高松市様 訪問調査モバイル/電子審査会NEXT

要介護認定業務に要する膨大な紙の資料を扱う運用から解放、訪問調査と認定審査会における業務の効率化と精度の向上を実現

庁舎外観

人口約43万、香川県の中央に位置する四国の中核都市・高松市様は、2006年にMCWEL介護保険システムの導入と合わせ、「訪問調査モバイル」と「電子審査会」を採用。要介護認定業務において紙ベースから電子化によるデータの運用に変えることで、ペーパーレスや業務の効率化を実現。また紙の資料と比べデータはチェックがしやすいため、審査の精度向上を図っています。

介護保険制度の開始以来、審査件数が年々増加する中、事務業務や審査会の審査業務の負荷が増大し、膨大な紙の資料に要する手間とコストが増え続けていました。これらの課題を解決するべく高松市 健康福祉局 長寿福祉部 介護保険課様は2006年、全国に先駆けて訪問調査モバイルと電子審査会を導入。本稼働後9年が経過し、ペーパーレスや業務の効率化面での大きな効果に加え、チェックのしやすさから審査精度の向上を実現。いまでは訪問審査モバイルと電子審査会は同市の要介護認定業務になくてはならない存在となっています。

課題
  • 1人の調査員が1日4件程度の訪問調査を行っており、業務負荷の軽減と精度向上の両面を実現する必要があった
  • 審査件数の増加に伴う審査会資料の用紙代、人件費など増大する経費の削減と、業務負荷の軽減を図りたい
効果
  • 訪問調査モバイルの導入により調査の空き時間に入力業務を行うことで時間の有効活用が可能に。また電子化したことで特記事項も見やすくなり、チェックも容易かつ的確に行えることから審査資料の精度が向上
  • 電子審査会の導入により事前審査の廃止を断行。審査会資料を印刷し郵送する手間がなくなり事務の効率化を実現。また審査委員も事前に審査会資料を確認し会場に持参することも不要に。前回情報の確認や一次判定の根拠を樹形図で確認可能になるなど審査の精度が向上
インタビューにご対応いただいた皆様の集合写真
前列左から 菅原氏、大野氏
後列 富士通四国インフォテック 営業統括部 公共営業部 竹本

高松市様のご紹介

四国の玄関口、香川県高松市は、北は多島美を誇る瀬戸内海に面し、南は讃岐山脈を臨む風光明媚で温暖な気候に恵まれた県庁所在地です。同市の魅力は自然だけではありません。多くの史跡や文化遺産を楽しめる観光名所も豊富です。
源平合戦のエピソードを残す壇ノ浦をはじめ、瀬戸内海国立公園随一の景勝地と称される屋島は国の天然記念物に指定されています。また日本三大水城の1つである高松城跡の玉藻公園や、四季折々の美観を堪能できる栗林公園など散策の楽しみは多彩です。讃岐うどんはもとより、瀬戸内海でとれた新鮮な魚を使った郷土食など美味しい名産品もたくさんあります。
また、3年ごとに高松市を含む瀬戸内エリアで開催されている現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」は観光客にも大変人気で、来年3月の開催に向け、準備を進めています。

屋島
玉藻公園
栗林公園

システムの導入経緯

システム導入以前の要介護認定業務における課題についてお聞かせください

2000年4月に介護保険制度が開始して以来、年々審査件数が増加するのに伴い、審査会資料の用紙代、印刷代、郵送代など人件費を含めて増大する経費が課題となっていました。また高松市は2001年にISO14001(環境マネジメントシステム)を取得するなど、行政面で環境に対する各種取り組みを進めておりペーパーレスも重要なテーマでした。コストや環境の観点から全国的に紙を使わない認定審査会が注目され始めたこともあり、他市の電子審査会の取り組みを参考に当市での導入検討を開始しました。
また訪問調査業務や審査業務の負荷が増大する中で、法に規定されている「申請から認定まで30日以内」を目指すうえで、確実性を保ちながら効率性を高めることが必要でした。申請者、調査員、審査会委員、事務職員、それぞれの視点に立って要介護認定業務の最適化を図るために、従来の紙ベースから電子化によるデータをベースとした運用に切り替えることが必要だったのです。

「訪問調査モバイル」と「電子審査会」の導入までの経緯についてお聞かせください

2005年4月、審査会委員全員に向けてのデモを実施し、各社の中から使いやすさ、サポート、コストなど総合的に評価し富士通を選びました。
その結果を受け、2006年、富士通の介護福祉ソリューション「MCWEL介護保険V2 認定SELECT」の導入と合わせ、要介護認定業務を電子化するべく電子審査会と訪問調査モバイルを導入しました。

システムの運用

訪問調査モバイルの運用状況についてお聞かせください

申請者との対面調査は、これまでと同じようにメモやチェックシートで行うことを基本としています。心身の状況を見ながらの調査のため、話をしている人の目の前でコンピュータに入力する行為はなじまないのが現状だからです。
調査員はノートパソコンを携帯し、午前中の調査分は空き時間を利用し現地で入力、午後からの調査分については帰庁後に入力することで時間の有効活用を図っています。現在、訪問調査モバイルの利用率は99%、紙の調査票によるのは市外調査くらいです。

電子審査会を用いた認定審査会の運用状況についてお聞かせください

2006年から高松市介護認定審査会として、高松市はもとより周辺3町の認定審査会業務を事務受託し、電子審査会による審査判定を行っています。現在の審査会開催状況は毎週月曜日、火曜日、水曜日の午後6時から午後7時開始で開催。週単位で16審査会を開催し、年51週で816審査会の開催を計画しており、2014年度の審査会回数は773回です。
審査する委員は医療・保健・福祉の各1人と事務局1人の計4人で1合議体を形成。2014年度の実績として1合議体1回あたり35件程度の案件を判定しており、平均開催時間は約60分です。委員120人で40の合議体を運営しています。

電子審査会の開催から審査結果の送付までどのように行われていますか

次回開催合議体の割り当て後、担当事務局の点検用として調査票と意見書を1部(35人分)16合議体分を出力し、各事務局担当者は個人情報等のマスキングや特記内容とチェック項目の照合確認などを行います。その際、修正箇所があれば点検表に記入後、審査会資料作成者がデータを修正します。
完成した審査会データは審査会当日に合議体ごとに記録媒体に保存し、各事務局担当者が審査会場にてデータを取り込み、認定審査会を実施します。審査会終了後、各事務局担当者が審査内容を記録媒体に保存。審査会事務担当者が合議体の審査結果のデータ取り込みを行い、議事録作成・集計・認定を行います。その後、高松市介護保険システム(基幹システム)と連携させるため、取り込んだデータを変換・移行しエラー発生時には修正を行います。また審査分について結果通知を作成(外部委託)し、エラー修正などによる結果通知作成分と合わせて送付します。
高松市に事務委託している周辺3町は、毎週木曜日の午前中にデータの参照が可能となります。電話連絡だけで資料を郵送する手間もなく連携もスムーズです。また2012年度から審査会資料作成事務担当者会を年1回開催し、訪問調査のチェック基準の共通化や特記事項の書き方など審査判定のベースとなるデータ内容の精度向上を図っています。

医療機関との連携についてお聞かせください

介護保険制度の開始当初から医療機関にご協力いただき、申請時に申請書と主治医意見書の同時提出という運用を行っています。年度末にMCWEL様式の主治医意見書(印刷物)を市内医療機関に配付しています。こうした運用により、申請から認定までのスピードは全国的にもトップレベルを実現しています。今後も医療機関との連携を一層強化し、業務の効率化と申請者に対するサービス向上を図っていきます。

システムの導入効果

2006年に訪問調査モバイルを導入後、9年が経過しました。訪問調査モバイルの導入効果についてお聞かせください

現在、高松市の調査員は10人です。1人の調査員が1日4件程度訪問調査を担当していますが、空き時間に入力業務を行うことで帰庁後の作業の軽減も図れています。また2015年度から2人の新人を採用し研修時の同行調査で指導を行っていますが、モバイルの操作性について問題は生じていません。調査員は30代から50代の女性ですが、日常生活でスマートフォンなどを利用していることもあって皆さん使いこなしています。
訪問調査モバイルは、基本的にマウスやタッチパネル操作で項目を選択することで入力できます。また、特記事項を入力するときも、基本的な内容などは、パターン登録の中から目的に合った文章を選択し違っている箇所のみ修正を加えることもあり、容易に文章を作成できます。入力の効率性とともに、書き方の統一が図れる点も評価しています。
また従来、紙の調査票や意見書、申請書を整理した後に意見書と調査票をOCRで取り込み、その後目視で検査し不整合があれば手書きで修正していました。紙ベースで行っていたため、すべてにおいて時間がかかり過ぎていました。導入後、電子化したことで不整合チェックツール(カスタマイズ)を活用し、画面上で意見書と調査票の共通項目をマッチングして不整合チェックが行えるようになり、効率化と精度の向上が図れました。審査件数は年間28,000件に及びます。確認する項目は74項目あり、それを職員1人で1件ごとにチェックしており、共通項目のチェックを効率化できるだけでも業務負荷を大幅に軽減できます。

電子審査会の導入により事務や審査はどのように変わりましたか

前回の情報との差異が色や矢印などで強調できるため、紙の資料と比べてチェックがしやすく一目で状態がわかります。主治医意見書をデータとして管理することで、特記内容との比較もできます。認定調査も訪問調査モバイルにより電子化されたことで特記内容が見やすくなり、一次判定の再判定の確認も可能です。
また従来は自宅での事前審査を前提とし、事前審査に平均2時間を要していましたが、いまは審査会当日に事前確認を約30分で行っています。委員は事前審査にかける時間がなくなり、当日資料を持参する必要もありません。事前審査を前提としないため、委員の交代が当日でも可能になりました。従来、審査会委員数分の紙を印刷及び事前送付するなど審査会の準備が大変でしたが、そうした手間がなくなり職員の事務負荷も大幅に軽減しています。紙ベースと比べて情報の活用や一元管理が容易に行えるため、審査会の委員に対して提供する情報の精度も高まっています。
また紙の資料は2年間保存しなければならないのですが、いまは原本で保存しているのは申請書と意見書、議事録くらいで、ペーパーレス化が大きく前進しました。「もう紙の時代には戻れない」というのが実感です。審査会委員の方々も同じ気持ちだと思います。紙に比べてデータはチェックがしやすく、効率化と審査の精度向上の両立を実現できていると考えています。

2015年4月、「電子審査会システム」から「電子審査会NEXT」に更新したことでの評価ポイントについてお聞かせください

当初は新システムに戸惑っていた面もありましたが、一次判定の中間評価項目や樹形図などが前回と比較できることがとても好評です。審査会委員テキストに掲載されている樹形図を対象者の審査結果と照らし合わせた状態で表示できるため、一次判定の根拠を簡単に確認できるという点は非常に高く評価しています。

システムの画面キャプチャー例
樹形図により一次判定の根拠を簡単に確認可能

今後の展開/富士通Japanへの期待

電子化により申請者に対するサービス面での効果はありますか

申請者の方から、前回との比較についてお電話でのお問い合わせも多くあります。従来はお問い合わせに対して、該当する紙の資料を探しに行く手間と時間がかかっていました。いまは前回の結果が電子データとしてシステムに保存されており、前回の調査内容や審査結果などを検索、参照しやすく、お問い合わせいただいた申請者の方をお待たせする時間が少なくなりました。

コスト削減効果についてお聞かせください

2006年の導入当初、本市の行財政改革実施項目において「介護認定審査会の電子化等による介護認定事務の効率化について」を掲げて、報酬・需用費・役務費についての節減効果を見込み、ペーパーレス化や運用負荷の軽減により、大幅なコスト削減を実現しています。またコストに換算することは難しいですが、紙ベースよりもチェックがしやすくなったことでミスもなくなり、業務の質と効率の両面の向上が図れていると思います。

今後の展望

今後の展望について、また富士通に対してどのようなご期待・ご要望をお持ちでしょうか

「訪問調査モバイル」と「電子審査会」の導入により、ペーパーレス化と効率化を実現できました。本市においても、今後介護保険事業の運営にあたり、費用の増大が見込まれる中で、ICTを上手く活用しコスト削減や省力化のさらなる推進を図っていくことは重要なテーマとなります。また要介護認定業務は生身の人間が対象となるため、数字だけの世界ではありません。申請者の視点に立ったサービス向上も図っていきたいと思います。富士通にはサポートに加え、高松市の要介護認定業務を理解したうえで先進的な提案を期待しています。

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