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雑誌FUJITSU


雑誌FUJITSU 2017-3

最新号 特集:環境

2017-3月号 (Vol.68, No.2)

富士通グループでは,パリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)の採択を受けて,「第8期富士通グループ環境行動計画」を策定し,2016年4月に活動を開始しています。
本特集では,富士通グループの環境戦略,持続可能な社会の実現に貢献するソリューションや技術・研究開発をはじめ,事業所,データセンター,バリューチェーンにおける国内外の取り組みをご紹介します。


巻頭言

環境特集に寄せて (524 KB)
執行役員常務, 五十嵐 一浩, p.1

総括

富士通グループの環境経営 (727 KB)
小田切 充, 川田 宏幸, 前沢 夕夏, 金光 英之, p.2-7
2015年,国連の「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」の採択や,国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)における「パリ協定」の合意など,持続可能な社会の実現に向けて国際的な目標が掲げられた。これらの目標の達成に向けては,国・地域のみならず,民間企業の積極的な取り組みが期待されている。富士通グループでは,事業を通じた「お客様・社会への貢献」と,「自らの事業活動に伴う環境負荷低減」の二つの軸で「第8期富士通グループ環境行動計画」を策定し,2016年4月より活動を開始した。お客様・社会への貢献では,ICTサービスや製品の提供を通じて持続可能な社会への貢献を目指し,自らの事業活動に伴う環境負荷低減では,パリ協定の温室効果ガス排出量削減目標に向けてバリューチェーン全体で取り組み,その達成に努める。
本稿では,第8期環境行動計画を含む富士通グループの環境経営の概要と,具体的な取り組みについて紹介する。

持続可能な社会の実現に貢献するICT

持続可能な世界に向けたグリーンICTの研究開発 (1.29 MB )
田中 努, 塩田 哲義, 胡 勝治, 尾崎 光男, p.8-15
2015年に,国連総会において2030年に向けた地球全体の「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」が採択された。更に,2016年11月に開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)では,ゼロ炭素社会実現に向けた「パリ協定」が発効され,世界が共通の課題解決に向けた動きを大きく加速させている。このような状況のもと,地球温暖化対策だけではなく,複雑に絡み合った環境・社会・経済の様々な課題解決への対応が急務になってきている。ICTは,これらの課題解決に有用な手段として捉えられ,これまでに多くの分野で貢献してきた。今後,更に複雑化した課題に早急に対応するため,富士通ではビッグデータを活用した未来予測などを通して,効率的かつロジカルに的確な判断を行い,様々な利用シーンに適用できるICTサービスの提供に取り組んでいる。
本稿では,環境に関わる研究開発のうち,生物多様性保全に向けた「自然資本評価技術」と,地域の特性を見える化し,地域特有の課題抽出や施策効果の予測に活かせる「環境・社会・経済分析技術」を紹介する。
ICTサービスによる持続可能な開発目標(SDGs)への貢献 (998 KB)
小野 貴之, 飯田 憲一, 山崎 誠也, p.16-21
2015年,地球環境や社会の持続可能性に関する二つの重要な国際的な枠組みが採択された。一つは,9月の国連総会で採択された2030年に向けた「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」を中心とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」であり,もう一つは,12月の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で採択され,2016年11月に発効した温暖化に関する「パリ協定」である。富士通グループは,このような世界的な目標の達成に貢献するために,2016年度に開始した「第8期富士通グループ環境行動計画」において,「ICTサービスの提供により,社会の持続可能な発展に貢献する」ことを目標の一つに掲げている。
本稿では,SDGsと企業活動との関わり,富士通グループが推進しているICTサービスによるSDGsへの貢献に関する考え方や評価手法,更に具体的な事例を紹介する。
運航ビッグデータと人工知能を活用した船舶の燃費改善とCO2排出量の削減 (985 KB)
阿南 泰三, 樋口 博之, 濱田 直希, p.22-27
船舶業界では,船舶が使用する燃料コストとCO2排出量が大きな課題となっている。大手の海運会社では,年間3,000億円を超える燃料が消費される。船舶の燃料消費量とCO2排出量を低減するためには,航路上の風や波の強さが船速や燃費に与える影響を正確に把握することが重要である。船舶性能の推定は,船舶模型と水槽実験による物理モデルシミュレーションを用いて行うが,実海域での船舶の状態と風,波,海流などが複雑に絡み合う状況を考慮できず,予測誤差が大きくなるという課題があった。これに対して富士通研究所では,船舶が実際に運航したときの風,波,海流などの気象・海象データに加えて,位置,船速などの運航データやエンジンログデータをクラウド上に収集し,独自の高次元統計解析を用いて船舶性能を見える化する技術を開発した。本技術を大学の実験船や商船などの複数の船舶に適用したところ,5%以下の誤差という高い精度で船速や燃料消費量を推定することができた。また,本技術をシミュレーションで評価した結果,大幅な燃費改善が可能であることを確認した。
本稿では,船舶燃費削減のキーとなる実海域での船舶性能の推定技術,およびそのシステム構成例について述べる。
製品のライフサイクルを通じた環境配慮 (928 KB)
濱川 雅之, 胡 勝治, 木村 浩一, 石川 鉄二, 篠村 理子, p.28-37
富士通グループでは,製品のライフサイクル全体を見据えた環境負荷の低減に取り組んでいる。省エネ技術による消費電力の削減,省資源化,リサイクル率の向上,化学物質管理による有害物質の排除など,製品の環境配慮設計を推進するため,1993年度より製品環境アセスメントを実施している。また,環境配慮型製品であるグリーン製品の開発に加え,トップレベルの環境性能を有するスーパーグリーン製品の開発を推進している。2013年度からは,特に製品の「エネルギー効率向上」と「資源効率向上」を重要テーマに位置付け,環境負荷の低減と高いパフォーマンスを両立した製品をお客様に提供することを「富士通グループ環境行動計画」の目標の一つとして掲げて,活動を推進してきた。
本稿では,富士通グループのこれまでの環境配慮設計の歩みを振り返るとともに,第7期(2013~2015年度)から第8期(2016~2018年度)にかけての環境行動計画における製品のエネルギー効率および資源効率の向上の取り組み,および製品の環境配慮設計を支える環境技術について紹介する。

バリューチェーン全体での環境配慮の追求

富士通グループの工場・事業所における地球温暖化防止の取り組み (1.04 MB )
並木 英明, 中野 敏治, 二瓶 雅之, 伊東 浩幸, 佐藤 和明, 北嶋 雅之, p.38-45
2015年11月にパリで開催された国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)に先立ち,日本は2030年度に温室効果ガス排出量を2013年度比で26.0%削減する約束草案を2015年7月に決定し,国連へ提出している。本草案を基に,2018年度の富士通グループのCO2排出量の目標を算出すると2013年度比4.2%減となるが,富士通グループは「第8期富士通グループ環境行動計画」において,それを上回る5%以上の削減を目標として活動を進めている。
本稿では,目標達成に向けた富士通グループの工場・事業所における地球温暖化防止の取り組みとして,従来から継続しているファシリティを中心とした省エネ施策,および工場製造領域における省エネ技術開発を含めた取り組みの事例を紹介する。
ドイツ・アウグスブルグ事業所におけるISO 50001に基づいた省エネ施策 (1.02 MB )
Hellmut Böttner, Thomas Bernhardt, p.46-58 (原文(英語) p.52-58)
Fujitsu Technology Solutionsのドイツ・アウグスブルグ事業所では,省エネを中心とした環境対策のプロジェクト活動に積極的に取り組んでいる。このプロジェクトは,国際規格の遵守と社員の参加を条件として活動している。省エネに関する欧州の政策と規制,および国際規格のISO 50001(エネルギーマネジメントシステム:EnMS)に基づき,当事業所では2012年にエネルギーに関する詳細な分析を開始した。この分析結果と,全社員から出されたアイデアを管理部門で取りまとめ,立案したエネルギー消費量の削減施策を実施することによって,温室効果ガスの排出量とコストを大幅に削減できた。具体的には,当事業所のエネルギー消費量を削減することで温室効果ガス排出量を15%以上削減するとともに,当事業所で開発・製造されている大部分の製品の電力消費量を20%削減した。後者の取り組みは,お客様の求める省エネ性能に訴求するもので,電力使用量の削減という明確な形で購入いただいたお客様の利益につながる。
本稿では,ISO 50001に基づき当事業所が取り組んでいる省エネ活動について紹介する。
エネルギー効率の高いグリーンデータセンターの実現 (935 KB)
川口 清二, 畦上 慎司, 鈴木 康修, 山手 亮平, p.59-65
データセンター(DC)のエネルギー消費量は,クラウドコンピューティングの普及などによって増加傾向にあり,DCの環境パフォーマンスに対する社会の関心が高まってきている。富士通グループでは2012年度より「富士通グループ環境行動計画」にDCのグリーン化を掲げ,国内外においてDCの環境負荷低減を進めてきた。まず,34の主要なDCのベンチマークを行い,重要な改善ポイント(短期・中長期)を抽出した。次に,改善を行っていくための環境の整備として,各DCの改善施策内容をまとめたガイドラインを作成し,施策前後のエネルギー削減量と改善効率を確認できるダッシュボードを開発した。また,活動を継続していくために早期に改善成果をメンバーと共有するなど,活動の協力体制も構築した。このような運用改善と並行して,人工知能による革新的な空調制御技術や液浸によるサーバ冷却システムなど,中長期にわたる開発を数多く実施している。
本稿では,DCのグリーン化を実現するための富士通の取り組みについて紹介する。
富士通グループのグリーン物流 (641 KB)
丹羽 和彦, p.66-70
2016年度より開始された「第8期富士通グループ環境行動計画」では,「バリューチェーン全体における温室効果ガス排出量の削減」を掲げ環境活動を推進している。物流部門では「輸送における売上高あたりのCO2排出量を年平均2%以上削減する」ことを目標とし,富士通グループ全体の貨物輸送(国内輸送,海外域内輸送,国際輸送)において,モーダルシフトをはじめとした様々な環境負荷低減活動,すなわちグリーン物流活動をお取り引き先とともに積極的に推進している。富士通グループのグリーン物流は,「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の改正(通称:改正省エネ法)が施行された2006年4月より本格的に活動を開始している。この改正は,輸送事業者だけでなく,荷主事業者に対しても物流における省エネ対策の強化を図るものである。これは国内法であるが,富士通グループは国内にとどまらず海外にもこの活動を広げている。
本稿では,富士通グループのグリーン物流に対する活動内容を紹介する。
富士通グループのグリーン調達の取り組み (758 KB)
長内 正己, 若杉 敏, 並木 崇久, 篠原 健祐, 大沼 英子, 宮澤 多恵子, p.71-76
富士通グループでは,地球環境保全を経営の最重要事項の一つと位置付けて「富士通グループ環境行動計画」を策定し,全ての事業領域で計画的,継続的に環境活動を展開している。調達部門においても,2001年のグリーン調達活動のスタート以来,納入品の法規制遵守およびお取引先における環境活動を支援している。具体的には,お取引先における環境マネジメントシステム(EMS)の構築と,納入品への規制化学物質の非含有の徹底や製品含有化学物質管理システム(CMS)の構築に取り組んでいる。また,国際的な環境問題に対応し,CO2排出量削減,生物多様性保全,および水資源保全を環境活動のテーマに加えている。
本稿では,第7期環境行動計画における調達部門の活動実績と,2016年度にスタートした第8期環境行動計画の目標の一つである「サプライチェーンにおけるCO2排出量削減の取り組み」について紹介する。