サステナビリティマネジメント

CSO(Chief Sustainability Officer)からの
メッセージ

Fujitsu Wayの下で、
事業と社会の持続可能性を
統合する変革を推し進め、
ステークホルダーとの
真の信頼関係構築を目指します。

執行役員常務
CSO
梶原 ゆみ子

新たな価値創出に向けた変革を後押し

世界中の人びとを等しく脅威にさらしたという意味で、COVID-19はグローバル社会が1つであることを私たちに改めて示しました。しかし同時に、医療物資やワクチンの獲得をめぐる国家間の競争が表面化し、また、社会・経済的に脆弱な立場にあるコミュニティの存在が明らかになるなど、社会の分断も浮き彫りになりました。グローバル社会の協調と競争がせめぎ合う状況下の2021年4月、富士通グループのCSOに就任した私の使命は、こうしたグローバル社会が直面する諸問題に関してグループ内での理解を醸成し、新たな価値創造に向けた変革を後押しすること、そして、当社グループによる社会課題の解決への取り組みを、外部に向けて発信していくことだと考えています。

ステージ更新を目指したFujitsu Way刷新

当社グループがFujitsu Wayを初めて制定したのは、2002年のことです。以来、Fujitsu Wayの実践とも言うべきサステナビリティの取り組みは着実に広がり、外部団体や評価機関からも一定の評価を得てきました。しかし、活動を牽引していたのはコーポレートを中心とした一部の部門であり、グループ社員全員がサステナビリティに当事者意識を持っていたかと問われれば、道半ばと言わざるを得ません。

2020年のFujitsu Way刷新の背景には、気候変動問題や社会の分断を乗り越えるための新しい資本主義の構築に向けたグローバルな動きが加速する中で、当社グループのサステナビリティ経営も新たなステージに上がらなければならないという、私たちの決意がありました。当社グループが将来にわたって社会から信頼され、社会において必要とされる存在であり続けるためには、グループ社員一人ひとりが、富士通グループが社会に対して提供する価値を考えることが必要だと考えたのです。

刷新後のFujitsu Wayは、社会における富士通グループの存在意義であるパーパスを基軸としています。未来の社会を見通し、そこに向けてテクノロジー企業である当社グループが果たすべき役割を明らかにするバックキャストの視点と、設立以来86年に及ぶ歴史をひも解き私たちのDNAを掘り下げる視点から、当社グループが目指す到達点を描いたものです。

パーパスの浸透、価値観の共有に向けて

社員がパーパスを受容し、社会の持続可能性を念頭に事業に取り組むには、社員の行動原理となる価値観が共有されていなければなりません。私たちは、「挑戦」「信頼」「共感」の3つの大切にする価値観それぞれに4つの行動指針を示し、19カ国語の解説書を作成してその浸透を図っています。また、組織内の全部門・グループ子会社のリーダーをFujitsu Way推進責任者とし、各部門・子会社におけるFujitsu Wayの実践状況を報告・共有する会議を定期的に開催しています。さらに、会社のパーパスを理解・自分事化できるように、まずは、社員一人ひとりが自分のパーパスを掘り下げ、かたちにするための取り組みとして、自身のパーパスを言葉にする対話プログラム「Purpose Carving®」を導入し、自らの仕事が社会にもたらす価値を考えるきっかけづくりもしています。

こうした取り組みを通じて、グループ内におけるサステナビリティへの取り組みはギアチェンジしつつあります。社長がFujitsu Wayに対する想いを継続的に発信し、「パーパスドリブン」な経営への本気度を示す中で、それに呼応する動きが社員の中から出てきていることに、私自身も手応えを感じています。

GRBの推進と非財務指標の設定

私たちは、Fujitsu Way実践の枠組みとして「グローバルレスポンシブルビジネス(GRB)」を掲げています。GRBは、テクノロジー企業としての責任を果たすとともに、サステナビリティ経営を推進するうえで求められる普遍的な課題を体系化し、7つの重要課題として設定しています。

GRBへの取り組みを通じて、私たちは、社会の持続可能性に関わる課題の解決を目指すマインドセットと組織文化を、グループ内で培うことを目指しています。経営幹部の評価体系にGRBに関わる項目を盛り込んだのはそのためです。同時に、各重要課題に設定したKPIの進捗を開示することで、お客様をはじめとする外部のステークホルダーに、富士通らしい価値創造に向けた変化を定量的に示すことも意図しています。

7つの重要課題は、ウェルビーイングと安全衛生、サプライチェーンとコンプライアンスのように、相互に連動し正の影響を及ぼし合います。また、目標に向かって取り組むことで、その結果はステークホルダー、特にお客様からの当社グループに対する信頼と、グループ社員一人ひとりからの会社への信頼に表れるはずです。こうした考えに基づき、当社グループは、顧客NPS®と従業員エンゲージメントを非財務指標として掲げ、サステナビリティ経営の深化と、それを通じたパーパスの実現に向けた変化をモニターしています。

企業価値とサステナビリティをつなげる

当社グループが持続的に企業価値を高めるには、私たちが存在するグローバル社会の持続可能性が大前提にあり、また、あらゆるステークホルダーとの信頼ある関係構築が必要不可欠です。事業の中にサステナビリティの視点が当たり前に取り込まれ、それによって私たちのサービスの競争力が強化され、提供価値が高まり、お客様の評価と社員のエンゲージメントが向上する、そうした相関性の確立に向け、CSOとして当社グループの変革を後押ししていきます。

富士通グループ
統合レポート 2021

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