東京証券取引所 様

アジャイルプロジェクト事例

東京証券取引所様は、機関投資家のETFのOTC取引を電子化するためのプラットフォームを構築し、「ETFをより早く、安く取引できる世界」を実現することを目指していました。
富士通は従来、ウォーターフォール開発を主として東証様のシステムを開発してきました。しかし、東証様にとって、本プラットフォームはこれまで直接ビジネスをしてこなかった機関投資家向けの新しいビジネスであり、あらかじめ要件定義ができませんでした。また海外の競合サービスの存在などもありスピーディな立ち上げが求められました。こういった背景から、本プラットフォームの開発ではアジャイル開発に挑戦することになりました。

本件の開発では、「リーンスタートアップアジャイル」という手法を用いました。これは、「実際にプロダクトを使うエンドユーザーに対する仮説検証を繰り返し、開発するものを決めていく」リーンスタートアップのループと、「確実に必要だと分かったものをインクリメンタルに高い品質で作り上げていく」アジャイル開発のループの2つから構成されます。

リーンスタートアップのループでは、価値を実現するために必要な仮説を優先付けし、それを検証するための最小限のプロダクトを作成してエンドユーザーに対し提供しました。1サイクルあたり数名のエンドユーザーに対してインタビューを行い、確実に必要だと自信が持てたものを作るという判断をしていきました。

アジャイル開発のループでは、エクストリーム・プログラミングのプラクティスである、ペアプログラミングとテスト駆動開発を採用しました。また、当然CI/CDも導入し、各機能の開発の後には常にリファクタリングを行うことで継続的な品質改善を行いながら開発スピードも維持していきました。

リーンスタートアップアジャイル開発は、10人程度の少数精鋭で、多方面に高い専門性を持つメンバーを集めることが求められます。そのためには、富士通だけではなく東証様と一体となってチームを構成する必要がありました。プロダクトのビジネス的な判断に責任を持つプロダクトマネージャーや、ユーザーにとって価値あるプロダクトとすることに責任を持つデザイナーは、東証様と富士通がペアとなり、プロダクトの実現に責任を持つデベロッパーは富士通が担いました。富士通がリーンスタートアップアジャイル開発の各ロールに必要な専門スキルを有するメンバーを揃え、東証様からはETFの取引に関わるビジネススキルや本開発に欠かせないエンドユーザーとのリレーションシップ等を持つメンバーが参画し、こうすることで、お互いの長所を活かしながら非常に高いパフォーマンスを発揮することができました。

このような体制をとった結果、エンドユーザーに使われないプロダクトを作るリスクを最小限にとどめながら、約半年でエンドユーザーに対してシステムを試験提供、1年で正式リリースすることができました。また、両社が同じゴールを共有し、それを実現するためにどうすべきか日々コミュニケーションをとりながら新たな価値を生み出していく関係性を築きあげることができました。

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