デジタルアニーラとは

デジタルアニーラは、量子現象に着想を得たコンピューティング技術で、現在の汎用コンピュータでは解くことが難しい「組合せ最適化問題」を高速で解く技術です。

第四世代デジタルアニーラの特長

デジタルアニーラは、量子現象に着想を得たコンピューティング技術により、一般的なコンピュータでは解くことが難しい組合せ最適化問題を短時間で解きます。

第四世代デジタルアニーラは、第三世代の利便性はそのままに、
富士通の独自技術である大規模アニーリングコアにより最適解を高速に求解します。

  • 大規模問題を高速に求解

    大規模アニーリングコアを搭載したことにより、大規模問題の求解性能が大幅に向上しました。その結果、これまでの第三世代と比べて、最大で10倍の高速求解が可能となりました。
  • 利便性の向上

    新たに1hot制約のQUBO定式化を不要とするAPIを追加することで、入力データを削減し、入力時の煩雑さを解消しました。複雑な制約条件への対応能力をさらに充実させたことにより、利便性もいっそう向上しています。

デジタルアニーラの主な特長

規模
10万ビット規模で課題に対応
結合数
ビット間全結合による使いやすさ
精度
64bit階調の高精度

大規模アニーリングコアの特長

第三世代
  • 制約活用サーチ(ソフトウェア)が制約条件を考慮しながら問題を分割してDAUを起動。
  • 8,192ビット以下の中規模問題は専用チップにより高速求解。
第四世代
  • アニーリングコアが大規模化。問題を分割することなく並列ビット処理を実行。
  • 反転ビット選択時に制約条件を活用し、1,2way-1hot時にはそれぞれ2,4ビットを同時反転。

第四世代デジタルアニーラの性能比較

二次割当問題(QAP※1)で検証

大規模QAPインスタンスのひとつであるtai150b(※2)で、第四世代、第三世代デジタルアニーラのベンチマークを実施(問題サイズ22,500ビット)。
第四世代は第三世代の10分の1の時間でより優れた解を導出。
(第四世代60秒、第三世代600秒で導出。)

第四世代デジタルアニーラは、他社商用ソルバの400分の1の時間で優れた解を導出。
(第三世代は84秒で導出。)

第四世代、第三世代は10回試行の平均Gap値をプロット
他社データは公開サイトより当社にて抽出してプロット

  • ※1
    QAP:Quadratic Assignment Problem
  • ※2
  • ※3
    Gap値が小さいほど優れた解で、Gap値0はこれまで知られている最良解 (BKS:Best Known Solutions) を示す。

グラフ彩色問題で検証

富士通テクニカルレビュー「デジタルアニーラによる配電応需計画の最適化」(※1)で評価されたグラフ彩色問題のひとつであるDSJC250.9(問題サイズ:18,000ビット※2)を第四世代、第三世代で比較。

最適解到達は第四世代が約10倍高速

「組合せ最適化問題」を実用レベルで解けるコンピューティング技術

実用性の面で課題の多い量子コンピュータに対し、デジタル技術の優位性を活かすことで、早期実用化を実現しました。

なぜ、デジタルアニーラは複雑な問題を高速に解けるのか?

デジタルアニーラは、様々な量子インスパイアード技術の中で、アニーリング方式というものに属しています。アニーリング方式は、組合せ最適化問題に特化した方式である反面、その演算スピードは速く、使い方はとてもシンプル。従来のコンピュータのようにプログラミングの必要がなく、パラメータを設定するだけで、計算が行われます。

アニーリング方式:揺らして、全体を落ち着かせる

デジタルアニーラ ご紹介資料

第四世代デジタルアニーラの詳細については、「ご紹介資料」をご覧ください。

デジタルアニーラが適用可能な業務例

製造 / 流通ピッキングルート・棚配置最適化

倉庫内の部品の「ピッキング」作業において、ピッキング順序と部品棚の位置を最適化することでピッカーの移動距離を最小化することが可能です。

製造 / 流通人員計画最適化

これまでは人が行っていた勤務シフトの作成を、作業員の要望・能力・希望スケジュール、勤怠条件等の条件を満たす最適な人員計画をデジタルアニーラで実施可能です。

製造 / 流通在庫管理最適化

仕向先の要望に応じたに最適な部品・製品の組合せを最適化することで、在庫管理を効率化します。

製造生産計画最適化

順序関係のあるいくつかの作業を複数の機械で処理する場合に、機械全体の稼働スケジュールを最適化することで、全体の稼働時間の短縮化が可能です。

物流配送計画最適化(VRP:Vehicle Routing Problem)

複数の拠点(倉庫等)から複数の拠点(販売店等)に商品を幹線輸送する際のトラック数、ルート、ダイヤ、積載荷量を最適化することが可能です。

交通経路選択最適化

あらゆる車両の経路を分散し、最適化することで、都市部の渋滞を緩和。全体の移動距離を短縮することが可能となり、環境にも優しい都市づくりを実現できます。

金融投資ポートフォリオ最適化

価格変動に相関のある株式銘柄同士をまとめることで、ローリスクでかつリターンが最大となるように分散投資をすることで、ポートフォリオを最適化し、投資リスクを削減することが可能です。

創薬分子類似性検索

化学・製薬企業の研究所では、新規物質の発見や新薬開発において、分子の部分的特徴を抽出して検索する「分子類似性検索」が用いられています。

デジタルマーケティング

Web ページを訪れるお客様ひとりひとりに適した情報をきめ細かく表示することで、デジタルマーケティングの精度向上をはかり、購買意欲を高めることができます。

事例

デジタルアニーラについてさまざまな視点からご紹介する特集記事です。
デジタルアニーラのしくみから未来の可能性までじっくりお読みいただけます。

量子コンピュータ研究者からみたデジタルアニーラ

「とりあえず触ってみると答えが出る。よしこれはどうだ? と色々試してみたくなる。最善の『方法』を模索する部隊としてデジタルアニーラに魅力を感じています」

東北大学 大学院情報科学研究科 教授
大関真之 氏

「デジタルアニーラの実活用事例を多く世に出すことが大切です。大学や企業などユーザ組織と富士通の強力な連携により、実活用事例の共創が加速的に進むことを期待しています」

慶應義塾大学 理工学部 物理情報工学科 准教授
田中宗 氏

「1QBit社は量子ハードウェアの製造に重点を置いた多くの企業とこれまで協業してきましたが、富士通デジタルアニーラは1QBit社がこれまでに開発した研究の全てを本当に活用できる初めてのハードウェアです。」

1QB Information Technologies Inc. 最高経営責任者
アンドリュー・フルスマン 氏

「The Fujitsu Co-Creation Research Laboratory at the University of Torontoを通した共同研究の推進に非常に意義を感じてます。今後はエンジニアリング、環境、医療、スマートシティ、金融分野について一緒に多くの問題の解決していきたいと思っています」

トロント大学 電気・コンピュータ工学部 教授
アリ・シェイコレスラミ 氏

世界トップクラスのパートナーとの協業

現時点で量子コンピュータ向けソフトウェアを商用化しているベンダーである1QBit社(カナダ)や、世界トップクラスのイノベーションハブを持つトロント大学との戦略的パートナーシップを結んでおり、両組織との協業を進めています。

  • 量子コンピューティングを加速する新しい研究センターをトロントに設立
    2018年3月14日(水)、量子コンピューティングを加速する新しい研究センター「Fujitsu Co-Creation Research Laboratory at the University of Toronto」の開所式をトロント大学にて開催しました。

関連リンク

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