知的財産ポートフォリオ

Key Focus Areasを支えるKey Technologies(Computing、Network、AI、Data & Security、Converging Technologies)における知的財産ポートフォリオについて紹介します。

Computing

富士通は1950年代からコンピューター事業に進出しております。国内の多くの企業が外国企業との提携によって技術を導入していく中で、富士通は自主技術による開発を進めてきました。そして富士通はデジタル社会を支えるICT 基盤に革新をもたらす量子技術を含めたコンピューティング技術の開発を行っていきます。
特許行政年次報告書2022年版〈統計・資料編〉によれば、富士通は日本における分野別登録数統計表のⅠ-6コンピューターテクノロジーにおいて特許登録件数 第1位となっています。また理化学研究所と富士通が2014年から開発を進めてきたスーパーコンピュータ「富岳」は、世界のスーパーコンピュータに関するランキングの、「HPCG(High Performance Conjugate Gradient)」、「Graph500」において5期連続の世界第1位を獲得しました。

事例:最適化問題を高速に解くデジタルアニーラ™

組み合わせ最適化問題を高速に解く仕組みとして富士通は「デジタルアニーラ」を開発しました。2018年の商用化以降、より規模の大きな組合せ最適化問題に対応できるようにビット数の拡大、演算スピードの向上に取り組んできました。現在、第三世代に進化したデジタルアニーラは、これまで以上に大規模な組合せ最適化問題にも対応できるようになり、さまざまな社会課題の解決にデジタルアニーラの能力が発揮できるようになりました。現在、クラウドサービス、テクニカルサービス、そしてオンプレミスの3形態でお客様の課題解決をトータルサポートしています。コア技術を中心に特許出願も多く行っており、今後はこれに加えて、応用分野での特許ポートフォリオも強化していきます。

組み合わせ最適化問題関連の出願状況

Network

富士通は1935年創業以来長年培ってきたネットワーク技術をベースにネットワークのソフトウェア化、クラウドネイティブなどの技術開発に取り組んでいきます。これにより、エンドツーエンドで仮想化されたクラウドネイティブ・ネットワークを世界中で利用可能にすることを目指します。
富士通は、通信事業者および通信機器ベンダが5Gをはじめ次世代の無線アクセスネットワークの拡張性を高め、よりオープンに展開することを目的に活動を推進する団体「O-RAN Alliance」への参画・活動をリードしています。
富士通はNTTと「持続可能な未来型デジタル社会の実現」を目的とした戦略的業務提携に合意しました。この業務提携では、世界有数の特許数を誇る光技術をはじめとした通信技術など、両社の強みが活かせる分野において共同研究を進め、その成果を活用したグローバルなオープン・イノベーションを通じて、低エネルギーで高効率、かつ持続可能なデジタル社会を実現していきます。
そして富士通は、当社開発の技術の国際市場への普及を図るために、SEP(standard-essential patent)の取得強化に取り組んでいき、特許アライアンスや特許プールに参加することで、業界のパートナーとの協調にも取り組んでいます。 これにより5Gなどを活用した社会課題解決に資するサービスの実現を目指していきます。

AI

富士通は、高度な意思決定や人の創造性を向上させる「信頼できるAI」の研究開発を強化し、AIビジネスの拡大に貢献することを目指しています。
富士通は1974年にAIの思想が盛り込まれた特許出願を行っており、以降も研究開発の成果を基に、継続的に特許出願を行っています。AI関連の特許出願件数は、2021年8月調べの特許庁の状況調査において日本出願件数で第2位、2019年1月調べの世界知的所有権機関(WIPO)による調査では出願件数で世界第5位となるなど、国内外において上位のポジションに位置しており、近年においても変わらず富士通はAI関連技術の研究開発に力を注いでいます。
また、富士通ではAI関連技術以外にも様々な研究開発を行っており、そこでの知見や成果がAI技術の開発に活かされる場面もあります。以下で、AI技術の開発に他の研究開発の成果を応用することで生まれた技術や、富士通が開発を行っているAI技術を紹介します。

事例1:TDA(Topological Data Analysis / 位相的データ解析)のAI応用

TDAは、Topological Data Analysisの略称で、位相的データ解析などと呼称されることもあります。富士通では、データ解析において主流の統計的なデータ解析手法とは異なるアプローチの解析手段としての幾何学的なデータ解析方法を検討するにあたり、元々はAIとは別個に研究開発が始まりました。AIとTDAそれぞれの研究を行う中で富士通は、画像処理分野において高い性能を示すことが知られていたAI技術Deep Learningを時系列データ(例えば心拍データや加速度センサのデータ等)の解析に利用するにあたり、TDAとDeep Learningを組み合わせることで、解析性能を大きく向上させることができることを見出しました。これらのTDAを応用したAI技術の研究開発を進めるとともに、得られた成果は富士通独自のTDAの使い方として特許出願を随時行っています。
上記のようにTDAには大きな利用価値があると富士通は考えていますが、業界全体を見ると、実際のソリューションにおけるTDAの活用は今現在でもそこまで大きく普及はしていません。そこで、富士通の技術者は、TDAを利用する上で有用なソースコードをOSSコミュニティに提供し、より多くの人がTDAを手軽に使えるような土台作りに貢献をしています。また、AI関連の学会におけるワークショップ等では、TDAのテーマにおいてファシリテータを務める機会もあります。こうした機会を利用して、単にTDAの活用を活発化させていくだけではなく、前述の特許出願も含めてTDAの分野における富士通のプレゼンス向上にも同時に取り組んでいます。

AI関連発明の出願人別出願件数
(2014年以降の出願で2021年5月までに公開されたもの)

事例2:本質的な特徴量を正確に獲得するAI技術 DeepTwin

DeepTwinは、富士通が世界で初めて開発した高次元データの分布・確率などの本質的な特徴量を正確に獲得するAI技術です。
DeepTwinは、映像データ等を最小の情報量に圧縮する技術の基礎となるRate-Distortion理論をAIに応用した技術です。今回、高次元データを最も情報量を圧縮できるようAIで学習することで、そのデータの分布・確率などの本質的な特徴量を正確に獲得できるという理論を新たに構築しました。その概要は次の通りです。
DeepTwinでは、AIアルゴリズムの1つであるオートエンコーダを利用しています。オートエンコーダは、入力データと同じデータを出力するように訓練されたニューラルネットワークであり、入力されたデータには、出力されるまでに次元削減が施され、次元削減後のデータを復元したものが出力データとなります。オートエンコーダは、入力データが一旦次元削減された上で、入力データと出力データとの差分(誤差)が少ないほど性能が良いとされますが、これは前述したデータ圧縮の考え方にも通じる部分があります。
ニューラルネットワークにおける次元削減では、特に高次元データを次元削減したことによって、次元削減前のデータにおけるデータの分布の特徴が失われてしまい、それによって性能低下が起こることが課題とされていました。データ圧縮において利用されてきたRate-Distortion理論から着想を得て、富士通では、次元削減前のデータにおけるデータの分布の特徴を次元削減後にも正確に捉えることが可能なAI技術を生み出すことができました。この考え方を反映した研究成果は2019年に特許出願を行っており、それをさらにブラッシュアップして2020年に公開したものがこのDeepTwinという技術です。また2020年は、機械学習の国際会議ICML 2020 (International Conference on Machine Learning 2020)においてもDeepTwinについての発表を行いました。
現実にはより複雑な高次元データ、難易度が高い問題も数多く存在しますが、DeepTwinがより複雑な問題にも対処可能となる技術開発を継続して行っている最中です。DeepTwinに関しては、上記の公開および学会発表後もその後もさらなる特許出願および学会発表を行い、より一層実用的なAIの実現を目指しています。

事例3:説明可能なAI技術 Wide learning™

Wide LearningはXAI(eXplainable AI:説明可能なAI)に関する技術です。
データ項目同士を組み合わせ、その中から判断基準となる仮説を現実的な計算時間内で漏れなく抽出します。​
複数のデータ項目の“組合せ”が判断に効く場面で効果が発揮​されます。
人間にも分かりやすい判断根拠​を網羅的に抽出することが出来るため、単に説明できるだけでなく、知識発見にも貢献するAIアルゴリズムとなっています。
また、学習データの少ない適用先でも実用的精度を達成​されるため、例えば100件程度の学習データからでも実用モデルを生成可能です。​
最近では、第49回衆議院議員選挙の当落の分析に活用されるなどしています。
富士通では、人とAIのコラボレーションを実現するXAI技術の1つとして、Wide learningに関わる特許ポートフォリオの構築にも注力しています。

Wide learning関連の特許出願状況

Data & Security

富士通はゼロトラストの実現、さらにそれを進めたクロスインダストリ―で社会にトラストをもたらす世界の実現を目指し、クロスインダストリ―のゼロトラストコラボレーションで必須となる「データトラスト」の研究開発に注力しています。

事例:オンラインの取引相手の信用を判断可能にするIDYX™ (IDentitY eXchange)

IDYXはオンラインの取引相手の信用を判断可能にするアイデンティティー流通技術です。デジタルビジネスにおいて、サービス事業者や利用者の経歴や資格などの本人情報(アイデンティティー)を正確に相手に伝えることによって、安全かつ高信頼の取引が可能になります。富士通はブロックチェーン技術を拡張し、分散型IDの仕組みの上で、実際に取引を行ったユーザーからの評価やこれまでの取引の実態などから、取引相手の信用性を確認可能な形で本人情報を安全に流通させる技術「IDYX」を開発し、これに関する特許ポートフォリオを構築しています。
IDYXを応用して、新型コロナウイルス感染症の拡大に対応したオンライン服薬指導の導入が進む中、医薬品販売や配送に関わる異なるステークホルダー間において医薬品の情報を安心安全に連携できるサービスの実現を目指し、サイバーエージェントおよびMG-DXとIDYXを実装した情報流通・活用プラットフォームの共同実証プロジェクトにも取り組んでいます。2021年度中に本プラットフォームの実用化を進め、得られた知見をもとに新サービスの開発など、医薬品販売や配送に関わる各ステークホルダー間において医薬品の情報を安心安全に連携できるサービスの実現を目指しています。

IDYX関連の特許出願状況

Converging Technologies

複雑な社会課題はテクノロジーだけでは解決できないため、富士通はデジタル技術と人文社会科学の融合により人と社会に新しい価値を生み出すコンバージング技術の開発にも注力していきます。

事例:映像から人の様々な行動を認識するAI技術 Actlyzer™

Actlyzerは、映像から人の様々な行動を認識するAI技術です。
約100種の基本動作(歩く・首を振る・手を伸ばす)をあらかじめ学習して認識できるようにしておき、それを組み合わせることで、不審行動や購買行動といった人の複雑な行動を認識します。
Actlyzerに関わる多くの特許出願を行っています。また、動作認識に関するコア技術に加え、リテール・製造・防犯等の適用先を見据えた特許出願も数多く行っており、行動認識に関わる特許ポートフォリオを構築しています。
またActlyzerに関し、手洗い行動分析の画像意匠の出願、およびテクノロジーブランドとしての商標出願も行っており、知財ミックス戦略による知財ポートフォリオ強化も行っています。 現在、この技術と行動科学の知見を組み合わせることで、人の振る舞い等から行動を予測する等、さらなる性能の向上を目指しています。

Actlyzer関連の特許出願状況(2020‐2021年比較)

Actlyzer関連の特許出願状況(カテゴリ別構成)

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