富士通のパーパスの実現を支える知財戦略

イノベーションと知的財産

「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていく」という富士通グループのパーパスの実現に向けた知的財産マネジメントの目的は、技術、ブランド、意匠をはじめとする知的資本の戦略的な構築と活用を通じて、当社グループのイノベーションと新たな価値創造に貢献することです。

1935年の設立以来、当社グループはお客様と社会のニーズを先取りするイノベーションによって成長を遂げてきました。そして現在、当社グループの成長を牽引するイノベーションの最前線は、お客様の事業の変革や、業界の垣根を越えた新たな価値創造を目指すデジタルサービスにあります。

パーパスの実現に向け、当社グループは、中期経営計画の下でデジタルサービスに不可欠な技術に経営資源を集中し、技術基盤を強化するテクノロジー戦略を遂行しています。知的財産マネジメントは、当社グループが持つ技術やデザイン・意匠などを含む知的資本の競争優位性を維持・強化することで、テクノロジー戦略の推進と価値創造を支えています。

知的財産マネジメントと企業価値

知的財産マネジメントには、当社グループが持つ知的資本の権利化をはじめとする知的財産ポートフォリオの構築・活用を通じた価値創造への貢献と、自社・他者への権利の尊重や侵害への対策をはじめとする企業価値・社会価値の毀損につながるリスクの発現を低減するリスク管理の側面があります。

価値創造への貢献

当社グループが開発した技術の権利化、それらの技術の社会実装にあたって生み出される意匠やブランドの権利化を進め、適切に管理することで、ライセンス収入の機会を拡大するほか、他者が提供する技術・サービスとの差異化、当社グループが持つ技術やサービスの競争優位性の維持・強化につなげています。

また、当社グループにとって戦略的な重要性を持つ領域における特許出願の状況など、グローバルな技術動向を広く調査、分析、発信し、成長機会の探索を支えています。さらに、デジタルサービスにとって不可欠なオープンソースソフトウェア(OSS)コミュニティにも積極的に参加し、知的財産の活用ルールの整備を通じた価値共創のエコシステムの形成や、イノベーションを促す環境づくりにも寄与しています。

価値毀損リスクの低減

知的財産権の保護は、企業価値を毀損するリスクを低減するための重要な取り組みの1つです。当社グループが保有する権利の他者による侵害は、事業戦略の遂行を妨げるだけでなく、競争環境やお客様による富士通ブランドへの信頼にもマイナスの影響を及ぼす可能性があります。このため、権利への侵害がないかを常時監視し、権利侵害の可能性がある事案を発見した場合は迅速かつ適切な対策を実行しています。

また当社グループは、「パーパス」「大切にする価値観」と共にFujitsu Wayを構成する「行動規範」において、「知的財産を守り尊重します」と明記し、自社の知的資本の権利化と同様に他者の知的財産権を尊重しています。この行動規範を具体的な行動に結びつけるべく、「知的財産権取扱規程」を制定し、富士通および知的財産活動を実施する国内グループ会社に適用しています。さらに、特許侵害回避調査とOSSライセンス管理の徹底、知的財産の契約条項に関する社内からの相談への対応などを通じ、他者が持つ権利侵害のリスク低減を図っています。

知的財産マネジメントの優先課題

5 Key Technologies

当社グループは、テクノロジー戦略の下で、デジタルサービスに必須の5つのKey TechnologiesであるComputing、Network、AI、Data & Security、Converging Technologiesに経営資源を集中しています。経営資源を集中することで、技術基盤を強化するとともに、研究開発と事業戦略の連動性を高めて効率的かつスピーディな事業化を実現し、価値創造につなげることがその狙いです。従って知的財産マネジメントにおいても、5 Key Technologiesに重点を置いた知的財産ポートフォリオの構築と活用を戦略的な優先課題と位置付けています。

Fujitsu Uvance

「Fujitsu Uvance」は、2030年のあるべき社会を描き、「サステナビリティ・トランスフォーメーション」に挑むソリューションです。5 Key Technologiesは、Fujitsu Uvanceを支える技術基盤でもあります。Fujitsu Uvanceを通じ、環境・社会・経済により良いインパクトを与えるビジネスへの変革と価値創造にお客様と共に取り組むことで、当社グループは持続的な成長を目指しています。

知的財産マネジメントの推進体制

知的財産部門の組織とガバナンス体制

知的財産部門(知財グローバルヘッドオフィス)は、ゼネラルカウンセル配下のビジネス法務・知財本部に所属しており、研究所を支援し、フロント部門にIPランドスケープを提供する「知財インテリジェンスサービス室」、経営層とのコミュニケーションを踏まえ全社の知的財産戦略を策定・推進する「知的財産戦略室」、知的財産ポートフォリオ構築を実行する「知的財産センター」から構成されています。部門内で連携するほか、グローバルビジネス法務部に所属しビジネスプロデューサーやSEを対象に知的財産活動を推進する「法務・知財ビジネス推進センター」、また、知的財産関連サービスを提供する「富士通テクノリサーチ(株)」とも協働し、知的財産マネジメントを遂行しています。

知的財産マネジメント戦略や知的財産部門の活動方針の策定にあたっては、部門内のみならず、CTO(Chief Technology Officer)兼CPO(Chief Portfolio Officer)が率いる技術部門、および事業部門内で選任された知財戦略責任者と連携し、経営戦略や事業ポートフォリオ戦略と整合させています。また、社外取締役・社外監査役の参加する独立役員会議などの会議体にて、ビジネス法務知財本部長が知的財産マネジメントの戦略や進捗を報告し、経営層と議論する場を設けています。

グループ・グローバル連携

富士通は、グループ全体の知的資本を最大限に発揮できるような知的財産ガバナンス体制を構築しています。国内では、知的財産活動を行うグループ会社と一体となった活動を実施しています。一部例外として独立して知的財産活動を行う会社については、レポートラインを構築し、密に連携した活動を実施しています。グローバルでは、レポートラインの活用も含め、欧州、インド、中国、オーストラリア、米国の5拠点の知財責任者と定期的な会合を実施するほか、世界8か国に設置した研究拠点への知的財産サポートを通じて、グローバルビジネスの実態に即した知的財産マネジメントを実行しています。

技術・事業ポートフォリオ戦略との連携

知的財産部門は、5 Key Technologiesに集中する技術・事業ポートフォリオ戦略と連携した知的財産活動を組織的に推進することで、当社グループの競争優位性の維持・強化や新たな事業機会の獲得に貢献しています。知的財産活動にあたっては、権利行使によるライセンス収入の実現のみならず、開発時の特許発掘・権利化や商談時の特許表示などによる、当社グループの技術力やオファリングの優位性訴求、他社オファリングとの差異化、新規顧客・商談開拓などに注力しています。

富士通の知的財産に関するお問い合わせ

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