予約した図書館の本・資料の予約と
受取りから貸出処理まで
すべてセルフで可能に
IC予約棚で、もっと便利で
「借りやすい」図書館を

埼玉県白岡市立図書館 様

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埼玉県の白岡市立図書館様(以下、同館)では、図書館を含めた複合施設の新設にともない、利用者数が増えることが予想され、貸出・返却などカウンター業務の効率化と、利用者の利便性向上が求められていました。そこで、IC図書館ソリューションとIC予約棚を導入しました。ICゲートや自動貸出機と組み合わせて利用することで、予約した本・資料の受取りから貸出までを利用者自身でできる仕組みを整えました。同館の取り組みを紹介します。

導入事例概要

オファリングテーマ IC予約棚
ソリューション

FUJITSU 文教ソリューション WebiLisiLiscomp

課題と効果

課題
効果
課題図書館利用者数の増加が想定される中、カウンターでの待ち時間の短縮など業務の効率化が求められた
効果自動貸出機の導入などで貸出処理にかかる時間を短縮、カウンター業務を大幅効率化し、図書館サービスの質を向上
課題利用者からは、「もっと手軽に便利に予約した本や資料を受け取りたい」という要望が寄せられていた
効果IC予約棚を図書館スペースの一角に設置、ICゲートと自動貸出機によるセルフ貸出で予約件数の増加にも対応
課題「借りる本を知られたくない」といったプライバシー、昨今ではコロナ対策など多様化するニーズへの対応が求められた
効果予約した本や資料を非対面・非接触・セルフで受取り・貸出処理ができるIC予約棚を導入、利用者の利便性が向上

導入の背景

移設で図書館スペースが10倍以上に、蔵書数や利用者数の増加にどう対応するか

 埼玉県の中東部に位置する白岡市は、2012年の市制施行で誕生した人口5万人ほどの新しい市です。東京都心までを約40分で結ぶJR宇都宮線をはじめ、東北道や圏央道が市内を走り、アクセスの良さからベッドタウンとして発展してきました。
 白岡市では、2018年に図書館機能、資料館機能、生涯学習機能を融合した白岡市生涯学習センター〔こもれびの森〕が開館し、それまで中央公民館に併設されていた図書館が移設されました。図書館スペースは以前の約177平方メートルから10倍以上の約1,800平方メートルにまで拡大しました。同館の館長で白岡市生涯学習部長兼学び支援課長の阿部千鶴子氏は「学習室や『おはなしのへや』などの設置、蔵書・資料数の増加で市民の利用も拡大することが想定されました。貸出や返却で市民をお待たせしないよう業務を効率化すること、『より使いやすくなった』と感じてもらえるように利便性を高めることが求められいたのです」と当時を振り返ります。
 また、同館 主任 平山 雅基氏は、「貸出・返却業務以外にも予約図書の取り置きとお渡し、蔵書点検、不明本の捜索などで、職員の業務負荷が大きくなることも考えられました」と当時の課題を示します。「当時の担当職員は、業務負荷の増大を限られた職員で乗り切るためには、図書館システムの刷新が不可欠と感じていたようです。」(平山氏)と説明します。


導入の経緯

IC予約棚でプライバシー保護や非対面・非接触といった多様なニーズに対応

 同館では、生涯学習センター〔こもれびの森〕の開館にあたって、東京をはじめ近隣自治体の公立図書館を訪ね、施設や図書館システムの視察を行いました。その過程で、蔵書にICタグを貼付して管理するIC図書館ソリューションの導入を決定しました。決め手について、平山氏は「当時の担当職員から話を聞いたところ、カウンター業務、蔵書点検などが効率化できるほか、自動貸出機で利用者自身が自分で貸出手続きができるようになります。職員の業務負荷が大きく軽減されると感じていた」と話します。
 また、IC予約棚の機能にも大きなメリットを感じたようです。これは、利用者が予約した本や資料を図書館スペースの一角に設置された専用のIC予約棚を利用して非対面・非接触で受け取れるようにする仕組みです。
 利用者がインターネット経由で図書館のホームページにアクセスし、借りたい本や資料を予約すると、手配が整い次第、利用者にお知らせがメールで通知されます。通知を受け取った利用者は、IC予約棚のコーナーで予約照会機を操作して予約した本・資料を確認してレシートを印刷します。そのレシートに記載されているIC予約棚の場所に行き、予約した本や資料を取り出し、自動貸出機で貸出処理を行うことができます。IC予約棚コーナーの出入口にはICゲートが設置されているので、職員が常駐していなくても、本や資料の不正な持ち出しを防止できます。
 平山氏は、「利用者からの『自分がどんな本を借りようとしているのかを職員に知られたくない』といったプライバシーに関する要望や、非対面・非接触で予約した本を受け取りたいといった要望などにも対応可能で、市民の方々に図書館をさらに有効活用してもらえると感じていたようです。」と導入の理由を示します。
予約棚コーナーでの図書の受取

導入の効果

利用者がセルフで貸出手続きまでできる 倍以上に増えた貸出予約にもIC予約棚で対応

 同館では、IC予約棚をはじめとするIC図書館ソリューションの導入効果をさまざまに感じています。まず、カウンター業務の効率化です。これまでは、カウンター内の棚で予約本を保管し、受取りにきた利用者に職員が手続きをして手渡していました。IC予約棚の導入によって予約本の受け渡しをカウンターで行う必要がなくなり、職員の業務負荷が軽減されました。平山氏は「以前は月間700件程度のリクエストでしたが、現在では1,300件へと増えています。予約の倍増に職員が個別に対応するのは難しいのですが、IC予約棚の導入で十分に対応できています」と効果を示します。また、複数の本や資料でもカウンターの上のICアンテナにまとめて置くと、リーダー/ライターがさっと読み取って一度に貸出や返却の処理ができるようになったこともカウンター業務の効率化につながりました。
 さらに、IC自動貸出機の導入で、利用者自身のセルフ貸出が浸透しました。平山氏は「市内小学校の児童が施設見学に訪れた際には、自動貸出機の利用方法について説明を行っています」と話します。こうした地道な取り組みにより自動貸出機の利用率は以前の50%程度から現在では70%にまで高まりました。平山氏は「貸出数は以前の月間約15,000冊から、現在では2倍以上の約35,000冊に増加していますが、スムーズな貸出手続きが可能となっています」と説明します。「多くの利用者が自動貸出機でセルフで貸出手続きをしています。利便性向上も大きな効果です」(平山氏)。
 こうした一連のIC図書館ソリューションの導入により、阿部氏は、「新館が開館した当初は10名(平日)のスタッフが必要でしたが、現在では7名(平日)で対応できるようになりました」と効果を示します。「同館の利用者数は、新型コロナウイルス感染症の影響による一時的な落込みはあるものの、右肩上がりとなっています。カウンター業務を効率化したことで、より少ない人数でも市民の方々に質の高いサービスを提供できています。大きな導入効果です」(阿部氏)。
 また、IC予約棚と自動貸出機により、利用者は非接触・非対面で予約本の受取りと貸出処理ができます。「コロナ禍にあって休館などを余儀なくされた中、利用者にとっても職員にとっても安心・安全な予約・貸出の運用体制が組めたことにもメリットを感じています」(平山氏)
IC自動貸出機

今後の展望

ICTに苦手意識を持つシニア層も簡単さと楽しさを伝えていきたい

 こもれびの森は2021年6月に入館者が累計50万人を突破しました。入館者の増加にともない、図書館の利用者も増え、ますますの利便性向上が求められます。同館では、さらなるICTの活用を視野に入れています。具体的には、市内にあるさまざまな公共施設との連携です。現在、こもれびの森にある図書館にまで足を運べない市民が、近くの公共施設で本を返せるよう公民館などの施設に返却ボックスを設置していますが、阿部氏は「返却ボックスをより多くの施設に設置するとともに、将来的には返却だけでなく、予約した本の受取りまでできるようにしたいと考えています」と言います。
 公民館などにICタグ対応の自動貸出機を設置すれば、図書館の職員を常駐させることなく予約した本の受渡しが可能です。平山氏は「図書館の利用ついては、より良いサービスを望む市民の声は多くあります」と話します。白岡市の発展と歩調を合わせながら、同館はこれからもより利用しやすく変わっていく必要があるでしょう。歩みが止まることはないようです。

図書館情報

名称 白岡市立図書館
URL https://www.city.shiraoka.lg.jp/soshiki/kyouikubu/syougaigakusyuuka/36/32/
所在地 埼玉県白岡市千駄野432番地
資料点数 約16万点(令和3年度)
年間来館者数 約19万人(令和3年度)
貸出冊数 約40万冊(令和3年度)

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