利便性が高く、
訪れたくなる図書館を目指す
スマート図書館サービス
三田市立図書館 様
兵庫県三田市では三田市立図書館(以下、図書館)の利便性向上を目的に、2024年1月からマイナンバーカードを活用したスマート図書館サービスをスタートさせました。富士通Japanの「FUJITSU文教ソリューション WebiLis」を導入し、マイナンバーカードを活用したオンライン利用者登録や本の予約と受け取り、自動貸出など非来館・非対面のサービスを拡充。「新しい図書館体験」を実現し、市民の満足度も向上しました。同市の取り組みを紹介します。
導入事例概要
オファリングテーマ | クラウド型公共図書館業務サービス FUJITSU 文教ソリューション WebiLis |
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課題と効果
課題
効果
- 課題来館しないと利用者登録ができず、利用者登録をしないと本の予約や受け取り、電子書籍の閲覧ができないなど図書館利用が「来館前提」となっていた
- 効果マイナンバーカードでオンライン利用者登録して、本の予約や電子図書館の利用が可能になり、館内では予約本の受取り、本の貸出をセルフ化、非来館・非対面での利便性が向上
- 課題貸出する本を職員が1冊ずつ処理するため時間がかかり、問い合せなど様々な対応でカウンターが混雑することがあった
- 効果スマホ版利用者カードやマイナンバーカードで使える自動貸出機の導入で職員の業務負荷を大幅軽減。生み出された時間で新しいサービスやイベントの企画が可能に
- 課題「図書館が遠く来館しにくい」「対面での貸出に抵抗がある」といった課題に対応する新たな図書館サービスの提供が求められていた
- 効果非来館・非対面による「新しい図書館体験」を提供。アンケートで「満足」や「ほぼ満足」、「機会があれば利用したい」が7~8割となるなど市民の満足度が向上
導入の背景
マイナンバーカード、ICタグ、自動貸出機でより利便性の高いサービスを
兵庫県の南東部に位置する三田市。2022年4月に「さんだ里山スマートシティ構想」を策定し、「デジタルを活用しながら、市民一人ひとりが幸せを実感しながら住み続けられるまち三田」の実現を目指しています。同市 総務部 DX推進課スマートシティ推進係 係長の岩﨑 謙二氏は、「この構想の柱の一つが『市役所のスマート化』で、より利便性の高い行政サービスの提供を目指しています。その一環として『スマート図書館サービス』の実現に取り組みました」と説明します。同市がスマート図書館サービスの実現に取り組んだ背景にはそれまでの図書館が市民の利便性という視点でさまざまな課題を抱えていたことがあります。同市 市民生活部 文化スポーツ課の山本 はる氏は、「市民が図書館を使うときに必要な利用者登録もその一つでした」と振り返ります。図書館利用を開始するには、来館しての利用者登録が必須であり、ネット予約も利用者登録後はじめて可能になります。山本氏は、「このため、はじめて図書館を利用しようと思っても『登録に時間がかかるのでは』『借りたい本が借りられないかも』といった懸念から、利用につながらない場合があるのではと感じていました」と話します。
こうした課題がある中で、同市では、スマート図書館サービスの理想的な姿を具体的に検討。デジタル庁が提供していたマイキープラットフォームを活用したマイナンバーカード連携機能を使うことで、目指すスマート図書館サービスを実現できるのではないかと考えました。文化スポーツ課からも利用者の利便性向上のためにICタグを活用した図書館システムの導入が提案されたこともあり、「マイナンバーカード、ICタグ、自動貸出機を連携させてマイナンバーカードを図書館カードの代わりに使えるようにすれば、もっと利便性の高い図書館を実現できるのではないか、職員の業務負荷も軽減できるのではないかと考え、システムの刷新を検討しました」(岩﨑氏)と振り返ります。

導入の経緯
マイキープラットフォームの新機能をどう図書館システムに組み込むか
同市が目指したのは、「マイナンバーカードで図書館の利用者登録ができ」、しかも「登録後には図書館カードとして使える」機能の実現です。さまざまな方法を模索する中、同市では、デジタル庁がマイキープラットフォームを活用した市民カード化構想の実現に係るモデル事業を募集していると知り、応募しました。「デジタル田園都市国家構想交付金(デジタル実装タイプ)」の「マイナンバーカード利用横展開事例創出型(TYPEX)」にも応募し、これらに採択されたことからスマート図書館サービスの実現に向けた取り組みを本格的に開始。マイナンバーカード連携やICタグ連携で実績豊富な図書館システムとして、富士通Japanの「FUJITSU文教ソリューション WebiLis」を導入しました。岩﨑氏は「スマート図書館の実現には、マイキープラットフォームの新機能を図書館システムに組み込むことが必須でした。どうすれば市民にとって使いやすく図書館職員の業務負荷も軽減できるサービスを実現できるか、富士通Japanと何度も議論・検討を重ねました。粘り強く、柔軟に対応してくれたことで、一緒にスマート図書館サービスを作り上げることができたと感じています」と開発プロジェクトを振り返ります。
また、今回のスマート図書館サービスの実現には、マイナンバーカードでのオンライン利用者登録、ICタグを活用した自動貸出機やセルフで受取可能な予約棚、電子図書館との連携など、さまざまな開発を限られた時間で確実に実行する必要がありました。岩﨑氏は「スケジュールが非常にタイトで、遅れは許されない状況でした。シビアな状況下でも、まずは導入しやすく安定稼働が期待できるICタグによる自動貸出機のシステムから構築して、その後にマイキープラットフォームの新機能を活用したシステムを構築するなど、着実に進められるスケジュールを提示してもらいました。安心して進行を任せられました」とプロジェクト管理についても高く評価しています。

導入の効果
利用者登録から本の予約、貸出までを非対面・非来館で可能に
同市では2023年10月からICタグを活用した自動貸出機の導入・運用を開始し、2024年1月からはマイキープラットフォームを活用したスマート図書館サービスを本格的にスタートしました。山本氏は、システム導入によって「利用者の利便性が大きく向上したことを感じています」と効果を示します。以前は図書館でマイナンバーカードを利用する際、図書館カードを作ったうえで、その利用者IDとマイナンバーカードを紐づける必要があり、図書館カードとマイナンバーカードの両方が必要でした。山本氏は「現在では、マイナンバーカードとスマートフォンで自宅にいながらオンラインで利用者登録ができます。その後すぐに、読みたい本をインターネットで予約、図書館から取り置きの連絡がくれば、図書館に出向いて予約棚から該当の本をピックアップし、マイナンバーカードを使って自動貸出機で手続きをするといった利用方法が可能となり、市民の利便性が向上しました」と効果を示します。岩﨑氏は「PIN入力も不要で、利用者登録から本の予約、受け取り、貸出までを非対面でできます。まさに『スマート図書館サービス』の実現に向けた第一歩が踏み出せたと感じています」と効果を強調します。また、自動貸出機の導入で図書館職員の業務負荷も軽減されました。山本氏は「利用者のほぼ全員が自動貸出機を使いセルフで貸出手続きをしています。職員の業務負荷が大幅に軽減され、その分、新しい取り組みにチャレンジし、実行できるようになりました。具体的には2024年度に、予約した本を近くの市民センターや郵便局で受け取ったり、貸出本を返却できるサービスも開始しました。図書館から遠い所に住む人でもオンラインで予約して、来館せずに近くの市民センターや郵便局で受け取れます。これまでにない『新しい図書館体験』が広がりつつあると感じています」と話します。
今後の展望
新たなデジタル技術の活用でスマート図書館の可能性を広げる
同市では2024年3月、スマート図書館サービスのスタートにともないマイナンバーカード利用に関するアンケートを実施しました。山本氏は「満足、ほぼ満足、機会があれば利用したいという回答が7~ 8割に達していました。オンラインでの利用者登録についても毎月20件程度は新規登録があります。着実に利用者も増え、利用者の満足度は高いと実感しています」と話します。今後は移動図書館なども活用しながら、「図書館を利用してこなかった人にもマイナンバーカードを使って便利に図書館を利用できるようになったことを知っていただけるようにPRしたり、図書館でのイベントを企画したりして、図書館に足を運んでもらうきっかけを生み出していきたいと考えています」(山本氏)。岩﨑氏は「スマート図書館サービスはまだスタートしたばかりで完成ではありません。三田市ではAIなどさまざまなデジタル技術の活用を積極的に進めていますので、新しい技術を取り入れながら継続的にサービスを改善していこうと考えています。今後も富士通Japanにはパートナーとしてぜひ協力をしていただきたい」と展望を示します。スマート図書館サービスの進化に期待が膨らみます。
お客様情報
名称 | 三田市立図書館 |
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URL | https://sanda-city-lib.jp/index.html |
所在地 | 兵庫県三田市南が丘2丁目11-57(本館) 兵庫県三田市けやき台1丁目4-1(ウッディタウン分館) 兵庫県三田市大川瀬1307番地‐44(藍分室) |
蔵書数 | 41万7006冊(令和5年度末) |
来館者数 | 52万8778人(令和5年度) |
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