT部門へのヒアリングだけでは足りず、いわゆるCXOと呼ばれる、CEO、CIO、あるいはCDOなどの経営層にアプローチする必要があります。2021年に製造・流通業など一部のお客様にAGMを配置したところ、より踏み込んだ提案がなされるようになったという変化が表れたことから、2022年4月以降は全業種のグローバルアカウントに拡大していきます。

中期的な成長に向けて

中期目標、中でも営業利益率の達成に向けたカギを握るのがJGGとGDCであることは前述のとおりですが、パーパス実現に向けた本来のゴールはその先にあります。中期的な成長の実現という観点ではFujitsu Uvanceに、そして富士通ブランドの維持・強化という観点ではセキュリティ体制の変革に全力を挙げ、持続的な企業価値向上を追求していきます。

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