物流業における配送ルート
検証アプリケーション開発

アジャイルプロジェクト事例

[本事例のポイント]

  • マインドセット変革を通じ、両社で一丸となったチームビルディングを実現
  • 新しいシステムにチャレンジ、不確定要素への臨機応変な対応と遂行力でプロジェクトを推進

プロジェクトの背景

ロジスティクス事業を営むお客様にとって、ドライバーの配送ルートを最適化し効率化を図ることが急務でした。そこで、自社のノウハウを最大限に生かした配送ルートを組むインテリジェントな新エンジンの開発が必要であり、そのためのPoCを計画していました。このPoCを進めるにあたり、新エンジンが導き出した最適な配送ルートを地図上に表示して実際にドライバーが使ってUI/UXも含め評価する必要があり、お客様から富士通にお声がけいただきました。
この新エンジン開発においては、不確定要素が多く予想外の状況も起きる可能性が高く、富士通側でも臨機応変に対応する必要があると考え、俊敏かつ柔軟に対応できる、「スクラム」に基づくアジャイル開発および開発体制を提案しました。
※PoC: Proof of Conceptの略称で、新しいコンセプトやアイデアの実現可能性をはかるために、実証実験を行うこと。

プロジェクトの概要

本プロジェクトでは、お客様がプロダクトオーナーを選出し、新エンジン開発メンバーと富士通のアプリケーション開発メンバーとワンチームを結成しました。同じチームとして壁を作ることなく、協働で開発計画を立て、初期バックログを作成し、開発体制を構築、Working Softwareの検証が始まってからは、スプリントごとにリリースを継続するものでした。

開発体制・プロセス

開発当初、富士通のアプリ開発チームとお客様の新エンジン開発チームとの間に心理的・物理的な距離がありました。お客様との対面での会話はスプリントレビューのみであり、コミュニケーションもメール中心となっていました。
これらを解消するため、まずはプロダクトオーナーと開発チームで行っていたスプリントレビューに、お客様のステークホルダーおよびエンドユーザーとしてドライバーにも参加いただきました。また、スプリントレビュー時にはお客様を開発現場に招待し、開発の現状を自身の目で確認いただきました。このように、一体となってレビューを行うことで、プロジェクトの状況や優先順位へのお客様の理解が深まり、両社で状況やそれぞれの役割等を共有することができ、お客様との心理的・物理的な距離を縮めることに成功、価値創造につながり、お客様ステークホルダーにも満足いただけるシステムの開発に至りました。

結果

本プロジェクトの成功要因は、アジャイルを採用し、お客様のマインドセットの変化を導き、一つのスクラムチームとして一丸となって進めたことです。
両社で一丸となったチームでの開発により、開発中に生じた様々な問題に対し臨機応変な対応を取ることが可能となり、検証用アプリケーションを計画通りリリースすることができました。結果、新エンジンの実証実験も予定通り実施することができ、お客様から高く評価されました。

参考:ペアプログラミングについて
今回のプロジェクトでは、ペアプログラミングを採用しました。プロジェクト開始当初は、開発に必要な技術の知識やノウハウを十分に持っていないメンバーがいても、ペアプログラミングにより、開発メンバー内でのノウハウ共有とスキルトランスファーが可能になります。ペアによる技術調査や、実際に手を動かすことで、開発メンバーは技術的な知識やノウハウを蓄積し、随時ペアを組み替えることで、別のペアで習得したノウハウがチーム全体に共有されるので、チーム全体を底上げし、開発効率やスプリントごとのベロシティの向上につながります。

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