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第02回 業務負担を軽減し“定着率”を向上する方法

介護人材活用について

株式会社スターコンサルティンググループ
代表取締役 経営コンサルタント 糠谷 和弘 氏

2017年11月15日更新

なぜ「業務負担」が増えるのか?

「働き方改革」がブームになっています。「生産性を上げて、時間あたりの給与を向上しよう」、「残業を減らそう」、「休日や余暇時間を増やそう」というわけです。
しかし、そんな時代の流れと逆光して、介護業界では、かえって残業時間が増え、有休の消化率が下がってしまっている事業者も多いのではないでしょうか。そのせいで、離職が増えているという話も聞きます。採用がとても難しい状況ですから、ダブルパンチです。
そこで、まずは介護現場で業務負担が増える理由を考えてみましょう。

採用難による人手不足

少子化により労働人口が減少し、業界問わず採用が難しくなりました。特に介護業界は厳しく、有効求人倍率は、全国平均で3.5倍を超え、慢性的に人手が不足する状況となっています。人が充足していないからといって、やらなければいけない業務が減ることはありませんから、当然、現場の作業負担は大きくなります。
しかし、それだけではありません。採用がうまくいって、スタッフが充足すれば業務負担は軽減されるかというと、そうでもないのです。平成27年に行われた介護保険制度改正は、業務負担増大に大きく影響しています。

介護保険制度改正による影響

前回の改正で、介護報酬は平均2.27%(実質4.48%)マイナスとなりました。少なくともその分は、コストを削減しなくては経営が成り立ちません。コストにしめる大半は、言うまでもなく「人件費」です。余裕のある人員配置での運営では、適正な(必要最低限の)利益の確保ができなくなったのです。
それに加えて、制度改正によって、加算算定要件が厳しくなった項目も多くあります。
例えば、デイサービスで「個別機能訓練加算」を算定するためには、計画書立案の際に、居宅を訪問することが義務づけられました。訪問する意義はよくわかりますが、かなりの時間を要する作業です。
このように、現場の人員が減る状況下で、逆に作業量は増えているのですから、現場の業務負担が増大するのは当然です。
しかし、これ以上に大きな問題が、介護現場には潜んでいるのです。

利用者への“想い”

作業量を増やす一番の原因は、実は介護職の方々のお客様、利用者に対する“想い”や“温かい気持ち”です。「こんなことをしてあげたい」「あんなことをしたら喜ぶ」という気持ちが、最も大きな問題なのです。
これを聞いて「何を言っているんだ」と違和感を感じる方もいるでしょう。この点は、他の業界で考えると、わかりやすいでしょう。

例えば、コーヒーショップ。
カウンターで飲み物を買って、テーブルに自分で運び、飲み終わったら「下膳口」にカップを戻すセルフサービススタイルのお店が人気です。“ドトール”などでは、たった220円で、美味しいコーヒーを飲むことができます。
これと比較して、ドトールがかかわる本格コーヒーショップ“星野珈琲”では、テーブルまでウェイターが注文を聞きにきて、時間をかけて落としたハンドドリップコーヒーを出してくれます。1杯400円。ふわっふわのスフレパンケーキは、出来上がりまで20分かかりますが、人気のメニューです。決して安くはないのですが、席がゆったりしていて、店員も多く、丁寧に対応してくれます。
このように、手間を増やした分、値段を上げることができ、その分、スタッフを増やすこともできるのが一般的な商売です。しかし、介護事業では、それができないのです。

介護サービスが他の商売と大きく異なるのは、お客様からいただくお代金が“公定価格”として決まっていることです。手間が増えたからといって、値段を変えることはできません。スタッフを増やすこともできません。限られたスタッフ数で運営しなくてはならないのですから、“想い”や“気持ち”にまかせて、サービスを増やしてはならないのです。

“想い”をコントロールする

この点では“想い”をコントロールして、サービスにつなげるという視点が大事です。
私はクライアント企業には「施設長の役割は、業務に優先順位をつけ、仕分けすることだ」とアドバイスしています。その“仕分け”とは、以下のようになります。

強化する項目 「施設の武器となるサービス」、「ニーズが大きなサービス」等、スタッフの力を“集中”して強化するべき項目
現状維持する項目 定番サービスや介護保険で義務付けられているサービスではあるが、あまり力をかけずに現状をキープする項目
やらない項目 作業量を適正に保つために(やりたくても)やってはいけない項目

これらを意識することで、作業量を適正に保ちながら“売り”となるサービスを磨き込んでいき、人気施設にするのです。
さてここまでは、お客様向けのサービス面で、業務負担が増える理由をお伝えしました。最後の“想い”はコントロールできますが、「人手不足」や「介護保険制度改正の影響」による業務量増大は、そう簡単には解決できそうにありません。
そこで、増えてしまった負担を、バックヤードの業務を圧縮することで、バランスをとることにチャレンジしましょう。

仕事の3割は削減できる!?

いくつかの施設に協力をしていただいて、介護現場の「業務分析」をしてみると、意外なことがわかりました。実は「1日の約3割は、ムダに費やしている」ということです。
3割です。8時間勤務だったら、約2時間半は浪費していることになります。それだけあったら、何ができるでしょう。なんとか効率化したいところです。
“3割”の大半は、次の3つで費やしています。その原因と対策を考えてみましょう。

1)人探し

現場をずっと観察していると、こんな場面によく遭遇します。
  「◯◯施設長は、どこにいますか?」
  「ナースの◯◯さんは?」
  「主任に電話なのだけど、どこにいるか知っている?」
すべて「人探し」をするシーンです。本当にムダな時間ですね。お互いに、居場所がわかっていれば、こうしたストレスはなくなります。そのための解決策は、次のようになります。

□ 持ち場を離れるときには、必ず一声かける
□ 外出する際には、ボードなどに「行き先」「帰社時間」を書く
□ 「インカム」「施設用PHS」などを利用する

たったこれだけです。インカムやPHSなども、かなり安価で手に入るようになりました。一手間かけたり、ちょっとしたツールを導入するだけで、ストレスが減るのだったら、やらないという選択肢はありません。

2)モノ探し

現場でよく探すものはなんでしょう。 申し送りノート、カルテ、ホッチキス、デジカメ、PC内のデータ、リハビリツール、レク・イベントグッズ・・・

よく観察していると、1日中“モノ探し”ばかりしている方もいます。もったいないですね。“モノ探し”を解決するのは簡単です。

□ 「定物定置(物品を決まった場所に戻す)」の徹底
□ PCデータの保存ルールの徹底

そもそも、物の置き場所を決めていない施設も、多いようです。まずは、置き場を決めることからチャレンジしてみましょう。

3)情報共有不足

情報がしっかり伝達できていないために、現場が非効率になることも負担を大きくする要因です。ここで言う“情報”とは、「1日のスケジュール」、「ケア方法」、「業務手順」等です。これらの変更が、一部のスタッフに伝わっていないために、チームワークが乱れてしまうのです。
例えば、会議や朝礼、申し送りの会などに参加していないスタッフに、大事なことが伝わっていなくてストレスを感じるという経験はないでしょうか。
情報を、スタッフ全員でどう共有するかは、とても大きな問題です。特に、いまの介護現場は、様々な職種、雇用形態の人たちが連携しなくては成り立ちません。短時間パート、清掃などのサポートスタッフ、障害を持つスタッフ、外国人スタッフ、外部の医療スタッフ・・・。こうした人同士で、しっかりと情報を共有できなければ、円滑な運営などできないのです。
すぐにできる解決策は、とにかく顔を合わせて申し送りする場面を増やすことです。「3分間ミーティング」「出勤時の申し送りの徹底」など、短時間高頻度で、情報伝達をしていけば、たいていの問題は解決されます。
それらを補助するツールとして「申し送りノート」などを改善するのも良いでしょう。しかし、現場で活用すべき情報は、複雑化していますから、それだけでは不十分かもしれません。こうした状況を打開するのが、ITシステムです。

設備・システムの導入が不可欠な理由

少子化により、今後、さらに生産年齢人口が減少します。人手不足の状況は今後、さらに深刻になるでしょう。それに次期制度改正では、さらなるマイナス改定が予測されます。にもかかわらず、介護現場に求められることは、より大きなものになるはずです。
お客様の要望は増え、加算算定のための作業は増えます。なのに、人手は増えない。何も対策を打たないまま、そうした状況を迎えたら、現場は破綻してしまいます。前述のような方法だけではなく、よりドラスティックに業務改善ができるような方法を、私たちは考えなくてはなりません。
その解決策の一つが、ITシステムだというのです。
私は、この流れに乗り遅れると、大変なことになると予測しています。
現場は業務量に押しつぶされます。当然、離職が増えるでしょう。若い人材は、設備の整っていない事業者への入社を嫌うかもしれません。人も集まらなくなります。
これからは、設備やシステムに投資をする時代なのです。
ロボットも含めて、こうした設備、機器は、まだ発展途上にあります。まだまだ進化していくでしょう。しかし(それでも)導入を早めるべきだと思います。理由は“現場の拒否感“にあります。
一昨年、介護スタッフ600人に「ロボット・ITシステム」に関するアンケートをしました。その中で気になったのが、こうした機器に対する現場の印象です。「ロボットによる介護は温かみを感じないから嫌だ」にチェックをした方が約7割。「システムは、操作が面倒」と答えた方が5割いたのです。
そのせいか、ロボットやシステムを導入した施設にヒアリングしてみると、一番大変だったのは「現場の説得」だったと、担当者は口をそろえて言います。“利便性”、“使い勝手”の問題ではなく、多くの介護職が持つロボットやシステムに対するイメージが、導入にブレーキをかけるのです。
これでは、普及しないのも当然です。
だから、現場の方々が、こうした機器を使う仕事のやり方に慣れる意味でも、作業の一部を補完するところからでも良いので、1日も早く導入を検討してほしいと思います。

著者プロフィール

糠谷 和弘 氏

株式会社スターコンサルティンググループ

糠谷 和弘 氏

代表取締役 経営コンサルタント

プロフィール

明治大学政治経済学部卒業。ディズニーで4年間のキャストを経験後、株式会社ジェイティビーに入社。株式会社船井総合研究所に入社後は、介護サービスに特化したチームを立ち上げ、コンサルティング活動を行う。
現在は、株式会社スターコンサルティンググループを設立し、介護サービスに特化したコンサルティング会社として、経営者や経営幹部と一緒に様々な経営課題の解決にあたっている。

コンサルティングテーマ

・異業種からの新規参入支援
・新規事業開設(有料老人ホーム、サービス付高齢者向け住宅、デイサービス、グループホームなど)
・集客支援(デイサービス、デイケア、有料老人ホーム、高専賃、ショートステイ)
・キャリアパス制度、評価制度構築 
 など

実績

・コンサルティング:社会福祉法人、医療法人、民間企業などのべ450法人
・講演:全国社会福祉協議会、JA、シルバーサービス振興会、セルプ協、北陸電力、社会福祉青年経営者会、専門学校・各種学校連絡協議会、全国老人福祉施設協会、全国の都道府県情報労連、その他大手メーカー、小売、サービス企業など、300回以上
・メディア:記事掲載(読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞、週間ダイヤモンドなど)、TV(「ガイアの夜明け」、「モーニングサテライト」など)、ラジオ出演

著書

「介護経営白書」
「現場リーダーのための介護経営のしくみ」
「ディズニー流!みんなを幸せにする最高のスタッフの育て方(PHP研究所)」
「なぜあの介護施設には人が集まるのか (PHP研究所)」
「なぜあの介護施設は地域一番になったのか (PHP研究所)」

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