ICTを活用した能動的学習の授業環境を提供しこれからの教員に必要なスキルを育成
授業に手軽に組み込めるアクティブラーニング支援システムを構築
国立大学法人 大阪教育大学 様 導入事例
大阪教育大学は2017年、スマートデバイスを活用した対話型のアクティブラーニング支援システムを新たに導入しました。本システムのプラットフォームには、富士通の「Webコア Innovation Suite」(以下、WCIS)が用いられ、同年10月より授業での運用がスタートしました。学生の授業参加度の観点で効果を見せています。
[ 2018年7月17日掲載 ]
業種: | 文教 |
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ソリューション: |
共創支援&学習支援ツール群「Webコア Innovation Suite」
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1 | アクティブラーニング実施率向上に向け、使いやすいツールを授業に取り入れたい | → | 簡単な操作で授業中にコメントができ、教員・学生ともに負荷をかけないアクティブラーニング環境を実現 |
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2 | 将来の教育現場で役に立つICTを活用した能動的授業スタイルを学生に身につけてもらいたい | → | 将来教員となって参加型の授業をつくる学生のために、その礎となる経験を提供できるようになった |
導入の背景
ICTを活用した教育を行える教員を養成したい
西日本最大級の教育大学である大阪教育大学。教員養成機関として140年以上の歴史を持っており、2017年4月には「ReBorn 2017」として、卒業後に働く教育現場の実情を考慮した教育学部の改組を実施しました。教員養成課程は「学校現場で必要とされる教員」を養成すべく、アクティブラーニング、ICT教育など現在の教育課題に対応した内容に刷新しました。
カリキュラムでは、ICT講座を必修としているほか、PCも必携となっています。その狙いは、個々のICTツールへの習熟に留まりません。「PC必携化は、ICTツール全般を扱う際の考え方を学生たちに身につけてもらいたいという考えからです。将来教育の現場に立ち、ICTを活用した教育も想定される中、いろいろなツールに触れてもらうことは重要。学生たちが常に新しいものに触れていけるよう、大学側もそうした環境を提供する必要があります」と学術情報課 情報企画室長の山本拓司氏は話します。
山本 拓司
氏
大阪教育大学
情報基盤統括室 CSIRT
学術情報課 情報企画室長
導入のポイント
アクティブラーニングの促進に向け教員にも学生にも使いやすいツールを
片桐 昌直
氏
大阪教育大学 教育学部
教育協働学科理数情報講座
教授 医学博士
科学教育センター長 学長補佐(組織改革)
ICTツールを整備するにあたり同学が着目したのは、現代の教育課題の1つでもあるアクティブラーニングでした。
「アクティブラーニングは、学ぶ側の主体性やコミュニケーション力を高めるための重要な手法です。本学としても、その実施率をいかに高めていくかが課題となっていました」と科学教育センター長 学長補佐の片桐昌直氏は話します。
今回導入したWCISは、同製品に含まれるコメント投稿活用ツール「Mickr」を利用して学生たちがスマートフォンなどでコメントを投稿すると、それが自動的に教室内のスクリーンに映し出される仕組みになっています。
「同種のツールは他にもありますが、多くは利用する際に外部サイトにアクセスする必要があり、発言を表示するためのスクリーンを別途用意しなければなりません。それに対しMickrではセッティングが容易で教員側の手間がかからず、学生たちがアクセスするのも簡単です。教員が資料などを映し出している画面に学生たちの投稿を重ねて表示でき、授業の流れを止めることなく、ごく自然な形でアクティブラーニングを実践できます」と片桐氏は評価します。「導入に先立ってFD(Faculty Development)を実施した際も試用した先生から好評でした」
導入の効果
挙手より学生が発言しやすくなり遠隔授業でも参加感が高まった
WCISは2017年4月に導入され、学内の準備期間を経て10月から運用が開始されました。学生に挙手して発言してもらう手法に比べ、本システムの方が、学生にとって発言しやすいとの手応えが得られています。また、大阪教育大学では奈良教育大学や京都教育大学と共同で三大学合同の双方向遠隔授業も行っていますが、その授業でもMickrが役立っているといいます。
「こうした遠隔授業では、学生に発言を求めるとマイクを回すなどの手間がかかり時間もロスしますが、Mickrならそれがありません」と情報処理センター長の佐藤隆士氏は話します。実際に、授業後に学生たちが記入するコメントシートでも「より参加感があった」という好評の声が上が っています。こうしたツールによって学生に意見を発信させ、能動的姿勢を促す仕組みは、将来ICTなどを活用して教育の現場に立つ人材育成にも大きく貢献しています。
佐藤 隆士
氏
大阪教育大学
情報処理センター長
教授 工学博士
センター連絡会議議長(部長)
今後の展望
投稿内容を評価にも用いたい 附属校の導入も検討
松井 聴治
氏
大阪教育大学
情報基盤統括室 CSIRT
学術情報課 情報企画室
情報企画係
大阪教育大学では今後、投稿内容の解析も行っていく考えです。「アクティブラーニング型の授業では学生の評価方法も重要な課題です。今後、学生が投稿した内容を解析するなどしてこの課題に取り組んでいきたいですね。より高度なデータ処理や解析のための基盤についても、富士通の提案を期待しています」と片桐氏は話します。
大阪教育大学には幼小中高特支の9つの附属学校園が設置されており、アクティブラーニング環境含め、それらのICT環境の整備も重要な課題です。「ICT環境の運用は現場の詳しい先生頼みではなく、附属校や大学の垣根を超えて全員で考え、課題に取り組んでいます」と、情報企画係の松井聴治氏は説明しています。
実際に附属校の教員からもWCISを使いたいとの要望が寄せられています。それに対し、情報処理センターの尾崎拓郎氏は、「環境構築やメンテナンスは現場で行うのか、我々大学側がどう支援できるのかを検討しながら、最適な整備を行っていきたいと思います」と話し、法人全体の教育力強化を図っていく考えです。
尾崎 拓郎
氏
大阪教育大学
情報処理センター 助教
写真左から、山本 拓司氏、片桐 昌直氏、佐藤 隆士氏、尾崎 拓郎氏、松井 聴治氏
所在地 | 〒582-8582 大阪府柏原市旭ヶ丘4-698-1 |
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教員数 | 255名( 2017年5月1日現在) |
学生数 | 4,151名(2017年5月1日現在) |
概要 | 1874年に大阪府が設立した「教員伝習所」以来140年以上、長い歴史の中で名称や体制を変えながらも、教員養成を中心とした教育を一貫して手掛けてきました。現在では、教員養成大学として西日本最大、教員就職者数では全国1位となっています。 |
ホームページ | 国立大学法人 大阪教育大学様 ホームページ |
【導入事例(PDF版)】
- 導入事例 大阪教育大学様 (1235 KB / A4・2ページ)
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