開館時間外・図書館外でも
予約した本・資料を受取れる
バーコード対応の予約受取
ロッカーで非対面・非接触の
予約貸出を実現
山口県下関市立図書館 様
「夢をはぐくむ 知の種を 市民(みな)であたため 未来につなぐ」を基本理念とする山口県の下関市立図書館様(以下、同館)。開館時間外に図書館以外の場所で予約した本や資料を受け取りたいというニーズに応えるため、バーコード式の予約受取ロッカーを導入。ICタグが貼付されていない本・資料でも利用できるようにしたことで利便性が向上しました。同館の取り組みを紹介します。
導入事例概要
商品名 | 予約受取ロッカー |
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ソリューション |
課題と効果
課題
効果
- 課題開館時間外に図書館以外の場所で予約した本や資料を受け取りたいというニーズへの対応が求められていた
- 効果予約受取ロッカーで開館時間外に図書館以外の場所でも予約した本・資料を受け取れるようにし、利便性が向上した
- 課題以前の予約受取ロッカーではICタグが貼付された中央図書館の本・資料しか利用できなかった
- 効果 バーコード対応の予約ロッカーで、ICタグが貼付されていない地域館などの本・資料でも予約と受取りが可能になった
- 課題利用者からの予約に対して、内容を1件ごとに確認して所有する館に確保を依頼する作業が必要で職員の業務を圧迫していた
- 効果予約があると自動的に確保依頼する機能で予約処理を大幅効率化、生まれた時間で市役所との企画展など新たな取り組みが可能になった
導入の背景
開館時間外に図書館以外の場所で予約した本・資料を受け取れる仕組みを
山口県下関市は本州最西端に位置し、人口約25万人を擁する中核市です。同館は、市内中心部にある下関市生涯学習プラザの4階・5階にある中央図書館と5つの地域館、豊北中学校内の図書室、そして移動図書館車1台で運営されています。蔵書数は全館合計で約78万点、2020年度の貸出数は延べ約23万人、約99万点にのぼります。中央図書館 司書の三村 弘則氏は「最も古い地域館が明治42年(1909年)に開館されるなど長い歴史があります。(源平壇ノ浦合戦や高杉晋作の奇兵隊の結成など)歴史にゆかりが深い土地柄から地域資料の蔵書が多いことが特徴です」と魅力を説明します。同館では、2010年3月に中央図書館を現在の生涯学習プラザ内に新築・移転した際に図書館システムも刷新しましたが、さらなる業務効率化と利便性向上、そして「中核市の図書館が扱うデータ量にも対応できる安定性」(三村氏)を考慮し、新しい図書館システムの導入を検討。その中で、「開館時間外に図書館以外の場所で予約した本を受け取りたい」という要望への対応を考えました。
すでに中央図書館ではICタグ対応の予約受取ロッカー導入・活用していましたが、ICタグを貼付した中央図書館の蔵書・資料しか利用できませでした。三村氏は、「約78万点の蔵書のうちICタグが貼付されているのは約半数で、ICタグのない地域館の蔵書・資料などは予約してもカウンターで職員から受け取らなくてはなりませんでした」と振り返ります。
また、以前のシステムでは、利用者から予約申込みがあると、その内容を職員が確認し、所有する館に確保と手配をメールで依頼していました。これらの作業に職員の時間が取られてしまい、窓口業務やレファレンス業務など利用者の利便性向上につながる業務に時間を割くことができないという課題もありました。
導入の経緯
地域館や図書室の本・資料も利用できるバーコード式の予約受取ロッカーを導入
こうした課題を解決するため、同館では新しい予約受取ロッカーの仕組みを検討しました。予約受取ロッカーと同様の仕組みでは、全国の公共図書館の多くは「予約棚」を導入・活用しています。これは、利用者が予約を依頼すると、職員が該当する本を図書館内に設置された予約棚に置き、利用者自らが予約棚から本を取り、本に貼付のICタグを自動貸出機に読み込ませて借りていく仕組みです。三村氏は「この仕組みでは、予約棚を図書館内に設置するのが一般的なので、『開館時間外に図書館以外の場所で受け取りたい』という要望には応えきれません」と説明します。また、以前から中央図書館に導入・活用されていたICタグ対応の予約受取ロッカーと比べると、利用者が予約棚から取った本を自動貸出機に読み込ませる手順が増え、利便性向上につながりにくいことも懸念されました。そこで、ICタグ対応の予約受取ロッカーと同じ手順で利用でき、しかも、予約した本を開館時間外に図書館以外の場所で受け取れること、さらには、中央図書館以外の地域館や図書室、移動図書館の本でも予約・受取りができることの3つの条件をクリアする仕組みを検討。ICタグではなく、バーコードで利用できる新たな予約受取ロッカーの導入を決めました。
新たな予約受取ロッカーでは、職員が予約のあった本や資料をロッカーに入れて予約者にメールします。メールを受け取った利用者は図書館カードのバーコードや、スマートフォンに表示させたバーコードを読み込ませて予約受取ロッカーを開け、本や資料を受け取る仕組みです。以前から導入・活用していたICタグ対応の予約受取ロッカーと同じ手順で利用できるので、利用者に新たな使い方の説明が不要だったことも導入の決め手になりました。
導入の効果
「非対面・非接触」のニーズに対応 予約受取ロッカーの利用率は堅調
バーコード対応の予約受取ロッカーを導入したことで、同館では利用者の利便性がさらに向上したと感じています。中央図書館 館長の江原 理恵氏は、「2022年4月から中央図書館の開館時間が夜9時から7時までに短縮されますが、ロッカーは生涯学習プラザの1階に設置されているので、閉館しても本・資料を受け取れます。利用者には利便性を実感してもらえるでしょう」と期待を語ります。また、貸出件数が新型コロナウイルス感染症の影響で減少傾向にある中でも、「予約受取ロッカーを利用した貸出件数はコロナ前より増加しています」(三村氏)といいます。「非対面・非接触での貸出しや受取りへのニーズが高まる中、職員にも利用者にもメリットの大きなサービスだと認識されていると手応えを感じています」(三村氏)。
バーコード対応の予約受取ロッカーを採用したため、ICタグが貼付されていない地域館や図書室などの本や資料も利用できるようになったことで利用者の利便性も高まりました。江原氏は、「他の自治体の公立図書館からも利便性、使いやすさが注目されているのか問い合わせがあります」と話します。
さらに、バーコード対応の予約受取ロッカーの導入とあわせて予約システムも刷新し、職員の業務効率化を実現しました。予約回送機能で利用者からの予約申込みがあると、自動的に該当する本や資料がある館に確保の依頼が送信されます。以前のように職員が確保依頼メールを1件ごとに送る必要がなくなり、予約処理の時間が大幅に短縮されました。中央図書館主幹の米崎美帆氏は、「効率化によって生まれた時間を有効に使い、職員はより魅力的な図書館にするための業務に注力しています」と効果を説明します。とくに「話題となった作家の特集コーナーを作るなど、司書のフットワークが軽くなりました。市役所と協業し、下関市の著名人や名所のパネル展示をして、それにまつわる本を紹介するといった取り組みも広がっています」と波及的な効果を示します。
今後の展望
ICTの活用で非来館・非接触のサービスを充実
同館では今後、バーコード対応の予約受取ロッカーをはじめ、図書館システムをどのように活用していこうとお考えなのでしょうか。三村氏は「予約受取ロッカーがバーコードに対応したことで、全館・図書室の本や資料の予約と受取りができるようになりました。ただ、図書館システム全体を考えて、そのメリットを最大限に活用するためには、やはり全館でのICタグ導入が不可欠です」と語ります。すべての蔵書・資料にICタグを貼付することで、「地域館のICT化も進み、より利便性の高いサービスを提供できるようになるでしょう」(三村氏)と今後の方向性を示します。また、江原氏は、「これからは、非来館・非接触で安心して使えることをもっとアピールし、より活用してもらえるようにする、それが大切です」と語ります。ICT活用による新しい図書館のスタイルをすでに見据えているようです。
図書館情報
名称 | 下関市立図書館 |
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URL | https://www.library.shimonoseki.yamaguchi.jp/ |
所在地 | 山口県下関市細江町三丁目1-1下関市生涯学習プラザ内(中央図書館) |
資料点数 | 78万4758冊(2020年時点) |
年間来館者数 | 約258,000人(2020年時点、中央図書館) |
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