ブランドと商標/デザインと意匠
ブランドと商標
富士通グループは、Fujitsu Wayで掲げる大切な価値観である信頼と共感に直結するものとして、ブランドを重要な経営資源の1つと捉え、グローバルにブランドの訴求活動を行っています。知的財産部門では、当社グループが有するブランドの価値を商標によって守るとともに、190以上の国・地域において、商標出願、商号やドメイン名を継続的に監視する体制を構築しています。具体的には、以下の3つの活動を推進しています。
- 他者の商標権を尊重し、侵害リスクを回避するとともに、富士通グループの商標権を確保することでグローバルなビジネスを支援する活動
- 富士通商品の模倣品や、富士通の著名性に便乗した商標出願や商号登記などを監視・阻止するための活動
- 商品やサービスの名称だけでなく、5 Key Technologiesに関する商標権を確保してテクノロジーブランドとして保護する活動
例えば、「サステナビリティ・トランフォーメーション」を実現するソリューションのブランドであるFujitsu Uvanceについても、組織文化の変革やお客様やその先に存在する社会における富士通グループに対する意識に働きかけることを目指し、グローバルにブランド戦略を展開するとともに、商標出願を行いました。
また、第三者による商標等の不正使用や当社との関係を装う詐欺的な第三者によって富士通ブランドの信頼が損なわれることのないよう、権利侵害を発見した場合は毅然とした姿勢で対策を講じ、価値毀損を防いでいます。
ブランド価値と知的財産マネジメント
ブランド価値の維持・強化に対する継続的な活動の成果は、外部機関の評価にも表れており、ブランディング専門企業であるインターブランド社が発表した「Best Japan Brands 2024」において、富士通グループのブランド価値は前期比19%増の1,523百万米ドル、日本国内で34位と評価されています。
引用:インターブランドジャパン. "Brand Value Chart : Fujitsu".(参照2024-03-06)
デザインと意匠
当社グループはデザインを重要な経営資源の1つと考え、あらゆる事業活動にデザインのマインドや手法を活用しています。特に重視しているのは、人を中心に考える「Human Centered Design」、地球環境と共生する持続可能な社会を作る「サステナブルデザイン」、人々がそれぞれの能力を十分に発揮でき、安心、快適、そして豊かに生活できる社会を目指した「ユニバーサルデザイン」です。
近年は、ハードウェアのデザインに加え、サービスを利用するユーザーとの接点となる画面のデザインなど、意匠が持つ重要性が増しています。例えば「サプライチェーンの脱炭素化」に関するサービスを提供する場合、データを可視化しユーザーにとってわかりやすい形で提示する画面デザインが、サービスの使い勝手、すなわち付加価値を大きく左右します。換言すれば、技術的な可能性をイノベーションにつなげ、お客様に価値を提供するために、デザインが不可欠な役割を持つのです。
当社グループは、事業活動の過程で創作されたデザインを戦略的に意匠として権利化することで、ユーザビリティを含めたお客様への提供価値を高め、サービスの差異化と競争優位性の維持強化を図っています。
知財ミックス戦略による価値創造
テクノロジーからイノベーション、イノベーションから価値を生むためには、テクノロジーとデザイン・意匠を統合した知的財産戦略が必須です。知的財産部門では、技術に加え、ハードウェアの形状や画面デザインの意匠を権利化するだけでなく、特許権、意匠権、商標権などの知的財産権の強みを組み合わせて権利化する「知財ミックス戦略」を実践することで、イノベーションのインパクトを高め、安心、快適、豊かさといった社会価値の創出を支えています。
音をからだで感じ、まわりの人と音を一緒に楽しむ「Ontenna」
Ontennaは、ろう者の方に「デザインとテクノロジーを用いて、音を伝えたい」という開発者の思いから生まれた音知覚装置です。60~90dBの音を256段階の振動と光の強さに変換し、音の特徴をからだで感じるユーザーインターフェースを採用しています。ユーザーがOntennaを髪の毛や服のそで口などにヘアピンのように装着することで、Ontennaが音を感知した際に、感知した音の鳴動パターンがリアルタイムに変換され、リズムやパターンといった音の特徴を楽しむことができます。
Ontennaの開発は、まだ学生だった頃のエンジニアとろう者の出会いから始まりました。ろう者との対話を通じてニーズを掘り起こし、共に新しい音知覚装置の開発に挑戦していた開発者が当社に入社したのは2016年。入社以降も、当社のデザイナーや他のエンジニアを巻き込みながら、ろう者と健聴者が一緒に音を楽しむ体験を実現すべく試行錯誤し、2017年にOntennaの開発に成功しました。
知財ミックス戦略での多面的な保護
Ontennaは装着時の違和感をなくすため、丸みのある優しいフォルムでヘアピンのように装着できる形状となっています。Ontennaの本体部分、充電器、複数のOntennaを制御することができるOntennaコントローラの意匠出願および意匠登録を行い、Ontennaの本体部分の形状は立体商標でも権利化を行っています。また、Ontennaの充電方法や通信システムは特許出願、特許登録も行っており、Ontennaの本体部分および周辺機器を知財ミックス戦略で保護しています。
社会価値の創出につながるイノベーション
現在Ontennaは、無償配布という形で日本全国の8割以上のろう学校に導入され、発話練習やリズム練習の際に、音を振動と光でろう学校の子どもたちに届けるという大きな役割を担っています。Ontennaを使用することで、普段、声を出さないろう学校の生徒が積極的に声を出すようになったり、楽器演奏時に太鼓や笛の強弱を感じたり、リズムやタイミングを伝えみんなでダンスを合わせて楽しむことができるようになりました。また、スポーツ・文化イベントにおいて、ろう者と健聴者が共に臨場感や一体感を感じる機会をつくるという観点で、よりインクルーシブな社会の実現に貢献するイノベーションであるとも言えます。
Ontennaは、2019年度のGOOD DESIGN賞「金賞」、IAUD国際デザイン賞「大賞」、地方発明表彰「特許庁長官賞」などを受賞したほか、2022年には、音を振動・光で知覚する身体装着装置に関する意匠が全国発明表彰「恩賜発明賞」を受賞し、社外からも高い評価を得ています。
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